『寒い国から帰ったスパイ』 The Spy Who Came in from the Cold (1965)

寒い国から帰ったスパイ【字幕版】 [VHS]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『引き裂かれたカーテン』同様、東ドイツを舞台にした冷戦下のスパイもの。
やはり西側を裏切ったと見せかけて東独に入り作戦を遂行しようとする諜報員の話ですが、タッチはぐっとリアルかつ陰鬱。彼を巡る非情な諜報戦争の一部始終がシビアに描かれます。

寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174) 原作はもちろんジョン・ル・カレで、これが3作目にして出世作。
邦題は「寒い国から帰ってきたスパイ」で映画とは微妙に違いますが、原題は同じ。

ストーリーはル・カレの作品の中ではまだシンプルですっきり頭に入ってくる方でしょうか。
もともと独特のテンポと文体で緻密につづられたル・カレの原作を完全に映像化するのは不可能。
その中で、細かいエピソードをはしょりつつも原作の骨格はうまく残して描いていますし、せいいっぱい誠実に映画化した、そんな印象があります。

密命を帯びた主人公アレック・リーマスにリチャード・バートン。
そのボス「コントロール」にシリル・キューザック。
作戦遂行のため情報部をクビになったリーマスが知りあった女性ナンシー・ペリーにクレア・ブルーム。原作では「エリザベス・ゴールド」でしたが、名前が変わったのはやはりエリザベス・テーラーを連想させるからでしょうか。
作戦の標的、東ドイツ情報部の高官ハンス・ディーター・ムントにペーター・ファン・アイク。
その部下でムントと対立するフィードラーにオスカー・ヴェルナー。
東側の諜報員ピーターズにサム・ワナメーカー。
ル・カレの作品でおなじみのジョージ・スマイリーにルパート・デイヴィス。
失業したリーマスに声をかけてきた男アッシュに、名前は思い浮かばなくても顔はおなじみマイケル・ホーダーン。

製作・監督マーティン・リット、撮影オズワルド・モリス、音楽ソル・カプラン。

ル・カレ原作の映像作品

ル・カレ原作の映像作品をリストアップしてみました。
邦題はallcinemaを参照しています。
記憶に頼って書いている部分もありますので、間違いを見つけたら随時手を入れていくことにします。

タイトル 年代 監督 出演 スマイリー役
Our Kind of Traitor
(われらが背きし者)
2014
A Most Wanted Man 2013 アントン・コービン
裏切りのサーカス
Tinker Tailor Soldier Spy
2011 トーマス・アルフレッドソン コリン・ファース ゲイリー・オールドマン
ナイロビの蜂
The Constant Gardener
2005 フェルナンド・メイレレス レイフ・ファインズ
レイチェル・ワイズ
テイラー・オブ・パナマ
The Tailor of Panama
2001 ジョン・ブアマン ピアース・ブロスナン
ジェフリー・ラッシュ
ジェイミー・リー・カーティス
高貴なる殺人(TV)
A Murder of Quality
1991 ギャビン・ミラー ジョス・アックランド
グレンダ・ジャクソン
デンホルム・エリオット
ロシア・ハウス
The Russian House
1990 フレッド・スケピシ ジョーン・コネリー
ミッシェルファイファー
ロイ・シャイダー
リトル・ドラマー・ガール
The Little Drummer Girl
1984 ジョージ・ロイ・ヒル ダイアン・キートン
ヨルゴ・ヴォヤギス
クラウス・キンスキー
Smiley’s People (TV) 1982 アレック・ギネス
Tinker Tailor Soldier Spy (TV) 1979 アレック・ギネス
鏡の国の戦争
The Looking Glass War
1968 フランク・ピアソン クリストファー・ジョーンズ
ピア・デゲルマルク
アンソニー・ホプキンス
恐怖との遭遇(未)
死者にかかってきた電話(WOWOW)
The Deadly Affair
1967 シドニー・ルメット マクシミリアン・シェル
シモーヌ・シニョレ
ジェームズ・メイソン
寒い国から帰ったスパイ
The Spy Who Came in from the Cold
1965 マーティン・リット リチャード・バートン ルパート・デヴィス

ロケ地

IMDbでは、

Noordwijk, Zuid-Holland, Netherlands (Koningin Astrid Boulevard)
Chepstow Road, Westminster, London, England, UK (Truscott’s Corner – Leamas walks to the Labour Exchange)
Queen’s Gate Terrace, London, England, UK (Leamas changes from bus to taxi, on his way to Smiley’s flat)
Fleet Street, Holborn, London, England, UK (Leamas buys cigarettes on his way to Smiley’s flat)
Wormwood Scrubs Prison, Du Cane Road, East Acton, London, England, UK
(Nan Perry meets Leamas when he is released from prison, watched by Ashe)
Battersea Park, Battersea, London, England, UK (Ashe “happens” to meet Leamas)
Amsterdam Airport Schiphol, Schiphol, Haarlemmermeer, Noord-Holland, Netherlands
Ardmore Studios, Herbert Road, Bray, County Wicklow, Ireland (studio) Smithfield Market, Dublin, County Dublin, Ireland (Checkpoint Charlie, Berlin – opening scene: Leamas waits for the agent to come through the border from East Germany)
Shepperton Studios, Shepperton, Surrey, England, UK (studio)
Trafalgar Square, St James’s, London, England, UK (Leamas goes to his meeting with Control)

……と、ロンドンの撮影地に関しては詳しく記載されています。
東ドイツに関しては、もちろん現地での撮影はかなわないわけですし、撮影地が特定できるような描写も見当たりません。『引き裂かれたカーテン』のようなあからさまなランドマークも登場しませんが、その分かえってリアルだったような気もします。

チェックポイント・チャーリー

Market, Dublin, County Dublin, Ireland
(Checkpoint Charlie, Berlin – opening scene: Leamas waits for the agent to come through the border from East Germany)

IMDbのリストではこのように↑ありますが、探しようがありませんでした。
参考までに、実際のチェックポイント・チャーリー跡はこちら。

帰国したリーマスが車でやってきたところ

コントロールのいた建物。
トラファルガー広場の南東側。

「サーカス」本部という設定かもしれませんが、Cambridge Circusは300mほど北。

職安に向うリーマス

Chepstow Road, Westminster, London, England, UK (Truscott’s Corner – Leamas walks to the Labour Exchange)

リーマスはこの横断歩道を南側から北へ。

刑務所前

Wormwood Scrubs PrisonW, Du Cane Road, East Acton, London, England, UK
(Nan Perry meets Leamas when he is released from prison, watched by Ashe)

公園

アッシュが近づいてきたところ。

Battersea ParkW, Battersea, London, England, UK (Ashe “happens” to meet Leamas)

スマイリーに会うまで

タクシーから降りてタバコを買ったところ

Fleet Street, Holborn, London, England, UK (Leamas buys cigarettes on his way to Smiley’s flat)

カメラ東向き。

タバコ販売機のちょうど向かい側に、『トゥモロー・ワールド』で冒頭大変なことになる店があります。

横断歩道

IMDbのリストにはありませんが、駅がはっきり写るのでわかりました。

サウス・ケンジントン駅(South Kensinton Station)Wの前。
今と違って歩道が狭いですね。

ここは『反撥』でドヌーブがフラフラ歩いていたところ。

バスから降りてタクシーに乗ったところ

Queen’s Gate Terrace, London, England, UK (Leamas changes from bus to taxi, on his way to Smiley’s flat)

通りの西の端。

タクシーから降りたところ

スマイリーがいたのは19番地。
調査中。

オランダの空港

Amsterdam Airport Schiphol, Schiphol, Haarlemmermeer, Noord-Holland, Netherlands

海辺の家

ピーターズに情報を提供するところ。
原作では「ル・ミラージュ荘」。

Noordwijk, Zuid-Holland, Netherlands (Koningin Astrid Boulevard)

Photo from Wikipedia (public domain).

建物は今でも建っています。
一般の住宅かもしれませんのであいまいに示しますと、このあたり。

資料


『寒い国から帰ったスパイ』 The Spy Who Came in from the Cold (1965)” への1件のコメント

  1. そうか・・舞台は撮影現場・・今もあるのは当然ですね。
    夕張の「黄色いハンカチ」の炭坑長屋、今も残ってますが・・。

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