『小さい逃亡者』 (1966)

作品メモ

ひとつ前のエントリー『夕立ち(七月の雨)』と同年の映画。
初の日ソ合作映画だそうですが、ソ連・ロシア映画を続けてきたので一緒にチェックしてみます。
『小さな逃亡者』てな映画もあったかと思いますが、こちらは『小さ「い」逃亡者』。
マーク・レスターは『小さな目撃者』。

ロシア語タイトルは«Маленький беглец»(マーリニキー・ビグレーツ)で、邦題と同じ意味。
クレジットは左側にロシア語表記(カタカナ付)でソ連側スタッフが、右側に日本語(キリル文字表記付)で日本人スタッフが表示され、合作&友好ムードたっぷり。
当然中身も『夕立ち(七月の雨)』みたいなタッチになるはずもなく、「いかにも60年代だな~」とか「いかにも日ソ合作映画だな~」という時代をたっぷり感じさせるたたずまいとなっております。

モスクワにいるという父親会いたさにソ連へ密航してしまった少年を描いたロードムービー。
お話には相当無理があるかもしれませんが、まあニチェヴォーということで。
少年はバイオリンが得意という設定です。
タルコフスキー、陳凱歌……バイオリンと少年って映画で描くのに相性が良いのかもしれませんね。

キャストでは叔父役の宇野重吉さんの演技に心を動かされます。
ソ連側の道化師ユーリー・ニクーリン(Юрий Никулин)も好演ですが、こちらは実際の御夫婦による本人出演。
日本側のスタッフは、監督衣笠貞之助、脚本小国英雄、撮影宮川一夫と何気に豪華。
この他資料的なことは、一番下に挙げた各映画サイト等をご覧ください。
日本映画専門チャンネル「蔵出し名画」にてこの(2014年)3月に放映されたものを録画鑑賞。

マトリョーシカ

大活躍のマトリョーシカ(Матрёшка)。
ずっと箱根の木工細工がロシアに伝わって生まれたのだと思っていましたが、Wikipediaを見ると諸説あるようです。

先日NHKBSの「世界ふれあい街歩き」でサンクトペテルブルクの回を見ていたら、歴代指導者が入れ子になったマトリョーシカを売っているお店が紹介されていました。
写真ではなく手描きのとてもかわいらしい出来映えで、外側から、プーチン→メドベーチェフ→エリツィン→ゴルバチョフ→ブレジネフ→スターリン→レーニン→ピョートル。
あれ?フルシチョフがない……と思ってよく見たら、スターリンの外側にもうひとつ入れ子があるようにも見えましたので、それがフルシチョフで編集でカットされていたのかもしれません。
この場面、お店のおじさんが途中でうっかり落として偉い人たちをばらまいてしまい、焦りまくっていたのが可笑しかったです。
ちなみに『小さい逃亡者』はブレジネフ時代。

DVD化

※19/4/15項目追加
コメント欄でBill McCrearyさんから情報を寄せていただきました(2019年4月14日 20:40)。
2016年10月にKADOKAWAからDVDが出ていました。

小さい逃亡者 [DVD]

 

ロケ地

資料はまったくありません。
例によって画面とにらめっこでざっくりチェック。

0:02頃。
子供たちが駈け降りるところ。
調査中。

サーカス

※20/9/6項目追加

0:23
場外場面は、東京の後楽園。
おそらくリアルでのボリショイサーカスの公演をインサートしているものと思われます。
左手に写っているのが会場となったアイスパレス。右手は後楽園球場と、なつかしい物件がフレームに収められています。

場内については、コメント欄(2020年9月5日 12:00)でBill McCrearyさんから情報を寄せていただきました。
こちら↓のパンフによると、仙台の宮城県スポーツセンターWで、1000人のエキストラが参加して撮影されたとのことです。

https://www.smt.jp/honepro/pdf/42762.pdf

情報ありがとうございました♪

0:29頃。
トラックで渡る橋。

琵琶湖大橋W

京都

ボリショイサーカスの看板を取り付けていたのは、平安神宮の鳥居の前。

0:33。
ナホトカのようです。

0:43。
途中ハバロフスク駅でお土産を買いますが、実際にそこで撮影されたかどうかは不明。 退役軍人とはぐれてしまった駅、降りた駅、無賃乗車でたどりついた街、すべて不明。

サマルカンド

1:13。
退役軍人が探しに来てくれたのは現ウズベキスタン共和国のサマルカンド。

退役軍人がなぜここに来たのかは不明……。
そういえば『モスクワわが愛』でも唐突にサマルカンドが出てきましたね。外国映画で撮影許可がおりる数少ない場所だったとか??

レニングラード

人々の善意の波に次々乗って、気がついたらレニングラード(当時、現サンクトペテルブルク)にやってきました。
モスクワは天候不良なのでレニングラードに着陸するとのお達しです。
当時のかの国の客室乗務員がこんな風に笑顔でアナウンスしていたかはわかりません……

ご当地映画っぽくランドマークが次々登場します。

凱旋門(Московские Триумфальные ворота)W

聖イサアク大聖堂Wニコライ1世の像W

宮殿広場W

カザン聖堂W

1:30。
ニクーリンに抱っこされて渡る橋。

ここでようやくモスクワの外観ですが、その前にわざわざサンクトペテルブルクを経由したのは、やはりモスクワに見どころが少ないからかも……

音楽学校

「高等音楽院」と字幕が出たところ。

モスクワ音楽院W

演奏会

ルドルフ・バルシャイ(Рудольф Баршай)指揮、モスクワ室内管弦楽団。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。

ロケ地マップ

※16/5/27追加

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2020/09/06 「サーカス」項目追加
  • 2019/04/15 「DVD化」項目追加
  • 2016/05/27 「ロケ地マップ」追加

コメント

  1. Bill McCreary より:

    貴記事を読んで、「お、こんなすごい映画があったんだ!」と感動してしまい、調べたところ、DVD化されていました。

    https://www.amazon.co.jp/dp/B01FVWN166

    DVD化されたのは2016年とのことですが、2014年3月にこの映画が日本映画専門チャンネルで放送されたのも、どうもこちらの方の情熱のようですね。

    https://irie-hotori.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

    多分ですが、この方が動かなかったら、CS放送もDVD発売もなく、フィルムが倉庫に収まったきりの段階が、今日まで続いていたのではと思います。いやー。私も相当な馬鹿ですけど、こういうことを一生に1度でいいからやってみたいなという気はします。封印とまでは言わずとも、お蔵入りで見たい映画はたくさんあるので。

    映画はまだ見ていませんが、あるいはまたコメントをさせていただくかもしれません。

    それにしても前にも同じことを書きましたが、「旅の重さ」「太陽がいっぱい」「シベールの日曜日」ほかの映画への読者の皆さまの情熱には、私も本当に頭を下げたくなります。もちろん居ながら様にもです。

  2. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
    DVD情報、全然知りませんでした。さっそく追記させていただきました。

    もうひとつ、ブログ記事の方ですが、ひとつずつ辿って見ているところです。
    (道化師の)ニクーリンの奥様に会ったくだりまで来ました。ブログ主の方、ホントに凄いですね。

  3. yuki より:

    私も当時10歳前後で、この映画が印象深く残っています。個人的なことでは、この映画とほぼ同時期(前後関係今の所不明)に父親が仕事でヨーロッパに行くときに(物好きにも?)シベリア鉄道経由で行きましたので、この映画と重なって身近に感じたように思います。映画のマトリョーシカと土産のマトリョーシカも重なって覚えています。Billさんのブログも拝見し、この映画を見たのが自分の属するそんなに狭い世代に限られていたことに驚きました。しかし、学校全体で見たのならもう少し幅広い世代になっても良さそうなので、高学年だけ見たのか、もっと狭く一学年だけ見たのか、謎は深まります。ソ連時代って、今よりロシアが身近だったような気がします。

  4. yuki より:

    追加と修正です。Billさんのと言うより、Billさんの紹介してくださったブログ主さんの情報ですね。それと、私はまだこのDVD見てませんので、見てみたいものです。

  5. 居ながらシネマ より:

    yukiさん、コメントありがとうございます。
    公開当時ご覧になったのですね。
    私は数年前の日本映画専門チャンネルで初めて見たのですが、資料を見ると『ガメラ対ギャオス』の併映であったようで、そうなると見ているはず。でもギャオスはしっかり覚えているのですが、こちらはまったく記憶がない状態です(私も当時小学校高学年です)。
    まあ併映は地域や上映館によって異なるかもしれませんが。
    逆に学校でガメラ抜きの単品の上映を見に行ったという可能性も十分ありそうですね。映画のターゲットとしては小学生高学年あたりでしょうし、そのためそのあたりの世代に限られているのかもしれません。
    それにしてもお父様、シベリア鉄道経由でヨーロッパへというのは凄いですね 🙂

  6. Bill McCreary より:

    すみません。映画は未鑑賞なので情報ということで。

    https://www.smt.jp/honepro/pdf/42762.pdf

    仙台でもロケーションがされていたようですね。旧ソ連のシーンもそうですが、たぶん日本でも、国際親善の目的もあり、あえて日本中でロケをしたのかもしれませんね。

    ところでこの映画は、熱心な方の努力で発掘、ソフト化されたようですが、私も日活児童映画の上映会でもしたくなっています(苦笑)。児童映画、ましてや独立ㇷ゚ロの作品とかはなかなかソフト化、再上映も難しいので、仕事をやめたら(って相当当分先です)地元の図書館や公民館にかけあおうかと考えています。

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/1a4fbad5161dd492362a88caa8c52b70

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/b74824b3a2d81e04c808dfc42e2901c9

  7. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
    これは凄い、よく見つけられましたね。
    焼いたディスク引っ張り出してサーカス公演シーン、見返してみました(24分頃)。ご紹介のPDFに書かれていた宮城県スポーツセンター自体が取り壊されているので、画像的には確認できませんでしたが、こうはっきり書かれているので間違いないでしょう。
    たしかに場内、上の方の席まで満員で、「1000人のエキストラが参加した」とあるのもなるほどという臨場感でした(今ですと、すぐにCGで観客増やしますからね……)
    その直前の場外の場面は、おそらく東京の後楽園でしょうか??(未確認)
    もう少し調べてみてから、記事の方更新させていただきます。ありがとうございました♪

    それにしても日活児童映画もお詳しいですね。
    ちょっと脇にずれますが、Bill McCrearyさんのブログ拝見して『ともだち』がぜん見たくなりました。 😀

  8. Tety より:

    こんにちは〜!wikiの情報量が少なかったので映画タイトルで検索しましたところ、こちらの頁に辿り着きました!

    幼少期に映画館で観て以来ずっともう一度観たいなぁと思っていた映画なんですぅ。
    小さな逃亡者だと思ってました、小さいが
    正解なんですね。今U-NEXTでトライアル無料ひと月に参加してて直ぐにこの映画で検索かけましたが残念有りませんでした!

    故に千葉ちゃんで検索して在りし日の映画を観て偲んでおりましたが、やはりこちらの映画が気になり皆様のコメントで記憶を呼び覚ましております。映画館でいつ観たのかも忘れてましたが、ガメラ対ギャオスの併映でしたか…母に連れて行って貰った最初の映画です。帰りに地元にある高島屋のエスカレーター脇の什器にあったガメラマーチのシングルレコードも買って貰った記憶も蘇りました。それまではソノシートばかりで初めてのハード盤です!その母も
    今は肺を患い地元で入院しておりコロナ禍で会うことが出来ません…。あ〜この映画は母と二人で観た映画だったのですね〜。
    思い出して泣けて来ました。自分が五歳位だったのかなぁ、ガメラ映画の方は沢山の記憶が残ってますが、こちらの方の記憶は映像が綺麗だったことと少年が大きな部屋の大きな机の前に座って誰からかに何でも好きな物を頼んでいいよと言われてマイクにアイスクリーム!って小声で喋るシーンを覚えいます。この映画の主人公の少年は怪獣殿下だったんですね!ウルトラマンで活躍した同年代の少年に感情移入し易くて印象が強く残っていたのでしょうねぇ。
    撮影が宮川一夫さんだということも分かり映像が美しかったことも納得致しました。

    母と伴に幼少期に観た映画でタイトルすら思い出せないものがあと二本程あります。一つは多分韓国映画で頻繁に走るトラックに轢かれる子供達が多い現状に嘆きながら必死に生きる母親達を描いた映画で数人の子どもや母親たちがいる部屋のシーンしか記憶がありません。もう一つは、大阪万博が確か劇中にも登場していた気もするのですが、骨肉腫の病気で片腕を無くした青年の映画で片腕で跳び箱を飛ぶシーンを覚えております。余談ばかりすみません。f^_^;

    他の映画レポートも拝見させて戴きたいと
    思います。ありがとうございました!

  9. 居ながらシネマ より:

    Tetyさん、コメントありがとうございます。
    この映画をリアルタイムでご覧になって、ずっと気になっていらっしゃったとは、よほど印象深かったのでしょうね。
    ストリーム配信はやってなさそうですが、DVDはまだプレミアムが付かずに入手可能なようですので、そちらでご覧になる手もあるかもしれません。

    お母様、ご心配ですね。一日も早いご快復お祈りしております。
    私も母親にはいろいろ映画に連れて行ってもらいました。
    バラゴンの舌がにゅーっと伸びてくるところは、大魔神の手が悪代官をどこまでも追いかけてくる場面と並んで、子供心にコワすぎて、今でも夜ひとりでトイレに行けません。
    そういえば、ガメラとか大魔神とか、きっと近所の映画館は大映系だったのでしょうね。

    タイトル不明映画ですが、どちらもちょっと私にはわかりませんでした。
    6,70年代に劇場公開された韓国映画はかなり限られると思いますので、片端からチェックすればわかるかもしれませんね。

    長いことマニアックなことをやっている変なサイトですが、気になる記事がありましたらまたいつでもお気軽にコメントください。
    ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました