作品メモ
このところ続けている(ちょっと昔の)日本が舞台の外国映画シリーズ。
京都代表が1つ前のエントリー『ゴースト・イン・京都』ではあんまりなので(汗)、こちらも取り上げてみます。
朝鮮戦争時日本に転任してきたアメリカの軍人と日本人女性との物語。
そんな設定に『蝶々夫人』を連想し、さらに「サヨナラ」というタイトルがまたなんとなく怪しそうな雰囲気をかもし出していて、つい食わず嫌いをおこしている方もいらっしゃるかと思います。
どーせアメリカから見た上から目線の、ステレオタイプな日本と都合の良い女性像だろうと……。
実は私もそうでしたが、DVDが出たときに初めて見て(10年ぐらい前でしょうか?)、想像していたよりはずっとマシで驚いた記憶があります。
2時間半という長さも苦にならず、最後の展開には感動すらしてしまいました。
もちろん文化論的に秘められたコードをあれこれ読み取ることは可能でしょうが、この時代ここまでできれば上出来だと思いますし、『ラスト・サムライ』の優秀な先輩という気もします。
アカデミー賞の助演女優、助演男優、セット、録音の4部門で受賞。主演男優、撮影、監督、編集、作品、脚色でノミネートという、堂々たる映画。
今なら気軽にレンタルもできますので、食わず嫌いの方も一度はご覧になってみてはいかがでしょうか?
そして50年代のマーロン・ブランドのかっこよさも是非ご堪能を……
キャスト&スタッフ
神戸へ転任してきたアメリカ空軍エースパイロット、ロイド・グルーバー少佐(Major Lloyd Gruver)にマーロン・ブランド。
後述のように実際に来日して、京都や東京で撮影を行っています。
マーロン・ブランド出演作は『八月十五夜の茶屋』も舞台が日本ですが、その他『モリツリ』にもちょっとだけ日本が登場しています。
彼が見そめた歌劇団のスター、ハナオギに高美似子。これが映画デビュー作。
ロイドの部下で、日本人女性と付き合っていることから問題視されているジョー・ケリー(Joe Kelly)にレッド・バトンズ。
そのお相手、カツミにナンシー梅木(ミヨシ・ウメキ)。
この2人はそれぞれ見事アカデミー賞助演賞を受賞しています(レッド・バトンズはゴールデングローブも受賞)。
高美以子さんとナンシー梅木さんは、『嬉し泣き』 Cry for Happy (1961)でもそろって登場していますが、こちらの「日本」はいわゆるセカンドユニットのお仕事のようで、2人は来日はしていないと思われます。
少佐を歌劇団の公演に連れて行った海兵隊のマイク・ベイリー大尉にジェームズ・ガーナー。
歌舞伎役者中村にリカルド・モンタルバン。「なんちゃって日本」的にはこのキャスティングがツボでしょうか。
少佐の彼女アイリーンにパトリシア・オウエンス。
その他『東京暗黒街・竹の家』のPearl Man ローリン・モリヤマさんが、レポーター役で登場している模様。
原作ジェームズ・ミッチェナー。同じ原作者の『トコリの橋』も、日本が少し登場しますので、この後取り上げるかどうか思案中。
IMDbのトリビアによると、(セリフにもありますが)1956年には1万人以上のアメリカ兵士が規則を破り日本人女性と結婚。ジェームズ・ミッチェナーもそのひとりだったとか。
製作ウィリアム・ゲッツ、監督ジョシュア・ローガン、撮影エルスワース・フレデリックス。
音楽フランツ・ワックスマン。
テーマ曲”SAYONARA”はアーヴィング・バーリン。
ロケ地
IMDbでは、
Kobe, Hyogo, Japan
Stage 11, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 19, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 24, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 26, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 4, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 6, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Stage 9, Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
Yamashiro Restaurant – 1999 N. Sycamore Avenue, Hollywood, Los Angeles, California, USA
とやたらスタジオ名の列記。
かんじんの日本でのロケ地は神戸しか書かれていませんが、実際には出演者がちゃんと来日して京都や東京で撮影されています。
※20/9/25追記
以下が追加されていました。
Kobe, Hyogo, Japan
Yamashiro Restaurant – 1999 N. Sycamore Avenue, Hollywood, Los Angeles, California, USA (American officer’s club)
Tokyo, Japan
Isaka, Japan
Hami Airbase, Japan
Takamatsu Island, Japan
Burbank, California, USA (used for Tokyo Haneda International Airport)
Osaka International Airport, Osaka, Osaka, Japan (Major Gruver’s landing at beginning of film)
OPクレジット
MARLON BRANDOの背景
ここはもしかすると劇中グルーバー少佐がハナオギを探してやってきたところでしょうか?(後述)
SAYONARAの背景
池に架かる石橋を着物姿の女性たちが渡っていきます。
ここは劇中グルーバー少佐がハナオギを出待ちするところ。
場所は京都御苑の仙洞御所(後述)。
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共演者の背景
鳥居と橋。
これはおそらく伊勢神宮。
宇治橋W
- Google Maps
- Bing Maps
- Wikimapia
国土変遷アーカイブ 1975/09/26- 地理院地図・電子国土Web(1961-69)
鳥居は橋の両側に建っていますが、映画に登場したのは内宮側でしょうか。
橋は、式年遷宮にあわせて20年に一度架け替えられています(式年遷宮の年の4年前)。
映画に登場したのは3世代前、1949年に架け替えられたものになるはず。
脚本、原作の背景
再び仙洞御所。
以下もおそらく同様なので略。
1951年韓国
この飛行場、撮影場所は調査中。
製作年度からやや遡り、朝鮮戦争当時のお話だとわかります。
映画で言えば『トコリの橋』や『追撃機』。どちらも日本が少し登場しています。
ウィリアム・ホールデンは実際に来日して撮影しているように見えますが、ロバート・ミッチャムは合成だったでしょうか。
空撮
港
台詞にもある通り、神戸港。
このあたりを見下ろしています。
マツバヤシ
「マツバヤシ」って唐突ですが、ハナオギのいる松林歌劇団の本拠地という設定。
Wikipediaによると、奈良市にあった近鉄あやめ池遊園地W。
- Google Maps
- Wikimapia
国土変遷アーカイブ 1948/09/01国土変遷アーカイブ 1961/06/19- 地理院地図・電子国土Web(1961-69)
※13/4/19追記
milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1978年頃とのことです。
日本国内もいろいろ画像お持ちなんですね 🙂
©1978 milou アルバム「各地」から |
※13/6/17追記
milouさんに画像を追加提供していただきました。
2004年の閉園時のチラシです。
(どうもありがとうございます♪)
空港
“ITAMI AIR BASE”とあります。 現在の大阪国際空港(伊丹空港)。
- Google Maps
- Wikimapia
国土変遷アーカイブ 1961/05/22- 地理院地図・電子国土Web(1961-69)
国土変遷アーカイブ 電子国土Webで、映画にも映っていた市松模様の格納庫やターミナルが確認できます。
将校クラブ
IMDbのリストにある、ロサンゼルスのレストラン、Yamashiro(山城)。
オフィシャルサイトの沿革に撮影スナップが。(※20/9/25リンク修正)
当サイトで取り上げた映画では、『ディープ・ブルー・ナイト』でも登場しています。
IMDbによるここでロケされた映画の一覧。
これにて一件落着のようですが、実は話はもう少し複雑。
ジェームズ・ガーナー演じる大尉が将軍と話すショットはYamashiroの前ですが、その直後連れの日本人女性について説明するショット(彼女が後ろに映っている)は、日本の京都ですね。
左の方に赤い鳥居が見えていますが、平安神宮の大鳥居で、その右側に見える大きな建物は京都市美術館ではないでしょうか?
そこからアングルを逆算すると、撮影位置はこのあたり。おそらく現在のウェスティン都ホテル京都かその周辺のように思われます。
- WikiMapia
国土変遷アーカイブ 1946/10/02国土変遷アーカイブ 1961/05/01- 地理院地図・電子国土Web(1961-69)
- 地理院地図・電子国土Web(1945-50)
Wikipediaによると、現在の本館は1960年にできたとのことですが、国土変遷アーカイブ電子国土Webで1946年の画像を見ると、本館部分にスペースがあったように見えます。そこが撮影場所だったと思われますが、これ以上の探索は机上では無理そう。
ここは「ウェスティン」がつくずっと前に泊まった記憶がありますが、フィルム時代の写真はスキャンが面倒でたぶん処分してしまいました…… orz
かわりにPanoramioの画像をどうぞ。映画とほぼ同じアングルです。
つまりこの場面、カットごとにロスと京都が入れ替わっているわけで、こういうのもまた映画作りの面白さですね。
歌舞伎
0:18 1:32
これは、南座でしょうか? それとも歌舞伎座?
▼23/11/2 追記
コメント欄(2023年10月31日 13:30)で、きみこさんから情報を寄せていただきました。
こちらでお見事大正解と思われます。
ありがとうございました 😀
- Google Maps(SV)
- 35.001573728862475,135.7754553669519
見晴らしの良い料亭
0:24頃、焼肉を食べた後ぎこちない会話を交わすところ。
五重塔の夕景という、京都の絵はがきにありそうな景観がひろがります。
スクリーンプロセスっぽくも見えますが、ともかくこの景観が得られる場所を探してみますと……。
五重塔は、八坂の塔(法観寺)Wですね。
- WikiMapia
http://www.panoramio.com/photo/83046586
カメラ位置は塔の東側のこのあたりと考えられます。
- WikiMapia
- 34.998829,135.781628 ……※20/9/25追記
2人が腰を降ろすのが藤棚の下ということで、やはり京大和でしょうか。
http://www.kyoyamato.com/build/
この料亭は『SAYURI』もそうですし、次のエントリー予定の”Stopover Tokyo”(1957)でも撮影に使われています。
探せばもっとありそう。
これが正解かどうかは実際に行ってみる他ありませんね(予算が……)。
日本庭園
歌劇団が公演後いつも引き揚げてくるところで、グルーバー少佐がくりかえし出待ちをしたところ。
劇中ではオンナバシという名前まで付けられていますが、撮影場所は京都御苑の仙洞御所Wです。
- Google Maps
- Bing Maps(概観図)
- Wikimapia
- Google Maps(SV) ……※20/9/25追記
- 35.021211,135.766291 ……※20/9/25追記
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
画像としてはこういったところ。
http://www.panoramio.com/photo/5488786http://www.panoramio.com/photo/28086495
ここ↓にマーロン・ブランドが寝そべっていた木があったはずですが、見当たりません。
http://www.panoramio.com/photo/32889944
宮内庁管轄の場所での映画撮影って、そうそう無いような。
見学したい場合は、事前の申込みが必要です。
http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/sento.html
今はどうだか知りませんが、昔桂離宮を見学した時、ガイドの方の他に行列の後ろからもうひとり目を光らせている警護している方がいらっしゃいまして、それだけで結構緊張してしまいました。
舞台
0:45。
「松林歌劇団」の華麗なステージ。
ワイドスクリーンはこういったレビューを見るのにうってつけですね♪
演ずるは、大阪松竹歌劇団(OSK)W。
今はAKBとかいろいろあるみたいですが、昔は女子が集まったアルファベット3文字と来たら、SKDとかOSKでした。
撮影に使われた劇場はどこだったのでしょうか?
Wikipediaによると、昔の大阪劇場が本拠地だったようです。
この場面、マーロン・ブランドのノリノリの反応が可愛いですね。カブキはいまいちの反応だったのに~。
川と小橋
ケリーとカツミの住まいが近くにあるという設定で、幾度となく写るところ。
鴨川の支流白川で、知恩院へ向う道(華頂道)に近いこちら。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- WikiMapia
- 35.007119,135.778662
行者橋という名前のようですが、渡るのはけっこうリスキーかも。
最初車がやってくるショットはこんなアングル。
このあたりも行ったことがあるので、自前の写真があるはずなのですが、見つからず…… orz
今回久々に見返してみて気づいたのですが、設定上は京都だとは示されていないようですね。
あくまで神戸とその郊外ということなのでしょうか?
ケリーとカツミの住まい
内部はセットでしょうけど、作りがどこか『世界を賭ける恋』(1959)の裕ちゃんの実家に似てますね。
茶会
1:18。
ひそかにハナオギと会うところ。
調査中。
The pleasure does not lie in the end itself.
It’s the pleasure of all steps to that end.
夫婦岩
1:28(2:15も)。
日本列島に夫婦岩はいろいろあるのでしょうけど、これは二見興玉神社W。
夫婦岩が入るショットには2人は写っていませんので、セカンドユニットが伊勢神宮と一緒に撮って回ったのかもしれません。
夫婦岩を見て幸せそうな2人の背景はスクリーンプロセス。
その場所はもう少し後ではっきり写りますので後述。
稽古場
2:10頃。
ハナオギを探してやってきたところ。
調査中。
※13/4/21追記
もう少し粘って伽藍の配置から絞っていったところ、京都市北区の大徳寺Wであることが判明しました。
押し問答した門は、敷地内にある正受院。
その門を西へ向って入っていきますが、次のショットでグルーバー少佐がやってきたのは門の東側にある大徳寺仏殿の南東端。ちょっとワープしてバックしています。
川縁
2:15。
夫婦岩をひとり見つめた後、軍用車に乗るところ。背景に長い橋が架かっています。
ここは伊勢からワープして、嵯峨野(嵐山)。
渡月橋Wを下流側から。
- Google Maps(SV) ◀2024/01/30追記
- Google Maps
- WikiMapia
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
海を見つめていたはずなのに川縁にいたということは、河口付近という設定でしょうか???
▼24/1/30 追記
Bill McCreary1さんから画像を提供していただきました。
ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
京都や関西の紅葉ほかの旅(2023年11月)(15)(Day3-9)
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/4358977741cbad4ad83aa939a30d3ff3
羽田空港
旧ターミナルがはっきり写ります。
※20/9/25追記
IMDbのリストに追記されていました。
Burbank, California, USA (used for Tokyo Haneda International Airport)
具体的にはこちら↓
Hollywood Burbank Airport (Bob Hope Airport)W
ターミナルビルがわかりづらいですが、マップではこのあたりでしょうか?
- Google Maps
- 34.196103,-118.354902
こちら↓は1969年の画像ですが、これですと映画に登場した建物と同じものを確認できますね。
全然羽田じゃなかった orz ……テキトーなこと書いてすみません。
そういえば、背景の「禁煙」の文字や、謎の着流し2人組など、怪しいところがありました 😉
東京公演
2:16
建物は調査中。
「ハナオギ」は「花荻」でした。
They’d be half Japanese, half American.
They’d be half yellow and half white.
They’d be half you, they’d be half me.
▼23/11/2 追記
最初にティルトダウンして捉えられる建物は、京都祇園のこちら↓でした。
- Google Maps(SV)
- Google Maps(SV)
- 35.001745134127056,135.77536840407913
歌舞伎の劇場として登場した祇園甲部歌舞練場に隣接しています。
ほぼ同じ撮影場所が、西と東別々の設定で登場していたことになります。
また公演後の楽屋出口について、コメント欄(2023年10月31日 13:30)で、きみこさんから南座ではないかと情報を寄せていただきました。
何回か出入りされたことがあるとのことで、なかなか得難い情報ありがとうございました 😀
劇場を出て
2人の車は日劇の脇から晴海通りに出ていき、日比谷交差点に向います。
goog地図・昭和38年- 地理院地図・電子国土Web(1961-69)
ラストシーン
和田倉門交差点。
- Google Maps(SV)
- WikiMapia
goog地図・昭和22年- 地理院地図・電子国土Web(1961-69)
※20/9/25追記
お堀沿いに日比谷通りを南下してきて、皇居に向かって右折しています。
日劇とは逆方向から来ているので、少し戸惑いますね。
ロケ地マップ
関連記事
昔の日本が舞台の外国映画
- 『Mishima: A Life In Four Chapters』 Mishima: A Life In Four Chapters (1985)
- 『OSS117/東京の切り札』 Atout coeur à Tokyo pour O.S.S. 117 (1966)
- 『Stopover Tokyo』 Stopover Tokyo (1957)
- 『ゴースト・イン・京都』 The House Where Evil Dwells (1982)
- 『サヨナラ』 Sayonara (1957)
- 『ザ・ヤクザ』 The Yakuza (1974)
- 『トコリの橋』 The Bridges at Toko-Ri (1954)
- 『ブラック・レイン』 Black Rain (1989)
- 『モスクワわが愛』 Москва, любовь моя (1974)
- 『双頭の殺人鬼』 The Manster (1959)
- 『惑星ソラリス』 Солярис (1972)
- 『東京ジョー』 Tokyo Joe (1949)
- 『東京ファイル212』 Tokyo File 212 (1951)
- 『東京暗黒街・竹の家』 House of Bamboo (1955)
- 『歩け走るな!』Walk Don’t Run (1966)
- 『追撃機』 The Hunters (1958)
資料
更新履歴
- 2024/01/30 「川縁」にBill McCrearyさんの画像、SVを追加
- 2023/11/02 「歌舞伎」「東京公演」追記
- 2020/09/26 「羽田空港」追記。国土変遷アーカイブ、goo地図を電子国土Webに切替。Panoramioのリンクを削除。その他マップや画像のリンクを更新。
- 2013/06/17 「マツバヤシ」にmilouさんの画像を追加
- 2013/04/19 「マツバヤシ」にmilouさんの画像を追加
- 2013/04/13 milouさんの画像をPicasaウェブアルバムに切替。「マツバヤシ」画像1枚追加。
- 2013/04/03 新規アップ
コメント
あやめ池遊園地は子供が小さいころ近くに住んでいて夏はプール冬はアイススケートと何度も行ったが映画を見ても記憶に合致するような風景は見つからない。少なくとも冒頭の空撮では池の形などから間違いないが現在とは橋の数も違うし実際のロケにどの程度使われたかは分からない。ちなみに戦前には園内に映画撮影所があったらしい。
歌舞伎の劇場も分からないが歌舞伎座や南座より小さいように見える(例えば中座とか)。もちろん現存しても恐らく内部は改装されただろうし参考になる画像も少ないが映画で見ると花道の外側に椅子席はなく1列だけの桟敷席、そして1段上の桟敷も1列だけ。外国人に合わせてか奥の日本人まで椅子に座っているが現在と違い桟敷席だったはず。さらにどうやら上手にも花道らしきものが見え、当時両花道常設劇場があったか分からないが、現国立劇場か金比羅歌舞伎のような江戸時代のものしか考えられない。ちなみに明治5年改築前の新富座の絵を見ると両花道の外側は1列ずつの3段桟敷席で映画に近くなる。
大劇も何度か行ったと思うが雰囲気は記憶に近い(あとの東京公演も大劇?)。劇場がなくなり上階が2館の映画館(大劇名画座とポルノの大劇シネマ)になったが客席の構造をそのまま活用したため座席が大きな円弧状で横には広いが奥行きが10列足らずで非常に見にくかった。大劇シネマでは映画と映画の間に演芸やストリップをやったりもしていた。
大劇がつぶれOSKは長くあやめ池を本拠地にしていた。確か入園者は無料だったはず。
milouさん、海外だけでなく短い射程距離もお得意なのですね。びっくりしました。
あやめ池遊園地は名前しか聞いたことがありませんでしたので、Wikipediaの記述がなければ到底わからなかったですね。
歌舞伎の劇場も細かくチェックしかけて結局止めてしまいました。
確かに劇場としては少し小さいようにも見えますね。
あの歌舞伎役者の役はぜひホンモノの日本の歌舞伎役者に演じてもらいたかったですが、ちょっと残念でした。
空港は今の伊丹空港ですね
コメントありがとうございます。
「羽田空港」も伊丹空港だったということでしょうか?
ひええー、後で確認して直しておきます。
ありがとうございました!
遅くなりましたが、空港再確認しました。
全部で3箇所出てきますが、どの箇所のご指摘なのか分かりませんでしたので列記しますと……
最初は軍用機が多く写っていますから、どこかの空軍基地ではないでしょうか。
2番目(来日便)は当初から書いているとおり伊丹空港。
最後の「羽田空港」はIMDbのリストが更新されていたため具体的な場所が判明。羽田ではなくカリフォルニアのボブ・ホープ空港でした。
そういえば背景の「禁煙」といった標示は、文字面がかなりなんちゃってしていますね。あらためて見ると、着流しの2人組が背後を悠然と歩いていたりして、なんとも言えない味わいがあります。
ラストの楽屋の裏出口、南座ではないですか。松竹新喜劇のポスター、貼ってますよね。何回か出入りしたことあるので。もうちょっと後ですけど。歌舞伎のあと劇場は、祇園甲部の歌舞練場?花見団子の提灯見えませんでした?暫くこの映画見てないので…。
きみこさん、コメントありがとうございます。
楽屋の裏出口、これはよくおわかりになりましたね。「何回か出入りしたことがある」とさりげなくお書きですが、すごいです 🙂
「松竹新喜劇」のポスターも初めて気づきました。
自分では確認しようがありませんが、情報寄せていただいたことは記事に反映させていただきます。
歌舞伎の劇場が祇園甲部歌舞練場というのもお見事でした。
こちらも画像等で確認できましたので、記事に追記させていただきます。
ついでですが、東京公演の劇場外観(ティルトダウンして捉えるカット)は、歌舞練場が隣接する弥栄会館ですね。歌舞練場をマップでぐりぐり回していて、ふと気づきました。ピンと来る方にはすぐ分かった物件かもしれませんね。
二人がお茶をいただくのは、お点前が前の宗匠千玄室氏と夫人の登三子さんですから、裏千家縁の大徳寺の塔頭聚光院でしょうか?ハナオギに会いにイソイソと通るのは、東山の古川町商店街。ちらと写るのは、寿司こむらの看板。御主人が「マーロン・ブランドやったらそこで寿司食べとったわ。」と。ときおり、お師匠さんに頂いた稲荷寿司の美味しいお店でした。画面に写る、聖護院八ツ橋の立て看板は、撮影隊が持って来たそうです。白川の友禅流しも、今は、及びもつかぬこと。実家の菩提寺が大徳寺にあるので、正受院の前を通るたびに、その樹木の成長と時の流れをて思います。長々失礼しました。
きみこさん、コメントの承認と返信が遅れまして申し訳ありません。
またまた貴重な情報ありがとうございます。
お茶会の場面は画像的にはなかなか確定できませんが、襖絵ははっきり映っていますからサイトはそのあたりが決め手になるかもしれませんね。出演者情報はぜひ追記させていただきます。
マーロン・ブランドは入ってくる時畳の縁をどーんと踏んでいきますけど、これは演出でしょうか。
余談ですが、自分は正座が10秒ともたないので、よろよろと座るマーロン・ブランドにとても共感します……
商店街も痕跡をいろいろ辿れるのですね。
今となってはまず不可能な大々的な京都現地ロケですが、きっと地元の多くの方が関わり、その後も代々?語り継がれていることと思います。
きみこさんもこのあたりにとてもお詳しいご様子ですので、いろいろお寄せくださっているのかと思いますが、追加情報に限らずもし拙記事に誤りを見つけられましたら、どうぞご遠慮なくツッコミのコメント入れてください。
ではどうもありがとうございました!
なるほど、歌舞練場なら狭さも納得だし画像を見ると確かに両花道がありますね。
「都をどり」専用劇場ということが関係あるのかもしれない。 歌舞伎でも
野崎村や妹背山など演目によっては上手に仮花道が設置されるが…
さすがに歌舞練場に行ったことはないが、実は歌舞伎も好きでテレビ放送は
ほぼすべて録画だけはしているがNHKも邦楽番組がなくなり正月2日の
中途半端な中継以外は滅多にやらない。常時放送のCS衛星劇場は高いから
契約せず無料の日だけ録画している。
東京にいた時は幕見なら映画より安いので歌舞伎座には何度も見に行った。
そうそう、幕見で面白いのは歌舞伎座は入口が正面ではなく横の別階段を上がり
天井桟敷(最後部数列)も一般席と仕切られているので問題ないが、大阪の松竹座は
入口は1つで座席に仕切りもないので勝手に上がれず全員(10名足らずだが)
引率され上がる。上演中も前の一般席に移動しないように見張りのスタッフがいた。
でも昔はよかったじゃないが最近は見に行く気が起きず何年もご無沙汰。
(うまいとは言いがたい?)三世延若さんが好きだったが晩年は台詞が入らず
プロンプターの声がよく聞こえた…
ちなみに今では考えられないが、昔の歌舞伎俳優名鑑には自宅の住所だけでなく
電話番号まで載せている
あ、すみません。超有名スポットですので、わざわざご紹介するものでもないのですが、渡月橋の写真があります。
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/4358977741cbad4ad83aa939a30d3ff3
下流側から撮ってはいますが、映画を未見ですので、映画のショットに見合うものかはわかりませんので、よろしければお使いになってください。昨年11月に、『無宿』の立岩を見物した後に撮影しました。下のURLの記事にも、遠景の橋が写っています。
ところでここと伊勢が隣り合っているというのも、さすがにまったく日本人には思いもつかない設定ですね。ていうか、さすがに当時の米国の観客も、「変じゃねーか」と思ったのではないか(苦笑)。
余談ですが、伊勢で撮影して近鉄あやめ池遊園地でもロケをしているあたり、あるいはですが、近鉄がこの映画の撮影に何らかの協力をしているのかなあという気がしました。もちろんわかりませんが。それにしても鉄道会社の経営する遊園地というのも、のきなみ廃止に追い込まれていますね。
Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
> 下流側から撮ってはいますが、映画を未見ですので、映画のショットに見合うものかはわかりませんので
映画のカメラ位置はもう少し下流でしたが、イメージはばっちり同じですので、ありがたく拝借いたしました。
SVが使えるようになっていましたので、映画に近いアングルのものも記事に併記しました。
> さすがに当時の米国の観客も、「変じゃねーか」と思ったのではないか
よく見れば、足元の岩場も全然違いますよね。
でも、恥ずかしながら最初に見た時は全然気づかず、この記事書くために念入りにチェックして初めて「変じゃねーか」となりました。