『サヨナラ』 Sayonara (1957)

サヨナラ [DVD] Sayonara [VHS] [Import]

作品メモ

このところ続けている(ちょっと昔の)日本が舞台の外国映画シリーズ。
京都代表が1つ前のエントリー『ゴースト・イン・京都』ではあんまりなので(汗)、こちらも取り上げてみます。

朝鮮戦争時日本に転任してきたアメリカの軍人と日本人女性との物語。
そんな設定に『蝶々夫人』を連想し、さらに「サヨナラ」というタイトルがまたなんとなく怪しそうな雰囲気をかもし出していて、つい食わず嫌いをおこしている方もいらっしゃるかと思います。
どーせアメリカから見た上から目線の、ステレオタイプな日本と都合の良い女性像だろうと……。

実は私もそうでしたが、DVDが出たときに初めて見て(10年ぐらい前でしょうか?)、想像していたよりはずっとマシで驚いた記憶があります。
2時間半という長さも苦にならず、最後の展開には感動すらしてしまいました。
もちろん文化論的に秘められたコードをあれこれ読み取ることは可能でしょうが、この時代ここまでできれば上出来だと思いますし、『ラスト・サムライ』の優秀な先輩という気もします。

アカデミー賞の助演女優、助演男優、セット、録音の4部門で受賞。主演男優、撮影、監督、編集、作品、脚色でノミネートという、堂々たる映画。
今なら気軽にレンタルもできますので、食わず嫌いの方も一度はご覧になってみてはいかがでしょうか?
そして50年代のマーロン・ブランドのかっこよさも是非ご堪能を……

キャスト&スタッフ

神戸へ転任してきたアメリカ空軍エースパイロット、ロイド・グルーバー少佐(Major Lloyd Gruver)にマーロン・ブランド。
後述のように実際に来日して、京都や東京で撮影を行っています。
マーロン・ブランド出演作は『八月十五夜の茶屋』も舞台が日本ですが、その他『モリツリ』にもちょっとだけ日本が登場しています。

彼が見そめた歌劇団のスター、ハナオギに高美似子。これが映画デビュー作。

ロイドの部下で、日本人女性と付き合っていることから問題視されているジョー・ケリー(Joe Kelly)にレッド・バトンズ。
そのお相手、カツミにナンシー梅木(ミヨシ・ウメキ)。
この2人はそれぞれ見事アカデミー賞助演賞を受賞しています(レッド・バトンズはゴールデングローブも受賞)。

高美以子さんとナンシー梅木さんは、『嬉し泣き』 Cry for Happy (1961)でもそろって登場していますが、こちらの「日本」はいわゆるセカンドユニットのお仕事のようで、2人は来日はしていないと思われます。

少佐を歌劇団の公演に連れて行った海兵隊のマイク・ベイリー大尉にジェームズ・ガーナー。
歌舞伎役者中村にリカルド・モンタルバン。「なんちゃって日本」的にはこのキャスティングがツボでしょうか。
少佐の彼女アイリーンにパトリシア・オウエンス。

その他『東京暗黒街・竹の家』のPearl Man ローリン・モリヤマさんが、レポーター役で登場している模様。

原作ジェームズ・ミッチェナー。同じ原作者の『トコリの橋』も、日本が少し登場しますので、この後取り上げるかどうか思案中。
IMDbのトリビアによると、(セリフにもありますが)1956年には1万人以上のアメリカ兵士が規則を破り日本人女性と結婚。ジェームズ・ミッチェナーもそのひとりだったとか。

製作ウィリアム・ゲッツ、監督ジョシュア・ローガン、撮影エルスワース・フレデリックス。

音楽フランツ・ワックスマン。
テーマ曲”SAYONARA”はアーヴィング・バーリン。

 
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Kobe, Hyogo, Japan
Stage 11, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 19, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 24, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 26, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 4, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 6, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 9, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Yamashiro Restaurant – 1999 N. Sycamore Avenue, Hollywood, Los Angeles, California, USA

とやたらスタジオ名の列記。
かんじんの日本でのロケ地は神戸しか書かれていませんが、実際には出演者がちゃんと来日して京都や東京で撮影されています。

OPクレジット

MARLON BRANDOの背景

ここはもしかすると劇中グルーバー少佐がハナオギを探してやってきたところでしょうか?(後述)

SAYONARAの背景

池に架かる石橋を着物姿の女性たちが渡っていきます。
ここは劇中グルーバー少佐がハナオギを出待ちするところ。
場所は京都御苑の仙洞御所(後述)。

仙洞御所

共演者の背景

鳥居と橋。
これはおそらく伊勢神宮。

宇治橋W

鳥居は橋の両側に建っていますが、映画に登場したのは内宮側でしょうか。
橋は、式年遷宮にあわせて20年に一度架け替えられています(式年遷宮の年の4年前)。
映画に登場したのは3世代前、1949年に架け替えられたものになるはず。

脚本、原作の背景

再び仙洞御所。

以下もおそらく同様なので略。

1951年韓国

この飛行場、撮影場所は調査中。

製作年度からやや遡り、朝鮮戦争当時のお話だとわかります。
映画で言えば『トコリの橋』や『追撃機』。どちらも日本が少し登場しています。
ウィリアム・ホールデンは実際に来日して撮影しているように見えますが、ロバート・ミッチャムは合成だったでしょうか。

空撮

台詞にもある通り、神戸港。
このあたりを見下ろしています。

マツバヤシ

「マツバヤシ」って唐突ですが、ハナオギのいる松林歌劇団の本拠地という設定。
Wikipediaによると、奈良市にあった近鉄あやめ池遊園地W

※13/4/19追記

©1978 milou アルバム「各地」から

milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1978年頃とのことです。
日本国内もいろいろ画像お持ちなんですね 🙂

※13/6/17追記

アルバム「各地」から

milouさんに画像を追加提供していただきました。

2004年の閉園時のチラシです。

アルバム「各地」から

※14/4/26
こちらの画像も追加しました。
(どうもありがとうございます♪)

空港

“ITAMI AIR BASE”とあります。 現在の大阪国際空港(伊丹空港)。

国土変遷アーカイブで、映画にも映っていた市松模様の格納庫やターミナルが確認できます。

将校クラブ

IMDbのリストにある、ロサンゼルスのレストラン、Yamashiro(山城)。

オフィシャルサイトの沿革に撮影スナップが。

当サイトで取り上げた映画では、『ディープ・ブルー・ナイト』でも登場しています。
IMDbによるここでロケされた映画の一覧。

これにて一件落着のようですが、実は話はもう少し複雑。
ジェームズ・ガーナー演じる大尉が将軍と話すショットはYamashiroの前ですが、その直後連れの日本人女性について説明するショット(彼女が後ろに映っている)は、日本の京都ですね。
左の方に赤い鳥居が見えていますが、平安神宮の大鳥居で、その右側に見える大きな建物は京都市美術館ではないでしょうか?

そこからアングルを逆算すると、撮影位置はこのあたり。おそらく現在のウェスティン都ホテル京都かその周辺のように思われます。

Wikipediaによると、現在の本館は1960年にできたとのことですが、国土変遷アーカイブで1946年の画像を見ると、本館部分にスペースがあったように見えます。そこが撮影場所だったと思われますが、これ以上の探索は机上では無理そう。

ここは「ウェスティン」がつくずっと前に泊まった記憶がありますが、フィルム時代の写真はスキャンが面倒でたぶん処分してしまいました…… orz
かわりにPanoramioの画像をどうぞ。映画とほぼ同じアングルです。

つまりこの場面、カットごとにロスと京都が入れ替わっているわけで、こういうのもまた映画作りの面白さですね。

歌舞伎

これは、南座でしょうか? それとも歌舞伎座?

見晴らしの良い料亭

0:24頃、焼肉を食べた後ぎこちない会話を交わすところ。
五重塔の夕景という、京都の絵はがきにありそうな景観がひろがります。
スクリーンプロセスっぽくも見えますが、ともかくこの景観が得られる場所を探してみますと……。

五重塔は、八坂の塔(法観寺)Wですね。

カメラ位置は塔の東側のこのあたりと考えられます。

2人が腰を降ろすのが藤棚の下ということで、やはり京大和でしょうか。

http://www.kyoyamato.com/build/

この料亭は『SAYURI』もそうですし、次のエントリー予定の”Stopover Tokyo”(1957)でも撮影に使われています。
探せばもっとありそう。
これが正解かどうかは実際に行ってみる他ありませんね(予算が……)。

日本庭園

歌劇団が公演後いつも引き揚げてくるところで、グルーバー少佐がくりかえし出待ちをしたところ。
劇中ではオンナバシという名前まで付けられていますが、撮影場所は京都御苑の仙洞御所Wです。

仙洞御所

画像としてはこういったところ。

ここ↓にマーロン・ブランドが寝そべっていた木があったはずですが、見当たりません。

宮内庁管轄の場所での映画撮影って、そうそう無いような。
見学したい場合は、事前の申込みが必要です。
http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/sento.html

今はどうだか知りませんが、昔桂離宮を見学した時、ガイドの方の他に行列の後ろからもうひとり目を光らせている警護している方がいらっしゃいまして、それだけで結構緊張してしまいました。

舞台

0:45。
「松林歌劇団」の華麗なステージ。
ワイドスクリーンはこういったレビューを見るのにうってつけですね♪

演ずるは、大阪松竹歌劇団(OSK)W
今はAKBとかいろいろあるみたいですが、昔は女子が集まったアルファベット3文字と来たら、SKDとかOSKでした。

撮影に使われた劇場はどこだったのでしょうか?
Wikipediaによると、昔の大阪劇場が本拠地だったようです。

この場面、マーロン・ブランドのノリノリの反応が可愛いですね。カブキはいまいちの反応だったのに~。

川と小橋

ケリーとカツミの住まいが近くにあるという設定で、幾度となく写るところ。
鴨川の支流白川で、知恩院へ向う道(華頂道)に近いこちら。


大きな地図で見る

行者橋という名前のようですが、渡るのはけっこうリスキーかも。

最初車がやってくるショットはこんなアングル。

このあたりも行ったことがあるので、自前の写真があるはずなのですが、見つからず…… orz
今回久々に見返してみて気づいたのですが、設定上は京都だとは示されていないようですね。
あくまで神戸とその郊外ということなのでしょうか?

ケリーとカツミの住まい

内部はセットでしょうけど、作りがどこか『世界を賭ける恋』(1959)の裕ちゃんの実家に似てますね。

茶会

1:18。
ひそかにハナオギと会うところ。 調査中。

The pleasure does not lie in the end itself.
It’s the pleasure of all steps to that end.

夫婦岩

1:28(2:15も)。
日本列島に夫婦岩はいろいろあるのでしょうけど、これは二見興玉神社W
夫婦岩が入るショットには2人は写っていませんので、セカンドユニットが伊勢神宮と一緒に撮って回ったのかもしれません。

二見興玉神社・夫婦岩

Photo from Wikipedia (public domain).

 

夫婦岩を見て幸せそうな2人の背景はスクリーンプロセス。
その場所はもう少し後ではっきり写りますので後述。

稽古場

2:10頃。
ハナオギを探してやってきたところ。
調査中。

※13/4/21追記
もう少し粘って伽藍の配置から絞っていったところ、京都市北区の大徳寺Wであることが判明しました。

押し問答した門は、敷地内にある正受院。

その門を西へ向って入っていきますが、次のショットでグルーバー少佐がやってきたのは門の東側にある大徳寺仏殿の南東端。ちょっとワープしてバックしています。

川縁

2:15。
夫婦岩をひとり見つめた後、軍用車に乗るところ。背景に長い橋が架かっています。
ここは伊勢からワープして、嵯峨野(嵐山)。
渡月橋Wを下流側から。

渡月橋

海を見つめていたはずなのに川縁にいたということは、河口付近という設定でしょうか???

羽田空港

旧ターミナルがはっきり写ります。

東京公演

建物は調査中。
「ハナオギ」は「花荻」でした。

They’d be half Japanese, half American.
They’d be half yellow and half white.
They’d be half you, they’d be half me.

劇場を出て

2人の車は日劇の脇から晴海通りに出ていき、日比谷交差点に向います。

ラストシーン

和田倉門交差点。

ロケ地マップ


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資料

更新履歴

  • milouさんの画像をPicasaウェブアルバムに切替。「マツバヤシ」画像1枚追加。

『サヨナラ』 Sayonara (1957)” への2件のコメント

  1. あやめ池遊園地は子供が小さいころ近くに住んでいて夏はプール冬はアイススケートと何度も行ったが映画を見ても記憶に合致するような風景は見つからない。少なくとも冒頭の空撮では池の形などから間違いないが現在とは橋の数も違うし実際のロケにどの程度使われたかは分からない。ちなみに戦前には園内に映画撮影所があったらしい。

    歌舞伎の劇場も分からないが歌舞伎座や南座より小さいように見える(例えば中座とか)。もちろん現存しても恐らく内部は改装されただろうし参考になる画像も少ないが映画で見ると花道の外側に椅子席はなく1列だけの桟敷席、そして1段上の桟敷も1列だけ。外国人に合わせてか奥の日本人まで椅子に座っているが現在と違い桟敷席だったはず。さらにどうやら上手にも花道らしきものが見え、当時両花道常設劇場があったか分からないが、現国立劇場か金比羅歌舞伎のような江戸時代のものしか考えられない。ちなみに明治5年改築前の新富座の絵を見ると両花道の外側は1列ずつの3段桟敷席で映画に近くなる。

    大劇も何度か行ったと思うが雰囲気は記憶に近い(あとの東京公演も大劇?)。劇場がなくなり上階が2館の映画館(大劇名画座とポルノの大劇シネマ)になったが客席の構造をそのまま活用したため座席が大きな円弧状で横には広いが奥行きが10列足らずで非常に見にくかった。大劇シネマでは映画と映画の間に演芸やストリップをやったりもしていた。

    大劇がつぶれOSKは長くあやめ池を本拠地にしていた。確か入園者は無料だったはず。

  2. milouさん、海外だけでなく短い射程距離もお得意なのですね。びっくりしました。
    あやめ池遊園地は名前しか聞いたことがありませんでしたので、Wikipediaの記述がなければ到底わからなかったですね。

    歌舞伎の劇場も細かくチェックしかけて結局止めてしまいました。
    確かに劇場としては少し小さいようにも見えますね。
    あの歌舞伎役者の役はぜひホンモノの日本の歌舞伎役者に演じてもらいたかったですが、ちょっと残念でした。

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