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『花咲く港』 (1943)

木下惠介生誕100年「花咲く港」 [DVD]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『鴛鴦歌合戦』で戦前の日本映画を取上げましたが、huluで木下惠介監督作品の初期の作品がずらりとアップされていたので、いくつかチェックしてみることに。

『花咲く港』は1943年7月29日公開の監督第1作。
すでに戦争まっただ中ですが、設定としては日米開戦前。
九州のとある島へやってきた詐欺師二人組と地元の人たちを描いたコメディです。
今の目線で見返せば時局の薫りが濃厚に漂っていますが、その中にあっても名優たちの若き日の演技や洒落た演出は十分楽しめるのではないでしょうか。

キャストやスタッフ、物語など、資料的なことは各映画サイトにいろいろ書かれているでしょうから、そちらをご覧ください。

 
 
 

ロケ地

今回はほぼお手上げ状態でしたので、資料サイトも参考にしました。

まず木下惠介記念館のサイトの作品紹介で、「監督デビュー作。天草・浜松ロケ80日、セット撮影20日という大撮影。」

その天草市をWikipediaWで見ると、「映画『花咲く港』(1943年) – 木下恵介監督の処女作。上原謙・水戸光子・笠智衆ら主演。高浜地区の白鶴浜海水浴場等がロケ地となった。」

さらに同じくhuluで見られる木下監督の伝記映画『はじまりのみち』(2013)では、オープニングで砂浜を写し、「静岡県浜松市米津の浜」とテロップを表示。この映画の映像を流すとともに、ナレーション曰く、「浜松出身の木下はこの場所でもロケを行い、実家からこの浜へ通ったという」

このあたりを参考に、後は例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

砂浜

何度か登場する雄大な砂浜の場面は、日差しの方角といい規模といい、「実家から通った米津の浜」かと思われます。

どこからどこまでが「米津の浜」かわかりませんが、となりの中田島砂丘あたりも映像に含まれているかもしれません。

監督の実家は浜松市伝馬町。
木下惠介記念館は、浜松市中区のこちら↓

旧浜松銀行協会の建物とのことで、趣がありますね(浜松指定有形文化財)。

かもめ館

電報の宛先で設定上の住所がわかります。
「カゴシマケンヤマトグンシモシマムラ」で、漢字なら「鹿児島県大和郡下島村」でしょうか。
そういえば村役場も「下島村役場」と表札が出ています。
天草の下島で撮影したのでこういう地名にしたのかもしれませんね。
(実際には天草下島は熊本県ですが)

かもめ館の撮影場所は不明。
これは資料がないと難しそうです。

港への道

馬車で迎えに行く楽しい場面。

南国(回想)

途中からスクリーンプロセスで異国の様子が写し出されます。
ペナンという設定でしょうか。

港へ降りていく坂道

馬車が下っていくところを後ろから捉えたショット。
行く手に弓なりの美しい浜が見え、その向こうに山が迫っています。
右手奥の山肌には細かい横筋が見えますが、段々畑でしょうか?
日差しは右手奥から。

これがおそらく上記Wikipediaに書かれた「高浜地区の白鶴浜海水浴場」。

南側の山肌は昔の空撮で見てもやはり段々畑のようですが、現在は木々に覆われています。
この浜は他の場面でも撮影に使われているかもしれませんが、確認できませんでした。

0:12
船がやってきたところ。
防波堤が船着き場も兼ねていて、先端に灯台があります。

日差しや地形、あるいは設定などを考えれば、下島の北端に位置するこちらと思われます。

鬼池港

灯台は現在はありませんが、昔の空撮では確認できます。

群衆シーン

ラスト近く、悲報を受けて村人たちが浜を駈ける場面。
『陸軍』のラストを連想させます。
撮影場所はやはり浜松市の浜辺でしょうか。

松竹大船撮影所(参考)

『鴛鴦歌合戦』でチェックした大映京都撮影所同様、今では姿を消しています。
西側が最初に縮小され商業施設となり、東半分も2000年に閉鎖後、大学のキャンパスとなっています。

松竹大船撮影所W

ロケ地マップ

※16/1/14追加

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2016/01/14 「ロケ地マップ」追加
  • 2016/01/11 新規アップ

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