『人類SOS!』 The Day of the Triffids (1962)

トリフィドの日~人類SOS!~ [DVD]

作品メモ

先月ジュリアン・ムーア出演作を続けてチェックしましたが、その中の一本『ブラインドネス』で少し触れたSF映画。
ついでに久々に見返したので、こちらもエントリー作っておきます。

ある日まばゆいほどの流星雨が地球を覆い、多くの人が夜空を見上げて天文ショーに酔いしれますが、翌日なぜか全員失明。流星雨を見なかったごくわずかな人だけが視力を保つこととなります。
主人公の男性もそのひとり。目の手術を受けて包帯をぐるぐる巻きにしていたため難を逃れたのでした。
翌日彼が目にしたのは、車がまったく動いていないロンドン市内と手探りで助けを求める人々の姿。
あちこちで事故が発生し、世界中がパニックになっていることはわかりましたが、たったひとりではなすすべもありません。

それだけでも一大事なのに、巨大な食肉植物が各地で大量に発生、人や動物を次々襲い始めます。
このダブルパンチに絶体絶命の危機に陥る人類。
主人公は生き残りの道を求め、同じように視力を保てた少女とともにロンドンを離れるのですが……
……といったお話。

トリフィド時代―食人植物の恐怖 (創元SF文庫) 原作はイギリスのジョン・ウィンダム。
破滅SFの古典的名作です。
今は「食人植物の恐怖」なんてサブタイトルが付けられてるのですね。
昔はただの「トリフィド時代」。表紙も素っ気ないデッサン画のようなものだったと記憶しています。

「トリフィド」とは問題の食肉植物のこと。
映画では流星雨によって生まれたような描写ですが、原作では人類が飼育栽培していたという設定です。
背丈は人間以上、自らよっこらしょと根っこを抜いて移動することもでき、さらには毒を出す茎を鞭のようにふるって獲物を倒してはじっくり料理するという、とてもやっかいな生き物。
なんでそんなもんわざわざ飼育するんじゃい、と突っ込みたくなりますが、トリフィドから品質が良い油がとれたり、トリフィド自体が飼料として役立つことから、重要な資源と見なされていたのでした。
ちなみに、”Triffid”という名前は、見た目三本足で歩くことから、”tri”がらみでなんとなく生まれたことになっています。

原作は危機に瀕した人々を描くことで文明や社会やモラルを見つめ直そうという趣向。
いかにもH.G.ウェルズに始まるイギリス破滅SFの本流的内容となっていますが、映画となった『人類SOS!』は、お話をぐっと単純化。
わかりやすいパニックSF方面に軸足を移しています。
むしろ映画としてはこれが正解で、昔からテレビで何度も楽しませてもらいました。
テレビでなじんだ60年代イギリス製SF映画としては、『火星人地球大襲撃』と双璧でしょうか。

「SFは絵だね~」という名言があるようですが、派手な特撮はなくても、車がいっさい走らずがらんとしたロンドンの街角を、手探りで、あるいは数珠つなぎのように繋がってゆっくり歩く人々。それだけで十分インパクトのある「絵」でした。
この「絵」は、『ブラインドネス』でもしっかり再現されています。
いちばん印象に残るのは飛行機の場面で、これはもうトラウマと言っても良いレベルでしょうか。
さらには(ややネタバレとなりますが)鉄条網の向こうに群がる無数のトリフィドの立ち姿など、「絵」にはことかかない作品。
特撮のレベルは今と比べようもありませんが、そんな数々の「絵」によって、クラシックSFとして一定の評価は得られるのではと思います。

主人公ビル・メイソンにハワード・キール。
少女スーザンにジャニナ・フェイ。
フランスで出会うクリスティーン・デュラントにニコール・モーレイ 。
孤島の灯台で研究を続けていた科学者トム・グッドウィンにキーロン・ムーア。
その妻カレン・グッドウィンにジャネット・スコット。

監督スティーヴ・セクリーとフレディ・フランシス 、撮影テッド・ムーア、音楽ロン・グッドウィン。

リメイク

イギリスでテレビドラマとして2度リメイクされ、どちらも今ならレンタルDVDで気軽に見ることができます。

デイ・オブ・ザ・トリフィド [DVD] 『デイ・オブ・ザ・トリフィド』(1981)
こちらは、原作小説にとても忠実。
その分映像作品としてはやや地味で、特撮も見るべきものが少なかったような……。
比べると『人類SOS!』の割り切り方が納得できるかもしれません。

『ラストデイズ・オブ・ザ・ワールド』(2009)
こちらはアイデアやストーリーがアレンジされ、今風のVFXで見栄えを良くしています。
2枚組で、第1部「トリフィドの日」、第2部「人類SOS」というサブタイトルが付けられているのがうれしいところ。

ロケ地

IMDbでは、

Alicante, Alicante, Comunidad Valenciana, Spain (finale)
Alicante, Comunidad Valenciana, Spain (finale)
Cathedral of Sitges, Sitges, Spain
Charing Cross, London, England, UK
Islington, London, England, UK
Lincoln’s Inn Fields, Holborn, London, England, UK
London, England, UK
MGM British Studios, Borehamwood, Hertfordshire, England, UK
Marylebone Station, Marylebone, London, England, UK
Marylebone, London, England, UK
Moorfields Eye Hospital, City Road, Islington, London, England, UK
Piccadilly Circus, Piccadilly, London, England, UK
Piccadilly, London, England, UK
Shepperton Studios, Shepperton, Surrey, England, UK (studio)
Sitges, Barcelona, Cataluña, Spain
Westminster Bridge, Westminster, London, England, UK
Westminster, London, England, UK

植物園

特撮でしょうけど、設定としてはこちらでしょうか。

キュー王立植物園 (Royal Botanic Gardens, Kew)W

Photo from Wikipedia (public domain).

 

『フォロー・ミー』の温室は1kmほど西。

※13/2/16 追記

©2002 milou アルバム「ロンドン」から

milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は2002年とのことです。

※14/10/14追記
画像をPicasaウェブアルバムに切替ました。
※17/2/15追記
Googleアルバムアーカイブに切替ました。

©2002 milou アルバム「ロンドン」から
©2002 milou アルバム「ロンドン」から

灯台

灯台のパートは映画のオリジナル。
外観の撮影場所は不明。
わざとらしくとある装置が写りますが、しっかり後で活躍します。

病院

“MOORFIELDS EYE HOSPITAL”とありますが、そのまま実在します。

Moorfields Eye HospitalW, City Road, Islington, London, England, UK

病院で会った男の顛末は原作通り。

病院の玄関

病院から出てくる場面も上記の病院。

クルマが停まっていたT字路

背景に長い塀とちょっと古風な建物。
これだけではわかりませんでしたが、次のカットで解明します。

Lincoln’s Inn Fiieldsの東側の入口。

背景の建物は図書館。
道をふさいでいたクルマはIMCDbによれば、Wolseley 6/90。

http://www.imcdb.org/vehicle_25104-Wolseley-6-90-1957.html

バスが突っ込んでいた街路

これは不明。スタジオかも?

街角

“LINCOLN’S INN FIELDS”と標示がある角。
人々が手探りで歩いています。


大きな地図で見る

その前に入っていったところの南側の角。
公園の中に入った後右に(北に)向かっていますが、このカットではSerles Stを南から公園の方にやってきていますので、リアルなつながりとしては不自然。

IMDbのリストにあるこちら。

Marylebone StationW, Marylebone, London, England, UK

※13/2/16 追記

©1998 milou アルバム「ロンドンの駅」から

こちらもmilouさんから画像を提供していただきました。
撮影は1998年とのことです。

※14/10/14追記
画像をPicasaウェブアルバムに切替ました。
※17/2/15追記
Googleアルバムアーカイブに切替ました。

©1998 milou アルバム「ロンドンの駅」から

提供していただいた画像のファイル名に”beatles”とついていて「?」だったのですが、この駅、『ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(“A Hard Day’s Night” 1963)の冒頭で4人がファンに追いかけられながら走り込むところだそうです。
なるほど 🙂

©1998 milou アルバム「ロンドンの駅」から
©2002 milou アルバム「ロンドンの駅」から

こちらは2002年。

※13/4/19 追記
milouさんから画像を追加提供していただきました。
撮影は1998年とのことです。

©1998 milou アルバム「ロンドンの駅」から

映画のホームはあんな風になっちゃいますからセットでしょうけど、実物は今こんな雰囲気なのですね。

©1998 milou アルバム「ロンドンの駅」から

目が見えなくなった時点で、運転士は手探りで列車を止めなさいって……。

©1998 milou アルバム「ロンドンの駅」から

改札は今はすっかりモダンな感じですね。

公園

スーザンと歩くところは、先ほどのLincoln’s Inn Fiields。

広場

ピカデリー・サーカスですが、ここは原作でも登場します。

車を調達したところ。

ここは、『28日後…』の冒頭、病院を出た主人公が歩いていくところ。
あれはオマージュだったのでしょうか?

無線の場面で悩ましい日本語が登場します。

らじおときょです、こちらはらじおときょです
はらまきがんかびれす
みなさまは ?????????
もしもし??からは、はらまきはかびれす

こんな風にしか聞えません……

パリ

凱旋門、シャンゼリゼ通りが写真を使った特撮で登場。

ラスト

教会の外観は、IMDbのリストにあるスペイン、カタルーニャのシッチェス(Sitges)W

Iglesia de San Bartolomé y Santa TeclaW

Cathedral of Sitges

 

返しのカット(の背景)もここ。

Sitges

本当に水際ぎりぎりに建っていますね。

この街は、そっち系の映画好きならご存知シッチェス・カタロニア国際映画祭Wが開かれるところ。
去年のポスターでは教会はこんなことになってました。

http://sitgesfilmfestival.com/eng/arxiu/2012

映画祭は68年に始まっているようですが、もしかするとこの映画が関連しているのかも、とか想像したくなります。
そういえば昔あったアボリアッツ映画祭も、なぜアボリアッツで始まったのでしょう??

不明

IMDbのリストで、”Alicante, Alicante, Comunidad Valenciana, Spain (finale)”とありますが、どの場面なのか確認できませんでした。
少なくともフィナーレではないような……。

ロケ地マップ

※17/2/12項目追加

スペインで撮影された映画のロケ地マップ

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2017/02/15 画像のリンクをPicasaからGoogleアルバムアーカイブへ切替
  • 2017/02/12 「ロケ地マップ」項目追加
  • 2014/10/14 milouさんの画像をPicasaウェブアルバムに切替

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