『ナタリーの朝』 Me, Natalie (1969)

ナタリーの朝 [VHS]

作品メモ

『結婚しない女』『ハリーとトント』ときたら『グリニッチ・ビレッジの青春』といきたいところですが、手元にないので、こちらの映画をチェック。
やはりグリニッチ・ビレッジが出てくるちょっと昔の青春もの。
小さい頃から容姿コンプレックスに悩んでいた女性が、親からの独立や恋愛を経て自信を持ち成長していく姿を描きます。
重くなりそうなテーマですが、シリアスではなくあくまでコメディ・タッチ。
ヒロインにまつわる悲喜こもごものエピソードが、独白とともにテンポ良く語られていく、そんな内容となっています。

リアルタイムでは見ていませんが、名画座で時々かかっていましたし、あやふやな記憶ですがテレビでも見たような気がします。
日米ともにDVD化されていませんが、少なくとも日本ではレーザーディスクとVHSは出ています。どちらも廃盤ですので、今から見るとなると、CSやBSなどでの放映に期待するしかないかもしれません。

ヒロイン、ナタリーを演じたのはパティ・デューク。
この役でゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門最優秀女優賞受賞。
日本ではほぼ自動的に「『奇跡の人』でヘレン・ケラーを演じた天才子役」と紹介されてしまう女優さんですが、その後の活躍はテレビ中心で、劇場用映画の出演作は『ビリー』(1965)、『哀愁の花びら』(1967)等限られています。
『哀愁の花びら』は力演でしたが、作品自体がちょっと難ありでなんだか空回りしていた様子。
その点『ナタリーの朝』はいわば「パティ・デューク・ショー」や『ビリー』の延長線上にある作品で、こちらの方が素に近く、生き生きと演じているように見えます。

私生活では、3人目の夫ジョン・アスティンとの間の子供が、ショーン・アスティン。
といってピンとこなければ、『ロード・オブ・ザ・リング』で主役押しのけて大活躍、「サムの帰還」とまで言われたホビット、サム役の人。
美男美女系ではないかもしれませんが、親しみやすいキャラクターは母子で似ているような気がします。

その他のキャストは……
両親役にフィル・スターリングとナンシー・マーチャンド。
大好きなハロルド叔父さんにマーティン・バルサム。さすがの存在感。
その彼女シャーリーにサロメ・ジェンス。
この2人は映画にぐっと奥行きをもたらしていました。

他に、高校時代の同級生ベティにデボラ・ウィンタース。これが劇場用映画デビュー。
親が引き合わせた相手モリスにボブ・バラバン。

さらに、アル・パチーノも出ています。
これが映画デビューで、最初の方に登場。 出番わずか数十秒ですがセリフ有り。
この後『ゴッドファーザー』(’72)、『スケアクロウ』(’73)、『セルピコ』(’73)、『ゴッドファーザーPARTII』(’74)とめざましい活躍を見せることになるとは当時誰が予想したでしょう??
余計なことかもしれませんが、IMDbによるとこの間(1970~75)ジル・クレイバーグと同棲していたことになっています。

それから、少女時代のナタリーを演じた女の子は、ロビ・モーガン Robbi Morgan という名前(クレジットでは Robyn Morgan)。
可哀想に顔が全然映りませんが、これが映画デビュー。
彼女が日本のスクリーンでそのルックスを披露したのは 『13日の金曜日』のみ。
ちょっとネタばれになりますが、記念すべき?シリーズ最初の犠牲者役。

監督は『奇跡の人』で製作者だったフレッド・コー Fred Coe 。
IMDbのリストで見る限り、劇場用映画の監督は2本目で、これが最後。79年に亡くなっています。
製作・原案スタンリー・シャピロ。
脚本マーチン・ツウェイバック。
撮影アーサー・J・オーニッツ。

音楽ヘンリー・マンシーニ。
ちょっと過剰なぐらい素敵な音楽でした。
これがビル・コンティならまた違った映画になっていたことでしょう……。
グラミー賞最優秀オリジナルスコア賞ノミネート 。

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ノベライゼーション

ナタリーの朝 (角川文庫) 小説版も角川文庫で出ていました。
脚本家(A・M・ツウェイバック)自らノベライズしたもの。
学園紛争のくだりなど少し肉付けしていますが、総じて内容は映画とほとんど同じ、台詞も同じ。

……あっとひとつだけ大きな?違いが。
実はその昔映画より先にノベライズの方を読んだのですが、裏表紙がナタリーがバイクにまたがっている後ろ姿のスチル。
はっきりHONDAというロゴが見えるのに、小説ではヤマハに乗っていることになっていました。
変だな~と思っていたのですが、その後本編を見るとやはりホンダですしセリフでも”ホンダ”と言っていることを確認。
ノベライズ本でメーカーを替えた意味はついぞわかりません……

“Tell Me That You Love Me, Junie Moon” (1970)

tell_me.jpg 関連作品というわけではありませんが、同じ頃こういうのもあったというメモ書き。
日本では未公開。テレビ放映やビデオ化もないので邦題はありません。
私も実は見ていませんが(おいっ)、原作小説は当時早川書房から出ていました(69年にハヤカワ・ノヴェルス、72年にハワヤカNV文庫)。
邦題が、『愛しているといってくれ』 ……ってどこかで聞いたことがありますが、もちろんこちらが先。
作者はマージョリイ・ケロッグ Marjorie Kellogg W

原題の中の「ジュニー・ムーン」がヒロインの名前。
男友達に暴力をふるわれたあげく硫酸をかけられひどい跡が残ってしまった女性が、病院で知りあった2人の男性患者と退院後共同生活を始めるというお話。
2人もそれぞれ重い障害と難病をかかえているという設定で、『ナタリーの朝』の容姿コンプレックスなど軽く吹き飛んでしまいそうなシリアスでヘビーな内容となっています。

映画版は、原作者自身が脚色して、オットー・プレミンジャーが監督。
ヒロインを演じたのはライザ・ミネリ。

ロケ地

IMDbでは記載がありません。
例によって画面をじ~っと見つめる他ないわけですが、この映画の場合、実家がブルックリンで一人住まいがグリニッチ・ヴィレッジという設定。
ロケも設定に従っているものと思われます。

実家

ブルックリンにあるという設定だと思います。

フェリー乗り場

きれいなドレスに身を包んだナタリーがあてもなくたたずむ桟橋。
やってきたフェリーはオレンジ色の船体で”JFK”のロゴ、ということでこちらの路線。

Staten Island Ferry W

おそらくマンハッタン南端の埠頭と思われますが、このターミナルは数年前に建て替えられているので、撮影場所を厳密に特定するのは難しいでしょうか。

水辺

叔父さんと散策するところ。
調査中。

家出したナタリーが列車(地下鉄)にのったところ。 ブルックリンのこちらの駅。

Smith–9th Streets W

By Error46146 at en.wikipedia
(CC-BY-3.0)

列車が出て行くカットはまさにこんな感じ。

地下鉄出口

ウエスト・ヴィレッジのこちら。


大きな地図で見る

地下鉄の駅は、

Christopher St – Sheridan Sq Station W

アパート

シャーリーを頼ってやってきたところ。
残念ながら彼女はすでに……でしたが、そのまま彼女の部屋を借りるナタリー。
あり得ないくらいポジティブですが、そこらへんノベライズ本ではちゃんと一瞬葛藤が描かています。

すれ違うゲイのカップルがいかにも当時のこのあたりを表しています。
個人的には2人にもっと活躍してほしかったかも。

朝食をとったオープンカフェ

ラリってしまった翌朝、デヴィッドのおごりで食事をするところ。
セントラル・パークのベセスダ噴水 Bethesda Fountain W の前ですね。

バイクで駆け抜ける公園

Brooklyn Heights W

早朝の埠頭

一夜をともにしたふたりが朝日の中で戯れるところ。
この映画のメインビジュアル的映像ですが、撮影場所は背景の建物の位置関係からみて、ブルックリン橋西側のこのあたり。

川に飛び込んだところ

イーストリバー東側のこのあたり。
対岸に国連ビルらしきものが見えたのが手がかりとなりました。

バイクで走り抜ける橋

ブルックリン橋 W

歩行者用の部分をマンハッタンからブルックリンに向かって走っています。

ロケ地マップ

 
 

資料

更新履歴

  • 2015/11/05 「ロケ地マップ」追加

『ナタリーの朝』 Me, Natalie (1969)” への8件のコメント

  1. 高校1年の時、学校帰り博多駅構内のステーションシネマで友達3人で観ました。今、60歳ですが、その時の感動は、歳をおうと共に、膨らんできます。ⅮⅤⅮの発売を期待するのですが・・・・・・。

  2. 山田孝男さん、コメントありがとうございます。
    私より先輩ですね。私は確か70年代後半に名画座で見たのが最初だったかと思います。
    この記事を書いてから5年近くたちますが、DVDはやはり日米ともに出ていないようですね。
    先ほどYouTubeを検索したら、字幕はありませんが全編アップされていました。
    画質はあまり良くありませんが、”Me, Natalie (1969)”で検索してみてください。

  3. 本当に懐かしい映画です。不思議なのは今でもこの映画を思い出すことです。
    最初に見たのはテレビだったのか、文庫が先だったのか曖昧です。
    その後、多分1985年頃に、町でビデオを見つけまして買いました。ソニーピクチャーだったような。大学の友達に貸してそのままになってしまいましたが。彼女はどういうわけか、その後NYの大学に進学しました。

    50〜60年代のアメリカがしのばれますね。まだアメリカ人女性の大半が主婦だった頃、ナタリーが家に帰ると、母親が焼いたアップルパイをミルクといっしょに食べるシーンだったり、サイケファッション、ミンミンオルガンといわれた当時の音楽が鳴る部屋でのパーティーシーンなどあったでしょうか。アパートには、手動のロープを引っ張るタイプの簡易エレベーターみたいなのが出てきました。
    古本屋で見つけて文庫本も持っていました。この表紙は雰囲気がありました。Hondaにまたがったナタリーがありましたね。
    映画の評価自体は佳作でしょうが、わたしの中では、いつまでも印象に残る映画です。

  4. Vさん、コメントありがとうございます。
    これは本当に懐かしいですし、記憶のどこかに残っている映画ですよね。
    今のようにメディアが発達していたわけではありませんから、海外の、とりわけアメリカの若者たちの生活ぶりは、こうした映画を通して親しんだり、あこがれたりしていたように思います。
    一方で、自立して自己実現をなしとげていくヒロインの姿は、洋の東西を問わず普遍的なもので、共感しやすいテーマでしたし。
    いろいろな部分で印象に残りやすい映画だったのかもしれませんね。

  5. 本当に懐かしいです。映画館の帰りにレコードを買って帰ったのを思い出します。たぶんヘンリー・マンシーニの詩情溢れる音楽によるものかもしれません。

  6. KIさん、コメントありがとうございます。
    記憶にありませんでしたが、レコードも出ていましたか。 🙂

    昔見て良かった映画が今見返すとあまりぴんと来ないことがありますが、この映画はその心配がなくて、いつも面白く、また懐かしく見ることができます。
    それなりにマーケットはあるかと思うので、ぜひDVD化なり放送なりしてほしいですね。

  7. 詳しい解説ありがとうございます。
    40年以上前、高1のとき友人と観た忘れられない映画です。
    部屋にはポスターをパネルにして飾ってます(笑)
    1年半前にニューヨークに行ってきました。
    そのときこのサイトの記事を参考にさせていただきました。感謝!

  8. コメントありがとうございます。
    拙サイトがお役に立てたとのことで、とても嬉しいです。
    ポスターお持ちなんですね。
    そういえば昔は部屋中にポスターぺたぺた貼りまくっていました。

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