『リスボンに誘われて』Night Train to Lisbon (2013)

リスボンに誘われて [DVD]

Why don’t you just stay ?

作品メモ

このところAmazonプライムビデオで見放題のタイトルをとりあげていますが、今回はレンタルショップで言えば準新作的な作品。
旧作ではなくしかも単館系のこのあたりが無料……といいますか定額内で見られるのは素直に有り難いです。
これが別途お代をいただきますとなると、とたんにためらいが生じたりして。
思えば劇場で1本映画を見るより定額の月額は安くて何本も見られるはずなのに、それでもそれ以上支払うとなると極めて慎重になるという、消費者は非情かつケチなのでありました。

ベルンのギムナジウムで古典を教え、何年も変わらぬ生活を送っていた初老の教師が、とある本と出会ったことでリスボンまで赴き、著者の足跡をたどりはじめるというお話。
「自分がずっと考えていたことがすべて書かれている」その本を書いたのは、ポルトガルの独裁政権時代、レジスタンス活動に関わっていた青年医師であったことがわかります。関係者に話を聞くにつれ、彼の存在が次第に生き生きしたものに感じられるようになった教師は、やがて自分の生き方を見つめ直していくのでした……

リスボンへの夜行列車 原作はパスカル メルシエの『リスボンへの夜行列車』„Nachtzug nach Lissabon“。
出たときに評判良かったので読んでみましたが、原作と映画は別物と思った方が良いかもしれません。
多くの枝葉が切られ、逆にその人がこういうふうに活躍するの?? といったアレンジが加えられています。
原作をそのまま映像化しても退屈なだけだと思いますので、うまく映画化したとは言えるでしょうか。

ただ映画だと若い女の後を追いかけて列車に飛び乗り、彼女のコートを握りしめたままリスボンの町をさまように見えてしまい、色○ケという言葉すら浮かびますが(汗)、そんな風に受け取る人はまずいないでしょうから、以後の展開と俳優たちの演技を素直に堪能できるかと思います。
並行して独裁政権時代が描かれますが、話の中でうまく説明されていますので、予備知識がないと振り落とされる心配はありません。

キャスト&スタッフ

主人公の教師ライムント・グレゴリウスにジェレミー・アイアンズ。
グレゴリウスをリスボンへ引き寄せた本の著者アマデウ・デ・プラドにジャック・ヒューストン。
アマデウの妹で今も実家兼診療所に住むアドリアーナにシャーロット・ランプリング(現在)、ベアトリス・バタルダ(Beatriz Batarda 過去)。
眼鏡を壊してしまったグレゴリウスが受診した技師マリアナ・エッサにマルティナ・ゲデック。
レジスタンスの一員だったその伯父ジョアン・エッサにトム・コートネイ(現在)、マルコ・ダルメイダ(Marco D’Almeida 過去)。
アマデウの親友でジョアンのレジスタンス仲間でもあるジョルジェにブルーノ・ガンツ(現在)、アウグスト・ディール(過去)。
抜群の記憶力でレジスタンス活動に貢献するジョルジェの恋人エステファニアにレナ・オリン(現在)、メラニー・ロラン(過去)。
アマデウとジョルジェを教えていたバルトロメウ神父にクリストファー・リー(現在)。

……と何気にすごい面々。
設定上の言語も入り乱れているはずですが、映画は全編英語で通しています。

ちょっとネタばれにつき折りたたんでいます。クリックで開閉します。

最後の方でレナ・オリンが出てきたとき、なんとなく感じていた映画の既視感が『存在の耐えられない軽さ』だったことに気づきました。
アマデウも、モテ男の医師ですしね 😉
ただどちらかと言えば個人的には『存在の~』の彼の方が魅力的だったかも……

監督ビレ・アウグスト、撮影フィリップ・ツンブルン、音楽アネッテ・フォックス。

 

 
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Caxias, Portugal
Lisbon, Portugal
Estação de Santa Apolónia, Lisbon, Portugal
Bern, Kanton Bern, Switzerland

とこれだけで、あまり頼りになりません。
あとは例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

設定も実際の撮影もベルン。

KirchenfeldbrückeW

女性がいたのは東側の欄干。
駈けてきたのは北側から。

By Paranoid
via Wikimedia Commons
(public domain)

女性がいたのはこの画像のトラムの手前あたり。

乗った駅

設定ではベルン駅Wのはず……

By Charles Thompson
via flickr
(CC BY 2.0)

着いた駅

ロシオ駅W

By SchiDD
via Wikimedia Commons
(CC BY 3.0)

映画では構内側から写っていた出入口。
意匠が特徴的ですね。

Photo from Wikimedia Commons
(public domain)

映画では写りませんが、全体像。
1902年から1908年の間に撮られた写真のようです。

駅を出て

広場

歩いてきたのは駅からすぐのロシオ広場W北東の角。

階段

先生が早くもヨレヨレになって上ってきたのは、広場で進んでいった方向とは逆方向の北西側の階段。

見晴台

水を飲んだところ。
上記階段のもう少し先。駅のすぐ裏手という位置ですね。
2段になっていて、上の部分。

Jardim de São Pedro de AlcântaraW

By Bernt Rostad
via flickr
(CC BY 2.0)
トラムの走る道

地形や道路構成などから見つけることができました。
見晴台からちょっとワープ。
ここの四つ角で、カメラ南向き。

2014年映画パンフレット リスボンに誘われて ル・シネマの館名入り ジェレミー・アイアンズ メラニー・ロラン クリストファー・リー シャーロット・ランプリング パンフレットの表紙など、日本でのメインビジュアルにこの場所が使われています。
上掲予告編30秒頃。

『過去をもつ愛情』のアパートはここから2ブロック南のあたり。

ホテル

地形や道路構成的に近いところをウロウロしていて見つけましたが、SVで見る限り、扉にPensão Silvaとあり、各国語で「部屋」と書かれています。
映画の袖看板もSilvaとなっていましたね……

完全にプライベートな物件ではなさそうなので、マップで示してしまいますと、

上記四つ角から200mほど西のあたり。
実際に泊まれるのかもしれませんが、内部は別の場所の撮影のような気もします。

アマデウの実家

表札に«MEDICO Dr.Amadeu de Almeida Prado (アマデウ・デ・プラド診療所)»とあるところ。

これも地形や道路構成、屋敷の形などから見つけることができました。
トラムの四つ角とホテルの間あたりですね。
かつては個人の邸宅だったようですが、現在は市の物件のようですのでマップで示してしまいますと、こちら。

Verride Palace(Palácio Verride)W

By João Carvalho
via Wikimedia Commons
(CC BY-SA 2.0)

内部もここで撮影されているようですね。

※19/9/20追記
コメント欄(2019年9月16日 17:17)でrinshoさんから情報を寄せていただきました。
この建物は現在高級ホテルとなっているとのことです。

Verride Palácio Santa Catarina
https://www.verridesc.pt/experience/

ご自身のインスタグラムに、撮影に使われた部屋を含めて画像をアップされていますので、ぜひご覧ください♪
https://www.instagram.com/p/B1btA5kBk3J/

墓地

家政婦が教えてくれたように、こちら。、

プラゼーレス墓地(Cemiterio dos Prazeres)W

自転車と接触

調査中

シャツを買った店

『過去をもつ愛情』でも登場したRua AugustaW
店名は«PITTA»と見えます。

By Jolly Janner via Wikimedia Commons
(public domain)

この通りも普通にZARAやらH&Mがありますね~

夜のベンチ

前述の見晴台、Jardim de São Pedro de AlcântaraW

By Bernt Rostad
via flickr
(CC BY-SA 2.0)

ジョアンの施設

外観が写りませんので調べようがありませんが、渡ったのはテージョ川。

教会

0:31
バルトロマウ神父に話を聞いたところ。
個人的にはこの映画のある意味クライマックス。
クリストファー・リーはほとんど最晩年ですが、見事な存在感でした。

場所は調査中。

※19/9/20追記
こちらもコメント欄(2019年9月16日 17:17)でrinshoさんから情報を寄せていただきました。
カシアス(リスボンの西)のこちらでした。

Convento da Cartuxa (Caxias)W

By GualdimG
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-4.0)

薬局

1:02
タバコを手放さないジョルジェの店。
周囲の建物や標識などからなんとか判明。
SVで見る限り、実際には薬局ではなく食料雑貨店のように見えます。

マップによれば広場はPraça David Leandro da Silva。
映画では右側の店もしっかり内部まで登場しますが(ジョルジェに話を聞く場面=ジョルジェが初めて薬局を見る場面)、実際にレストランのようにテーブルが並んでいるのが見えます。

断崖

マリアナの運転でエステファニアに会いにいくところ。
設定では(内陸の)サラマンカに向っているのだと思いきや、海岸線と絶壁が写されます。
このあたり、設定がどうなのかよくわかりません。

エステファニアの住まい

ここは資料がない限り見つけるのは難しそう。
原作では確か列車でサラマンカにひとりで向かい、大学を訪れてエステファニアに会うという展開でした。

ラストの駅

IMDbのリストにあるこちら。

サンタ・アポローニャ駅(Estação de Santa Apolónia, Lisboa)W

By Ashley Wilson
via flickr
(CC BY 2.0)

この場面は完全に映画のオリジナルですが、映画の締めとしてはこれはこれで良かったのではないかと思います。
ただスペイン経由で帰ると言っておきながら、またリスボンに戻ってきたということなのでしょうか。先の場面同様このあたりもよくわかりませんでした……

ポスターの駅

ポスター アクリルフォトスタンド入り A4 リスボンに誘われて 光沢プリント

この映画最大(?)の謎は、ビジュアル(主に海外)に使われたこの駅がどこなのかということ。
映画に登場するのは、乗った駅、降りた駅、ラストの駅の3箇所。
どれとも違います。

リスボンはもちろん、ポルトガル、スペインなど近隣もチェックしましたが見つからず。
さらに探索の範囲を広げてようやく判明。
 
アムステルダム中央駅Wでした。

By Angelo Romano
via flickr
(CC BY 2.0)

ほぼ同じアングルで。

By Amsterdam Municipal Department
for the Preservation and Restoration
of Historic Buildings and Sites (bMA)

via Wikimedia Commons

ここは北側のやや小さいほうのカマボコ(画像右端)の北から2番目のホームで、カメラ東向き西向き(※19/9/24修正)。

似たような画像をflickrから拾いますと

というわけでこの「第4の駅」は映画とは無関係な場所というトリビアなのでした。

※19/9/24追記
Bill McCrearyさんからホームの画像を提供していただきました。
撮影は2012年12月とのことです。
ご自身のブログで詳しい旅行記をアップされていますので、ぜひご覧ください。

ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
2012-13 ベネルックス(オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)紀行(7)

©2012 Bill McCreary

ロケ地マップ

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2019/09/24 「ポスターの駅」修正、Bill McCrearyサンの画像を追加
  • 2019/09/20 「アマデウスの実家」「教会」追記 各画像のリンクをPicasaフォトアルバムからGoogleアルバムアーカイブへ更新
  • 2015/10/26 新規アップ

『リスボンに誘われて』Night Train to Lisbon (2013)” への7件のコメント

  1. 初めまして。
    今年7月ポルトガルに旅したとき、この映画のロケ地もいくつか訪ねました。貴ブログの記事が参考になりました。ありがとうございます。

    アマデウの屋敷は高級ホテルに改装されていて、部屋も塗り替えられていますが、装飾はそのまま残っているものもありました。
    https://www.instagram.com/p/B1btA5kBk3J/
    https://www.verridesc.pt/experience/

    学校だった教会は、Igreja da Cartuxa のようです(ここは訪ねていませんが)。
    https://goo.gl/maps/isvHE1LGoVWSwGW86

  2. rinshoさん、コメントありがとうございます。
    ポルトガル旅行楽しまれたのですね。拙サイトが少しでもお役にたったのでしたら、嬉しいです。

    屋敷や教会の情報もありがとうございます。
    今本編が手元にないため確認した上で記事に反映させていただきますが、とりあえずInstagramのお写真でご旅行の雰囲気、楽しませていただきました。
    屋敷は今ホテルになっていましたか。外観に続く室内のお写真が「当時撮影に使われた部屋」なのでしょうか。ぜひ泊まってみたいと思いましたが、一泊7,500ユーロですね、これ……(汗)

  3. このホテルの外観を眺めていたら入口に立つスタッフに声をかけられたので、映画の話をしたところ、「そうそう、ここなんだよ」と言って招き入れてくれ、さらに2階の部屋を案内してくれました。

    インスタグラムの2番目の写真は、ライムントが最初に案内された本棚のある部屋ですね。ドアの形などはそのままでした。
    3番目の写真では、映画で食堂だった部屋(アドリアナが気管切開を受けた場所)と同じ装飾が見られます。

    さすがにこれらの部屋に泊まる人は滅多にいないのか、おかげで室内を見せてもらえたわけですが。(^^;

  4. rinshoさん、実家(現ホテル)と教会、記事追記させていただきました。
    ホテルの方はそうなりますとかなりラッキーな展開だったのですね。スタッフが声をかけてくれたというのがポイントのようで、こういう思わぬ流れも旅行の楽しみですよね。
    貴重なお話とお写真、ありがとうございました!

  5. こんにちは。アムステルダム中央駅で、たぶんご協力できそうです。

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/bd8387e0ad310bcb7e2b20ceeb027243

    撮影は、2012年12月です。こちらで大丈夫かと思いますが、違ったらもう1つも写真があります。

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/bdd510e68e691c649863cb9223d75a51

    こちらの記事は、ルルーシュの映画の際にご紹介しました。

    それにしてもよくこれ駅を見つけられましたね。差し支えなければ教えていただきたいんですが、これは、駅名を直接グーグル検索されるのですか? 

    全くの余談ですが、イタリアとスペインは、60歳を超えてから旅をすることにしていますので現在まだ行っていないのですが、ポルトガルはぜひ数年以内に行きたいと思います。理想は、リスボン、コインブラ、ポルトの3都市周遊ですが、金はかかりそうですね。

    >一泊7,500ユーロ

    750ユーロでも十分目の玉が飛び出ます(苦笑)。

    なお、私が自分で金を払って泊まったホテルで一番高かったのががこちらです。サッカーの中田栄寿も宿泊したり、コシノ姉妹のファッションショーも開かれたとか。なお宿泊費は、2011年で日本円で30000円くらいでした。その時代のオフシーズンだからの値段です。また昨年泊まった香港のホテルは、宿代は20000円くらいだと思いますが、絶句するほどすごい部屋でした。

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/82dd28633395be1a51992e0aef7f2498

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/1b631556487a2705d346215756616246

  6. Bill McCrearyさん、またまたコメントがスパム扱いされてしまい、非表示になってしまっていました。すぐに気づかず申し訳ありません。
    アムステルダム中央駅の画像ありがとうございます。いちばんバッチリな画像を使わせていただきました。
    おかげさまで、カメラ向きを間違えて書いていたのにも気づましたので、修正しました(東→西向き)。

    駅は、確かヨーロッパの主立った大きな駅を順にチェックして見つけたのかと思います。
    カマボコ型の似たような駅が多いので、画像検索より、マップで線路がぐにょ~と左に曲がっているのを先に確かめたような記憶があります。またこの駅は一度「パリのめぐり逢い」でチェック済みだったので、比較的早めにビビっときたかもしれません。

    ミャンマーのホテル、これで3万円なら良いですね。円高の頃でかつ季節要因なのでしょうけれど。
    それにしてもいろいろな所にいってらっしゃいますね。
    私もポルトガルには惹かれますので、引退後はゆっくり巡ってみたいです。

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