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『イタリヤ式奇跡』 C’era una volta (1967)

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作品メモ

『シシリーの黒い霧』『パレルモ』『ローマに散る』『遙か なる帰郷』と、いかにもフランチェスコ・ロージ監督的な社会派映画をチェックしてきましたが、最後にこちら。
とても同監督作とは思えない、コスチュームもののラブコメです。[1]邦題は、当時のビジュアルはほとんどが「奇跡」ですが、一部「奇蹟」の表記も見受けられました。
IMDbでも「奇蹟」。

二枚目の快男児(古っ)、でもちょっと傲慢で自分の思い通りにならないと気が済まないところもあったりする王子と、自分の意思をしっかり持ち言いなりになることを良しとしない美しい村の娘が出会い、はじめはソリがあわなかったものの、気がつけば相思相愛、困難を乗り越えて身分違いの恋を実らせていくという、ツンデレとシンデレラを合体させたようなツンデレラ物語。

イタリア語原題の«C’era una volta»は、英語なら”Once upon a time”。[2]同年のセルジオ・レオーネ監督『ウエスタン』のイタリア語原題は«C’era una volta il … Continue reading
おとぎ話で「むかしむかし……」と来たら、それはもうハッピーエンドが約束されたようなもので、途中何が起きても安心して見ていられるというもの。
ラストはテロップこそ出ませんが、誰の脳裏にも「そして二人はずっと幸せに暮らしました」が浮かぶことでしょう。  ⇒ IMDb Photo
めでたしめでたし♪

主演はソフィア・ローレンとオマー・シャリフ[3]クレジットはソフィア・ローレンが先
代表作が目白押しの60年代の作品らしく、2人とも乗りに乗った感じで、画面狭しと魅力を振りまいています。
2人の出演作の中では埋もれてしまうような小品かもしれませんが、自分にとっては昔テレビで何度も見て、深く印象に残る作品であり、大好物。ん十年経った今でも、十分楽しむことができます。
今どきこういったおとぎ話は見向きもされないかもしれませんが、他愛のない話でも、スターが登場し、しばしうっとりさせてくれれば映画って十分でないの?と思ったりして。

監督脚色(共作)フランチェスコ・ロージ。
ホントにこれ監督がフランチェスコ・ロージ?
と疑いたくなる方は、こちらをどうぞ。 ⇒ IMDb Photo
リハーサル中の3人。なんだか楽しそう。

製作カルロ・ポンティ……ということで、ソフィア・ローレンと夫婦共稼ぎ映画。
撮影パスカリーノ・デ・サンティス。

なんともロマンティックな音楽は、ピエロ・ピッチオーニ。
ロージ監督と組んだ『シシリーの黒い霧』や『コーザ・ノストラ』とは雰囲気がだいぶ違います 😅

サントラは他にたとえばこういった↓ところなど。

サブスクや購入なら、たとえば↓


こちら↓は中程の盛り上がる一場面。


こちら↓は名場面、お皿洗いコンテストからラストまで。
途中数分カットされていますが、ほぼまるごと。

イタリヤ式な映画

本作の邦題、よく見るとイタリ「ヤ」で、「ア」ではありません。
イタリアとイタリヤ。どちらかと言えば「イタリヤ」の方がちょっとレトロな響きでしょうか。
allcinemaで検索すると、「ヤ式」はこの1本のみ。

  • 『イタリヤ式奇跡』 C’era una volta (1967)

「ア式」の方は、愛すべき『イタリア式バス旅行』をはじめ何本もあるはず……と思いきや、この5本。もっとあるかと思っていました。

  • 『イタリア式サッカー狂騒曲』 L’Arbitro (2013)
  • 『イタリア式恋人アタック作戦』 IL MASCHIO RUSPANTE (1972)
  • 『イタリア式バス旅行』 TVM MAGIC CARPET (1971)
  • 『イタリア式愛のテクニック』 COME IMPARAI AD AMARE LE DONNE (1966)
  • 『イタリア式離婚狂想曲』 DIVORZIO ALL’ITARIANADIVORCE-ITALIAN STYL (1961)

最初が『イタリア式離婚狂想曲』のようですが、これはこのあとすぐ取り上げる予定。

イタリア語版と英語版

両方比べてみましたが、俳優によっては吹き替えではなく同じシーンをイタリア語と英語で別々に撮影していました。
演技やそれを捉えるカメラワークと編集はうり二つですが、動きが大きい場面ですとどうしてもちょっとずつ異なっているのがわかります。
たとえば、王子が彼女を突き飛ばして白馬を奪い返す場面で(0:13)、英語版ではソフィア・ローレンはうつ伏せに倒れますが、イタリア語版では仰向けにひっくり返っています(頭打たないかとヒヤリハット……)。
また動きが少ない場面でも、アップになれば唇の動きがそれぞれの言語になっているのがわかります。

主役だけでなく、子役まで2つの言語を使っているのにはビックリ。
ネイティブでない方の言語はおそらく吹き替えられていると思いますが、ソフィア・ローレン姐さんは、イタリア語英語どちらもご本人のような。

こちら↓はイタリア(語)盤。

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こちら↓は英語盤のようですが、リージョンはどちらでしょう?

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空飛ぶ聖人

ぷかぷか浮いて登場する人物は、クペルティノの聖ヨセフ。

Joseph of CupertinoW

演じたレスリー・フレンチは、たとえば『山猫』で中央政府からやってきたシュヴァレ。

パスタのいただき方

ラストの祝宴で、パスタが大盤振る舞いされます(上掲動画では、その場面はカット)。
そこで、詰めかけた一般庶民は我先にと手づかみで頬張りますが、これがフォークが普及するまでは普通の食べ方。

パスタの食べ方については、よく「日本人はスプーンの上で丸めるが、イタリアでそんなことするのは(うまく食べられない)子供だけ」とか書かれているのを見ますが……

あら? こちら↓はもしやソフィア・ローレン姐さん 😊 ??

そういえば、最近チェックした映画でも、『ゴッドファーザーPartII』では左手でスプーンを使っていましたし(1:53)、『シシリアン』でもマの人たちの集まりで、スプーンを使っている男がいました(1:29)。

ロケ地

IMDbでは、

Bracciano, Rome, Lazio, Italy
Cinecittà Studios, Cinecittà, Rome, Lazio, Italy
Matera, Basilicata, Italy
Odescalchi Castle, Bracciano, Rome, Lazio, Italy
Padula, Salerno, Campania, Italy

Wikipedia(イタリア語)にも少々記載がありましたが、いまいちたどりつけることができませんでした。

以下例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

宮殿

イタリア、チレントのこちら↓

パドゥーラ修道院(Certosa di Padula)W

前庭

冒頭登場する宮殿の前庭↓

台所

食事の支度(1:08)の他、ラブシーン(1:21)でも登場。ホンモノの台所でした。 ⇒ IMDb Photo

教会

1:13
ヒヨコがひょこひょこ入っていった荘厳な部屋。
宮殿のチャペルといった設定でしょうか。

皿洗いコンテスト会場

1:26

お皿洗いでお嫁さんを決めるなんて昭和の時代にもなかったと思いますが、おとぎ話なので許して 😅

回廊

泣きながら駆けていく回廊↓

披露宴会場

大回廊の中庭。

王子が訪れた修道院

0:07
落馬した王子がやってきた白い建物。
上空を聖ヨセフがぷかぷか浮かんでいます。
普通の建物にも見えますし、調査は難しそう。

修道院

0:36
王子が食事中魔法をかけられて固まってしまったところ。
大人たちが子供を追いかけてくるショットで背景に写る教会は、こちら↓の集落のもの。

Borgo e Castello di Rota(ロータ)W

Wikipediaにも書かれていますが、この場所はイタリア映画によく登場するようですね。

騎馬戦

0:52

ローマ郊外のこちら↓

マクセンティウスの競技場(Circo di Massenzio)W

お城(外観)

1:02
おふれが出されるのは、こちら↓の前。

Odescalchi CastleW, Bracciano, Rome, Lazio, Italy

資料

更新履歴

  • 2022/10/26 新規アップ

References

References
1 邦題は、当時のビジュアルはほとんどが「奇跡」ですが、一部「奇蹟」の表記も見受けられました。
IMDbでも「奇蹟」。
2 同年のセルジオ・レオーネ監督『ウエスタン』のイタリア語原題は«C’era una volta il West»で、タイトルがかぶっています。『イタリヤ式奇跡』の実際の英題は”More than a Miracle”。『ウエスタン』の英題はそのまま”Once Upon a Time in the West”。
3 クレジットはソフィア・ローレンが先

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