『惑星ソラリス』 Солярис (1972)

惑星ソラリス [DVD]

作品メモ

2つ前のエントリー『トゥモロー・ワールド』から、長回しSFつながり。
長回しのSFときたらタルコフスキー監督でしょう……と書きたいところなのですが、『惑星ソラリス』では『ストーカー』や『サクリファイス』ほどの長回しは少ないような。
でもカットのリズムは明らかに欧米の娯楽SF映画とは異なり、美しく詩情豊かな映像がゆったりとしたテンポで綴られていきます。あたかもひとつの長回しの世界にどっぷりつかっているかのよう……。
これはもう老成の域?と思わせるような雰囲気ですが、撮影時はまだ30代後半のはず。
同じ金字塔的SF映画『2001年宇宙の旅』(1968)もキューブリック監督30代最後の作品ですので、才能と野心あふれる映画人が大きな仕事をなしとげる人生のタイミングというものがあるのかもしれません。

ソラリスの陽のもとに (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

原作はポーランドのスタニスワフ・レムによる傑作『ソラリスの陽のもとに』。
最初に文庫で出たときはこんなふうに映画のスチルを使っていました(現在のカバーは別のはず)。
今は自炊してタブレットの中に収まっていますが、サムネイルでこの表紙画像を見ると、原作小説より映画の方の思い出があれこれ甦ってきます。
レムは映画の出来に満足していなかったと聞きますが、小説と映画、それぞれ優れた作品として、後世まで残ることでしょう。

ソラリス (特別編) [DVD] ソダーバーグ監督の『ソラリス』はリメイク。原作の再映画化というよりは、タルコフスキー版をソダーバーグ流に再構成した、そんな気もします。
原作小説も2つの映画も、邦題は様々ですが英題では”Solaris”でみな同じ。
ロシア語表記の”Солярис”は「さりゃーりす」とか発音するとそれっぽく聞えるはず。

スタッフ&キャスト

監督アンドレイ・タルコフスキー(Андрей Тарковский)、撮影ワジーム・ユーソフ(Вадим Юсов『ローラーとバイオリン』、『僕の村は戦場だった』、『アンドレイ・ルブリョフ』)、音楽エドゥアルド・アルテミエフ(Эдуард Артемьев)。

出演は……
ソラリスのステーションに向かったクリス・ケルビン(Крис Кельвин)にドナタス・バニオニス(Донатас Банионис)。
その妻ハリー(Хари)に、 セルゲイ・ボンダルチュク監督の娘ナタリア・ボンダルチュク(Наталья Бондарчук)。
ステーション滞在の科学者サルトリウス(Сарториус)にアナトリイ・ソロニチン(Анатолий Солоницын)。
スナウト(Снаут)にユーリン・ヤルヴェト(Юри Ярвет)。

見るには

手元にあるのは米クライテリオン製DVD。
さすがの高画質に加えて特典ディスクも充実していて、所有するならこれで十分。
今ならBlu-rayも出ていますので、そちらの方がさらに画質が良いものと思われます。
以前小さいケースで出ていた日本盤を買ったことがありましたが、ひどい画質でがっかりの巻でした。

気軽にご覧になりたいのでしたら、YouTubeのモスフィルムのチャンネルで由緒正しくアップされていますので、そちらを利用するという手もあります(字幕は英語)。

この他、主だったモスフィルムの作品はこちらのエントリーにリンク集を作ってありますので、どうぞご利用ください。

『戦争と平和』 Война и мир (1965-67)

ソ連製SF映画だけでもかなり漏れがあるので、いつかこのリンク集は更新しようと思っています。

惑星ソラリス Blu-ray 惑星ソラリス HDマスター [DVD] ※2013/12/1追記
日本でも今年(2013年)4月にHDリマスター盤が出ていたようです。

日本での上映

日本での封切りは東京の岩波ホールでの単館上映だと思いますが、その前に日本SF大会で見ることができました。
ググってもヒットしませんでしたが、一緒に行った友人とラストについてあれこれ話した記憶があるので間違いはないかと思います(間違えていたらどーしよ~)。
SF大会は珍しい映画を上映することがあり、それが目当てで何回か足を運んだことがありました。
他に覚えているのはピーター・ウィアー監督の『ザ・ラスト・ウェーブ』。
こちらは劇場公開は結局されずかなり後でDVDスルーとなりました。

『惑星ソラリス』の方は確か公開は決まっていて、その前の特別上映という扱いだったような? ……ここらへんは記憶があいまいです。
2部構成になっていますが、SF大会の上映では続けて上映されたような覚えがあります。
後で岩波ホールへ見にいった時はちゃんと休憩が入っていて、無事トイレに行くことができました。

音楽

バッハのあのメロディとは切っても切れない映画。

J・S・バッハのオルガン小曲集第41「主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる(Ich ruf zu Dir, Herr Jesu Christ.)」(BWV639)

昔からサントラがいろいろ出ていて、正規盤なんだかよくわからなかったり、入手できたりできなかったりでなかなか悩ましかったですが、とりあえず東映音楽出版社盤は、現在iTunes Storeで扱われていますので、気軽に購入することができます。
『惑星ソラリス』はVol.3。

この曲が使われていない予告編。
ちゃっちそうなB級SFスリラー映画風になっています。音楽や編集がいかに大事かわかりますね~

(※2014/03/20 埋め込み再生ができなくなっていたので、単なるリンクに変更。クリックするとYouTubeの当該ページが開きます)  
 

ブリューゲル

Pieter_Bruegel_d_A_106b-m

Photo from Wikimedia Commons(public domain).

 

ロケ地

IMDbでは、

Akasaka, Minato, Japan (Berton’s car scenes)
Iikura, Tokyo, Japan (Berton’s car scenes)
Mosfilm Studios, Moscow, Russia (studio)
Osaka, Japan (City scenes)

ステーションはモスフィルムのスタジオ。
……となるとロケ地的興味は、やはり東京が登場する場面でしょうか。
こんな立派な映画でもロケ地を探してしまう悲しい性を許してください。

※16/1/22追記
IMDbを見たら、リストが2箇所増えていました。

Yalta, Crimea, Ukraine (Exterior Sets)
Zvenigorod, Russia

ということでやはりZvenigorod(Звенигород)がロケ地であったようです。

クリスの実家

ナタリア・ボンダルチュクは特典盤のインタビューで、こう語っています。

We shot it in Zvenigorod, not far from Moscow.

ズヴェニゴロド(Звенигород)W

おそらくこの地と思われますが、具体的な場所はわかりません。

※16/1/22追記
IMDbのリストにもこの地名が追加されていました。
なのでもう一度チャレンジしてみましたが、地形、道路、橋などから見るとこちらがいちばん可能性を感じられました。

家と池は橋の西側にあったはず。
実際道路のそばに池も確認できます。
ただし橋の形が映画とは違いますし、池も道路に近すぎます。
引き続き調査中。

未来の高速

0:33頃から。
この映画のある種の目玉?
SF大会で上映されたときも、ざわめきが起こったような記憶が有ります。

以下SVを利用しつつ細かくカットを見ていきますが、自分で走って撮っちゃった方が早かったかも 😉

高速1

1分20秒近く続く長いワンカット。
首都高速4号新宿線、赤坂トンネル付近に始まって、ニューオータニや赤坂東急(当時)のあたりで終わり。

ショットの始まり↓


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トンネル出口↓

ショットの最後↓

この場所がちょうど一連のシーンの最後に登場する立体交差点。

高速2(車内・顔正面)

背景の場所、今いち不明。

高速3

再びトンネルに入る瞬間から始まるショット。
これは「高速1」からの流れで、千代田トンネル。

トンネル内の分岐点↓

その先でこのショットは終わり。

高速4(車内・後頭部)

フロントガラス越しの景色。
ゆっくり右カーブを描いた後、下っていきトンネルに向かうところ。
上記からぴょんとワープして、首都高都心環状線、一ノ橋ジャンクションの北側。
首都高速2号目黒線と合流後、飯倉ランプの南側で右に少しカーブするところ。上下の下の部分で北向き。

途中で子供が身を乗り出すのは、飯倉トンネルに入ったあたり。

高速5

上記「高速4」からさらに戻る感じで、 一ノ橋ジャンクション、都心環状線が首都高2号目黒線と合流するところから始まります。
正面左に見える上下の高架が目黒線。

途中の「飯倉 出口200m」の標示↓

この標示のあと、「高速4」と同じコースとなります。
流れているクルマは違うので、フィルムの使い回しではなく環状線をぐるぐる走って何回か撮ったのでしょうか??

飯倉トンネル入口↓

このショットの最後はこのあたり。

高速6(車内・横顔)

これはさすがに場所はわかりません。

高速7

左カーブのトンネルと半地下の連続。
これは「高速1」の逆、赤坂トンネルを逆に進んでいます。

最初はこのあたり。

途中の半地下と陸橋。

反対側の出口付近(=高速の場面が始まるところ)で終わり。

高速8

空を見上げた短いショット。 さすがに判別できません。

高速9

トンネル内左カーブ。 場所いまいち不明。

高速10

短いショット。
これは無理。

高速11・立体交差俯瞰(夕景)

赤坂見附交差点。
赤プリがある側から撮っています。

このカット、実際の景色とは微妙に異なります。
まず右端5分の1ほどが合成で、中央やや左にあるビル(マツダの広告があるところ)を左右反転して重ねています。
つまりマツダが門柱のように左右2本建っている構図。
また、左端6分の1ほども合成。素材は不明。

合成はかなりルーズで、左右から走ってくるクルマが次々幻のようにふわっと消えていきます。

カメラ位置ですが、「高速1」の最後で真正面に見える建物から撮ったものと思われます。これはもうありません。
現在似たようなアングルの絵を撮ろうと思ったら、全国都道府県会館ビルの南西の角部屋あたりに行けば良さそうな気がします。

高速12

ほとんど日が暮れた左カーブの高速。
同じ赤坂の交差点ですが、246(青山通り)で渋谷方面に向かって左に曲がる高架部分。
正面が上記マツダの広告があるビル。


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高速13・立体交差俯瞰(夜景)

場所は夕景と同じ。
合成があるかどうかは不明。

ステーション

生活感たっぷりのステーション。
確か公開当時モスフィルムのスタジオにど~んと作られたものだと言われていました。

上空からオープンセットも確認できて、楽しいです。

資料

更新履歴

  • 2016/01/22 「クリスの実家」追記
  • 2014/03/20 「音楽」のYouTube動画を埋め込みからリンクへ変更
  • 2013/12/01 ソフト情報追記

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