『草の上の月』 The Whole Wide World (1996)

草の上の月 [DVD]

宴も終わった
ランプの火も消える

作品メモ

ひとつ前のエントリー『草の上の昼食』から似たタイトルつながり。
内容はまったく別物のアメリカ映画で、1930年代のテキサス州を舞台に、大衆小説家と小説家志望の女性とのふれあいを描きます。

実話もので、大衆小説家とは「コナン」シリーズで知られるロバート・E・ハワードWのこと。

コナン・ザ・グレート [Blu-ray]

シュワちゃん主演の『コナン・ザ・グレート』(82)が最初の映画化作品で、これで知られるようになったかもしれませんが、オリジナルの小説は雑誌掲載当初から人気を博し、いわゆるヒロイック・ファンタジー、あるいは剣と魔法(ソーズ&ソーサリー)と呼ばれるジャンルの大いなるルーツとなっています。

日本では70年代にハヤカワSF文庫でまず登場し、すぐに創元推理文庫が続きました。
私同様それらの文庫本の解説ではじめて、原作者の独特なキャラクターとその人生について知った方も多いのではないでしょうか。

演じたのは、私の好みのヴィンセント・ドノフリオ。
ムズかしいキャラをさすが見事に演じていたように思いますが、もしやルックスが似ているからキャスティングされたのかも、という疑惑もあったりします(汗)。

from Wikimedia Commons
(public domain)

本編51分頃に登場する写真は、おそらくこの画像がモデル。

ドノフリオは最近肥大化が進みすぎて、先週末(1月28日)公開の『マグニフィセント・セブン』では、予告編見る限り他の6人合わせたより体積がありそうでした。
このところ『ジュラシック・ワールド』など大作系に出るようになりましたが、やはり『LAW & ORDER クリミナルインテント』のような、繊細な演技を披露できるキャラが似合っているかなあとも思います(そういえば、あれも役名がロバートでした)。

ヒロインの教師ノーヴェリン・プライス・エリスにレニー・ゼルウィガー。
彼女が教師生活引退後に書いた“One Who Walked Alone”(独りで歩いた者)Wが、この映画の原作となっています。

登場人物は少なく、演技派二人の絶妙な表現を味わう趣向となっていますが、DVDのジャケットではレニー・ゼルウィガーの名前だけフィーチャリング。
当時としては(今でも?)仕方ないところでしょうか。

他にキャストでは、最初の方、町会議員のスピーチの後の”SMITH’S DRUG STORE”の場面で登場するミセス・スミスは、ヴィンセント・ドノフリオの姉エリザベス・ドノフリオ。

また、エンドクレジットのSpecial Thanks toで、先頭に Olivia d’Abo の名前がありますが、『LAW & ORDER クリミナルインテント』でロバート・ゴーレン刑事の宿敵ニコール・ウォレスを演じた女優さんですね。
『クリミナルインテント』にニコールが登場したのは2002年なので、だいぶ後。
この映画の頃からドノフリオと何かつながりがあった……わけもなく、もしかすると映画化2本目の『キング・オブ・デストロイヤー』でお姫様を演じたからかもしれません(それが映画デビュー作♪)。

監督ダン・アイルランド、撮影クラウディオ・ローシャ、音楽ハンス・ジマー。

原題”The Whole Wide World”は最後の方のノーヴェリンのセリフから。
「世界中」ではワケわかりませんが、その前に”the greatest pulp writer in” (で最も偉大なパルプ作家)と言っています。
邦題はなんでしょね??

 
 
   

鉄の悪魔

0:23

The Devil in IronW

邦訳はいずれも「鋼鉄の悪魔」のタイトルで、ハヤカワ文庫版では『狂戦士コナン』、創元推理文庫旧版では第4巻『コナンと焔の短剣』、新版では第2巻『魔女誕生』に収録。

By Margaret Brundage
via Wikimedia Commons
(public doman)

掲載誌『ウィアード・テールズ』(1934年8月号)の表紙。
映画の中でノーヴェリンが手渡された雑誌がこれ。
まあ文学少女が読むようなものではありません。

余談ですが、舞台となる邪神が復活させた都は、「ダゴン」Wと名付けられています。 → 『DAGON』 Dagon (2001)

ロケ地

IMDbでは、

Paramount Theatre – 713 Congress, Austin, Texas, USA (exterior and interior)
Austin, Texas, USA
Bartlett, Texas, USA
Bastrop, Texas, USA

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

ブラウンウッド

映画は1933年春、テキサス州ブラウンウッド(Brownwood)から始まります。
実際の撮影地は不明。

ブラウンウッド(Brownwood)Wはノーヴェリン・プライスが住んでいたところで、ロバートは今その町の墓地に眠っています。
ロバートの住まいは、そこから50kmほど北の、クロス・プレインズ(Cross Plains)W

学校

1934年秋

日本語字幕では「クロス高校」ですが、英語テロップでは、”Cross Plains, Texas”で、学校の固有名詞は書かれていません。
とにかくロバートがいた町の学校という設定かと思いますが、撮影はIMDbのリストのこちら↓

Bartlett, Texas, USA

実際に学校だったところで、その歴史や修復について、こちら↓でいろいろレポートされています。

  • http://www.texasescapes.com/TexasHillCountryTowns/BartlettTexas/Bartlett-Grammer-HighSchool.htm
  • http://www.texasescapes.com/TexasHillCountryTowns/BartlettTexas/Bartlett-Grammer-HighSchool-Today.htm

0:36頃ロバートがトレーニングしていたのも、学校前のこの通り。

町の中は上記学校と同じBartlettで撮影されているように見えます。

0:07頃、イケメン町会議員のスピーチの後女子たちがお茶していた”SMITH’S DRUG STORE”は、現在ガンショップのこちら↓

1:20
ノーヴェリンが出てきた建物(郵便局という設定)はこちら↓

その後ソンブレロ男(笑)が出てきた店は、”SMITH’S DRUG STORE”。

ノーヴェリンはそのまま通りを東へ進んでいきますが、背景はこのあたり。

ストリートビューで見ると、失礼ながらこの町は現在ほぼゴーストタウンに近い状態ですね……

余談ですが、SVでウロウロしていて、こんな場面を見つけました(2013年7月限定)。

映画の撮影でしょうか?

教会

0:09
場所不明

映画館

0:31 1:05

Paramount TheatreW – 713 Congress, Austin, Texas, USA (exterior and interior)

これは雰囲気がある劇場ですね。

http://www.austintheatre.org/

By Daderot
via Wikimedia Commons
(CC0 public domain)
By Charles Kim
via flickr
(CC BY-2.0)

ノーヴェリンが見上げた装飾は、この位置。

草の上の昼食

0:51
1935年春

ハワード・ミュージアム(参考)

テキサス州クロス・プレインズ(Cross Plains)Wで両親と住んでいたロバートの家は、今はミュージアムとなっています。

Robert E. Howard MuseumW

Photo from Wikimedia Commons
(public domain)

家の前で、愛犬パッチと。

パッチはロバートが24歳の時に病死しますが、長くないとわかったとき、ロバートは家を留守にしてしまい、パッチが息を引き取るまで数日間帰ってこなかったとのことです。1)『新訂版コナン全集6 龍の刻』収録「I・M・ハワード博士からE・ホフマン・プライスへの手紙」から
もろいほどに繊細なロバートの一面を見るようですし、母親の死が避けられないと知った時に自ら死を選んだ彼の最期に重なるものも感じてしまいます。

資料

更新履歴

  • 2017/02/02 新規アップ

References   [ + ]

1. 『新訂版コナン全集6 龍の刻』収録「I・M・ハワード博士からE・ホフマン・プライスへの手紙」から

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*

日本語が含まれない投稿や、URLが多く含まれている投稿は、無効となる場合があります(スパム対策)