『ダイヤモンド作戦』 A Man Could Get Killed (1966)

夜のストレンジャー♪

作品メモ

「元が映画音楽であることが知られていない曲と映画」シリーズ。
『ピアニスト』(曲はアンドレ・ギャニオン「想い出をかさねて」)、『ジョージー・ガール』(曲はシーカーズ「ジョージー・ガール」)と見てきてもう1本。
これはこの部門では横綱クラスかも。

まずは曲から。

       

フランク・シナトラの“Strangers in the Night”(夜のストレンジャー)Wです。
誰もが耳にしたことのあるこの名曲も元々は映画音楽。
『ダイヤモンド作戦』という1966年のアメリカ映画でテーマ曲的に使われていました。
今となってはタイトルを書いたところで何それ?的反応しか返ってこないでしょうね。
映画の中ではインストだけでシナトラの歌は登場しませんが、メロウな歌詞をつけて同年シナトラがヒットさせたのが「夜のストレンジャー」。
ゴールデン・グローブ賞ベスト・オリジナル・ソング賞、グラミー賞最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞やレコード・オブ・ザ・イヤーを受賞。

改めて聴いてみてやはりいい曲ですね。メロディも歌詞も言うことなし。
おぢさんがカラオケで「マイウェイ」を歌ったら嫌がられる危険性大ですけど、こちらの曲は案外セーフなのではと思ったりします(試すのは自己責任で♪)。

映画の中ではこのテーマ曲は何度か繰り返されます。
たとえばオープニングはこういった感じ。
1分27秒あたり、ちょうど作曲のベルト・ケンプフェルト(Bert Kaempfert)Wの名前がクレジットされる時にこのメロディが流れます。

 

この映画ずっと見たかったのですが、日米ともに手段がまったくありませんでした。
それが数ヶ月前にYouTubeに全編アップ。以来非常にありがたく何度か視聴しました。
このエントリーもその映像を参考にしています(動画はすでになくなっています)。

当サイトを書くにあたっては、いつも手持ちの商品や録画、それが無ければレンタルを利用するなどしてちゃんとしたソースを使うように心がけています。でも他にいっさい手立てがないので今回はどうしようもありません。
今はただDVDなりCS・BS放送なりで正規の映像をきちんと提供していただければと願うのみ。

内容は、リスボンを訪れたアメリカのビジネスマンが、紛失したダイヤを巡る各国スパイたちの争いにまきこまれるというコミカルなアクションもの。
謎めいた美女とスパイが入り乱れ、アクションと笑いとロマンスがブレンドされて展開するという娯楽に徹した映画です。詳しい物語はキネマ旬報DBあたりでどうぞ。 → こちら
巻き込まれ型スリラーといってもヒッチコックほど緻密で緊迫感あふれているわけでもなく、全体にゆるめでお気楽な内容。リアリティなど限りなくゼロですが、殺伐とした描写も一切無く、難しい理屈抜きに楽しむことができる幸福な1本です。
一日の疲れをいやすのにはこんな映画がいちばんですね♪

キャストは……
主演のアメリカ人ビジネスマン、ウィリアム・ベドーズ(William Beddoes)にジェームズ・ガーナー。こういうどこかとぼけていて憎めない役柄はとても似合っています。
手懸りを持っている美女オーロラ・セレステ・ダ・コスタ(Aurora Celeste da Costa)にメリナ・メルクーリ。1920年生まれですから単純計算で46歳。『トプカピ』(1964)のちょっと後で、その迫力と存在感に拍車がかかっています。この年公私にわたるパートナー、ジュールス・ダッシンとようやく結婚。
自称アントニオ、またの名をスティーブという怪しい伊達男にアンソニー・フランシオサ。不敵にもプロの密輸業者と名乗っていますが、どうやら失われたダイヤを見つけて報酬を得ようとしている様子。
スティーブとかつてわけありで、彼を偶然見かけたことにより騒ぎに巻き込まれてしまうブロンド美人エミーにサンドラ・ディー。この時単純計算でまだ24歳。迫力満点の国際的な女優に対してアメリカの可愛い系の若手人気女優を配した図式ですが、十代で結婚していてすでに1児の母。

それからIMDbの出演者リストを見るとジェニー・アガターの名前がありますが(クレジットなし)、出演場面は確認できませんでした。単純計算で、当時14歳でしょうか?
どこに出ていたかおわかりになった方、ぜひ教えてください。  

原作デビッド・エスディル・ウォーカー(David Esdaile Walker)の”Diamonds for Danger”。
脚本リチャード・ブリーンとT・E・B・クラーク(クラークはallcinemaやキネ旬DBでは記載されていませんが、映画のクレジットやIMDbには名前が出ています)。
監督ロナルド・ニームとクリフ・オーエン。
撮影ガボール・ポガニー。

音楽

もう少し音楽に関してメモ。

テーマ曲その1

「夜のストレンジャー」の関しては作曲は実は別人とする記述もあるようです(英語版Wikipediaでは懐疑的)。
日本人がこの曲を聴くと、70年代の某スーパーアイドルのデビュー曲を連想するかもしれません。
「夜のストレンジャー」がお役に立っているのかも?と思ってしまいますが、これはこれでオリジナルがあって(YouTube)、今ではちゃんと著作権者に併記されています。 → Music Forest  JASRAC J-WID (※13/8/18 リンク先修正)

まあ限られた音階から毎年幾多の曲が生み出されているわけでどこかしらお役に立ってしまうのはいたしかたないのかもしれません。

テーマ曲その2

劇中「夜のストレンジャー」とは別に繰り返し流れるメロディがありますが、使われている楽器はブズーキでしょうか?
メリナ・メルクーリに敬意を表してかもしれませんが、ポルトガルと関係あるかどうかは不明……
『日曜はダメよ』、『その男ゾルバ』。日本ではジュディ・オングの「魅せられて」。
音的には『第三の男』のチターと似てますけど、形はマンドリン系。オーロラの部屋に飾ってあるのがそれ。

レコードの曲

55分頃オーロラがレコードをかけてハミングする曲。調査中。
これもブズーキ。

警察での曲

ベドーズが夜の女性たちに囲まれているときに流れていたバイオリンの曲は、”The Last Rose of Summer” (「庭の千草」)。
なぜこの場面で使われたのかは不明。

ロケ地

IMDbでは

Amadora, Lisbon, Portugal
Cascais, Lisbon, Portugal
Estoril, Lisbon, Portugal
Lisbon, Portugal
Serra da Arrábida, Setúbal, Portugal
Sesimbra, Setúbal, Portugal
Setúbal, Portugal
Sintra, Lisbon, Portugal

と、設定通りポルトガルでの撮影となっています。
オールポルトガルロケ堂々敢行!といったところですね。

空港

おそらくリスボン空港。 アップで写る管制塔はこれかと。

空港ビルはその後だいぶ増築され周辺も変わっているようですので、クルマが爆発する場所を特定するのは難しそうですが、滑走路の位置関係から管制塔南側のこのあたりであることは推測できます。

イギリス大使館

白亜の大邸宅。画質がいまいちのため手懸り少なく、つきとめるのにかなり苦労しました。
Palácio Sotto Mayor(Sotto Mayor Palace) という建物のようです。

マップではこちら↓

正面車寄せは西向き。
スティーブとエミーが出てくるのは北側の門。
向かいのお店は建物ごともうありません。
Google Earthで昔の画像に遡ると、2004/8/4では見られますが、2005/4/13に見えなくなっています。

余談ですが、敷地の南側で大きくへこんでいるところがとても気になりました。
地下に埋まっているような構造なのですが、何とこれはホテル。

AC Hotel Lisboa
Largo Andaluz, 13B Complexo Sottomayor, Lisboa, 1050-121 Portugal

工事の時の画像がまたすごいです。建物の保全のために相当手間かけたことがわかりますね。

http://civil.fe.up.pt/pub/opcoes/geo/geo.htm

広場

オーロラの住まいの前にある(という設定の)広場。
小さい噴水があるのが特徴的。
オーロラが電話で思い切り住所を言っていますが、該当する場所は現在集合住宅がずらりと建ち並んでいるだけでした。
もしかすると本当にその住所だったのかもしれませんが、引き続き調査中。
おそらくIMDbのリストにある”Amadora, Lisbon, Portugal”がこのあたりでの撮影を意味しているのではないかと推測。

ホテル赤い豚

ロバさんとガチョウさんたちが絶妙な演技をみせる高台のホテル。
“PORCO VERMELHO HOTEL”(ホテル赤い豚)とはっきり書かれてありますが、これはお話に合わせた架空の名前。日本のアニメ「紅の豚」を連想しますが、あちらは”Porco Rosso”でイタリア語。

撮影場所ですが、IMDbのリストにあるCascaisのあたりが映画の景色に近いと感じたので、細かく画像をチェックしていき、やっと突き止めることができました。
個人宅ではなさそうなのでご紹介。

Casa da Guia
Av. N. Sra. do Cabo, 101. Quinta São José da Guia
2750-374 Cascais, Portugal
http://casadaguia.com/

当時はわかりませんが、今はお店やカフェになっているようです。
画像は例えば、

高台から東の方を見た映像は例えばこちら↓で、映画と一致します。

クルマは『おしゃれ泥棒』と同じアウトビアンキでしょうか。
  → IMCDb “Autobianchi Eden Roc”

Photo from Wikipedia (public domain).

カーチェイス

山道でのカーチェイス。

浜辺

IMDbのリストにあるこちら。

Sesimbra(セジンブラ), Setúbal, Portugal

漁師たちが船を上げるのは、浜辺の中央にある要塞Forte de Santiago de SesimbraWの西側。
マップではここ↓

浜辺から東を見るとこんな感じで、映画と同じです。

ダイヤモンド作戦 浜辺

警察

追われた二人が駆け込んだところ。

浜辺

スティーブとエミーが腰掛けているところ。

ドタバタアクションが繰り広げられるところ。
IMDbのリストのこちら。

Setúbal(セトゥバル), Portugal

ラストシーン

冒頭の空港前駐車場を、南向きに見ているものと思われます。
無理やり再現するとこんな感じ。

ロケ地マップ

※2014/08/09追加
リスボンが舞台の映画をまとめて。


より大きな地図で リスボンが舞台の映画 を表示

資料

更新履歴

  • 2014/08/09 「ロケ地マップ」追加

『ダイヤモンド作戦』 A Man Could Get Killed (1966)” への2件のコメント

  1. 拝啓 
    私はいま「レッキングクルーのいい仕事」という本を読んでいます。「夜のストレンジャー」のことをネットで検索していて、このサイトを見つけました。この本の227ページには、フランク・シナトラのプロデューサーであったジミー・ボーエンが「ダイアモンド作戦」のサントラで使われていたインストゥルメンタル曲に新しく歌詞を付けることを思き「夜のストレンジャー」という曲が生まれたということが書かれています。ご参考までお知らせ致します。

  2. 富田民人さん、コメントありがとうございます。
    映画で使われたメロディに歌詞を付けて「夜のストレンジャー」となったという流れで間違いなさそうですね。
    メロディそのものがその前からあったのかどうかまではわかりませんが、今から探るのは難しいかもしれません。

    それより気になったのが『レッキングクルーのいい仕事』で、この本凄く面白そうですね。ぜひ読んでみたいと思いました♩

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