目次
作品メモ
2020年のオリンピックは東京開催決定ということでまずはおめでとうございます♩
決まったとき真っ先にトルコの首相が日本の総理のもとに祝福に来てくださったのは、とても良い光景でしたね。
今回はこういう結果でしたが、イスタンブールはもともと開催地としてはとても魅力的なところですから、いつかきっとオリンピックが開かれる日が来るでしょうし、その時にはトルコのみなさんと喜びをともにできれば良いなと思いました。
更新が間延びする前、『闘牛に賭ける男』 (1960)、『さらば夏の光』 (1968)と海外ロケをした日本映画を続けていましたが、イスタンブールロケを行った日本映画としてすぐに思い出すのがこの『エスパイ』。
当時としては珍しく大々的に海外ロケを敢行したSFアクション大作です。
海外ロケと言っても実際にはキャメラマンたちがひたすら現地の映像を撮りまくってきて、俳優たちは日本で演技というパターンかと思いますが。
エスパー+スパイ => エスパイということで、超能力を持ったスパイたちのお話。
『MI-5』よりは『チャック』に近いノリでしょうか。まあコメディではないんですけど……
原作
原作は小松左京さんの同題小説。
最初に出たのは早川書房の日本SFシリーズ。ポケット判がひとまわり大きくなったようなソフトカバーのシリーズでした。
文庫版のジャケットやイラストは当時キャプテンフューチャーなどの挿絵を描かれていた水野良太郎さんが手がけていて、イラストというよりマンガっぽいタッチの絵柄でしたが、作品内容にはけっこう合っていたような気がします。
確かもともとは青年漫画誌に連載されていて、毎回アダルトな描写を入れるように求められてうんざりしたとどこかで書かれていたのを見た記憶がありますが、そういったサービス部分や超能力合戦の部分など娯楽に徹しつつ、国際情勢やSF的なビジョンをしっかり盛り込もうとしている、いかにも小松左京さんらしい良く出来た娯楽SFでした。
公開時の思ひ出
映画公開は74年の暮れ。つまり75年のお正月映画という扱いです。前年のお正月は同じ小松左京さん原作の『日本沈没』が大ヒットを飛ばしていたので、そのつながりもあったかと思います。
おこづかい握りしめてのこのこ劇場まで見にいきましたが、東宝系公開で同時上映が山口百恵さんの初主演映画『伊豆の踊子』でした。
お相手はオーディションで選ばれた三浦友和さん。公私にわたるお二人の間柄がここからスタートする記念すべき映画です。
今でも持ってる当時のプログラムは、2本の映画が合わさった作りで、センターフォールド部分は百恵さんのグラビアがど~ん。
東宝の当初の思惑としては、SFアクション大作とアイドル映画の組み合わせで若者たちのハートをがっちりわしづかみ的なものだったと思われますが、当時『エスパイ』目当てに足を運んだ人間がどれほどいたでしょうか?(汗)
正直映画の出来映えはいまひとつかな~という印象でしたが、アルプスを背景にひた走る列車や、イスタンブールのエキゾチックな街並みなど、海外ロケの部分は(由美かおるさんのサービスカットとともに)当時純粋な?青少年の記憶に残るところとなりました。
この後再び彼の文化圏にイスタンブールが登場するのは、庄野真代さんの「飛んでイスタンブール」で、4年後のことでございます。
キャスト&スタッフ
出演はエスパイのメンバーに、藤岡弘、由美かおる、草刈正雄、加山雄三。
インド人(であるはず)のサラバッド師に岡田英次。
悪役逆エスパイのウルロフに若山富三郎。
ウルロフの部下で、イヤリングで催眠術にかけるという超能力だかなんだかよくわからない能力の持ち主ジュリエッタ(原作の「銀の女」に相当)に、ゴールデンハーフのルナこと高村ルナ。
監督福田純。
ロケ地
IMDbでは記載無し。
ひたすら画面とにらめっこでチェックです。
列車
ミラノージュネーブ間を走るヨーロッパ国際特急。
水辺を行くショットは、レマン湖の東の端のこのあたり。
行く手に見える城は、シヨン城W
イスタンブール
水道橋
リアガラスの向こうに見える水道橋は、ヴァレンス水道橋W
立体交差
その直後、左にカーブを切るところ。
車は西から来て北へ向います。
サンモリッツ
ド・ゴール空港
0:46頃。
テロップが出るのは第1ターミナル前。
レセプション会場
1:03等。
外観とロビーは当時の千代田生命保険本社ビル、現東京都目黒区総合庁舎W。
大使館
三木がガードしていたところ。
これは次の項目とは別の場所と思います。調査中。
※2014/03/17追記
東京「あの場所は?」秘宝館さんにコメント欄で情報提供していただきました。
「千代田区のフィリピン大使公邸」とのことです。
ホントに大使館ということですね 🙂
こちら↓で詳しく解説していらっしゃいますので、ぜひご覧ください。
「エスパイ」草刈正雄が高村ルナに誑かされ拉致されたロケ地を捜査しよう
http://tokusaburo.kakuren-bo.com/espy/espy2
大使館前
パトカー先導で大使の車が出てくるところ。
都内目白駅近く、日立目白クラブの前。
その前シーザーがほえる場面もこの周囲。
「麻布~」の住所標示が見えますが、おそらく偽装。
このあたり(下落合2丁目)は都内有数の高級住宅街だけあってとても雰囲気が良いところですが、VIPも多いのであまりカメラ片手にウロウロしない方が良いかもしれません(汗)。
レセプション会場内
これはスタジオ撮影。
ウルロフ邸(外観)
1:26頃。
Wikipediaにある通り、外観は横浜市大倉山記念館W。
※20/4/13追記
昨年(2019年)、建物の見学ツアーに参加してみましたので、その時の画像を少々。
ボランティアの方の解説はもちろん、その日だけ特別に屋上にも上れるという、とてもお得な企画でした。
映画では扉の奥にこの階段がちらりと見えています。
ウルロフに誘われて、3人が上りかけたところで、次のカット(セット撮影)に切り替わります。
以下は内部の参考画像。
エントランスホールはこういった感じで吹き抜けとなっていて、中央に階段がずーんと伸びている特徴的な構造。
RICOH THETAでいわゆる全天球イメージ(360度画像)を撮ってみましたが、うまく表示されるでしょうか??
こちら↓は、その階段を少し上ったところで撮影したもの。
大倉山記念館 – Spherical Image – RICOH THETA
こちら↓は、階段を上ったフロアから撮影。
大倉山記念館 – Spherical Image – RICOH THETA
資料
関連記事
海外ロケを行った日本映画
- 『さらば夏の光』 (1968)
- 『ウィンディー』 (1984)
- 『エスパイ』 (1974)
- 『ブルークリスマス』 (1978)
- 『モスクワわが愛』 Москва, любовь моя (1974)
- 『世界を賭ける恋』 (1959)
- 『坂の上の雲』 (2009-2011)
- 『小さい逃亡者』 (1966)
- 『最後の恋、初めての恋』 (2003)
- 『東京⇔パリ 青春の条件』 (1970)
- 『熱砂の誓ひ』 (1940)
- 『白蘭の歌』 (1939)
- 『蘇州夜曲 (”支那の夜”より)』 (1940)
- 『闘牛に賭ける男』 (1960)
- 『雨のアムステルダム』 (1975)
更新履歴
- 2020/04/13 「ウルロフ邸(外観)」に画像追加
- 2014/03/17 「大使館」に情報追記。
コメント
東京「あの場所は?」秘宝館
http://tokusaburo.kakuren-bo.com/
はじめまして、喜劇映画中心にロケ地ブログを書いています。
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大使館
三木がガードしていたところ。
これは次の項目とは別の場所と思います。調査中
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とのことですが、千代田区のフィリピン大使公邸だと思います。
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「エスパイ」草刈正雄が高村ルナに誑かされ拉致されたロケ地を捜査しよう
http://tokusaburo.kakuren-bo.com/espy/espy2
東宝映画「エスパイ」国際公害研究機構から見た神宮外苑
http://tokusaburo.kakuren-bo.com/espy/wppo
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東京「あの場所は?」秘宝館さん、いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
フィリピン大使公邸、確かにそうですね。これでスッキリしました 🙂
今日は時間がとれませんが、明日なんとか本文の方に反映させていただきます。
貴サイトも後ほど拝見させていただきます。どうもありがとうございました!
東京「あの場所は?」秘宝館さん、遅くなりましたが、記事本文に反映させていただき、貴サイトへのリンクも張らせていただきました。
拙サイトではあまり日本映画はとりあげていませんが、洋画とおなじぐらい好きで良く見ています。
日本映画の場合、ほんの数十年前の映画でも今と街並みがまるきり異なり、ついついどこで撮影したのかチェックしたくなりますよね。
「あれ~どこかで見たことあるのに……」というモヤモヤっとした時は記事書きますので、またぜひ教えてください 🙂
ではどうもありがとうございました。
こんにちは。こちらのコメントは、映画に関する雑談ということで。
>インド人(であるはず)のサラバッド師に岡田英次。
悪役逆エスパイのウルロフに若山富三郎。
現在ではさすがにあまりないと思いますが、昔は白人あるいはインド人といった人たちを日本人が演じる(しかも知名度の高い俳優が担当する)というのがちょいちょいありましたね。篠田正浩監督の『沈黙 SILENCE 』では、丹波哲郎が(元)宣教師を演じたくらいですからねえ(苦笑)。もっとも『007 ドクター・ノオ』『慕情』などもおなじようなものですか。ジェニファー・ジョーンズはどうみても純粋な白人にしか見えません。
以下、上の映画について私がちょっと調べてみたことの記事をリンクすることをお許しください。たぶんですが、いろいろ調べていてなかなかわからない、確認できないことが、基本的なところで確認が取れちゃったというご経験は居ながら様も多々あるんじゃないんですかね。
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/4c7faee98bd0d1812e6a45b06b9f7664
>オールナイト上映でかかると、深夜にもかかわらず必ず大盛り上がりとなった記憶が
私もこの映画をいまはなき浅草東宝(この映画館は毎週土曜にオールナイトで東宝のいろいろな映画を上映してくれたので、本当にありがたい映画館でした)で鑑賞しまして、たしかにあのシーンでは、会場で失笑とも苦笑ともつかぬ笑いが起きました。まあギャグのシーンというわけではないのですが。あと由美かおるさんのヌードシーンは「おお・・・」というため息がもれていました。
Bill McCrearyさん、日本人が白人を堂々と演じてしまう件ですが、やはりそれなりの濃い面構えが必要かもしれませんね。あくまで見ている日本人が納得できればそれで良いわけですが。
今月日本映画専門チャンネルの蔵出し名画座で放映されているメキシコ映画の『価値ある男』で、三船敏郎さんが主役のメキシコ人を演じていました。いやホント、見ている間メキシコ人にしか見えないという映画のマジックなのですが、演技力以前に面構えの迫力に押し切られている気もしないでもありません。
『エスパイ』は浅草東宝のオールナイトでご覧になったのですか。
オールナイトで深夜2時、3時とかになると、意識が朦朧としてきますよね。そのへんでテレポーテーションを見ると、ハッとなり、自分をふるいたたせるためにも、「オー」と盛り上がるのではないかと……(「おお・・・」も同様)
『沈黙』の主演俳優さんについてですが、これはよくお調べになりましたね。収集されたデータを拝見する限り、調査結果の確度はかなり高いと思われます。
何より子供の顔が似ているのが、安心材料ですね 😉
こんな風に極端に情報が少ない俳優さんや物件を調べるのは苦労しますよね。
こんなこと誰も調べないだろう、わはは、というフロンティア精神がなによりの燃料になりますが、時にはとても燃費が悪くて、貴重な残りの人生の数日を費やしてしまうということが、拙サイトでもあったりします 😆