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『熱愛』 Largo retorno (1975)

Today is the first day of the rest of my life.

作品メモ

ひとつ前のエントリー、『フォーエヴァー・ヤング』を書いていて、この映画を思い出しました。
やはり冷凍睡眠がカギとなるロマンスもの。
日本ではおそらくビデオ化なし。
スペイン映画のようですが、原題はもちろん英題 “A Long Returning” を使っても米Amazonあたりではヒットしません。
そんな世界的規模でマイナーな作品。記憶に残る……どころか、そもそもご覧になった方自体少ないかもしれません。

熱烈な恋愛の末ゴールインしたカップル。
しかし妻が難病に冒されていることがわかり、治療法が見つかる未来まで冷凍睡眠にすることに。
やがて何十年という時間がたち、とうとう妻が目ざめるときが来ましたが、夫は老いた自分の姿を見られたくないと姿をかくします。
目ざめた妻はそのことを知ると……

といったお話です。

ヒロインのアナ役にリン・フレデリック、夫の建築家デヴィッド役にマーク・バーンズ、アナの友人アイリーン役にチャロ・ロペス。

名台詞

個人的には、当時の確か『スクリーン・イングリッシュ』に名台詞のコーナーで紹介されていたため、この映画を知るところとなりました。
その名台詞とは…… 

Today is the first day of the rest of your(my) life.

直訳すれば、「今日という日はこれからの人生の最初の日」といったところでしょうか。
とてもポジティブで前向きになれる言葉ですね。
残念ながらこの映画のオリジナルではなく以前からある言い回しのようですが……

このセリフにつられるように後ほど名画座へ観に行きましたが、映画の出来映えとしてはまあちょっとアレだったでしょうか……
でもリン・フレデリックという素敵な女優さんと出逢うことができたのが収穫でした。

リン・フレデリック

ヒロインのリン・フレデリック Lynne Frederick はとてもきれいな女優さんでした。 → Google画像検索
私的には、蟻さんたちが進化を遂げて人類を越えた次元に到達するSF映画『フェイズ IV 戦慄!昆虫パニック』が印象に残っています。蟻さんが人間代表として選ぶだけのことはある美貌……とは褒めすぎでしょうか。
清純派オンリーというわけでもなく、ルチオ・フルチの『荒野の処刑』では結構大胆なシーンもこなしていました。
IMDbのフィルモグラフィーを見ると、出演作は1970年から1979年までとなっていて、見事に70年代に活躍が限定されています。
正直作品にはそれほどめぐまれずに終わってしまったような印象もありますが、『ヘルハウス』のパメラ・フランクリンと並んで、同時期の記憶に残る美人女優さんです。

残念なことに私生活では生き急いだ人でした。

77年、22歳の時にピーター・セラーズと結婚。セラーズは4度目の結婚で、30歳近い歳の差カップルでした。
結婚生活は80年にセラーズが急死するまで続き、彼女はWikipedia(英語版)によると莫大な遺産を相続しています。

81年にデビッド・フロストと再婚しますが翌年離婚。
あの『フロスト×ニクソン』のフロストです。

82年に3度目の結婚。 91年に離婚後、93年に39歳の若さで亡くなっています。

ここで詳しくは書きませんが、同じくWikipedia(英語版)やファンサイトによれば、必ずしも幸福に満ちた状態ではなかった様子。
つらい時にあの”Today is the first day of the rest of my life.”が彼女の脳裏に浮かんだかどうか、もはや知る由もありません。

ロケ地

IMDbでは

Madrid, Spain
Mallorca, Balearic Islands, Spain
Segovia, Castilla y León, Spain
Venice, Veneto, Italy

撮影は主にスペイン。
ヴェネチアは新婚旅行で訪れます。

アナの家

超リッチな彼女の実家。
IMDbにあるこちらでしょうか?

Mallorca, Balearic Islands, Spain

ローマ帝国時代の水道

場所はIMDbのリストにあるこちら、セゴヴィアです。

344467242_8bdc6139bc.jpg Segovia, Castilla y León, Spain

公園&日時計

4349883232_34648abee4.jpg 池や日時計のある公園はマドリードのこちらだと思います。

Paseo de Recoletos

今回、この日時計を見つけられたのはうれしかったかも。
……で、これって日時計なの??

教会

結婚式を挙げた教会は、同じくマドリードのこちら。

3770130446_99618a94f5.jpg San Jerónimo el Real

2人の家(12/5/25追記)

海に突き出るように建つ眺めの良い家。
周囲の地形などから見つけることができました。

IMDbのリストにあるマヨルカ島。
その西端のだいたいこのあたり。

3kmほどのところに『わらの女』の別荘があるという、リッチなエリアです。

画像では、こういったところ。

ロケ地マップ

※17/2/12項目追加

スペインで撮影された映画のロケ地マップ

 
 
 
 

資料

更新履歴

  • 2017/02/12 「ロケ地マップ」項目追加

コメント

  1. harumi より:

    はじめまして。
    この映画が大好きでした。高校生の時映画のスチール写真を見て、しばらくしてテレビで観ました。俳優の柳生博さんが解説していて、「この映画が大好きだ」とおっしゃっていたのを覚えています。質問があるのですが、映画の冒頭の部分がたしかコンサートで二人が出会うシーンでした。忘れがたい名シーンです。このとき演奏されていた弦楽3重奏または4重奏曲は、なんと言う曲名なのでしょうか。ご存知でしたら教えてください。冒頭の部分は、ユーチューブでご覧になれます。映画はビデオにもなっていないので、もう2度と見られません。せめて音楽だけでも聴きたいです。よろしくお願いいたします。

  2. inagara より:

    harumiさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
    やっぱりテレビでも放送されてますよね。記憶があいまいだったので本文では書かなかったのですが。
    解説がハンターチャンスの方って、ずいぶん昔のような(遠い目)。

    冒頭の曲ですが、聞き覚えはあるのでおそらくオリジナルではなく実際のバロックだと思います。
    もう少しで思い出せそうですので(比較的浅めのモヤモヤっとした状態)、わかりましたら追記しておきますね。

  3. inagara より:

    harumiさん、曲はビバルディのトリオソナタ ト短調 RV85の第1楽章です。

    http://www.youtube.com/results?search_query=Vivaldi++trio+sonata++G+minor+RV85

  4. harumi より:

    inagara様、お教え下さいましてありがとうございました。長い間の疑問が解けてすっきりしました。バッハやビバルディの曲をいろいろ調べてもわからなかったのですが、当時B級映画といわれていたのでサントラではないと思いつつ、あきらめていたところでした。感謝!です。

  5. inagara より:

    お役に立ててうれしいです♪
    こんな感じでマニアックにやってるサイトですが、またいつでも遊びにいらしてください。お待ちしています。

  6. nov より:

    初めまして。お邪魔します。
    母から「昔すごく感動した映画があって、題名は確か熱愛で…」という話を聞いて、その話ぶりからその映画がとても良かった事が伝わってきて、興味が湧き、ぜひ見てみたいと思って探していたところ、こちらのサイトに辿り着きました。
    DVD等のメディア化はされていないんですね…残念です。オンデマンドでも良いのでいつか見てみたいです。

    こちらのサイトのおかげで母の記憶が確かなことが証明されました(笑)本人も喜んでいました。ありがとうございました。

  7. 居ながらシネマ より:

    novさん、コメントありがとうございます。
    お母様がご覧になっていたのですね。お~素晴らしいです。 🙂
    この記事を最初に書いた時は、どうせマイナーな映画だし……と自分自身に向けたメモのような気持ちだったのですが、いただいたコメント拝見すると、意外と多くの方の記憶に残っている映画なのかもしれませんね。

    今Youなんとかを検索したら、なんと全編アップされていました。

    https://youtu.be/r_GFLBNq-v8

    本当は由緒正しいソフトで日本語字幕付きで見られれば一番良いのですが、それまではこんな風にネットでやりくりするしかないかもしれませんね。
    そのうち削除されてしまうかもしれませんが、ぜひお母様にもご覧になっていただいて、記憶が確かだったことを実物で確認していただければと思います。

  8. 1960年生まれの男HSです。 より:

    ふと冷凍保存のスペイン映画を想い出し、題名も忘れてしまいましたが、このサイトにたどり着きました。youtubeの情報などを教えていただき、ありがとうございました。視聴させていただき、とても懐かしかったです。今から40年ぐらい前に、題名に魅かれ、深夜テレビで視た記憶があります。当時は、結構感動したことを覚えています。女優さんは、若くして亡くなられたのですね。40年の間に、ネットが急速に普及し、つくづくその恩恵を感じている今日この頃です。

  9. 居ながらシネマ より:

    1960年生まれの男HSです。さん、コメントありがとうございます。
    おっしゃる通り、ネットの恩恵は凄まじいものがありますね。
    弊害もあるのでしょうけど、うまく使えばこんなに便利なものはありません。
    なにより、検索でこのページをご覧いただけること自体が、ネットがなければありえないわけでして。 🙂
    こういうおそらく少々マイナーだけど心に残る映画は、一度見た方にとっては永遠のものとなるのでしょうけど、いざ「何だったけ?」と気になると、案外タイトルすら浮かばなかったりして、モヤモヤっとするかと思います。
    そんな中で拙記事に来ていただいたということは、管理人としても「サイトやっていてよかったかも」とうれしい限りです。
    他にもお役にたつ記事があるかもしれませんので、またお気軽にお立ち寄りください。
    ありがとうございました。

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