作品メモ
ひとつ前のエントリー『寒い国から帰ったスパイ』同様、ジョン・ル・カレ原作のスパイもの。
『寒い~』に続く作品で(4作目)、映画化は『寒い~』と『死者にかかってきた電話』に続く3本目となります。
やはりイギリスの諜報機関が東ドイツにスパイを送り込む話ですが、こちらはイギリスに密入国したポーランド人の青年をスパイに仕立て上げ、東側に配備されたという新型ミサイルの情報を得ようという作戦。
いくらスパイ教育を集中的にほどこされたといっても結局は素人、いざ作戦が始まると思わぬ事態の連続でたちまち先行きに暗雲が垂れ込めます。
所詮バレたらそれまで、切り捨て御免の弱い立場。見終わった後「市民権を得られるから」と引き受けた若者のくったくのない笑顔がふと思い起こされ、深いため息をつくことになります。
一方で『寒い~』に比べるとシビアな諜報戦争という面からは物足りないところもあり、むしろ青春映画を見るような気持ちでいた方がしっくりくるかもしれません。
スパイに仕立てられたポーランド人の若者レイザー(Leiser)にクリストファー・ジョーンズ。
作戦を遂行する諜報部長ルクレック(LeClerc)にラルフ・リチャードソン。
その部下ホールデン(Haldane)にポール・ロジャース。
同じくエイヴリー(Avery)にアンソニー・ホプキンス。劇映画デビューが68年なので、まだ初々しいです。
レイザーの恋人にスーザン・ジョージ。『わらの犬』(71)や『おませなツインキー』(70)より以前でこれまた初々しいことこの上なし。
レイザーが東ドイツで出会った女性(The_Girl)にスウェーデンの美女ピア・デゲルマルク。『みじかくも美しく燃え』に続く作品で、数少ない出演作の1本となっています。
監督・脚色フランク・R・ピアソン。監督第1作で、2本目は『スター誕生』(76)。
撮影オースティン・デンプスター、音楽ウォリー・ストット。
ロケ地
IMDbでは、
London, England, UK
カルクシュタットはアルファベットでは Kalkstadtですが、架空の地名でしょうか?
残念ながら、この映画に関してはほとんどロケ地は特定できませんでした。
海辺の街
桟橋の見える海辺。
レイザーが訓練を受けている部屋があるという設定。
※2014/08/03追記
2014年7月30日、火災により桟橋の上の建物が一棟全焼してしまいました。
参考までに、数十km西にある『素晴らしき戦争』の桟橋も焼失しています。
検問所の橋
▼24/2/5 項目追加
1:15
検問所のある橋。
コメント欄(2024年2月4日 15:55)でほりやんさんから情報を寄せていただきました。
IMDbに追加されたこちら↓がその場所を示していて、なんとスペインでした。
Soria, Castilla y León, Spain
具体的にはこちら↓
クエルダ・デル・ポソ貯水池
Embalse de la Cuerda del Pozo
……に架かっているこちら↓の橋。
- Google Maps
- Google Maps(SV)
- 41.8658976207257,-2.785523581342309
検問所があったのは西側。
ほりやんさんご指摘の通り、そちら側からの景色も映画とほぼ一致しています。
SVで現在の橋から南側を見ると半ば沈んだ欄干を確認できますが、こちらは映画で奥に見えている背の低い橋で、貯水池の誕生とともに役目を終えた旧橋と思われます。
資料
更新履歴
- 2024/02/05 「検問所の橋」項目追加
- 2014/08/03 「海辺の街」追記
コメント
3日前に投稿したコメントが鉄のカーテンを通らなかったようで、再送いたします。
IMDbに「Soria, Castilla y León, Spain」が追加されていました。
Googleマップで「ソリア」地方をざっと見ましたが、湖らしきものが見当たりません。そこで、ソイヤッと気合を入れ周辺を探してみると、けっこう大きな湖が見つかりました。
「クエルダ・デル・ポソ貯水池」です。
盗んだトラックで渡って行く橋が、下記SVの右前方に見える橋に似ています。
https://www.google.com/maps/@41.8628008,-2.7874655,3a,75y,12.07h,99.3t/data=!3m7!1e1!3m5!1sp4Q9TeIin4p84fNpGrQMNQ!2e0!5s20230901T000000!7i16384!8i8192?entry=ttu
そして、レイザーが検問で捕まったとき、背後に見える景色は下記SVにそっくりです。
https://www.google.com/maps/@41.8655956,-2.7864571,3a,75y,90.12h,71.26t/data=!3m6!1e1!3m4!1sjdudHDX2pqX4rHmZU8QggQ!2e0!7i16384!8i8192?entry=ttu
先日の読売新聞に、映画「みじかくも美しく燃え」を紹介して、偽名で生きてきた者も最後は本名を明かしたくなるものだと書いてありました。
あの映画のピア・デゲルマルクは素晴らしかったですね。綱渡りも披露してくれているのでサーカス出身の女優さんかなと思っていました。
「鏡の国の戦争」では彼女の出番が少なかったので「超みじかくも美しく燃え」ですかね。
ほりやんさん、コメントありがとうございます。
投稿がうまく反映されなかったようで申し訳ありません。
確か以前も同じようなことがあったかと思いましたので、スパム対策をさらに緩めてみました。
橋の情報ありがとうございました。
これでお見事大正解ですね 😀
でもソイヤッはソリャッでも良かったかもしれません。
「みじかくも美しく燃え」なるほど、最近の出来事とからめて「偽名で生きてきた者も最後は本名を明かしたくなるものだ」といみじくも美しく語られてしまったわけですね。
あの映画は他人事だから無責任に楽しめるのであって、いったん実名で映画になってしまうと、デジタルタトゥーよろしく永遠に語られてしまうわけで、家族や親族(の子孫)はたまったもんではないかも?? とふと思ったりしました。