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『ハンニバル』 Hannibal (2001)

ハンニバル [DVD]

作品メモ

ジュリアン・ムーア、『エボリューション』『シッピング・ニュース』と並ぶ2001年公開作。
こう並べてみても、出演作を選ぶ基準がよくわかりません。
Wikipediaによると、2000年5月8日にフィレンツェでクランクイン、以後16週間、撮影日83日間とのことで、この中ではもしかすると『ハンニバル』が最初に撮影されているかもしれません。

タイトルの「ハンニバル」はレクター博士のファーストネーム。
『羊たちの沈黙』に続くレクター博士もので、今度の監督はリドリー・スコット。
お話は単体でもわかるかもしれませんが、やはり前作をおさらいしておいた方がより楽しめると思います。

出演は……
FBI特別捜査官クラリス・スターリングにジュリアン・ムーア。
フィレンツェに潜むフェル博士ことハンニバル・レクター博士に、前作と同じくアンソニー・ホプキンス。
レクターに対する復讐心だけで生きてるような大富豪メイスン・ヴァージャーにゲイリー・オールドマン。
よせばいいのに報奨金目当てにレクター博士を追うフィレンツェ警察リナルド・パッツィ刑事にジャンカルロ・ジャンニーニ。
その美しき若妻アレグラ・パッツィにフランチェスカ・ネリ。
クラリスを窮地に追いやる司法省のクレンドラーにレイ・リオッタ。
看護士バーニーに前作と同じくフランキー・R・フェイソン。

その他、龍涎香を見事嗅ぎ当てる調香師役に、マーク・マーゴリス(Mark Margolis)。
最近ハマっている連続ドラマ『Person of Interest』にマフィアのボス役で数回出演していたので「あーこれにも出てたんだ~」と逆発見。

製作ディノ・デ・ラウレンティスとマーサ・デ・ラウレンティスの夫婦共稼ぎ映画。
監督リドリー・スコット、撮影ジョン・マシソン。
VFXは『グラディエーター』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞しているMill Film。例の場面もここ担当でしょうか?
音楽ハンス・ジマーですが、博士のテーマ曲?は前作同様グレン・グールドによるバッハの「ゴールドベルク変奏曲」。

ネタばれ的メモ

ここをクリックすると開きます。
ラスト(ちょっと前)の晩餐の場面は先に原作を読んでいたので心の準備ができましたが、そうでないとけっこうキツかったかもしれません。
やってることは『死霊のしたたり』と大差ないんですけどね~
この役がレイ・リオッタにキャスティングされたのは、ふだんからどこかロボット的な目や表情を持っていてこの場面のVFXになじみやすいため? とか思ったりしました。
でも表情が硬いというのともまた違うんですよね。
いちど『ER』に患者役としてゲスト出演したことがありましたが、いつもならいろんな患者が登場するのにその回はほとんど単独出演。
寝ているだけの役で1話もたせてしまった凄い演技で、エミー賞受賞。お見事でした。

レクター博士出演作

ハンニバル〈上〉 (新潮文庫) 今回初めて気づきましたが、トマス・ハリスの小説は『ブラック・サンデー』、『レッド・ドラゴン』、『羊たちの沈黙』、『ハンニバル』、『ハンニバル・ライジング』ってこれだけみたいです。
『ブラック・サンデー』以外はみんなレクターものということで、もう博士の方に足向けて寝られないでしょうね。

このうち『レッド・ドラゴン』は2度映画化。
『ハンニバル・ライジング』に至っては最初から映画化ありきの企画でしょうから、レクター博士は映画とは切っても切れない縁。
自分でも時々混乱するので、以下出演作?をまとめてみました。
製作のLはラウレンティスの意。

タイトル 公開年 製作 監督 レクター g グレアム
c クロフォード
k クレンダー
s スターリング
Hannibal (未・TVシリーズ) 2011 マッズ・ミケルセン g ヒュー・ダンシー
c ローレンス・フィッシュバーン
ハンニバル・ライジング 2007 LL ピーター・ウェーバー ギャスパー・ウリエル コン・リー
レッド・ドラゴン 2002 LL ブレット・ラトナー アンソニー・ホプキンス g エドワード・ノートン
c ハーヴェイ・カイテル
レイフ・ファインズ
ハンニバル 2001 LL リドリー・スコット アンソニー・ホプキンス k レイ・リオッタ
s ジュリアン・ムーア
ゲイリー・オールドマン
レイ・リオッタ
羊たちの沈黙 1991 ジョナサン・デミ アンソニー・ホプキンス c スコット・グレン
k Ron Vawter
s ジョディ・フォスター
テッド・レヴィン
刑事グラハム/凍りついた欲望
レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙(ビデオ)
1986 マイケル・マン ブライアン・コックス g ウィリアム・L・ピーターセン
c デニス・ファリーナ 
トム・ヌーナン

ロケ地

IMDbでは、

Asheville, North Carolina, USA
Biltmore Estate – 1 Approach Road, Asheville, North Carolina, USA
Florence, Tuscany, Italy
Montpelier, Virginia, USA
North Carolina, USA
Richmond, Virginia, USA
Sardinia, Italy
Union Station – 50 Massachusetts Avenue NE, Washington, District of Columbia, USA
Washington, District of Columbia, USA

The Worldwide Guide to Movie Locationsにも記載があるようですが、今回はせっかくの?フィレンツェご当地映画。バーチャル旅行を兼ねて、ウェブマップを頼りにうろうろしながら自力でチェックしてみました。
答え合わせはしていませんので、例によって間違えていたらごめんなさい(間違いにお気づきの場合お知らせいただけるととても有り難いです)。

魚市場

冒頭、高架の下の魚市場で展開する合同作戦。
IMDbのリストにある地名と高速道路の入り組み方を照合して、突き止めました。

Richmond, Virginia, USA

FBI

議事堂を捉えてから、左にパンしてエドガー・フーバー・ビルを写すというおなじみのアングル。
日本で言えば桜田門の警視庁的なポピュラー物件でしょうか。

いわゆるクワンティコはここから45kmほど南。

メイソン・ヴァージャー邸

Biltmore Estate(ビルトモア・エステート)

Biltmore Estate

ここがリアルでも個人宅だったというのがびっくり。

Photo from Wikipedia (public domain).

フィレンツェ

つかみはおなじみドォーモの遠景。
カメラ位置はおそらく定番ミケランジェロ広場あたり。

フィレンツェは、当サイトでとりあげた作品では『眺めのいい部屋』『愛のメモリー』でも登場しています。
『ハンニバル』の撮影は大がかりだったと思いますが、観光客でごった返しているはずの有名どころも次々登場。
さぞや苦労も多かったことでしょう。

広場

最初にパッツィ刑事がぽつんと立っていた広場は、シニョーリア広場(Piazza della Signoria)W

刑事が歩いていくのは、広場の南東の角、『眺めのいい部屋』でルーシーが居たあたり。
以前『眺めのいい部屋』でmilouさんに提供していただいた画像を再掲。

会議

設定はよくわかりませんが、フェル博士を交え、司書正式採用を巡って人々が議論しているところ。
撮影場所は上記シニョリーア広場に面したこちら。

ヴェッキオ宮殿(Palazzo Vecchio)W

Palazzo Vecchio courtyard 中庭。

Palazzo Vecchio - Salone dei Cinquecento

Salone dei Cinquecento(五百人広間)W

※2013/3/24追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。 設定上はPalazzo Capponi で、フェル博士は併設のBiblioteca Capponi 内に住んでいるということですね。

ポスト

レクター博士がクラリス宛の手紙を投函するところ。
ウフィツィ美術館の南側。 当サイトで言えば『愛のメモリー』で登場しています。

『愛のメモリー』でmilouさんから提供していただいた画像を再掲。
まさにこんな感じですね。ポストはありませんが。

アーチの前の横断歩道

警察の場面の直前で、パッツィ刑事が渡る横断歩道。
上記シニョーリア広場の数ブロック北東、Piazza della RepublicaWの西側のアーチの外。

Piazza della Republica 広場から見たアーチ。

※2013/3/24追記

milouさんから画像提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
こちらも広場から見たアーチ。
撮影は2010年とのことです。

香水店

監視カメラの映像。
後ほどクラリスのところに送られてきたVHSに、

ANTICA PROFUMERIA
S. MARIA NOVELLA
VIA DELLA SCALA

とあります。
床の模様から見てもおそらくこちら。

サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局(Officina Profumo-farmaceutica di Santa Maria Novella)W
Via della Scala, 16 50123 Firenze
http://www.smnovella.it/

彫像と通路

パッツィ刑事が警察で監視カメラの映像に見入った直後のカット。
上述シニョーリア広場の南側からウフィツィ美術館を見たアングルで、ポストの場面や『愛のメモリー』の時とはカメラの向きが真逆。

彫像はシニョーリア広場のもので、ちょうど上記milouさんご提供の画像に映っている2体。
milouさん、この画像とても役にたってますよん♪

尾行

尾行開始

パッツィ刑事がレクター博士をマークしはじめたところ。
上記Piazza della Republicaのアーチ手前の横断歩道から2ブロック西。
寄りかかっていた建物は、Palazzo StrozziW

Palazzo Strozzi

レクターが入っていく建物

博士が入っていくのは、西側(刑事の左手)のY字路中央の建物の左側。

次の場面のカフェがそこにあるという設定なのかもしれませんが、リアルな場所としてはそこはジャンフランコ・フェレ。

カフェ

レクター博士が注意深くワインを飲み干すところ。
博士が立った後パッツィ刑事のショットで背景にシニョーリア広場のネプチューンの噴水が見えます。
アングルから逆算して、カフェは広場の西側にあるこちら。

Rivoire
http://www.rivoire.it/

公衆電話

パッツィ刑事がタレコミ電話を掛けたところ。 おそらく前述Piazza della Republicaのアーチの真下で、カメラが南向きではないかと思うのですが、確証はありません。

※2013/3/24追記
この場所について、コメント欄でmilouさんが詳しく考察してくださっています。
ぜひご覧ください♪

回廊の部屋

タレコミ電話の直後、刑事がやってきたところ。
広場を囲む回廊にある部屋で、フェル(レクター)博士がそこにいるという設定。

Piazza della Santissima AnnunziataW の東側、建物としては、Ospedale degli InnocentiW

Piazza della Santissima Annunziata

右の画像は、背後に見えた噴水。

この広場も『眺めのいい部屋』で登場していました。
撮影ポイントは限られているでしょうから、どうしたってかぶってしまいますね。

※2013/3/24追記
コメント欄でmilouさんがチェックしてくださっていますが、ここが設定上はフェル博士の住んでいるBiblioteca Capponi ということのようです。
建物についても情報寄せていただいていますので、ぜひご覧ください。

博士の部屋(内部)

調査中。

パッツィ刑事が橋桁にもたれて考え込むところ。
ヴェッキオ橋の真ん中。

待ち伏せ

刑事がスリと待ち伏せるところ。
上記電話を掛けた時に背景に写っていた南側回廊入口付近。
カメラは北向き。

背景の回廊左側に『グラディエーター』のポスターが出ているのはご愛敬。

子豚の噴水

Fontana del PorcellinoW

Fontana del Porcellino 観光客に触られまくりのこのブーちゃん、実はイノシシだとか。
けっこうリアルな造形ですが、横座りなのが可愛いです。

オペラ

場所は調査中。
ここで流れた音楽は映画のオリジナル。
クレジットを見ると、作曲はハンス・ジマーではなくパトリック・キャシディ(Patrick Cassidy)という人。

“VIDE COR MEUM”
WRITTEN BY PATRICK CASSIDY
LIBRETTO TAKEN FROM DANTE’S “LA VITA NUOVA”
PRODUCED BY PATRICK CASSIDY AND HANS ZIMMER
PERFORMED BY DANIELLE DE NIESE AND BRUNO LAZZARETTI

この曲はその後同じリドリー・スコット監督の『キングダム・オブ・ヘブン』でも使われていました(ちょっとネタばれになるかもしれませんが、中盤、王様が亡くなった場面)。
よっぽど気に入ったんでしょうかね??
そういえばあの映画の王様役のエドワード・ノートン、この映画のゲイリー・オールドマンと同じで、誰だかわかりません……

※2013/01/22追記

“PERFORMED BY”には記されていませんが、コーラスはリベラ。
YouTubeではこんな感じ。

 
 
『ハンニバル』のサントラの最後に収録されていますので、お気に召したらぜひお買い求めを♪

川岸

パッツィ刑事が悪漢2人と接触するところ。
川岸に出てきた階段は、ヴェッキオ橋の北東側、ウフィツィ美術館の南側に相当するあたり。

Ponte Vecchio

歴史の再現

最初からフラグ立ちまくりだったパッツィ刑事がやっぱりそうなっちゃうところは、何度か登場したヴェッキオ宮。
メイキングを見ると、合成ではなく、実際にそこでスタントマンを落として撮影しているようです。

クラリスがレクターに接近するところ。
セリフでもあるように、ワシントンDCのユニオン・ステーション(Union Station)W

Union Station D.C.

Photo from Wikipedia (public domain).

 

ティラノザウルスの骨が展示されていますが、エンドクレジットによると、

“SUE” EXHIBIT COURTESY OF THE FIELD MUSEUM, CHICAGO, IL

確かに映画をよく見ると、”SUE”って展示されていますね。
めんどくさくなってきたので調べませんでしたが、SUEちゃん(君?)本人が出張してきたのか名前だけ貸したのか合成なのかは、わかりません。

マップ

フィレンツェを中心に(他の映画とあわせて)。


より大きな地図で フィレンツェが舞台の映画 を表示

資料

関連記事

ジュリアン・ムーア

更新履歴

折りたたんであります。クリックで開閉します。
  • 2013/11/30 milouさんの画像をPicasaウェブアルバムへ切り替え。

コメント

  1. milou より:

    “設定上の”会議の場所は会話の内容から見ても Palazzo Capponi でフェル博士も併設のBiblioteca Capponi 内に住んでいる(予定?)はずでタレコミ電話の後の訪問でも呼び鈴に上記2つがあり当然後者を押す。しかし映画での住居は記載のようにPiazza Santissima Annunziata の東南の建物です。ただOspedale degli Innocenti(病院)ではないと思われる。地図の種類によりOspedale とのみ表示したものもあるが例えばGoogle Map では 上(北側)からRipplemarks、Mudi Museo Degli Innocenti、Azienda Usl 10 Di Firenze と表示されOspedale は裏側に表示されている。画面では広場を斜めに横切り一番上のRipplemarks に向かってるようだが呼び鈴を押す入り口は噴水のちょうど前ぐらいなので真ん中のMuseo だろう。SVを見てもスクールバスで小学生の団体が訪れている。そして病院のHPを見ると、なぜか病院ではなく研究所(Istituto degli Innocenti)になっている。では病院はと言うと一番下のAzienda Usl 10 のAzienda Sanitaria の中にOspedali が入っている。
    ちなみにPalazzo Capponi も実在しロケ地として挙げたものもあるが部屋の内部は分からないが外観はまるで違う。

    タレコミ電話の位置は確かにアーチの下の北西角(現薬局)、Pergola(?)と読める看板を外して設置したもので左や下の壁面の感じも同一に思えるし薬局正面の茶色い窓枠や電話機の対角線の店上部の横長の白い部分も一致する。また車止めのチェーンの付いた杭も確認できる。
    ただし言うまでもなく公衆電話は映画用に設置したもの。2台の電話機の裏から顔をとらえるショットがあるからで壁際に設置してあれば撮れない。少し斜めなので店内から無理にガラス越しに撮れなくはないが…
    またアーチの4本の柱にはMartini の大きな看板が掛けられているが映画では権利関係からかMartini の文字だけを消して日の丸のように(?)見える。

  2. inagara より:

    milouさん、毎度チェックありがとうございます。
    電話の場面など、実際の場所と映画を比べてみると、撮影の際にあれこれ工夫したのがわかって面白いですよね。

    Ospedale degli Innocentiですが、Wikipediaや他のサイトを見ると、昔は子供の養護施設のようなところだったのは確かなようですが、現在の使い道はなんだかよくわかりませんよね。
    Wikipediaだと全部が美術館となっているように読めますが、こちら↓を見ると美術館となっているのは一部分だけのようですし。
    http://www.museumsinflorence.com/musei/ospedale_degli_innocenti.html

    少なくとも映画に登場したような部屋はなさそうですね。

    Palazzo Capponi もチェックしてみましたが、プライベートな物件のようで、内部の画像があまりないですね。映画に登場したいかにもそれっぽい家具など、ホンモノなのかどうなのか、興味あります。

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