『レッドブル』 Red Heat (1988)

レッドブル [DVD]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『レッズ』に続いてレッドな映画。
こちらは歴史に思いを馳せる必要のない娯楽アクション映画です。
公開は1988年ですから、ソ連邦崩壊まであと3年。

アーノルド・シュワルツェネッガー演じるモスクワ市警の大尉が、同僚を殺して逃亡した麻薬犯を追ってシカゴへ飛び、ジェームズ・ベルーシ演じる刑事とともに麻薬組織に立ち向かっていくというお話。

そんな設定からすぐに期待してしまうのが、アメリカ社会で浮きまくる無骨でムキムキのソ連人シュワちゃんと、陽気でフリーダムなアメリカ人のベルーシ刑事。対照的な2人がコントのようにやりあいながら派手なアクションを繰り広げて無事事件解決。最後は互いを認め合って空港で別れを惜しむ……といったお約束的展開ですが、実際出来上がったものもそのあたりを目指していた様子。
もう少しシナリオが練られていてドラマ的に盛り上げてくれたら良かったのに……というところもありますが、ラストのアクションシーンなどは結構見応えがあったように思います。

出演は他に、エド・オロス、ピーター・ボイル、ジーナ・ガーション、まだローレンスになる前のラリー・フィッシュバーンなど。
製作・監督・脚本ウォルター・ヒル。そういえば『48時間』とかなりかぶるかもしれませんね。
撮影マシュー・F・レオネッティ、音楽ジェームズ・ホーナー。

アメリカ映画にしては珍しくソ連邦崩壊前に実際にモスクワ市内で撮影が行われ、シュワちゃんが赤の広場に立つシーンも撮影されています。
すでにチェック済みの『ロシア・ハウス』(1990)もそうですが、こちらが先輩。
とはいえ「ソ連でロケした」といっても大半はブダペストなどを見たてているだけで、モスクワのシュワちゃんもほとんど隠し撮り。
作品年代的に『ホワイトナイツ/白夜』(1985)『ロシア・ハウス』(1990)の中間に位置する作品ですが、「ソ連ロケの濃度」もその中間と言えるかもしれません。

雰囲気出すためか、オープニングクレジットの文字がキリル文字風に表記されています。
たとえば監督名のWALTERはШЛLTЕЯといった調子。
もちろんキリル文字として見ると綴りとしては体をなさず、あくまで似た文字を使ったデザイン優先の表現となっています。
これでクレジットとして法律上成り立つのか気になったりしますが、エンドクレジットではちゃんと表記されているので大丈夫?

「ドクトル・ジバゴ」

ネタばれ的内容につき隠してあります。クリックで開閉します。

ロケ地

IMDbでは、

1579 N Milwaukee Avenue, Wicker Park, West Town, Chicago, Illinois, USA (studio) (Cat’s dance studio) 225 W Hubbard Street, Near North Side, Chicago, Illinois, USA (Garvin Hotel)
Budapest, Hungary
Chicago, Illinois, USA
Los Angeles, California, USA
Moscow, Russia
Red Square, Kitai-gorod, Tverskoy District, Moscow, Russia
Schladming, Steiermark, Austria (snow-fight)

エンドクレジットでは、

FILMED ON LOCATION IN
CHICAGO, BUDAPEST AND MOSCOW

と、シカゴ、ブダペスト、モスクワでロケされています。

モスクワ

タイトルバックで赤の広場などモスクワ市内の名所が映し出されます。
全部見ているとキリがないので、ひとつだけ。

最後に監督名がクレジットされるところで写るカール・マルクス像は劇場広場向かいのこちら。

モスクワでの捕り物

銃撃戦

ビクトルが屋根伝いに逃げる背後に、先端が丸い塔が2本並んでいるのが見えます。
これはモスクワではなくブダペストのこちら。

From Wikimedia Commons (public domain)

ドハーニ街シナゴーグW

『スパイ・ゲーム』でFUJIFILMの広告塔があったビルはここから1ブロック南。
ぐるぐる回るカメラにシナゴーグの2つの塔はしっかり捉えられています。

ビクトルが屋根の上を行くアクションシーンは、教会の北側のこのあたりでしょうか。

そのちょっと前、脚を撃たれた悪者が通りに出て行く扉はここ。

扉の上の飾りや向かいの扉のデザインが映画と一致しています。
おそらく銃撃戦などはこの内側で撮られたのでしょう。
解体寸前と思われますので、キャプチャーするなら今のうち?

階段の上(映画館の前)

悪者が階段途中に追い詰められるところ。
シュワちゃんの背後に、«КИНОТЕ●●»や«БАРРИКАДА»(「バリケード」)といった看板が出ている建物が見えます。
実際モスクワ市内に Кинотеатр «Баррикады»という映画館は確認できますが、外観も周囲の地形も全然一致しません。

おそらくこの場面もブダペストと思われますが、引き続き調査中。

指示を受けるところ

青緑の天蓋が見える広場。
設定はモスクワでしょうけど、撮影はやはりブダペスト。

Photo: Anika Knäpper, via Wikimedia Commons
License: artlibre

ブダ城W

ダンコの宿

シカゴ名物高架鉄道のすぐそば。
高架が大きくSの字に曲がっているのが特徴的で、おそらくこちらと思われます(カメラ東向き)。

手前の交差点の左(北)側は『マホガニー物語』で登場した高架の下。
また「ホテル」の前を東へ1ブロック進むと『ブルース・ブラザース』で登場した交差点(パトカーに追われながら左にカーブを切って高架の下に突っ込む場面)。
映画では写っている「ホテル」の左側の建物は現在のストリートビューでは見えませんが、Google Earthのタイムスライダーで調べると、2002年12月までは建っているのが確認できます。

ダンススタジオ

1579 N Milwaukee Avenue, Wicker Park, West Town, Chicago, Illinois, USA (studio) (Cat’s dance studio)

2人が張っていたのは交差点の西側。

エンドクレジット

再び赤の広場。今度はシュワちゃんが堂々と写っています。
本人がちゃんとモスクワを訪れていたことの証明映像。
ある意味この映画の真のクライマックスシーンではないでしょうか? 😉

IMDbのトリビアによると、許可が下りなかったためホームムービー撮りに見せかけた隠し撮りのようです。
カメラ北西向き。

資料


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*

日本語が含まれない投稿や、URLが多く含まれている投稿は、無効となる場合があります(スパム対策)