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『摩天楼ブルース』 Defiance (1980)

Defiance [VHS] [Import]  

作品メモ

前のエントリー『サンフランシスコ物語』を書いていて、この映画を思い出しました。
ジャンルこそ全然違うものの、やはり都会の片隅で生きている普通の人々の姿が印象に残る映画です。

舞台はニューヨーク、治安が悪くストリートギャングたちが幅をきかせている町。
次の航海までその町に住むことになった船乗りが、ギャングたちの度重なる横暴に耐えかねてひとり立ち向かっていく、そんなお話です。

主演トミーに、なんとなくアニキと呼びたくなるジャン=マイケル・ヴィンセント。
『弾丸を噛め』(1975)、『世界が燃えつきる日』(1977)ときて、『ビッグ・ウェンズデー』(1978)で若手スターの座をゲット、80年代はテレビの『エアウフル』で人気を博すも、その後はいろいろあったようで失速。ルックスの良い好青年風だっただけに、ちょっと残念でした。
振り返れば 『摩天楼ブルース』はいちばん勢いに乗っていた頃の作品となるはずですが、同じ年に(見たことありませんが)かなりアレっぽい『アースライト/君は星になった』 てな映画にも出ていて、なんだかその後の混迷はこのあたりからすでに始まっていたのかもしれません。

それはともかく、小品とも言えるこの作品、主人公は町を支配するギャング相手に敢然と戦いを挑む無敵のスーパーヒーロー……では全然なくて、ごく普通の青年。武術に秀でているわけでもなく戦闘能力は限りなく並。ただ船乗りとして鍛えた腕っ節だけが頼りなのです。
関わり合いになりたくないよ~ただの通りすがりだよ~俺に頼るなよ~でもここまでやられたら勘弁ならんよ~やる時はやるよ~切れたよ~……でもってとうとう立ち上がるわけですが、ここらへんのクライマックスに向かう展開は日本製任侠映画に通じるところもあって結構盛り上がります。
まあひいき目に見ても映画史に残るような作品ではないかもしれませんが、荒れた町に住まう人々の生活感や路地裏の雰囲気がたっぷり出ていて、個人的には結構好み。

ヒロイン、マーシャがテレサ・サルダナ。
ギャングのボス、エンジェルにルディ・ラモス。
雑貨店店主エイブに『ハリーとトント』のアート・カーニー。
トミーの登場をきっかけになんとか町を良くしようとする住人カーマインにダニー・アイエロ。
ガタイの大きな元ボクサー、ワコに『ゴッド・ファーザー』の殺し屋、『カリフォルニア・ドールズ』の用心棒レニー・モンタナ。

監督がジョン・フリン。『ローリング・サンダー』(1977)に続く作品。なるほどアイドル版『ローリング・サンダー』と見れば納得の内容かも。
製作者に今をときめくジェリー・ブラッカイマーの名前があります。
音楽ドミニク・フロンティア。トランペットが奏でるラブ・テーマのような曲は、昔テレビで見て以来ずっと記憶に残っています。大げさに言えば、『朝な夕なに』の「真夜中のブルース」に匹敵するほど。

日本ではビデオが出ていたようですが、DVDはありません。
アメリカでもVHSが出ていましたが廃盤。
個人的には昔テレビで何度か見ていますし、80年代にテレビ東京あたりで再々々……放送したものを録画してあったので、それを見ながらのチェックとなります。

なお日本の各映画サイトでは1979年になっていますが、当サイトではIMDbのデータの1980年としています。

DVD登場&お役に立つ(笑)

※15/4/13項目追加

摩天楼ブルース [DVD]

この(2015年)1月にDVDが発売されていました。
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパンから「リクエスト・ライブラリー」という企画の一環のようです。

http://video.foxjapan.com/library/requestlibrary/07/

どれどれとAmazonのレビューを見たら、みなさん懐かしがりDVD化を歓迎されているようで、おまおれというやつでしょうか、とても親しみを覚えました。こういう映画が案外いつまでも記憶に残るんですよね 🙂

その中のおひとりのレビューが拙記事の丸写しとなっていてビックリしましたが、もちろんそのレビュアーさんは私ではありません(私はAmazonでレビューを書いたことはありませんので)。
当サイトの記事はこれまでセコいまとめサイトに丸写しされたことはありますが、レビューを他人のサイトから丸写しして何かメリットがあるのか、それがとても不思議です…… 🙄

ロケ地

IMDbでは資料無し。
画面に目をこらしてチェックするしかありません。

OPの埠頭

マンハッタンを対岸に臨むブルックリンのこのあたり。

橋が見える交差点

バーを出たトミーが歩くところ。
橋はマンハッタン橋で、その北西側。

舞台となる町はロワー・イースト・サイドにあるという設定のようです。

アパート

上記交差点からはだいぶ離れて、大ざっぱにイーストビレッジのこのあたり。

SVで入口を確認できますが、扉や手すりなど今も変わっていないようです。
ただ普通のアパートだと思いますので具体的な特定は避けることにします。
屋上の場面も(入口の建物とは少し違うかもしれませんが)ほぼ同じ位置。

カーマインが話しかけてきた街角

上記アパートのすぐ近くで、このあたり(カメラ西向き)。

水辺

トミーがワコやキッドとたむろする水辺。
調査中。

線路

トミーとキッドが歩いていく高架の下の線路。

調査中。

資料

更新履歴

  • 2015/04/13 「DVD登場」項目追加

コメント

  1. たかマックィーン より:

    摩天楼ブルース は、
    その昔、名画座で観て、
    気に入った作品です、
    公開当時、キャンペーンで、主演のビンセントと、ルディ・ラモスが来日し、テレビに出ていたのを思い出します。特にルディ・ラモスは、同じ様なキャラで、 ザ・ドライバー にも出るなど、売り出し中でしたが、若くして亡くなってしまったのです。主役級の悪役になれそうな凄みもあっただけに、惜しい俳優さんでした。
    楽しいロケ現場ルポ、ありがとうございました。

  2. 居ながらシネマ より:

    たかマックィーンさん、来日していたというのは知りませんでした。……といいますか公開された時の記憶が全然ない映画でした(汗)
    テレビでとてもなじんでいたので、吹替えでないと違和感が出てきそうですが、このDVDはテレビ放送時の吹替えも収録されているようで、それなら入手しても良いかなと思っているところです。

  3. たかマックィーン より:

    そうですね~
    日活映画みたいな、日本人の機微に合った映画でした。
    ジャンマイケル・ビンセントは、ビッグウェンズデーがあって、この作品のとでしたか、エアウルフシリーズの主演でテレビに行ってしまいまして、スクリーンから消えたのが、とても残念でした。

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