『ギルバート・グレイプ』とはネガとポジ
作品メモ
前のエントリー『ギルバート・グレイプと表裏のような作品に思えるので、続けてエントリー立てます。
共通項はざっとみても……
田舎町の閉塞感、人妻との関係、父親の喪失、障害を持った子(しかもキャップかぶってます)、ガールフレンドが救いに?、給水塔……
でも扱い方といいますかベクトルの方向が少し違っていて、まるで『ラスト・ショー』をネガにして『ギルバート・グレイプ』というポジを起こしたかのように異なる肌触りになっています。
『ラスト・ショー』は夢もチボーもなく、切ない青春というよりひたすらシビア。
閉塞感や陰鬱度においてアメリカン・ニュー・シネマのある意味完結編のようなレベルに達しています。
ボグダノヴィッチは『殺人者はライフルを持っている!』からこの作品を経て『ペーパー・ムーン』あたりまででしょうか。
それ以後は残念ながらあまり印象に残っていません。
『ラスト・ショー2』も観てみましたが、蛇足度数が高いように感じてしまいました。
ティモシー・ボトムズも年齢とともに目立った役がなくなってしまったような。
今で言うと、ジェイク・ギレンホール的ポジションだったように思うのですが。
彼の弟、サム・ボトムズはこれが映画デビュー。撮影現場に来たところを監督に見出されたとか。
(追記)残念なことに2008年暮れに脳腫瘍で亡くなっています。
シビル・シェパードもこの映画がデビュー作。
ぴったりのキャスティングでしたね。
ロケ地
IMDbでは
115 East Main Street, Archer City, Texas, USA (picture house)
Archer City, Texas, USA (town: Anarene, Texas)
East Main Street, Archer City, Texas, USA (picture house street)
Hamilton Hospital, Olney, Texas, USA
(hospital where Sonny recovers from beating)
Lovett-Meredith Clinic, Olney, Texas, USA
(Doctor’s office where Sonny takes Mrs. Popper)
Royal Theatre – 116 S. Sycamore Street, Archer City, Texas, USA
St. Augustine, Florida, USA
Wichita Falls, Texas, USA
町
舞台となるのはテキサスのひなびた町アナリーンAnarene ですが、架空の場所です。
実際の撮影はテキサス州の Archer City。
ビリヤード場(跡地)
ビリヤード場の建物はもうなくなっています(左側の建物は残っていますが)。
映画の時点でもかなり痛んでいましたので、もしかするとセットだったのかもしれません。
向かいのガソリンスタンドも廃業しています。
映画館
IMDbで書かれているようにこちら。
SVでオープニングと同じようなアングルにしてみました。
- Google Maps(SV)
“ROYAL”という看板がそのままかかっていますが、実はこれ町おこしのために再建されたもの。
劇場の歴史は公式サイトのこちらをどうぞ。
http://royaltheater.org/about2.html
上のページをご覧のように、映画館は1965年の火事で壁も天井も崩れそのまま放置されていました。
外観と入口付近だけここで、内部は別の場所での撮影だったことになります。
学校
ここは実際の学校です。
RIG WAM DRIVE INN
看板に給水塔の絵が描かれています。
病院
Hamilton Hospital, Olney, Texas, USA
http://www.olneyhamiltonhospital.com
コーチの奥さんを連れて行ったのは、ここの並び。
コメント
論点の多い映画ですが、一途な女を演じたクロリス・
リーチマンがいい。この人を見るために、この映画を何度も見ている。ちょうど2021年の1月に亡くなった。
mutekiさん、コメントありがとうございました。
亡くなっていたのは知りませんでした。『ラスト・ショー』は本当にいい役といいますかいい演技でしたよね(「2」は記憶に残っていませんが……)
もしかするとこのエントリーを書いて以来見ていないかもしれませんが、急に『ラストー・ショー』見たくなってきました。