目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『衝撃の告発!QBセブン』で、アンソニー・ホプキンスの息子役を演じたアンソニー・アンドリュースの出演作。
ほぼ同じ頃の作品で、やはりナチスがらみのお話。
『QBセブン』がフィクションであるのに対し、こちらは第二次大戦中の実話に基づいています。
プラハに着任した占領軍司令官を暗殺すべく送り込まれたチェコ解放軍兵士。
地元のレジスタンスたちと合流し襲撃を成功させますが、苛烈な報復と厳しい捜索を受け次第に追い詰められていく……そういったお話です。
原題の「暁作戦」は暗殺計画の作戦名(実際にはエンスラポイド作戦W)。
歴史的事実としては、報復措置として多くの人々が連行され処刑、協力したと見なされた村が住人もろとも抹殺されるという蛮行にまで及びますが、この映画で描かれるのはそのごく一部。
視線はあくまで襲撃を行ったチェコの若者達に注がれ、過酷な報復措置に悩む姿やつかのまのロマンスなど描かれています。その意味では実話ものという他に青春ドラマという面も持っているかもしれません。
昔からテレビで何度か見たことがあり、結末はわかっていても、いやだからこそ最後まで惹きつけられてしまう、ずっしりと記憶に残る作品となっています。
キャスト、スタッフ
イギリスにある亡命政府の命を受け落下傘で故国に降り立ったチェコ解放軍兵士ヤン・クビシュ(Jan Kubis)にティモシー・ボトムズ。
同僚で友人のヨゼフ・ガブチック(Jozef Gabcík)にアンソニー・アンドリュース。
もうひとりのカレル・チューダ(Karel Curda)にマーティン・ショー。後ほどとても重大な行為に出る人物です。
彼ら3人が第1陣。
続いてサポート役として5人が送り込まれますが、こちらはキャラクター的にはほとんど描き込まれません。
レジスタンスのリーダー、ヤナク(Janák)にジョス・アクランド。
レジスタンスのひとりアンナ(Anna)にニコラ・パジェット。
司令官ラインハルト・ハイドリッヒ(Reinhard Heydrich)にドイツ軍将校役をやらせたらこの人アントン・ディフリング。
教会の神父ペトレク(Father Petrek)にシリル・シャップス(Cyril Shaps)。
原作はアラン・バージェスのノンフィクション。早川書房から『暁の七人-ハイドリッヒの暗殺-』のタイトルで翻訳が出ています。
監督はルイス・ギルバート。
丹波哲郎さんが出ていた『第七の暁』もこの監督作ですが、タイトル的にややこしいです。
見るには
(※15/4/12項目独立)
これから見るとなると、日本ではDVD化されていないようですし、VHSはとうに廃盤。なので、テレビ放映に期待するしかないかもしれません。
この記事はVHSをもとに書いていますが、ぜひDVD化してほしい一本。
海外ではDVDが出ていますので、リージョンコードの問題がない方はそちらも選択肢に入りそうですね。
※15/4/12追記
たかマックィーンさんからコメント欄で情報寄せていただきました。
現在TSUTAYA復刻DVD(オンデマンドDVD)で入手できるようです。
情報ありがとうございました。
ロケ地
IMDbでは、
Prague, Czech Republic
『衝撃の告発!QBセブン』で「この時代の東欧ロケは難しい」と書いてしまいましたが、これはテーマが受け入れられたのでしょうか。
実際にプラハでロケされています。
ハイドリッヒの居宅
豪華な邸宅。
調査中。
チェコ亡命政府
ここの撮影はイギリスだと思いますが、調査中。
広場
バスがやってくるところ。
プラハのこちら。
二つの塔を持つ大きな教会は、Church of Our Lady before TýnW
結婚式の教会
ドイツ軍将校の結婚式が行われた教会。
市内を見て回っていたヤンたちがはじめてハイドリッヒを目にするところ。
Kostel svatého Mikuláše (Malá Strana) / The Church of St. NicholasW
内部の撮影もこちら。
その前に3人が降りてくる坂道は北西側のこちら。
駅
プラハ中央駅W。
占領軍司令部
「フラドキャニー城」と字幕が出て実際そう言っていますが、チェコ語でのつづりは“Hradčany”W。
プラハ城のことでしょうね。
襲撃現場
トラムが走る曲がり角。
字幕では「ホレソビス交叉点」と出ていますが、あまり手懸りにはならず。
地形が特徴的でしたので、マップから見つけることができました。
歩道橋
線路の上をまたぐ長い陸橋。
ヨゼフが追っ手を振り切るところ。
上記襲撃現場のすぐ東側。
教会
7人が立てこもった教会。
史実と同じ教会で撮影されています。
映画で終盤何度も写った地下室の窓(通風口)は、教会の南側、横断歩道の正面あたりに銃弾の跡も生々しくそのまま保存されています。
その上の銘板には、中央部分に7人の名前が刻まれているようです。
映画でこの場所が写る場面では、銘板や銃弾の跡は見受けられません。
チェコ語のWikipediaWによると銘板は1947年に設置されているとのことですから、銘板と銃弾の跡は撮影時には必ずあったはず。
そういう目で見てみると、映画の中の壁は現在画像で確認できる位置より少し手前にあるようですし、その上の銘板があるはずの部分が不自然に手前にふくらんでいるようにも見えます。
撮影の際には本物の壁や窓、銘板を養生の上擬装していたのかもしれません(このあたり未確認です)。
映画が史実と同じ場所で撮影されたことを、今回初めて知りました。
教会の地下部分は現在博物館となっているとのことで、是非一度は訪れてみたいと思いました。
リディツェ(参考)
ナチスが報復措置として地図から抹殺しようとしたリディツェ村Wは、戦後再建され、映画でも語られたようにその名が地図から消えることはありませんでした。
Lidice was not erased from the map.
決して面白おかしくウェブマップで探し当てるような場所ではありませんが、あえて村のマップを示して、このエントリーの締めくくりにしようと思います。
ロケ地マップ
※15/10/5追加
第2次世界大戦の映画
※16/1/31追加
チェコ(スロヴァキア)で撮影された映画のロケ地
資料
更新履歴
- 2016/01/31 「ロケ地マップ」に「チェコ(スロヴァキア)で撮影された映画のロケ地」追加
- 2015/10/05 「ロケ地マップ」追加
- 2015/04/12 「見るには」の項目を独立させ、TSUTAYA復刻DVDについての情報を追記
暁の七人は
TSUTAYA復刻DVDで観る
ことができます。
現地のロケ現場の模様、初めて知りました。
貴重なルポだと感銘を受けました。
ありがとうございました。
たかマックィーンさん、コメントありがとうございます。
オンデマンドのDVD-Rサービスなのですね。全然知りませんでした。
画質はわかりませんが、とにかくその気になれば見る手段があるというのが有り難いですね。
本日、暁の七人、オンデマンドDVDを入手しました。
このワーナーアーカイブスコレクションは、シネスコではなく、テレビサイズの焼き直しです。しかしながら、何年かぶりに観直してみて、戦争レジスタンスをモチーフにした映画の中では、フランケンハイマーの、
大列車作戦 と双璧でしょうし、これが史実であることに身の引き締まる思いがしました。
たかマックィーンさん、購入されたのですね。レポートありがとうございます。
日本語字幕は焼き付いているのですよね?
となりますと、このシリーズは素材がVHSでそれをDVD-Rに焼いているという、まるでVHSのコレクションをせっせとデジタル化している映画マニアと同じことをしていることになるのでしょうけど……
でもVHSすら難しくなっている作品がこうして復刻されて「居ながら」にして入手できるというのは、非常に有り難いですね。
お値段が少しはるのが難ですが、どうしてもまた見たい作品があったらチャレンジしてみようかと思っています。
そうですね、
おっしゃるとおり、VHS字幕版といったところです。いっそのこと、
テレビ吹き替え版でお願いしたいくらいです。
ちなみに、復刻版 クロスボー作戦 も、まったくトリミングテレビ字幕版そのものでした。
シネスコサイズはオープニングタイトルのみ。
LDの時点からまったく仕上げは変わっておりません、それでも手元欲しさに我慢してしまうのです
(笑)
大手がやっていることですから権利的にはちゃんとしていて、きっと権利者は(自分では何もしなくても)なにがしか収益があることと思いますので悪い話ではなく、その結果こういう企画が定着・進展していけば映画ファンにとっても嬉しい話ですよね。
『大列車作戦』あたりは難易度高いですが、そのうち記事を書いてみたいです。