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『暁の出撃』 The Dam Busters (1955)

暁の出撃 HDリマスター版 [DVD]

作品メモ

ひとつ前の『クロスボー作戦』同様、この(15年)8月にムービープラスで放送された懐かしい戦争映画。
ジュリー・アンドリュースのミュージカル映画(1970)ではなく、1955年製作のイギリス映画の方です。
監督はやはりマイケル・アンダーソンで、撮影アーウィン・ヒリヤー。

原題はダム・バスターズで、ドイツ側のダムを破壊せんとするイギリス軍の爆撃隊のお話となります。
暁に出撃すると攻撃するときには明るくなって丸見えになるような気もしますが、邦題はあくまで雰囲気。実際には夜中に決行されます。

史実としては、1943年5月17日に決行されたチャスタイズ作戦(Operation Chastise)W。Chastiseは懲罰、折檻など。
この作戦名は知らなくても、ドラム缶のような爆弾が水面をぴょんぴょん跳ねる映像はどこかでご覧になったことがあるかもしれません。

ちょっとネタばれになってしまうかもしれませんが、昨年AXNミステリーで放送された(現在NHK BSで放送中)の『刑事フォイル』にちらりと登場する回がありました。
またむか~し子供の頃に読んだマンガにも登場していたのも、ぼんやりとですが覚えています。タイトルは忘れてしまいましたが。
テレビでこの映画を見るより前に、このマンガで初めて知ったように思います。

ケネディ騎士団  6巻 ※16/8/10追記
思い出しました。望月三起也さんの『ケネディ騎士団』で、第6巻収録の「大要塞」。
今ならKindle Unlimitedで読むことができます。
(追記ここまで)

 

反跳爆弾(Bouncing bombs)W
低空飛行する爆撃機から、逆回転させて水面に放つと、水切りのように跳ねていき、ダムに到着。沈んでいって爆発する仕組み。

こういう画像だと、大きさがわかりますね。
映画の時点ではまだ機密事項であったようで、この形では登場していません。

出演は、兵器を企画・開発したバーンズ・ウォリス博士(Doctor B. N. Wallis)Wにマイケル・レッドグレーヴ。
この作戦のために編制された第617飛行中隊初代指揮官ガイ・ギブソン(Wing Commander Gyu Gibson)Wにリチャード・トッド。

いずれも実在の人物で、兵器を作る者と使う者がそれぞれプロフェッショナルとして最大限の力を発揮し、問題を一つ一つクリアして成功に導くという、いわばプロジェクトX+プロフェッショナルといった内容となっています。
他の登場人物もおそらく実在の人物しかでてこないほどの、実録映画。

ギブソンの飼い犬は今の基準では物議をかもしそうな名前ですが、これまたそのままの名前で登場しています。
ダム決壊の暗号もワンちゃんの名前から付けられているので、感動の場面もちょっと微妙なことになったりします。
この名前、アメリカ版では「トリガー」と吹き替えられているそうです(IMDbのgoofs )。
日本語字幕でも「トリガー」と訳されていましたが、音声ははっきり「○×ー」となっていました。

ワンちゃんは今でも基地の中で眠っています。

メインで使われたのは英空軍から提供された3機のアブロ ランカスターW
それら実機が水面スレスレの低空飛行を繰り広げる姿は非常に印象的であり、今日のCG技術をもってしてもなかなか描けない実物の迫力があります。

 
 
 
勇壮なテーマ曲、”The Dam Busters March”は、エリック・コーツ(Eric Coates)作曲。

 
 
 

音楽についてややネタばれにつき折りたたんでいます。クリックで開閉します。
でもこの映画が素晴らしいのは、極力劇伴を抑えているところです。
メインのダム攻略場面では一切音楽を入れず、とうとう成功した瞬間に初めてが~っと音楽がなだれ込んできて、待機していた博士たちとともに一気に喜びが爆裂するという表現です。
一方、この映画がお役に立ったとされる某スターウォーズの同様場面では、劇的な音楽がのべつまくなし流れて嫌が応にもクライマックスシーンを盛り上げます。これはこれで適切なやり方であり、2本の映画それぞれが、たたずまいに似合った表現方法をとっていたように思えます。

ロケ地

IMDbでは、

Derwent Reservoir, Peak District National Park, Derbyshire, England, UK
Ladybower Reservoir, Peak District National Park, Derbyshire, England, UK (aerial shots)
Howden Reservoir, Peak District National Park, Derbyshire, England, UK
National Physics Laboratory, Teddington, Middlesex, England, UK (indoor bomb testing)
The Fleet, Portland, Dorset, England, UK
Weymouth, Dorset, England, UK
RAF Scampton, Lincolnshire, England, UK (Exterior Airfield shots)
Associated British Elstree Studios, Shenley Road, Borehamwood, Hertfordshire, England, UK (studio)

IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

基地

IMDbのリストによればRAF ScamptonW

主に登場する建物はおそらくこちら。

ラストシーンもこの建物の前。
ガイ・ギブソンは最後西の方、格納庫に向って歩いて行きます。

「トリガー」が飛び出してしまったゲートはおそらくこちら。

訓練で使ったダム

Derwent ReservoirW, Peak District National Park, Derbyshire, England, UK

貯水池の南北に同じようなダムがあります。
この画像は南向きに撮られていますが、映画で訓練の目標として使われたのは、おそらく奥の南側の方。

南側のダムを逆方向から。

訓練機が通過した時のショットは、こういった感じ。

目標のダム(史実)

映画でも地図入りで説明されていますが、ルール工業地帯のメーネ、エーデル、ゾルベという3つのダムです。

メーネ・ダム

Möhne ReservoirW

エーデル・ダム

Edersee DamW

 
近くの城を目印にするという描写がありましたが、見つかりませんでした。

ゾルペ・ダム

Sorpe DamW

こちらは爆破に失敗しました。

屋内の実験場

National Physics Laboratory, Teddington, Middlesex, England, UK (indoor bomb testing)

その前にお偉方がやってくる道は、構内のおそらくこちら。

ロケ地マップ

 

資料

更新履歴

  • 2016/08/10 「作品メモ」追記
  • 2015/10/05 新規アップ

コメント

  1. ほりやん より:

    私もムービープラスの戦争映画特集で観ました。
    無名の頃のロバート・ショウが出ていましたね。主演のリチャード・トッドはこの映画では快男児を演じて好感が持てましたが、「舞台恐怖症」では怖い男を演じているので芸域の広い俳優さんですね。

    「エーデルダム」で、
    「近くの城を目印にするという描写がありましたが、見つかりませんでした。」と書かれていますが、地図で探すと、ヴァルデック城(Schloss Waldeck)だと思われます。SVが利用できないので自信ありませんが。

  2. 居ながらシネマ より:

    ほりやんさん、コメントありがとうございます。
    ロバート・ショウ気づいていませんでした。隣に座っていたんですね(汗)。

    https://www.imdb.com/title/tt0046889/mediaviewer/rm2738843904

    「近くの城」はたしかにご指摘の場所ですね。
    これなら目印に使えそう。情報ありがとうございました♪

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