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『モラン神父』Léon Morin, prêtre (1961)

モラン神父 [DVD]

作品メモ

『サムライ』『いぬ』とジャン=ピエール・メルヴィル監督を続けてきましたので、流れでもう一本。
第二次大戦中のフレンチアルプスの街を舞台に、幼い娘を持つ女性がとある神父と知り合い、対話を重ねていく数年間を描きます。

タイトルとなっているレオン・モラン神父を演じるのがジャン=ポール・ベルモンドで、DVDのジャケットのようにいつも静かなたたずまい。
いったいいつ僧衣をかなぐり捨ててトレンチコートに身を包み、引き金に指をかけるか、期待して待っていてもそんな場面はありゃしません。
かといって美しき女性とどうこうなるかというと、そういう方向性もないドラマで、ほぼ2人の静かな、しかしディープな対話と、繊細な演技による心理描写で成り立っている作品となっています(あ、でもアクションシーンはありましたね 😉 )。
同監督のノワールものからさかのぼって見ると、意外で新鮮な初期作品となるのかもしれませんが、タッチといいますか雰囲気はしっかり共通するものがあるような。
個人的には近年DVDが出たとき初めて見ることができましたが、結構お気に入りの一本です。

ヒロインのバルニー(Barny)に、どうしても「『二十四時間の情事』の」と言ってしまいたくなるエマニュエル・リヴァ。彼女のモノローグで物語が進められていきます。
その娘フランス(France)役に、どうしても「『シベールの日曜日』の」と言ってしまいたくなるパトリシア・ゴッジ。
時間の経過がありますので、娘もみるみる成長しますが、IMDbのキャストによればパトリシア・ゴッジの実の姉妹(Marielle Gozzi)と演じ分けていたようです。
IMDbのキャストでは役名はありませんが Chantal Gozziの名前もありますね。三姉妹でしょうか??
そういえば撮影もアンリ・ドカエ。

原作ベアトリクス・ベック、製作カルロ・ポンティ、ジョルジュ・ドゥ・ボールガール、音楽マルシャル・ソラル。

 
 
 

ロケ地

IMDbには記載がありません。
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェック……と思ったら、まったく歯が立ちませんでした。

せめて舞台となる街ぐらいはと思ってフランス語版Wikipediaをひもといてみたところ、カテゴリーに

  • Film tourné à Montfort-l’Amaury
  • Film tourné à Grenoble

と大いなるヒント……といいますか答えが。

以下例によって間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

女性たちが荷車に乗ってやってくるのは、フランス語版Wikipediaに書かれたこちら。
フレンチアルプスではありませんね……

モンフォール=ラモーリー(Montfort L’Amaury)W

このあたり↓

0:08頃、バルニーがうつむいて歩いて行く脇をドイツ軍が進軍してくる坂道は、上記を200mほど北へ進んだこのあたり。

※15/7/18追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
映画の一番最初のショットがこの場所でした。

また32分頃、イタリア兵が前でケーキを食べているPatisserieは、このあたり。

洗礼をした教会

すぐ背後に山がせまっています。
調査中。

通りがかった教会

0:13
調査中

告解をした教会

0:13

神父がいた聖ベルナール教会として入口が写ったのは、モンフォール=ラモーリーの通りの向こうに見えていたこちらの教会。

Église_Saint-Pierre_de_Montfort-l’AmauryW

教会を出て

0:21
遠くに(おそらく)アルプスの山並みが見え、建物の上には教会の尖塔が頭をのぞかせています。
グルノーブルの周辺をマップでうろうろして、それらしいところを見つけました。
左側に並んだ建物や突き当りの建物が同じように見えるので、おそらくこちらと思われます(カメラ東向き)。

ヴォアロン VoironW

司祭館への道

※15/7/18項目追加
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
47分過ぎ、夏が来てモラン神父の家を訪ねる場面はモンフォール=ラモーリーの教会の東南側のこちら。

アメリカ兵と

※15/7/18項目追加
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
81分すぎバルニーがアメリカ兵と自宅に帰ってくる場面はこちら。

丘からの眺め

1:35
調査中

資料

更新履歴

  • 2015/07/18 「街」追記 「司祭館への道」「アメリカ兵と」項目追加
  • 2015/07/06 新規アップ

コメント

  1. milou より:

    この作品も、パリ Rue Jenner のスタジオで撮影したと映画のラスト“Fin”のあとにわざわざ表示している。だから室内などはスタジオ撮影なのだろうが出すほどの必然性も感じられず、まるで自スタジオの宣伝のように思ってしまう。

    さてMontfort-l’Amaury での撮影はほとんどが Rue de Paris のようですね。
    ☆最初の女性たちが荷車に乗ってやってくるのは、確かに36番地の現役場(Mairie)前ぐらいからスタートするが左手に Assurances (保険) と書かれた店があり数軒先に十字架が見える。Assurancesは38番地の現イタリアレストランTrattoria Pasta Folie’s で緑十字は現在も34番地にある薬局。そのまま進んで交差点に出るが突き当たりに見える白っぽい角店は現在空き家。

    ☆バルニーがうつむいて歩いて来るのはトップシーンでイタリア兵が行進するのと同じ場所で、この時バルニーは右側の73番地(?)あたりに立っているが面白いことにSVではここもAssurances という壁面の文字を剥がした痕が残っている。また歩いていく右手にナチスの旗が見えるが現在は Gendarmerie(憲兵隊)になっていて当時もそうだった可能性が高い。

    ☆32分頃、イタリア兵が前でケーキを食べているPatisserie は先に書いた空き家の3軒北側で現在は店舗ではなく個人宅のようだが、さらに先の三角屋根の建物は今も変わっていない。

    ☆47分過ぎ、夏が来てモラン神父の家を訪ねる場面は、恐らく教会の東南 Rue Péteau de Maulette がRue Saint-Pierre と交差するあたりで映画ではドア左の配水管は2本だが現在は3本(以上)あるが入口の階段やドアの形、配水管左下の四角い孔などは同じに思える。

    ☆81分すぎバルニーがアメリカ兵と自宅に帰ってくるのは Rue de la Treille でRue de Paris のほうから東に向かってくる。実際には多分南のサン=ピエール教会の方から来て右折だが、直前の山道(?)はグルノーブルだろうか。玄関(?)扉上部の窓の放射状の装飾は今も確認できる。

    ちなみにこの場面の台詞は英語なので元の映画にはフランス字幕があり、DVDではグレーの短冊(?)で消して日本語字幕入れているので字幕をオフにすると短冊だけが残る。またこの時のP・ゴッジの顔は『シベール…』にかなり近いようだ。

  2. 居ながらシネマ より:

    milouさん、コメントありがとうございます。
    街の撮影ポイントは、お見事でした。探そうとしましたが結局あきらめた場所ばかりです。

    字幕の短冊?は面白いですね。
    英語の台詞にフランス語の字幕がついているのはむしろ自然で、わざわざ消さなくてもと思ってしまいますが、重なるとたしかに邪魔でしょうし。
    DVDの仕様で、字幕の位置はずらせないのかもしれませんね。

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