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『ククーシュカ ラップランドの妖精』 Кукушка (2002)

Cuckoo [VHS] [Import]

作品メモ

ふたつ前のエントリー『コミッサール』は内戦が繰り広げられていた十月革命時のウクライナが舞台でしたが、こちらは第二次大戦中、継続戦争が展開していたラップランド地方が舞台のロシア映画です。

主な登場人物はわずか3人で、敵対するフィンランド人とロシア人の兵士が、不思議な成り行きからサーミ人の女性の家で共同生活を送るようになるというお話。

懲罰で鎖につながれて置き去りにされてしまったフィンランド軍兵士ヴェイッコに、ヴィッレ・ハーパサロ(Ville Haapasalo)。

夫が徴兵されて以来海辺の住まいにひとりで住むサーミ人のアンニに、リアルでもサーミ人のアンニ=クリスティーナ・ユーソ(Ánne Risten Juuso)。
IMDbのtriviaによると、彼女のセリフだけを抜粋したスウェーデン語の脚本が渡され、彼女がサーミ語に訳したとのこと。

重傷を負ってアンニの手当を受けていたソ連軍大尉イヴァンに、ヴィクトル・ブィチコフ(Виктор Бычков)。
名を訊かれたときに「クソくらえ(パショルティ Пошёл ты)」と答えてしまったため、以後2人から「ショルティ(字幕ではクソクラ)」と呼ばれるようになってしまいます。

3人は言葉がまったく通じません。
観客は字幕ですべて理解できますが、登場人物にとってはチンプンカンプンでトンチンカンな会話が行き交うことになります。
そんな状況で敵同士の2人がヒロインを媒介としていかに心を通わせるようになるか、それは見てのお楽しみ。

もしかするとフィンランド人が見たら微妙な内容であるかもしれませんが、フィンランドがドイツとともにソ連と戦っていたことすら理解がおぼつかないような地球の裏側の住人にとっては、ムズかしく考えずに1本の映画として見て、何かを感じれば良いのかも、と思ったりしました。

ロシア語原題«Кукушка»(ククーシュカ)はカッコーのこと。

このように↑特にフィンランドとソ連の戦い(冬戦争や継続戦争)で狙撃兵がこう呼ばれていたらしいのですが、もうひとつ……

ネタばれかもしれないので折りたたんでいます。クリックで開閉します。
終盤近く、アンニの本名が「カッコー」であることが語られます。

DVDのジャケットを貼り付けたいところなのですが、も~~んのすごいネタばれになっているので、略。[1]このエントリーのトップにアップしたのは、おそらくアメリカ版VHSのジャケット
この画像をビジュアルに選んだ配給会社のセンスが理解でません。
つーか、「ラップランドの妖精」というサブタイトルも解せません。
まさしく、*ショルティ!であります。

監督・脚本アレクサンドル・ロゴシュキン(Александр Рогожкин)、撮影アンドレイ・ジェガロフ(Андрей Жегалов)、音楽ドミトリー・パヴロフ(Дмитрий Павлов)。

第24回モスクワ国際映画祭で、最優秀監督賞、最優秀男優賞(ヴィッレ・ハーパサロ)、批評家連盟賞等受賞。

 
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Kandalaksha, Murmansk Oblast, Russia

あとは例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

アンニの住まい

水辺にあるヒロインの住まい。

カンダラクシャ(Кандалакша, Kandalaksha)W

具体的には、背景の地形などから、市街地から東へ数km離れたこのあたりの浜のように見えます。

パン

ラストの右から左へのパン。
こちら↓のPhotoSphereで再現できます。

カメラ位置はこのあたり↓でしょうか。

資料

更新履歴

  • 2016/06/01 新規アップ

References

References
1 このエントリーのトップにアップしたのは、おそらくアメリカ版VHSのジャケット

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