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『雨のアムステルダム』 (1975)

井上尭 映画音楽の世界 雨のアムステルダム-青春の蹉跌・蔵王絶唱-(紙ジャケット仕様)

作品メモ

先日亡くなった萩原健一さんを偲んで……

俳優としてのスタートは斉藤耕一監督の『約束』(72)かと思いますが、3年後の『雨のアムステルダム』でまたしても岸惠子さん、三國連太郎さんと共演。
とはいえ中身はだいぶ異なり、ほぼオール海外ロケのサスペンスロマン。愛し合う男女が異国の地で大手総合商社の黒々とした策謀に翻弄されるという、まるで五木寛之さんか松本清張さん原作的雰囲気を漂わせています。

同じ頃で言えば、中平康監督の『変奏曲』(76)がこれはホントに五木寛之さん原作でやはり海外ロケをATGなりに頑張っていまし、スター+海外ロケというところでは、沢田研二さんとクローディーヌ・オージェの『パリの哀愁』(76)もありました。
どれも今となっては時代の空気を残してくれるタイムカプセル映画として、ひたすら懐かしい作品となっています。

『雨のアムステルダム』の舞台はタイトル通りアムステルダム。
しがない弱小商社マン作田明にショーケン。「アキラ」って水谷豊さんかと思ってしまいますが、時期的に『傷だらけの天使』の直後のお仕事でしょうか。
偶然再会した幼なじみ中津涼に岸惠子さん。
目的のためなら手段を選ばない大手商社の正岡清之助に三國連太郎さん、といった布陣。
他にキャスティングで気になったのは、なかなかキョーレツなところのある鉄鋼王ヴィテンシュタイン五世。
演じたアラン・キュニーはどこかで見たことあると思ったら、『甘い生活』でした。

監督蔵原惟繕さん、脚本山田信夫さん、撮影岡崎宏三さん。
音楽はこの頃のショーケンと切っても切れない井上堯之さん。
昨年残念ながら亡くなられていますが、もしかするとショーケンがすぐにやってきてびっくりされているかもしれません……

 
 
 

ソフト状況

※19/4/15項目追加
現在DVD、Blu-ray化はされていないようです。
以下、日本映画専門チャンネルでの放映(2016年11月)をもとにチェックしています。

DVD登場

※19/7/27追記
『青春の蹉跌』のコメント欄(2019年7月26日 21:12)でBill McCrearyさんから情報を寄せていただきました。
とうとうDVD発売となりました。発売予定日は今年(2019年)12月18日となっています。

【Amazon.co.jp限定】雨のアムステルダム <東宝 DVD 名作セレクション>(オリジナルミニポスター付<劇場公開時ポスター絵柄>)

<東宝 DVD 名作セレクション>として他に、『青春の蹉跌』『アフリカの光』『化石の森』など同時発売のようです。

ロケ地

例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

OP

明が素振りをしていた屋上は、代々木駅前の雑居ビル……じゃなくて、アムステルダム駅近くのこちら。

カメラ位置は、おそらくとなりの教会(Basiliek van de Heilige NicolaasW)の西側の鐘楼で、カメラ南向き。
この教会は、途中窓からの眺めでも写っていますので、室内もこちらで撮影されたことになります。

屋上の建物はリノベートか建て替えがなされているでしょうか?
この後何度か登場する建物の下の場面(明が連行される、果物を落とす、等)もリアルにこの下。

こちら↓は以前milouさんに提供していただいた画像です。

教会の円蓋の手前に頭を覗かせている白い建物が、明がいたところ(おそらく建て替えかリノベート済み)。
カメラはおおよそ東向き。

撮影は1994年とのことです。

 

また、以前『パリのめぐり逢い』でBill McCrearyさんから画像を提供していただいたブログ記事に、別のアングルの画像がありましたので、お借りいたしました。

ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
ベネルックス(オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)紀行(2)

向かって右側(西側)の塔の向こう側が(隠れていますが)明のいた屋上の建物。
カメラ南向きで、ちょうど映画のOPと同じ向きになっています。

撮影は2013年とのことです。

タイトルバック

タイトル

“Two in the Amsterdam Rain”と英題が出るのは、このあたり↓

トラムと併走
オベリスク

ダム広場

もう少し左を写せば、後ほど登場する日本レストランの建物。

こちら↓はmilouさんに提供していただいた画像です。
カメラ西向きですが、90度右を向くと日本レストランの建物が入っていたところでした。

空港

スキポール空港

モスク俯瞰

0:06
設定ではベイルート。
どこでしょうね?

ホテル

0:14
ホテル・オークラ・アムステルダム

※19/4/13追記
こちらもBill McCrearyさんから画像を提供していただきました。ありがとうございます♪

ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
ベネルックス(オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)紀行(1)

故郷の海

0:17
設定では津軽。
具体的な場所は不明。

住まいの前

刑事たちに連れて行かれるところ。
前述のように、OPの屋上の建物のすぐ下。

日本レストラン

涼のお店。
0:20に準備中のところが登場する他、1:17頃にも大きく写ります。
上の動画では、50秒目ぐらい。

ダム広場に面したこちら↓

西側も同じような意匠ですが、映画で写っていたのは広場側。
0:27頃、明が涼に店の外まで送られる途中、大きな看板に”Marnixstraat 413″と書かれてありますが、無関係な別の場所。

0:20
倉庫の場面。
調査中。

運河と橋

0:23
運河沿いを左手へ歩いて行き、橋にやってくる場面。

カメラ南向き。
橋は架け替えられているでしょうか?

川沿いの道

0:30
ピエールを訪ねていく道。

風車が並ぶ通り

0:37
帰り道、涼が降りたところ。
さすが岸惠子さん、絵になります。

突き止めたいので、引き続き調査中。

アムステルダム郊外のZaanse Schans、あるいはロッテルダム郊外のKinderdijkではなさそうでした。

白い跳ね橋

0:44
ピンチとなった明が、運河を見つめていたところ。

この橋は、『さらば夏の光』に登場したところと同じ。

市場

0:46
鍋の材料を買ったところ。

アルバート・カイプ市場W
https://albertcuyp-markt.amsterdam/

1:07頃にも似たような俯瞰が登場しますが、こちらはピンポイントで場所を特定できます。
ちょうどここ↓

果物を落としたところ

1:09
果物を落としてしまう様子を俯瞰で捉えたのも、住まいの前。

上掲動画の3分目ぐらいにあるスチルもこの場所。
このスチルのラブシーンは本編では見られませんでしたが、雰囲気たっぷりの良い写真ですね。
当時のプログラムやチラシのビジュアルもこんなふうに↓この場所でした (画像は、Amazonのアソシエイトプログラムを利用して表示しています)。

映画パンフレット 「雨のアムステルダム」監督:蔵原惟繕 出演:岸恵子、萩原健一

 

アムステルダム訪問の際には、ぜひこちら↓でショーケンや岸惠子さんになりきりませう ♪

 
 

その後涼がクルマで去って行くのも、同じ場所。

運河俯瞰

1:11
水死体があがる場面。

住まいの前

1:16
自転車で戻ってくるところ。
果物をばらまいた橋を別角度から。

ビテンシュタイン五世の館。
さすがに資料がないと突き止めるのは難しそう。

ラスト

西ドイツ(当時)という設定でしょうか?
場所不明。

最後はやっぱりマカロニ 😉 ?

ロケ地マップ

資料

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海外ロケを行った日本映画

 
 

更新履歴

  • 2019/04/15 「ソフト状況」項目追加
  • 2019/04/13 「ホテル」にBill McCrearyさんの画像を追加
  • 2019/04/10 新規アップ

コメント

  1. Bill McCreary より:

    どうも、拙記事と拙写真のご紹介ありがとうございます。この映画はあいにく未鑑賞なので、あまり指摘ができませんが、

    >ホテル・オークラ・アムステルダム

    はご協力できるかもしれません。

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/b8010f17fd7fcb167c632584b92eaee8

    2012年です。ホテルは、やはりタイアップですかね。私にしては、妙にいいホテルでした(苦笑)。

    この映画も、たぶんCSなり、追悼上映会で観ることが可能だとおもいますので、ぜひ鑑賞したいと思います。

  2. 赤松 幸吉 より:

    「約束」から3年、「雨のアムステルダム」の岸惠子も年が寄り、若きショーケンと恋人同士を演じるには年齢的にギリギリといったところ。

    この映画も悪くはないが、やはり「約束」と比べると「月とすっぽん」。
    「約束」のせめて半分でも心を揺さぶられたなら、天にも昇る気持ちでロケ地探訪にアムステルダムに飛び立ったことだろうが、そのような熱い思いは少しも起こらなかった。

    海外ロケ映画にありがちな観光(名所)絵葉書のようなシーンが多くなかったのは救いだが、話しのスケールが大きくなりすぎて、付いて行けなかった。

    「果物を落としたところ」
    パンフレットの表紙スチールは本当に素敵です。
    この場所はグーグルの写真で見るかぎり、撮影時からまったく変わっていないのですね。

    ここは是非歩いてみたい裏町通りです。

    萩原健一さんの追悼でこの映画が取り上げられたのだろうが、中原朗(萩原健一)が松宮螢子(岸惠子)よりも早く先立つなんて、誰が想像しただろうか。

  3. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、
    返信遅れてすみません。
    以前ご提供いただいた画像のページに何かこの映画で登場した物件がないかと探して1枚使わせていただきました。
    オークラの画像もさっそくアップさせていただきました。ありがとうございます。
    本編で登場したのも夜の場面で、全く同じサインが写っていました。
    ホテルオークラは、「協力」としてしっかりクレジットされていました。2時間ドラマなみのタイアップですね。

    赤松幸吉さん、
    やはり『約束』と比べてしまうと……ですよね~。逆になぜ配給も違うのに同じキャスティングだったのか謎です。
    自分のサイトで良く「映画の神様」という表現を使っていますが、良き映画って予算とかでは無く、やはりいろいろな要素がその一瞬にうまく反応しあってできあがるものなのでしょうね。

  4. より:

    始めまして!
    撮影現場を詳しく教えていただき
    ありがとうございました。
    映画のクオリティはともあれ
    ショーケンファンとして傷天の木暮修そのままの
    若い頃のショーケンが映像で残っているだけで嬉しいです。

    ネタばれになって申し訳ないのですが
    最後ショーケンがハッとしたように何かに気づき
    岸さんの元を急に逃げ出した理由が
    恥ずかしながらどうしてもわからりません。
    できれば教えていただけませんか?

  5. 居ながらシネマ より:

    花さん、コメントありがとうございます。
    傷天はリアルタイムで見ていましたが、翌月曜日にはみんなで良かった場面を修とアキラになりきって再現して喜んでいました。
    あのビルもようやく解体されるとのニュースが最近ありましたが、なんだかショーケンとともに……という印象がありますね。

    さて、以下ネタばれ案件ですが、正解はなんでしょうね??
    やっていることは、お金を持って出ていってるので、急に怖くなって自分だけ逃げようとした、というのが順当そうですが、他になにか見落としているかもしれません。
    お気づきの方、ぜひ教えてください。

  6. より:

    早速の返信ありがとうございます

    やっぱり漠然としてわかりにくいですよね
    ショーケンがハッと何かを感じ見つめた先の札束に視線が行き
    急に駆け出したとしか見えなかったので
    いったい何があったのかまったくわからず
    知りたくてたまりませんw

    私も傷天放送時は高校生でしたので
    ショーケンに憧れたクラスの男子が
    あの伝説のOPシーンを真似してました。
    それと
    ”高倉健の健と菅原文太の太で健太ってんだ”と
    毎回息子の名前の由来を話すショーケンが
    とってもかわいかったです

  7. tamuchann38 より:

    長年探していた映画です。まず冒頭のビッグニュース?DVD化されるんですね。生きててよかったあ。当時中学2年生。「傷だらけの天使」が終わったちょぐごですぐ見に行きました。音楽も素敵でLPサントラを購入しました。このころのショーケンはいい映画に出てましたよね。それにしても子供ながらに、ゲイや裏切り、針の拳銃?など衝撃的な内容でした。
    岸恵子さんは年を追うごとにキレイになっていったといわれますが、ピークのころかもしれません。

  8. 居ながらシネマ より:

    tamuchann38さん、こちらでもコメントありがとうございます。
    『恋は緑の風の中』もそうですが、むかーし見た映画と、DVDや放送でん十年ぶりに再会できると、それだけで嬉しくなりますよね。
    岸恵子さんは出まくっていた50年代はDVDなどで振り返るともちろんお綺麗で可愛らしいのですが、70年代以降また日本で活躍するようになってから、大人の女性の魅力をたっぷりたたえていましたよね。個人的には『化石』あたりをまた見たいです。

  9. 赤松 幸吉 より:

    このように昔見た映画を懐かしんでいるファンが多くいらっしゃるのは、ご同慶の至りです。

    そうです、「雨のアムステルダム」のように岸恵子さんは若い頃(松竹時代)よりも中年(70年代)になってからの方が魅力的ですね。

    個人的には、『悪魔の手毬唄』(市川 崑監督 1977年)での岸恵子さんが最高で、やり切れない妖艶さに心を惹かれました。

    なお、「化石」は中古DVDも販売されていますが、なにしろ高額。
    それよりもyou tubeで無料視聴できます。

    「Kaseki | El Fósil | (1975) | Completa | Subtitulada」mike mejia
    で検索してみてください。

    洋画ファンが大半と思われるこのブログに余り関係のないことを書いて、何かすいません。

  10. 居ながらシネマ より:

    赤松さん、情報ありがとうございます。
    仰る通り、『悪魔の手毬唄』も良いですね。
    おかげさまで『化石』Youなんとかで簡単に見ることができました。それ以前に、この作品、DVDも出ていないと思い込んでいました……
    実にん十年ぶりでしたが、記憶にあったのはとにかく喪服の謎の美女の姿で、それがパリだったということすらよくわかっていませんでした。
    Youなんとかをもう少しチェックしたら、『忘れえぬ慕情』も”Typhon sur Nagasaki”で検索したら全編ありました。
    どちらも日本から見た外国、あるいはその逆ということで、当サイト的には興味深く、いつか取上げてみたいと思っています。

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