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『熱砂の誓ひ』 (1940)

作品メモ

日本映画専門チャンネルで今月(2015年1月)特集が組まれている「李香蘭、そして山口淑子」。
まず大陸三部作が放送され、当サイトでも『白蘭の歌』『蘇州夜曲』とチェックしてきましたが、この『熱砂の誓ひ』は三本目。
今回は北京を舞台に、日本の土木技師と中国の娘とのロマンスが描かれます。

これまで同様長谷川一夫&李香蘭の共演で、役柄は日本の土木技師杉山健治と北京で有名な学者の娘李芳梅。
李芳梅が日本へ音楽の勉強に来ていたところを健治が遠くから目撃。北京への船の中で初めて会話を交わし、彼の地で親密になります。
しかしその時大陸で道路建設の陣頭指揮を執っていた健治の兄が、反対勢力によって道半ばにして無念の最期を遂げてしまいます。その遺志を継いで芳梅の想いを振り切るように危険な現場に向かい、仲間とともに道路を完成させようとするのですが……
……といったお話。

2作目の『蘇州夜曲』同様、東宝映画・華北電影公司の製作。
製作森田信義、監督渡辺邦男……とこれは1作目の『白蘭の歌』と同じ。
主題歌「熱砂の誓ひ」は作詞西條八十、作曲古賀政男、歌伊藤久男。
挿入歌「紅い睡蓮」はやはり作詞西條八十、作曲古賀政男。歌は李香蘭で、彼女自身がレコーディングもしているところが前2作とは異なります。

映画は『蘇州夜曲』に続いて大ヒットし、李香蘭の人気も日本で急上昇。翌年2月にはステージ見たさに人々が押し寄せ、日劇の周りを七周半取り囲むという騒ぎまで起きています。
初代『スター・ウォーズ』を初日に日劇で見た時、居合わせた人の多さにビックリしましたが、これが七周半となるとどれほどの人だかりだったのでしょう?
その年の12月には太平洋戦争勃発。大陸だけでなく大国をも相手にして日本はいよいよ苦難の道を進んでいくこととなりますが、その寸前で人々は一時の夢に酔いしれたかったのかもしれません。

これでいわゆる大陸三部作をチェックしたわけですが、並べて鑑賞すると今日の目線ではさすがにう~むと考えてしまう部分が色々あったりします。
同時に感じるのは、時勢に乗って映画をアテようとするカツドウ屋魂……いや興行屋魂というべきたくましさでしょうか。

それでも、間にはさまる『蘇州夜曲』は、監督さんが違うからでしょうか、無理やりな描写が控えめで、なんとかドラマとして大きな破綻は避けられているようにも見えます。
何よりテーマ曲のメロディと詞の美しさは何年経とうと古びることがなく、心に染みいります。
時代を突き抜けた名曲と言えましょうか。

ロケ地

例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
ロケ地に関する資料や詳しく解説したサイトなどがあるかもしれませんが、そういったもので答え合わせはしていません。
なので間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

これまでも書きましたが、当サイトはあくまで撮影地をチェックしようという試みで成り立っていますので、その点ご了承の上以下ご覧いただければ幸いです。

万里の長城

これはさすがに場所の特定は難しそう。北京近郊で粘れば見つかるかと思いますが……

※15/1/25追記
milouさんから画像を提供していただきました。
映画の撮影場所は特定できていないので参考画像となりますが、八達嶺の長城で、いずれも2003年8月とのことです。
(ありがとうございました♪)

ホテル(ゴルフ場)

0:11
家族が歩いているのはいかにもゴルフ場といった眺めですね。セリフでは、富士山や大島が見えると言っています。
建物のアップがありますし、セリフでも名前が出ているのでこちらだとわかりました。

川奈ホテルW

今気づきましたが、この建物、もしや『愛染かつら』のゴルフ場の場面で背景に見えていたところではないでしょうか?
画質が良くないのでこれ以上確認できませんが、シルエット的には同じように思えます。

北京駅

0:15
駅舎の外観は現在の北京駅とは違いますね。
今の北京駅は1959年1月に現在の場所に作られたもので、映画に登場したのは、正陽門(前門)前の東側にあった正陽門東駅(京奉鐵路正陽門東車站)W

20世紀初頭とあります。
駅名標示はおそらく下と同じ。

1901~1949年とあります。
右から「京奉鐵路正陽門東車站」

1949年~1959年とのこと。
左から「北京站」

現在の姿。
鉄道博物館などの施設が入っているようですね。
右から「京奉鐵路正陽門東車站」……も復元されています。

時計塔が左側に移っているように見えますが、中国語版Wikipediaによると、1959年の新駅開設で駅としての使命が終わり、1965年には道路や地下鉄建設のため時計塔の北側(向って左側)を撤去、南側(右側)に駅舎を復元したとのこと。
動いたのは時計塔ではなく駅舎本体の方でした。

現在の北京駅はこちら。

……となると、映画で写っていた駅舎の上の(右から)「北京站」や、駅のホームの不自然なくらい大きな「北京」は擬装だったのでしょうか??

一番気になったゴルフ場と北京駅が確認できたので、私的にはこれで十分。
あとはさらりとチェックしていくことにします。

頤和園

マップではこちら↓

※15/1/25追記
こちらもmilouさんから画像を提供していただきました(2003年8月撮影)

こちらはちょうど映画で芳梅たちがボートから降りてきたところですね。

水でお習字?
お掃除キャストではありません 😉

天壇

※15/1/25項目追加
1:11頃登場。
こちらもmilouさんから画像を提供していただきました(2003年8月撮影)。

この後、中央公園(現中山公園)、紫禁城、景山、北海公園とテロップで紹介されていきます。
最後の橋のたもとは、前半で登場した頤和園(昆明湖)。橋は、十七孔橋。

資料

関連記事

山口淑子(李香蘭)関連作

更新履歴

  • 2022/06/16 各マップ情報更新
  • 2015/03/21 「関連記事」項目追加
  • 2015/01/25 「万里の長城」「頤和園」にmilouさんの画像を追加。「天壇公園」項目追加。
  • 2015/01/22 新規アップ

コメント

  1. 赤松 幸吉 より:

    「川奈ホテル」が「愛染かつら」のゴルフシーンではなかったか、という記述に興味を持って、小生も調べてみることにしました。

    この写真では分かりませんが、「愛染かつら」のシーンと「川奈ホテル」のホームページの写真を比べると、どちらにも高い塔のような建物以外に右側の建物に比較的低い塔のようなものが見えます。
    また、後ろの山並みも似ているようです。

    ホテルは1936年開業で、年代的にも合っています。塔以外の建物はその後建て増しをしているのでしょう。

    よって、小生もこれらがどちらも「川奈ホテル」で撮影されたと思います。

    それにしても、シルエットだけでよく気づかれましたね。

  2. 居ながらシネマ より:

    赤松幸吉さん、調査ありがとうございます。
    この映画と『愛染かつら』に登場した建物は、同じようなカメラ位置から撮られていて比較がしやすく、まず同じだろうと思われます。
    現在の建物とはやや形が違っているようですが、「後ろの山並み」も確かにそっくりですので、おっしゃる通り建て増しをしているのでしょうね。

    https://www.flickr.com/photos/66157893@N06/10460833556

    こちら↑はおそらく戦後接収されていた頃の画像かと思いますが、ずっと後ろに下がり斜め左から見ると『愛染かつら』と同じような絵面になりそうです。
    『愛染かつら』の建物も同ホテルで確定としてしまいましょう 🙂
    こんなふうに、わからなかった場所が別の映画から判明すると、うれしいものですね。

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