『東京ジョー』 Tokyo Joe (1949)

東京ジョー [DVD]

ボギー渋谷を行く

作品メモ

ひとつ前のエントリー『東京暗黒街・竹の家』に続いて、戦後の東京を舞台にしたアメリカ映画。
こちらはさらに時間は遡り占領下の東京。
戦後初めてロケを許可されたアメリカ映画とのことです。

英語版Wikipediaによると、メインの撮影はコロンビアピクチャーズのスタジオで、1949年1月4日から2月末まで。
日本での撮影は外観のみ。主役が来日して日本で演技したわけではありません。
それでも当時の都内の様子をうかがえる貴重な場面もあり、興味深く見ることができます。

『東京暗黒街・竹の家』同様へんてこりんな日本が登場しますが、やはり悪意といったものは感じられません。
ただ占領下と言うこともあってか、押しつけがましい「善意」がちらりとみえるところもあったりして、ちょっと複雑な気持ちになったりもするのでした。

キャストとスタッフ

戦前東京で「ジョー」というレストランを開いていたジョセフ(ジョー)・バレットにハンフリー・ボガート。仕事を求めて8年ぶりに東京へ戻ってきましたが、2ヶ月しか滞在許可が出ず、日本のフィクサーに頼ろうとします。

彼の元妻トリーナにフローレンス・マーリー。今は再婚して娘がひとり。実は戦時中東京ローズのような役割を果たしていたという秘密があるのです。この女優さん、『東京ファイル212』でもヒロインを務めていました。他にルネ・クレマン監督の『海の牙』等。

彼女の夫でアメリカ軍の法律顧問のマーク・ランディスにアレクサンダー・ノックス。最近『呪われた者たち』でチェックしたばかりですが、こういう固めの職業が似合いますね。
ジョーが2人と会う場面は、誰がどう見ても『カサブランカ』の再来。ただし今回は子供というパラメーターが潜んでいます。

かつて秘密警察のトップだったキムラ男爵に早川雪舟。未だに隠然たる力を持つフィクサーですが、彼の力を借りてジョーはパイロットの仕事にありつきます。ところがトリーナの秘密を知る男爵は、それを利用してジョーをさらに危険な仕事に向かわせるのでした。
早川雪舟さん、俳優業はお休みしフランスで別の仕事をしていましたが、ハンフリー・ボガートに乞われてこの映画で俳優に復帰したとのことです。

ジョーに代わってお店を守っていた旧友イトウにテル・シマダ(島田テル)。『007は二度死ぬ』(1967)でおなじみですが、それより20年近く前の映画と言うことで、比べるとだいぶお若いです。

監督スチュアート・ハイスラー。

日本を舞台としたアメリカ映画

Wikipediaに便利な項目が出来ていました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/日本を舞台としたアメリカ映画一覧

手持ちけっこうあるので、もう何本かこのシリーズ続けようかと。
次は『東京ファイル212』か『サヨナラ』を取り上げる予定。

ロケ地

IMDbでは、

Tokyo, Japan (exteriors)

タイトル的には日本ロケが期待されますが、見ればすぐにわかる通り、東京の場面はいわゆるセカンドユニットのお仕事のようです。
町を行く後ろ姿のハンフリー・ボガートは吹替え。
正面から撮ったショットは一目でわかるスクリーンプロセス。
……ということで日本へは来ていないことはありありなのですが、ボギーがトレンチコートに帽子というおなじみのスタイルで日本の町を嬉しそうに歩く場面は、とても印象に残ります。

富士山

タイトルバックは、やっぱり富士山♪

空撮

何ショットか続きますが、粘れば全部解明できるかもしれませんね。
とりあえずわかったのは、最後の広い川を横切るショット。
画面の上に一瞬長い鉄橋が写りますが、これは多摩川の河口近くに架かる大師橋です。
現在は違いますが、昔はこういう形でした。

というわけで、そのまま着陸していったのは羽田の現東京国際空港(通称羽田空港)。
ただし、”HANEDA AIRFORCE BASE”とあるターミナルがホンモノかどうかは不明。

バスから降りたところ

ジョーが「ノースウエスト エアーラインズ」のボンネットバスでやってきたところ。
背景の建物(第一生命館など)から、お堀端の日比谷交差点であることがわかります。通りは晴海通り。
(※15/8/23ストリートビュー更新)

 
 

ジョーが入っていった”PROVOST MARSHAL TOKYO”の場所には、現在日比谷マリンビルが建っています。

輪タクに乗る交差点

この映画、ロケ地探求的にはこの場面が山場となりましょう。

道路標識に”SAKAEDORI”とあり、その前のショットで「○○坂百貨街」という看板が見えます。
さらに、走り出した輪タクの背景に見える「大盛堂書店」の看板……。
そう、ここは若者の街渋谷のシンボル的物件、SHIBUYA109の真ん前なのでした。
(※15/8/23ストリートビュー更新)

 
 

補足しますと、「栄通り」は現Bunkamura通り(その前は東急本店通り)のことで、「○○坂百貨街」は昔あった道玄坂百貨街。
SHIBUYA109の場所には昔三丸(ミツマル)という洋品店がありました。この映画の撮影時にもおそらくお店を出していたものと思われます。
現109のオーナーである三丸グループのサイトに昔の画像がありました。映画撮影時よりだいぶ後のものでしょうけど、ご参考までに。

http://www.mitsumarugroup.com/pc/view1.html

ジョーが輪タクを拾ったのは現109の真ん前。
したがって、その後輪タクが左折していくのは、現在のスクランブル交差点の北側、QFRONTと三千里薬品(天津甘栗)の間の通りとなります。

(そういえば、この通りは何通りと言うのでしょう?? 井の頭通りは西武A館B館の間からスタートするのでしょうし、公園通りは西武と丸井の間がスタートでしょうし……)

これで一件落着……かと思いきや、よく見ると左折する前に通り過ぎるはずのセンター街(バスケットボールストリート)入口が見当たりません。
何事も検証ということで、当時の画像でチェックしてみようと思いました。

こういう時に役立つのがGoogle Earthの時間スライダーなのですが、日本のマップではあまり昔に遡ることができません。
国土地理院の国土変遷アーカイブは使いづらいですし……
というわけで、今回は同データの一部を利用しているgoo地図の古地図機能を使ってみました。

空撮画像を比べてみますと……

昭和38年になるとセンター街らしき斜めの路が見えますが、昭和22年ではそこはまとまった1区画であることがわかります。

ロケ地マップ


より大きな地図で (ちょっと昔の)日本が舞台の外国映画 を表示

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昔の日本が舞台の外国映画

資料

更新履歴

  • 2015/08/23 ストリートビュー更新
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『東京ジョー』 Tokyo Joe (1949)” への4件のコメント

  1. はじめまして。
    これは素晴らしいアーカイブですね!

    さて、東京ジョーのオープニング空撮撮影エリアを同定したのでコメントします!
    http://homepage2.nifty.com/awawge/tokyojoe/ALL.html#14/35.558171/139.747596
    上から、2カット目、3カット目、1カット目の順です。
    よろしければ、Facebookのこちらの記事もご覧ください。
    https://www.facebook.com/yonmas/posts/951853874879868?pnref=story

    また、ヒマナイヌ川井さんのこちらのブログ記事も興味深いのではないかと思います。
    http://himag.blog.jp/45957239.html

  2. yonmasさん、コメントありがとございます。
    知りませんでしたが、最近どこかで『東京ジョー』の映像が話題になったのですね? 

    空撮の特定ですが、特に大森の方はよく判明しましたね。
    あとでこちらのマップにも追加させていただきます。
    ご利用になった地理院地図(電子国土Web)ですが、おそらく1946/02/28(昭21)の米軍撮影のものと思われます (コース番号M58-A-6、写真番号160)

    http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=11821

  3. 返信をありがとうございました。

    >知りませんでしたが、最近どこかで『東京ジョー』の映像が話題になったのですね? 

    最初の投稿にリンクを貼った、ヒマナイヌ川井さんのブログにて、戦後まもなくの街なかの動画が紹介されていたのですが、いろいろ検証していったらどうやら「東京ジョー」のアウトテイクらしい、との結論に至ったという流れです。アウトテイクの「ロケ地」は、ほぼ特定済みです。

    僕も以前に、ある動画の撮影地特定…をしたことがあるのですが、要するにロケ地を探すのと同じですね。推理を積み重ねていくのは、楽しいですね!

  4. なるほど背景に使われた映像が単独で流出していて、それが『東京ジョー』とようやく結びついたということですね。ボギーが写っていなければ、ただの記録映画ですものね(笑)
    おっしゃる通り昔の映像をあれこれ推理するのは本当に楽しいです♪

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