Rocky Road
作品メモ
少し前に書いたエントリー『ウィークエンド・ラブ』でとても良い味出していたポール・ソルヴィノ(Paul Sorvino)の初主演作。他に主演作があるかどうか知りませんが……
この映画で彼は新聞のコラムニストを演じています。
都会の片隅で生きている人たちの様々な姿を取材しては記事にする人情味あふれるキャラです。
そんな彼が近くに引っ越してきた美女と知り合いになります。
バレリーナの彼女はリンカーン・センターでのステージを控え猛練習にはげむ毎日。
しかし実は足に痛みを抱え、これ以上続けると二度と踊れなくなってしまうと医者から言われているのです。
次第に心を寄せ合う2人。
はたして彼女は当日ステージに立つことができるでしょうか、そして2人の恋の行方は?
といったけっこうベタな物語です。
なによりこの映画を特徴付けているのが、監督がジョン・G・アヴィルドセンで音楽がビル・コンティというところ。
アヴィルドセン監督にとっては『ロッキー』に続く作品。
監督だけだった前作と違って、製作、編集も担当する張り切りよう。
つまりは『ロッキー』の成功を受けて、自分でもいっちょうやってみるか、という流れですね。
そうなると嫌な予感がするわけですが(汗)、肝心の出来映えはと言いますと、やはり少々惜しいところが出てしまっているような気がします。
なによりシナリオが練り切れていなくて、ご覧になった方はおわかりかと思いますが、主演の(ヒロインとは別の)相手の女性のことや少年のエピソードなど、御世辞にもお話がうまくころがっているようには見えませんでした。
ラストのリング、じゃなかったステージに向けてもっと盛り上げて欲しかったのに……
当時の『TIME』の映画評で”Rocky Road”と皮肉られていましたが、 [1]November 20, 1978 そのへんが妥当な評価かもしれません。
それでもエントリーを残しておきたかったのは、やはりビル・コンティの音楽が印象に残っているから。
オープニングの朝まだきの場面でオーボエが静かに奏でるテーマ曲。そしてそれに続くピアノの優しいタッチ。
もしかするとこの映画は傑作なのではと錯覚させるのに十分な雰囲気を持っていました。
クライマックスのステージ場面では、長めの渾身のスコアで盛り上げます。
それに乗って、いつ足が「ピシ」っというかわからないヒロインが踊り続けるのです。
最初で最後の晴れ舞台。頼むから感動して。ここで泣かないでどーするの的場面となっておりましたが、ここでも(しつこく)テーマ曲が顔をのぞかせていたことは言うまでもありません。
まあ正直バレエ曲という感じがあまりしませんでしたが、映画全体のノリからすればむしろこれで十分。
そのままエンドクレジットの音楽(もちろんテーマ曲の情緒纏綿たるアレンジ)へと流れ込んでいきます。
全体として当時のビル・コンティの勢いを感じさせるなかなかのお仕事ぶり。
サントラ(LP)買いましたが、ジャケットがメイン・ビジュアル――2人がビルの屋上でニューヨークの夜景をバックに見つめ合う図式――だったので、レジで結構恥ずかしかった記憶があります。
ヒロインのアン・ディッチバーン(Anne Ditchburn)Wは新人で、ホンモノのバレリーナだそうです。
IMDb見る限り映画の世界ではあまり作品数がないようですが、きっと本業の方で活躍を続けたことと思います。
さて、あれこれ書いてきましたが、今からこの映画を見るとなると少し難しいかもしれません。
日米ともにおそらくビデオはないと思います。
アメリカでもほとんど忘れられている映画でしょうから、今後のDVD化も望めず。
私自身むか~し名画座で見たことがあるだけです。
ビデオもなく記憶のみに頼ったエントリー。間違いがありましたらご容赦を。
▼21/2/23 追記
Youなんとかに全編アップされていたので、それを参考にロケ地をいくつか追記しました。
追記
「忘れ去られている」とか書いてしまいましたが、どっこい少なくとも音楽は意外なところで生きていました。
いつまであるかわかりませんが。
ひとりでスローダンシング! 😀
ちなみにこの曲はラストシーンからエンドクレジットにかけて流れる曲です。
音源は?と気になりますが、『F.I.S.T. 』とカップリングでCDが出ていたようです。もう入手できないみたいですが。
http://www.amazon.com/gp/product/B000N6JYRG/
※19/7/27追記
動画が削除されていたようですので、代わりにこちらをどうぞ♪
ロケ地
The Big Cityとはもちろんニューヨークのこと。
プログラムには「ドラマを高揚させる第3の”主役” ニューヨーク・シティ」という文章があります。
市内のロケを効果的に使っていたようですね。
残念ながら具体的にどこだったのか、ほとんど覚えていません。
せめてメインビジュアルの屋上だけでも場所がわかるとうれしいのですが。
▼21/2/23 追記
Youなんとかに全編アップされていたので、それを参考にいくつか追記しました。
OP
▼21/2/23 項目追加
新聞を配る車が通過するところ。
w40th stの現在バスの駐車場となっているあたりでしょうか。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図・南向き)
- 40.758739, -73.997430
少年と話す公園
▼21/2/23 項目追加
0:23
少年に話しかけた公園は、ブルックリン、マンハッタン橋の西側。
だいぶ変わっていると思いますが、今でも遊具は確認できます。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図・東向き)
- 40.704047,-73.990158
夜の陸橋
▼21/2/23 項目追加
0:43
ロジャーがサラを追いかけてくるところ。
Tudor City Place。下は42nd St。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図・西向き)
- 40.749074,-73.970464
1:15も同じ橋で向きが逆。
背景は国連ビル。
地下鉄の車両基地
▼21/2/23 項目追加
0:53
屋上
▼21/2/23 項目追加
0:58
気になる屋上ですが、カメラの向きによってWTCのツインタワーやエンパイア・ステート・ビルディングが見えているようです。
それぞれの見え方やアングルなどから逆算すると、ハドソン川の対岸、ニュージャージー州ジャージー市のニューポート(Newport)Wのあたりと思われます。
もしそうだとしますと、そこは1980年代に大きく再開発されていて、残念ながら映画に登場したビルはもうなさそう……
想定される位置は、だいたいこのあたり↓
- Google Maps
- 40.727651,-74.033026
言い争い
▼21/2/23 項目追加
1:21
リンカーン・センターを言い争いしながら通っていくふたり。
最初は、W 65 st側の階段。
- Google Maps(SV)
- 40.773282,-73.983204
その後は劇場の下、噴水の前、正面階段とわかりやすいコース。
ラストのステージ
ヒロインが目指した舞台は、リンカーン・センター(おそらくメトロポリタン歌劇場)という設定です。
実際の撮影は、ニュージャージー州のニューアークにあるNewark Symphony Hallで行われました。
http://www.newarksymphonyhall.org/
ホントのリンカーン・センターはこちら。
http://www.lincolncenter.org/
資料
更新履歴
- 2021/02/23 「少年と話す公園」「夜の陸橋」「地下鉄の車両基地」「屋上」「言い争い」項目追加 「作品メモ」更新
- 2019/07/27 「追記」に動画追記
References
↑1 | November 20, 1978 |
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コメント
ありがとうございます。
子供の頃、テレビでやっていた「ふたりでスローダンス」をビデオにとって何度も見ていました。
当時、フィギアスケートでもアイスダンスの選手がたぶんNHK杯で演技に使っていました。
ラストのポーズが映画と同じでした。もう忘れましたが。
みんなビデオに残して昔は何度も見ていたのですが、数年前に断捨離でいろいろ捨てた中に入ってました。
でもあの美しかった音楽が思い出せずずっと気になって仕方なくて、今なんとなく検索したら!!!
嬉しくて懐かしくて涙がどんどん湧き出てきました。
感謝しかありません。
ありがとうございます!
猫の箱さん、コメントありがとうございます。
おお、テレビ放映の録画をお持ちだったのですね。私は昔名画座で見たきりですが、サントラLPのおかげで記憶をだいぶ維持できたように思います。そのくらい音楽が良かったですよね。
NHK杯フィギアスケートで使われたとのことですが、拙記事で埋め込んでいて今は見られなくなっている動画もやはり海外のフィギアでした。この曲、フィギアと相性いいのかもしれませんね。
その動画は確か女性のソロの演技でしたが、アイスダンスならバッチリふたりでスローダンスですね 🙂
今YouTube見たら、全編アップされてました 😮
いやーなつかしいですねー、後でちゃんと見てみます。
どうも、こちらの映画も観ることが可能な状況になっているとのことで何よりです。あるいはなんですが、監督さんがお亡くなりになったことが鑑賞可能となった理由の1つかもですね。「夜叉ヶ池」も、たぶん篠田監督が高齢になったために玉三郎が態度を軟化させた可能性があるかと思っています。
一部の映画は、主演俳優やプロデューサー、監督らが再上映、ソフト化、配信に難色を示すことがあり、私は映画というものは公共財だと思いますので、そういうことは最大限なんとかしてほしいと思いますが、そうも行かないことも多いですよね。三島の「憂国」なども、未亡人が亡くなってようやく公開が可能になったわけですから。そういう意味で言うと、某実業家氏が有名監督に多額の資金を提供して映画を作って、その後再公開、ソフト化が全く実現しないのも本当に困ったものです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E6%9C%AC%E6%BA%90%E5%8F%B8%E9%83%8E#%E6%98%A0%E7%94%BB
Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
いやこれ、40年ぶりぐらいの鑑賞でしたが、感想は昔と変わらず(汗)。でもロケ地チェックは楽しめました。
ちょっと調べたら米アマゾンで配信されていましたが(日本では鑑賞不可)、レビューで☆ひとつだけ付いてますね(汗再) 自分的にはともかく見られたので、大満足でありますが。
アビルドセン監督的にはこの作品を振り返ってどうだったのでしょうね。
この監督さん、でんでん大鼓の『ベスト・キッド2』はなんちゃって日本がなかなかよろしいのでそのうちエントリー書くかもしれません。
おっとそういえば月が変わったので衛星劇場契約しなくては 🙂