『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 (1993)

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『ポンヌフの恋人』と言えば打ち上げ花火。
打ち上げ花火と言えば岩井俊二監督のこの作品。
もともとはフジテレビの『If もしも』Wというドラマの枠で放送されたものですが(1993年8月26日)、高く評価されテレビドラマにも関わらず岩井監督は日本映画監督協会新人賞を受賞。後に映画として劇場公開もされています。

最初に観たのは今でも覚えていますが、家の近所のラーメン屋さんで中華丼を食べていたときでした。
ラーメン屋さんにありがちな隅の上の方にある小さいテレビが、いつもなら巨人戦を放送しているはずなのに、なぜか他のチャンネルに替っていて、気がつけばドラマのようなものが流れていました。
ただドラマというには映像の質感が独特で、台詞やカット割りもハンパない作り込みであることが小さい画面からも十分伝わってきます。
これはただごとではないと覚ると、目はテレビに釘付けのまま中華丼の残りをかっこみ、真ん中のCMのところですっとんで帰宅、後半は録画に成功しました。
作品そのものはラストに至るまで大満足だったものの、こうなると見られなかった冒頭と録れなかった前半が気になります。
うにょむにょの書き方となりますが、当時のパソコン通信でいろいろ当たってみてなんとか解決。
ご協力くださった人はきっと岩井監督のファンかドラマ好きの方なのかと思いきや、花火が好きでそれで録っていらしたとのことで、自分の世界観の狭さを恥じ入ったというオマケ付き。

そのVHSケースには、あとで日本映画監督協会新人賞の授賞式の模様を報じる新聞記事を切り抜いて挟んでおきました。
今探しても見当たりませんでしたが、確か小さい写真も載っていて、そこでは監督はロン毛ではなかったような……

今ではもちろんDVD等で容易に鑑賞可能。
DVDになっているのはおそらく映画版かと思いますが、放送時との大きな違いはタモリさんが『世にも奇妙な物語』のように最初と最後に出てきて案内する場面がカットされていることと、タイトルバックやエンドクレジットぐらいでしょうか。

少年たちは花火を横から見たかった [DVD] こちらはドキュメンタリー。
何年か後に主演2人が撮影地を再訪する様子を中心に、岩井監督やプロデューサーたちのインタビューが挿入されるという構成。
2つの選択肢どころか様々な思惑と要素がひしめきあっていたようですが、でも結局は映画の神様が降りてきてこの60分のドラマが出来上がったのかなあと、ふと思ったりしました。

「打ち上げ花火、下からみるか? 横からみるか?」Soundtrack こちらはサントラ。
放映直後では無く、数年後に出たような記憶。速攻で買いました。
REMEDIOSって麗美さんのことと知ったのはさらに後だったかと思います。
最後の方で使われたボーカル曲”Forever Friends”は、何かのCMでも使われたことがあったはず。
家電メーカーで、確かイルカが飛び跳ねていたような??

お役に立つ

監督独特の映像と語り口は、おそらく多くの模倣……いや、お役に立っていることと思います。

テレビ東京で放送されたドラマ版『モテキ』第2話のタイトルが「深夜高速~上に乗るか下に寝るか」(2010年7月23日放送)。
女友達にさそわれて主人公が『打ち上げ花火』のロケ地巡りに行くという話で、駅に降りたあたりから溶け込むようにあの世界が広がります。
特に2人で歩いているところをヒロインの母親が現れて強引に彼女を連れ去っていく場面は、本家と並べて再生してみましたが(笑)、セリフやシチュエーションは全然違うのにカット割りやカメラワークがほとんどぴったり重なるというこだわりぶりでした(脚本演出大根仁監督)。

でも上には上がいるもので、徹頭徹尾岩井監督の世界がお役に立っているのが、お隣の国のこちらのPV。

 
 
 

いきなり『Picnic』のラストから始まり(笑)、『リリイ・シュシュのすべて』の文字変換と、なにやらものすごいオマージュのラッシュ。
よく見ると、最初の方のクレジットに«Dedicated to_shunjiiwai»とありますね。

曲はThe One(더 원)の2集収録”I Do”
ヒロインはハン・ガイン(한가인)。
フォトグラファー役はたぶんイム・ジュファン(임주환)。
演出はチャン・ジェヒョク(장재혁)監督。

設定がちょっとわかりづらいかもしれませんが、最初のモノローグは「5日……私に残された時間だ」で、どうやらヒロインはあとわずかしか生きられない模様。
初対面のフォトグラファーの前にいきなり登場、「死ぬ瞬間まで私を撮って」と無茶振りしてからの数日間を描いています。

かの国では劇場用長編第1作『LOVE LETTER』が大ヒット。
若者たちがこぞって北海道にやってきては「お元気ですかぁ~~」と雪原に向って叫んでいました。

ロケ地

岩井監督作品は熱心なファンによって撮影地が細かく解明されていることと思いますが、今回も例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしてみました。
答えあわせはしていませんので、間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

主な撮影地は、エンドクレジットにも載っていますが当時の千葉県飯岡町で、現在の旭市。

典道の住まい

釣り具店は残念なことに先の震災で被災し、すでにありません。
知りたい方は、背景に写っていたのは飯岡郵便局ですので、それを手掛かりに見つけてください。

高台の道

登校中の少年たちが駈けていく眺めの良い道。
港の位置から場所がわかりました。

今では歩道が確保されているようですね。

小学校

小学校関係は、今回は省略することにします。

病院

0:14
安曇医院とありますが、擬装でしょうね。

神社

0:18

蛭子能収さんがいたところ。
画像を見る限り、こちらに見えます。

玉崎神社W

飯岡駅W

駅舎は建て替えられ、ドラマの面影はありません。

帰る時バスに向って走って行くのはロータリー西側。

灯台

飯岡灯台W

設定では「遠すぎるよ~~」とぼやきたくなるほどアクセスの悪い田んぼの彼方にあるようですが、リアルでは冒頭少年たちが駈けていた高台の道のすぐ先にあります。

By marchaska
via Wikimedia Commons
(public domain)

近くまで行けるみたいですね。

資料

更新履歴

  • 2015/08/03 新規アップ

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