『炎の人ゴッホ』 Lust for Life (1956)

炎の人ゴッホ [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]

そうだよ シスター
死は明るい昼間に起きる

作品メモ

ひとつ前のエントリー『モンパルナスの灯』は、不遇だったモディリアーニの最後の日々を描いた伝記ものですが、もし「今なら一枚100億円以上、でも生前は全然売れなかった画家選手権大会」というのがあったら、おそらくモディリアーニを押しのけて堂々優勝するのがフィンセント・ファン・ゴッホWでしょうか。

「炎の人」とはよく言ったもので(原題は”Lust of Life”)、連日の猛暑よりもアツかったひとりの画家の半生を、誠実に映画化。
大熱演のカーク・ダグラスは、ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門) 受賞。米アカデミー賞でも候補となっています。
キャスト的には、どうしてもゴーガン役のアンソニー・クインが目立ちますが、弟として、画商として、フィンセントを支えたテオもまた印象に残ります。演じたのはジェームズ・ドナルド。

監督ヴィンセント・ミネリ、脚本ノーマン・コーウィン、撮影フレディ・ヤング、ラッセル・ハーラン、音楽ミクロス・ローザ。

 
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Arles, Bouches-du-Rhône, France
Grand Hornu, Boussu, Wallonia, Belgium (coal mine)
Wasmes, Colfontaine, Wallonia, Belgium (spoil tip)
Auvers-sur-Oise, Val-d’Oise, France ‘s-Gravenhage, Zuid-Holland, Netherlands
Borinage, Belgium
Nuenen, Noord-Brabant, Netherlands
Bouches-du-Rhône, France

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

さすがゴッホ、各地にゆかりのある「ゴッホ物件」があります。
せっかくなので、場所やキャラに合わせてご本人による作品もアップさせていただきました。

フィンセント・ファン・ゴッホの作品一覧W

炭鉱町

0:05

セリフで、「このあたりはボリナージュという炭鉱地帯だ」

BorinageW, Belgium

左へのパンでとらえられるズリ山(ボタ山)の景色は、

WasmesW, Colfontaine, Wallonia, Belgium (spoil tip)

マップではこのあたり↓で、確かに空撮やSVでズリ山の跡とおぼしき山も確認できます。
山の配置などから粘れば、カメラ位置も判明できるかもしれませんね。

炭鉱の描写は↓

Grand Hornu, Boussu, Wallonia, Belgium (coal mine)

ゴッホが住んでいた家(参考)

Wikipediaによれば、

同年(1878年)12月、彼はベルギーの炭鉱地帯、ボリナージュ地方(モンス近郊)に赴き、プティ=ヴァムの村で、パン屋ジャン=バティスト・ドゥニの家に下宿しながら伝道活動を始めた。

その家↓

「プティ=ヴァム」は、ズリ山の撮影に使われたと思われるWasmesWの南側。
この後映画で描かれたような藁を寝床とする小屋に移ったようです。その場所は不明。

職を解かれたあとは、Wikipediaによれば……

伝道師としての道を絶たれたファン・ゴッホは、同年(1879年)8月、同じくボリナージュ地方のクウェム(モンス南西の郊外)の伝道師フランクと坑夫シャルル・ドゥクリュクの家に移り住んだ。

その場所↓

Rue du Pavillon,3
7033 Cuesmes
http://www.maisonvangogh.mons.be/

牧師館

0:20頃ゴッホが帰ってくる実家。
設定では地名は述べられていないようですが、撮影場所はオランダのニューネン (Nuenen)の牧師館で、実際に一家が住んでいたところ。
その後従姉妹ケイとのエピソードや洗濯女クリスティンとの生活が描かれますが、史実ではニューネン時代の前にあたるようです。

映画で登場したのは表通りとは反対側の庭のある側。

By Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-3.0)

右手がアトリエとして使っていた建物。

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)

ゴッホの絵筆。

http://www.vangoghroute.nl/nederland/nuenen/pastorie/

こちら↓は表通り側。

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)
By Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-3.0)

こちらは映画の撮影年代に近い1958年5月撮影のようですが、これですと表通り側は撮影には使えないかなという感じですね。

運河と小橋

0:45
ハーグ時代のエピソードですが、設定も撮影場所も不明。
ロケなのかスタジオなのかも不明。

村の教会

0:45
妹や村人たちがフィンセントをジト目で見たところ。
前述ニューネンの牧師館のすぐ近く。父親の勤務先でしょうか?

Nuenen, Noord-Brabant, Netherlands

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)

Congregation Leaving the Reformed Church in NuenenW

パリ

アパルトマン

0:49
テオと住んでいたアパルトマンはさすがにセットでしょうか。

参考までに、リアルではこちら↓

外側はごくふつうのアパルトマンでしかありませんが、戸口の脇に小さなプラークがあり、ゴッホ兄弟のことが記されています。

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)

テオドルス・ファン・ゴッホW

映画を通して、兄を案ずる弟テオのふるまいが泣かせます。
現在兄弟が並んで眠っているとのことで、なにかほっとするものを感じます。

ピサロ

カミーユ・ピサロ (Camille Pissarro)W

公園のような場所はどこでしょう??

アルル

↓ gettyimagesに、なぜかスチールがいろいろありました。

https://www.gettyimages.co.jp/%E5%86%99%E7%9C%9F/gogh-arles?sort=mostpopular&mediatype=photography&phrase=gogh%20arles

「黄色い家」の写真もありますが、白黒なので黄色かったのかどうかわかりません。

郵便配達人

郵便配達人ジョゼフ・ルーランW

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)
黄色い家

アルルで住んでいたアパルトマン。
現物は第二次大戦で爆撃にあい、撤去されています。
映画に登場したのはあまりにもそっくりなので、再現したセットでしょうか?
周囲の町並みは現地のような気もしますが、特定できていません。

黄色い家があったのはこちら↓ 背後の建物は今でも健在です。

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)

在りし日の姿と、爆撃後の姿(10数枚目とその2枚下) ↓
https://walk-and-bike-in-france.com/2016/06/21/france-provence-arles-the-roman-the-way-and-vincent-van-gogh-50-photos/

爆弾は近くの橋を狙ったもので、巻き添えのようです。

仕事に向かう画家

1:05

背景に見える建物は↓

モンマジュール修道院 (Abbaye de Montmajour)W

By Guiguilacagouille
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-3.0)

その南西側が見えていますので、フィンセントが大股で歩いていたのは、この道のこのあたり↓

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)
跳ね橋

1:06

アルルの跳ね橋W
Langlois Bridge (ponts de Langlois)W

from Wikimedia commons
(public domain)

1902年撮影。

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)
By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)

これは映画で跳ね橋の2番目のショットに近いアングル。
でも映画のこのショットでフィンセントが描いていたのは上の絵……という小姑ツッコミ。

この自然は私を駆りたて
私の頭を空っぽにする

この跳ね橋はこのあたりにあったようですが……

Wikipediaやこちらの記事に拠れば、1930年に鉄筋コンクリートの橋に架け替えられたものの、その橋も1944年にドイツ軍によって破壊。
この時運河に架かる橋は、Fos-sur-Merにあった橋を除いてすべて破壊されてしまったとのこと(Fos-sur-Merはアルルの南東30数km。地中海に面した地)。
残った橋は元のラングロワ橋と同じデザインだったそうで、これが架け替えで1959年に解体された際、観光局が取得。ラングロワ橋の場所に移転しようとするも、構造上および景観上の問題で、結局は運河を2kmほど下流へ行った場所へ移転。復元が完了したのは1997年とのこと。

By Paul Hermans
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-4.0)

つまり復元された橋は、場所も橋の本体もゴッホが描いたものとは別ものということになります。
それは致し方ないとして、現在の場所は地形的な制約でしょうか、橋桁の高さなどゴッホの原画とは少し違った雰囲気になってしまっています。
「ゴッホ物件」の中で最重要のひとつと思えるこの跳ね橋、どうせ復元するならもう少し頑張って欲しかったかも??

その点映画の跳ね橋はとても原画に似通ったたたずまいを持っています。
セットなのかな~と思いますが、もし撮影場所がアルルかその近郊だったのなら、そのまま保存して観光資源にすれば良かったのにとか思ってしまいました 😉

夜のカフェ

1:20

夜のカフェテラスW

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)
教会

1:25

ゴーガンと一緒にスケッチしていたところ。

アルルの墓地アリスカン(Alyscamps)Wにあるサン=トノラ教会(Église Saint-Honorat)跡

By Sébastien HOSY
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-3.0)

病院

1:40

サン=レミのサン=ポール=ド=モーゾール修道院
Monastère Saint-Paul-de-MausoleW

ゴッホの部屋↓

オーヴェル

最晩年の地。

オーヴェル=シュル=オワーズ (Auvers-sur-Oise) W

医師ガジェ
By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)

ポール・ガシェ(Paul Gachet)W

演じたのはエヴェレット・スローン(Everett Sloane)

教会

1:52

Auvers-sur-Oise(オーヴェル=シュル=オワーズ)W, Val-d’Oise, France ‘s-Gravenhage, Zuid-Holland,

ガシェ医師について伝えながら降りてくる階段は、すぐ次に絵画で登場するオーヴェルの教会の南西側。

オーヴェルの教会W

By Vincent van Gogh
via Wikimedia commons
(public domain)
建物

1:55

オーヴェルの市庁舎。

By Achim Ebenau
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-4.0)

ラヴー旅館

映画で描かれた様に、上掲庁舎のすぐ向かい。

ラヴー旅館W

Wikipediaの座標は、少しずれていますね。

お墓(参考)

オーヴェルの墓地で、兄弟並んで眠っているとのことです。

ロケ地マップ

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2018/08/29 新規アップ

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