『ハイ・ロード』 High Road to China (1983)

High Road to China [DVD] [Import]

追悼ジョン・バリー

作品メモ

ジョン・バリー

先月末、ジョン・バリーの訃報が伝えられました(1月30日)。
近年は仕事から遠ざかっていたようですが、いざ訃報に接するとやはり残念至極。
記事ではこぞって『007』シリーズや『野生のエルザ』のタイトルが挙げられていました。代表作となるとこのあたりになるのでしょうね。
調べてみると、アカデミー賞は『野生のエルザ』(作曲賞と歌曲賞)、『冬のライオン』、『愛と哀しみの果て』、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』で受賞。
のべ5回の受賞は、アルフレッド・ニューマンの9回に続く輝かしい記録です。

http://en.wikipedia.org/wiki/Academy_Award_for_Best_Original_Score#Multiple_nominations

個人的には、すでにエントリーを立てている『ある日どこかで』『白いドレスの女』『フォロー・ミー』『約束』あたりにやはり思い入れが。
今回は追悼の意をこめてもう1本、お気に入りの『ハイ・ロード』をチェックしてみます。
この映画、実際にご覧になった方は案外少ないかも知れませんが、音楽に関しては間違いなくジョン・バリーの代表作のひとつ。
「らしさ」が良く出ているテーマ曲をまずはどうぞ。


High Road to China ド(高い)~~ソ~~♪ と降りてくるのが『野生のエルザ』なら、ド(低い)~~ソ~~♪と上がるのが『ハイ・ロード』。
この勇壮なテーマ、一度聞いたら忘れられません。
サントラCDは入手可能ですし、iTunesでも扱っていますので、ぜひお金を出してお求めください。

物語

第一次大戦後のこと、会社乗っ取りを防ぐために父親の行方を探さなくてはならなくなった女性が、パイロットを雇い複葉機を飛ばして行く先々で冒険をくりひろげ、やがては中国奥地を目指していくという波瀾万丈の大活劇。
男まさりのヒロインと、かつてのエース、現在はただの酔っぱらいの男という組み合わせで、ロマンスに関してはお約束のツンデレ的展開。ど派手なアクションに笑いもたっぷり盛り込んで、誰にでも楽しめる娯楽作品を目指しています。
こうした企画が実現したのもおそらく『レイダーズ』の成功が影響していることでしょう。
劇場プログラムには、トム・セレックがインディ・ジョーンズ役のオファーを受けていたのにテレビシリーズ『私立探偵マグナム』出演のため断ったことがわざわざ書かれていて、意識しているようです。

キャスト、スタッフ

かつてのエースパイロット、今や飲んだくれの操縦士オマリーにトム・セレック。
勝ち気なヒロイン、イヴ・トーザーにベス・アームストロング。
一緒に旅する整備士ストラッツにジャック・ウェストン。
イヴの父で大会社の経営者ブラッドリー・トーザーにウィルフォード・ブリムリー。
なんとしてもブラッドリーに帰国してほしくない共同経営者ベンティクにロバート・モーリー。あいだに挟まれる彼とその執事の愉快なやりとりは試写後に追加されたもの(→ IMDbのトリビア)。

原作はジョン・クリアリーの傑作『高く危険な道』。映画化に際し、大ざっぱな設定以外はほとんど原型をとどめないほど脚色が加えられています。
監督は『荒鷲の要塞』『戦略大作戦』のブライアン・G・ハットン。この映画を最後に映画界から去り配管工になったとか(IMDb
製作フレッド・ワイントローブ。
製作総指揮レイモンド・チョウ。 ということで、ゴールデン・ハーベスト社提供。
この頃のゴールデン・ハーベスト@アメリカ市場となると、『キャノンボール』(1980)やら『メガフォース』(1982)やらそんな感じです。

この映画を今から見るとなると、日本ではDVDが出ていませんので結構むずかしいかもしれません。
個人的には、レンタル落ちのVHSで当面はしのぐつもり。
でもいつかはBlu-rayかHD放送で、あのヒマラヤ越えをまた体験したいものです。

ハイ・ロード [DVD] ※2013/08/18追記
いつのまにか日本でDVDが出ていました。

http://dvd.paramount.jp/search/detail.php?id=7937

複葉機

ブルストル・ファイター W という設定ですが、映画で使われたのは第二次大戦後に作られたStampe W
ドロシーとリリアンという名前は、ドロシー・ギッシュとリリアン・ギッシュから。

作品メモ(少しネタばれ)

経路

カイロ → イスタンブール → アフガニスタン → インド(通過) → カトマンズ → 新疆(おそらく) 

ヒマラヤ越え

雪におおわれ巍然とそびえ立つ山脈をたった一機の複葉機がはかなげに飛翔する様が印象的。
後年『アビス』でエド・ハリスがひとり深海に潜っていく場面を見て、このヒマラヤ越えを思いだしたものです。

この場面、ジョン・バリーはいたずらに音を分厚くして盛り上げるのではなく、ぐっと押さえたアレンジで自然の雄大さと寂寥感をたくみに演出します。
上記動画の11分あたり。

ロケ地

IMDbでは、

England, UK
Rosary Priory High School, Caldecote Towers, Elstree Road, Bushey, Hertfordshire, England, UK
Yugoslavia

ということで、イギリスと旧ユーゴスラビア、特にアクションシーンは旧ユーゴスラビアでの撮影のようです。
劇場プログラムでは、「撮影は81年10月からユーゴスラビアを始めとして世界各地で行われた」とあります。

ユーゴスラビアという国は既になくなっていますが、どの共和国で撮影されたのかまでをつきとめるのは難しそうですので、カテゴリー上は「ユーゴスラビア」とひとくくりにしました。また後述のようにスロベニアではないかと推測できるところがあり、「スロベニア」も追加しています。

OP

雑踏の場面。
設定はおそらくカイロ。撮影場所不明。
ホテルの建物の造りからすると、旧ユーゴスラビアであることは十分考えられます。

ベンティクの屋敷

かたき役ベンティクのお屋敷。
IMDbのリストにあるこちら。

Rosary Priory High School, Caldecote Towers, Elstree Road, Bushey, Hertfordshire, England, UK

インドの駅

ターバン巻いた人たちで鈴なりの蒸気機関車が到着するところ。
設定としてはインドのようです。

この機関車、先頭に”18-005″という型番が見えます。
Wikipediaのこちら、List of steam locomotives in SloveniaW というマニアックな項目にその番号と画像がありました。
ということで撮影はやなり旧ユーゴスラビア、特にスロヴェニア方面ではないかと推測されます。
画像や参考サイトは例えばこちら↓

スロヴェニアの鉄道については鉄道博物館のサイトが詳しそうですが、残念ながら路線については一部を除いてずっと工事中。
http://www.burger.si/MuzejiInGalerije/ZelezniskiMuzej/SlovenijaOmrezje.html

かわりに見つけたのがこちら。重いけど最強。
http://www.vlaki.com/Slovenia/index.html

とはいえどんぴしゃりの駅はなさそうです。
建物のデザインからして、やはりセットのような気がしますがどうでしょう??

資料


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