『0(ゼロ)の決死圏』 The Chairman (1969)

ゼロの決死圏 [DVD]

引き裂かれた竹のカーテン

作品メモ

ひとつ前のエントリー『アラベスク』に続いて、グレゴリー・ペックのスパイもの。
中国の科学者が食料増産をもたらす画期的な酵素の開発に成功。このまま独占されることを恐れた西側の情報機関が、科学者の教え子であるノーベル賞学者をスパイとして中国に派遣、酵素の秘密を盗みだそうという作戦をたてます。

学者の先生が社会主義国に潜入して科学上の重要な機密を盗み出すというのは、ヒッチコック監督の『引き裂かれたカーテン』そのまま。
ただし相手がソ連東欧ではなく中国というのが特徴的で、西側とソ連が協力してコトにあたるという設定が目を惹きます。60年代の終わりともなると世界情勢は複雑化。娯楽作品といえども東西の対立だけでは世界をくくれなくなっているわけですね。

主役のジョン・ハサウェー博士にグレゴリー・ペック。
出発前に頭に送信機を埋め込む手術を受けますが、信号は衛星経由でロンドンの司令部に転送される仕掛け。通信は一方通行で、受け取る方は博士の位置情報と音声、それに健康状態を受信できます。
実はその他にもとある仕掛けがほどこされているのですが、それは博士には秘密。世の中知らないほうが幸せなことがあったりするのです。

原題の「ザ・チェアマン」とは主席の意。どー見ても毛沢東のことですが、映画の中ではあくまで「ザ・チェアマン」です。演じていたコンラッド・ヤマ(Conrad Yama)Wという方は、『ミッドウェイ』では近藤中将、『サブウェイ・パニック』では礼儀正しい日本人視察団のひとり「トマシタさん」を演じていますが、お名前を見る限り日系の方のようですね。

この映画、以前一度見たきりで長らく見ることができませんでしたが、数年前ようやくDVD化。
公開時のタイトルは「0」に「ゼロ」とルビが付く形になっていましたが、DVDでは単に「ゼロの決死圏」となっています。

監督は『ナバロンの要塞』、『恐怖の岬』、『マッケンナの黄金』と、グレゴリー・ペックの60年代アクション部門担当といった観のあるJ・リー・トンプソン。   音楽ジェリー・ゴールドスミス。

決死圏な映画

『ミクロの決死圏』でリストアップしましたが、こちらにも書き写しておきます。

  • 『ミクロの決死圏』 Fantastic Voyage (1966)
  • 『決死圏SOS宇宙船』 Doppelgänger (1969)
  • 『ゼロの決死圏』 The Chairman (1969)

ロケ地

IMDbでは、

London, England, UK
Pinewood Studios, Iver Heath, Buckinghamshire, England, UK (studio)
Taiwan
Snowdonia, Gwynedd, Wales, UK

例によって後はひたすら画面とにらめっこです。

香港

香港経由で大陸に入るという設定。
飛行機が到着したのは、今はなき啓徳空港W

この他飛行機が建物をかすめるように飛ぶショットや、港まわりのロングショットは実際の香港でしょうけど、グレゴリー・ペックが写っているわけではなく、おそらく撮影班だけによるお仕事かと思われます。

香港の路地

運河の俯瞰から始まって、カメラが右にパンすると人々でごった返す交差点。
その後の場面で、グレゴリー・ペックが実際に夜市のような賑わいを楽しんでいる様子が写ります。

撮影場所ですが、香港ではなく台湾の基隆市ですね。基隆港のいちばん奥のあたり。
運河はこの後埋め立てられ、上に高速道路が架かったため、現在は映画とは全然違う様子になっています。
こちらは直リンクで申し訳ないのですが、参考までに昔の地図。
中央にある運河が、映画に登場したところです。

http://album.udn.com/community/img/PSN_PHOTO/chenkwn/f_5394814_1.jpg

カメラが右にパンした後に捉えられる交差点はこちら。
(※15/1/11 ストリートビューがずれていたので更新)。


大きな地図で見る

角にある5階建てのビル(上掲SVの左側)は、映画と同じものがまだ建っているように見えます。
また、パンが始まる前の運河の俯瞰をよく見ると、奥の方の橋の右側に丸い天蓋を持つ建物が見えますが、これは『砲艦サンパブロ』(1966)で、上陸審査の際の背景に見えていたビルです(設定では上海)。

言葉で言うとわかりづらいので、『砲艦サンパブロ』のロケ地マップに補助線などを追加してみました。
青い線は、上掲の地図による昔の水際です。


より大きな地図で 台湾でロケした映画 を表示

大陸の空港

設定では成都(Chengtu)。
飛行機が着陸する場面では周囲にこれといった施設が写りませんので、場所の特定は難しいでしょうか。

お寺

学校という設定でしょうか?
撮影場所は調査中。

時代は文革まっただなか。
人々が手にふりかざすのはもちろん毛沢東語録ですが、半世紀近く前の出来事となると、今の世代には説明が必要かもしれませんね……

主席に会うところ

撮影場所は、台北市文山區にあるこちらの寺院。

指南宮W

Photo by Matt’s Life via flickr
(CC BY 2.0)
Photo by MiNe (sfmine79) via flickr (CC BY 2.0)

資料

更新履歴

  • 2015/01/11 「香港の路地」ストリートビュー更新

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