『モスクワわが愛』 Москва, любовь моя (1974)

【映画チラシ】モスクワ わが愛・栗原小巻//邦・ハマ

『惑星ソラリス』パート2?

作品メモ

ひとつ前のエントリー『モスクワは涙を信じない』からもう一本モスクワつながり。
『戦争と平和』の記事内でもちらりと触れましたが、栗原小巻さんがヒロインを演じた日ソ合作映画。
ボリショイバレエ団の一員に迎えられた日本のバレリーナとロシアの青年との愛を描きます。

ロシア語原題も同じ意味。
allcinemaでは«МОСКВА ДЮБОВЬ МОЯ»となっていますが、ЛЮБОВЬ(リュボーフィ)が正解。
愛だろ、愛……
『戦争と平和』の原題も綴りが間違っていましたので、allcinemaのロシア語は要注意かも。コピペするときはちゃんとチェックしなくては…… 1)他に気づいたところでは、アレクセイ・ゲルマン監督の『道中の点検』で、原題の«Проверка на дорогах»がアルファベット表記で”TROVERNA NA DOROGAKH”となっていますが、”TROVERNA”は”PROVERKA”が正解(「プラヴェールカ」で「点検」の意)。
もっともあらゆる日本の映画サイトが”TROVERNA”と書いているようですので、大もとの資料が間違えたのかと……(IMDbでは正しく”Proverka na dorogakh”となっています)。

allcinemaでは「東宝とモスフィルム製作による、初の日ソ合作映画」とありますが、『小さい逃亡者』(1966)の方が先でしょうね。そちらの解説でも「初の日ソ合作映画」と書かれてますし……。
それとも「東宝とモスフィルムの合作はこれが最初」の意味でしょうか??

『モスクワわが愛』は日本ではソフト化されていませんが、何度か触れているようにYouTubeのモスフィルムのチャンネルで由緒正しく見ることができます。

今回もこれでチェック。
今見返すと、ヒロインの病気のとりあつかいを含めて古色蒼然たる部分があれこれ目につくような。
併映は「えんや~とっと」の『青春の蹉跌』だったそうですが、並べてしまうとさらに鮮度の違いが目立ってしまうかもしれません。

とはいえ、ヒロイン百合子役の栗原小巻さんはこの映画をきっかけにかの国で大人気となったと聞きます。
『君よ憤怒の河を渉れ』が中国で公開されたとき、中野良子さんが人気を博したのと同じでしょうか。
海外の、特に体制の異なる国の人々に強い関心を持ってもらえたのであれば、変に小難しい映画よりはずっと大きな役割を果たしたと言えるかもしれませんね。

お相手の二枚目ヴァロージャを演じたのは、オレグ・ヴィドフ(Олег Борисович Видов, Oleg Vidov)。
日本側は、友人哲也に斉藤真さん、叔父野川に下絛正巳さんが出演。

監督アレクサンドル・ミッタと吉田憲二。
『鴎よ、きらめく海を見たか めぐり逢い』(1975)の監督さんですね。う~む……

ロケ地

IMDbでは記載無し。

テスト会場

先生たちの後ろの窓に見える景色は、東京の目白駅西口ですね。
通りは目白通り。

ということは、会場の建物は駅の東側、線路際のこちらとなります。

By inagara (CC BY 2.0)

ここに建っていた建物は、目白駅前の名物ビル、ショッピングプラザ「コマース」。
だいぶ前から「年季が入ってる感」たっぷりでしたが、とうとう昨年解体されました。
最上階にはバレエ教室が入っていましたので、おそらくそこで撮影されたものと思われます。

珍しく自前の画像をどうぞ。撮影は2010年5月。

雑踏

百合子がうれしそうに駆けてくる雑踏は渋谷駅前スクランブル交差点。
QFRONTはもちろんまだありませんが、三千里薬品はちゃんと見えますね(笑)。

その後百合子がくるっと回転するのは、渋谷駅東口、今はなき東急文化会館前。カメラ南向き。
背景の東急東横線渋谷駅も、今や解体が進んでいます。

立体交差&高速道路

0:02:30。
その直後の立体交差の俯瞰ショットは、赤坂見附の立体交差。
なんと『惑星ソラリス』のそれとまったく同じアングルで、目線の高さも同じです。
日中であることと、合成を加えていないことから、道路構成がよく把握できますね(カメラ西向き)。

使い回しとは思いたくないので(笑)、『惑星ソラリス』同様今は建て替えられているこちらのビルの屋上から同じように撮られたのではないかと推察することにします(カメラ西向き)。

……と気を取り直したのもつかのま、その後0:05:30頃に、同じ場所が夜景で登場。
今度は多重露光の効果付きで、もう『惑星ソラリス』と全然区別が付きません 🙄

さらに続く高速道路のショットでデジャブが全開。
そのままタイトルバックとなり、«КОМАКИ КУРИХАРА»と栗原さんのお名前がキリル文字表記で映し出されます。  

実は同じような栗原小巻さん主演の日ソ合作映画『白夜の調べ』(1978)にも、首都高が登場します。
こうなるともはや『惑星ソラリス』3部作?

モスクワ市内

ここから先、「なんちゃって」ではないホンモノのソ連モスクワロケ。

Театральный проезд(劇場通り)のこのあたりを西へ向っています。

劇場

ボリショイ劇場(Большой театр)W

川の上の駅

0:33。
『ひまわり』で登場したВоробьёвы горы(ヴァラビヨーヴィ・ゴールィ、雀が丘)駅W

By Harald Kucharek
via Wikimedia Commons
(public domain)

サマルカンド

0:47。
哲也が訪れたのは、セリフ通りサマルカンド。
最初のショットはレギスタン広場Wの北東側。
カメラ南西向き。

このあたり↓の画像がどんぴしゃりでしょうか。

噴水

百合子が倒れたところ。
ボリショイ劇場前でしょうか。

保養地

来年2月冬季オリンピックが開かれるソチ(Сочи, Sochi)W
ヴァロージャが働いていたのは、こちらのコンサートホールの建設現場と思われますが……。

By Соломин А.В. via Wikipedia (public domain)

ФестивальныйW

ただこちらだとするとこけら落としが1979年のようなので、ちょっとかかり過ぎのような気もします。

参考までに、冬季オリンピックスタジアム Фишт (Fisht)Wはここから2,30km南東のこちら。

水遊び

大きな建物の前で子供たちが水遊びしていたのは、ヴァロージャと再開した場所からはだいぶ冬季オリンピック会場寄りのこちら。

このあたり、同じような形の建物が何棟か並んでいますね。
保養施設を利用する人々向けの物件でしょうか。

参考までに、スターリンの別荘はこちら。

ロケ地マップ

 
 

資料

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海外ロケを行った日本映画


References   [ + ]

1. 他に気づいたところでは、アレクセイ・ゲルマン監督の『道中の点検』で、原題の«Проверка на дорогах»がアルファベット表記で”TROVERNA NA DOROGAKH”となっていますが、”TROVERNA”は”PROVERKA”が正解(「プラヴェールカ」で「点検」の意)。
もっともあらゆる日本の映画サイトが”TROVERNA”と書いているようですので、大もとの資料が間違えたのかと……(IMDbでは正しく”Proverka na dorogakh”となっています)。

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