作品メモ
『モンタルバーノ ~シチリアの人情刑事~』 Il commissario Montalbano 、『REX ~ウィーン警察シェパード犬刑事~』 Kommissar Rex と「コミッサール」が主人公のドラマをチェックしてきましたが、もう一本。
こちらは同じ「コミッサール」でもロシア十月革命期に赤軍に同行していた政治将校のこと。
allcinemaのロシア語原題は«КОМIИССАР»となっていますが、またもや間違えていて[1]『モスクワわが愛』、『戦争と平和』などで綴りミス、正しくは«КОМИССАР»です。
ヒロインはそのコミッサール。
赤軍部隊とともにとある町へ進軍してきますが、実は同志の子を宿していて悩んでいます。地元のユダヤ人一家の世話になり、密かに出産しますが、敵軍迫る中部隊は撤退することになり……
……といったお話。
革命50周年記念ということで1967年に制作されるも、おそらくユダヤ人関連の描写が検閲にひっかかりお蔵入り。
20年後ペレストロイカやグラスノスチの時代となってようやく公開され、ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)他受賞など評価を得ています。[2]当サイトでは年代表期は公開年を基準にしていますが、この映画に関しては1967の方を採ることにします。
きちんと理解するにはいろいろと予備知識が必要かもしれませんが、難しいことを抜きにして一本の映画としてとらえても、はっとするようなカットが随所に見られ、印象に残る映画となっています。
スタッフ&キャスト
監督・脚本アレクサンドル・アスコリドフ(Александр Аскольдов)。悲運にも映画はこれきり撮ることができませんでした(ドキュメンタリーを2本撮ったのみ)。
撮影ワレリー・ギンズブルグ(Валерий Гинзбург)、音楽アルフレート・シュニトケ(アリフレード・シニートケ Альфре́д Га́рриевич Шни́тке)。ゴーリキーフィルムスタジオ(Киностудия имени М. Горького)。
原作はヴァシーリー(ワシーリー・)・グロスマン(Василий Семёнович Гроссман)の最初の短編小説«В городе Бердичеве»(「ベルディーチェフの町で」)。
おそらく未訳で、原文はたとえばこちら↓(テキストへの直リンク)
- http://lib.ru/PROZA/GROSSMAN/r_berdichew.txt
ヒロインのコミッサール、クラウディア・ヴァヴィロワ(Клавдия Вавилова)にノンナ・モルジュコーワ(Нонна Мордюкова)。
世話になった家の主人ブリキ職人エフィムにローラン・ブイコフ(Ролан Быков)。
その妻マリヤにライーサ・ネダシュコフスカヤ(Раиса Недашковская)。
赤軍指揮官にワシーリイ・シュクシン(Василий Шукшин)。
ロケ地
IMDbには表記がありません。
他に特に資料もなかったため、例によって本編の画像やウェブマップとにらめっこで調査していきました。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
この映画に関しては「あの町はどこ?」の一点となるかと思いますが、設定では(おそらく)ウクライナ。
ウクライナ各地の町の画像をかれこれ2時間余り見続けて、ようやく南西部のこちらであることがわかりました。
カームヤネツィ=ポジーリシクィイ(Ка́м’янець-Поді́льський, Kamenets Podolskiy)W
ロシア語ではКаменец-Подольский(カメネツ=ポドリスキイ)。
斥候
タイトルバックで斥候の兵士が川向こうの町に向かって馬を走らせるショット。
カメラ位置はこのあたりで、カメラ北向き。
続いて坂道を上ってきた斥候が右折してくぐった塔は町の北側のこちら↓
内側(南側)。
その後広場に来た斥候が左手へ進むのを横からとらえたショットは、このアングル↓
カメラ西向き。
今では広場に建物が建ち、視野をふさいでしまいます。
そのショットで手前にポーチのシルエットが入り込んでいますが、こちら↓の建物のもの。
なのでカメラ位置はこの建物の前と特定できます。
今ではポーチ部分はなくなり、建物本体だけ残っています(1:16頃、赤軍が撤退する場面で、建物全体が写されます)。
隊列が上ってくる坂
0:07頃、隊列が上ってくる石畳の坂はおそらくこのあたり↓
老人の俯瞰
0:15頃、広場(上記とは別)を左手へパンしながら俯瞰で見るショットで、最初に写る高い塔はこちらの教会↓
カメラ南向き。
老人が陣取ったのはこの石の壁の前。
老人の前をヒロインともう1人が横切っていきますが、こういったアングル↓
奥に見える塔はこちら↓
その後下っていくのはおそらくこの↓坂道。
通り過ぎる教会
1:00頃赤ん坊を抱いて通り過ぎるところ(司祭と立ち話をした後の場面)。
ラスト近く、馬車が駆けていく場面でも、この教会の前が写ります。
原作の舞台(参考)
Бердичев(ベルディチェフ)はウクライナの実在の地名。
マップではこちら↓
ロケ地マップ
ウクライナが舞台の映画
資料
更新履歴
- 2016/05/30 新規アップ
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