作品メモ
ひとつ前のエントリー『バタフライ・エフェクト』は、少年時代の記憶喪失をめぐる時間もののSFでしたが、こちらはミステリードラマ。
やはり少年時代の記憶喪失をずっと引きずっている男が主人公となっています。
「ダブリン悪意の森」というぐらいですから、舞台はアイルランドの小さな町。近くの森で街の住人である少女が遺体となって発見されるのですが、担当を命じられたダブリン警察殺人課の刑事は、街の名前を聞いてひそかに動揺します。
実は彼が今でも抱えている記憶喪失が、かつてその森で起きた少年少女失踪事件と深く関わっていたのでした……
そんな彼と、署内でただひとり彼の秘密を知るバディの女性刑事が、事件解決のため街へ乗り込む、といったお話です。
全8話のミニシリーズ。
2019年10月14日からBBC One、10月16日からRTÉ、11月10日からStarzで放送開始。
日本では2020年4月からAppleTVのSTARZPLAYで『ダブリン殺人課』というタイトルで配信開始。
またAXNミステリーで今年(2021年)2月7日に『ダブリン 悪意の森』というタイトルで一挙放送。
年代設定は2006年で、みなさん折りたたみ携帯を使っているのが時代を感じさせます。
原作
原作は、タナ・フレンチの<ダブリン殺人課>シリーズの1作目『悪意の森(In the Wood)』Wと2作目『道化の館(The Likenss)』W。どちらも集英社文庫からそれぞれ上下巻で翻訳本が出ています。
<ダブリン殺人課(Dublin Murder Squad)>シリーズは、殺人課のメンバーひとりずつが順に主人公(一人称の語り手)となっています。ドラマのメインのお話はロブが主人公の『悪意の森』からとられていて、それにキャシーがメインの『道化の館』が加えられているという構成。
原作とドラマの比較をちょっとメモしますと……
ついでに、原作シリーズ3作目『葬送の庭(Faithful Place)』Wの主人公は、ドラマにも登場しているフランクとなっています。
シリーズは現在6作目まで刊行されていますが、翻訳本は3作目まで。
ちなみに、<ダブリン殺人課(Dublin Murder Squad)>はタナ・フレンチが生み出した架空の組織。
キャラクター
警察
- ロブ・ライリー Rob Reilly / キリアン・スコット
- 主人公であるダブリン殺人課刑事。イギリスの寄宿学校へ通っていたためイギリス英語なまりが強く、初対面でイギリス人と思われる。相棒のキャシーとともにノックナリーの森で起きた殺人事件を担当。ヘザーという女性とルームシェアしていて関係も持っているが、すでに破綻が見えている。
- キャシー・マドックス Cassie Maddox / サラ・グリーン
- 相棒の刑事。幼い頃交通事故で両親を失い、育ての親の叔母が他界した後[1]2004年のこと E6冒頭は家を処分し、そのお金で海に面した高級住宅街に住んでいる[2]E2 フランクとの会話。ロブはヘザーと仲が悪くなると気軽に部屋を訪れて泊まっていったりするが、まだ関係はもっていない模様。
- サム・オニール / モー・ダンフォード
- キャシーの恋人。総務課だったが殺人課に応援要員として合流。[3]原作では最初から殺人課。キャシーの方が後から殺人課に転属となる。恋人ではない。
- クィグリー Quigley / ユジーン・オヘア
- ラフすぎる服装でボスに怒られるは無駄口を叩くはでお荷物状態。どうやらかつて何かしくじってしまった様子だが、仕事をまかせればそれなりにしっかりこなす。途中から地下の資料室で昔の失踪事件の資料を読み込むよう命じられる。
- フェラン Phelan / イアン・ケニー
- 巡査。まだ初々しいが真面目で任務への意欲は強く、ロブの助けになる。
- オケリー / コンリース・ヒル
- ボスの警視。問題発言が多く、キャシーによく睨まれる。
どこかで見たことがあると思ったら、『ゲーム・オブ・スローンズ』の入道ヴァリスですね。 - フランク・マッキー / トム・ヴォーガン=ローラー
- キャシーの潜入捜査を知る刑事。
- ソフィー・ミラー Sophie Miller /
- 鑑識課員。今回だけでなく、21年前の事件の証拠品の鑑識も担当。
被害者とその家族
- キャサリン(ケイティ)・デヴリン
- 被害者。13歳[4]原作では12歳。森の中の遺跡発掘現場から、祭壇に横たわるように発見された。2週間後にイギリスのバレエ教室に通うことになっていて、一家の期待がかかっていた存在だった。
- ジョナサン・デヴリン
- 被害者の父親。森を貫通する高速道路建設について強く反対しているが、そのためか脅迫電話も受けている。
- マーガレット・デヴリン
- 被害者の母親。心を病んでいるように見える。
- ロザリンド・デヴリン
- 被害者の姉。母親や妹たちの面倒をよく見ている。
- ジェシカ・デヴリン
- 被害者の双子の姉妹。学習障がいが見られる。
街の人達
- シモーン・キャメロン
- 被害者を指導していたバレエ教師。
- サンドラ・スカリー Sandra Sculley /
- バレエ教室の掃除係。夜はパブで働いている。住まいはデヴリン家のすぐ傍(E3 0:09)
- ミセス・フィッツジェラルド Mrs. Fitzgerald
- 被害者家族の近所に住む。街のことならなんでも知っている生き字引。E1では電動カートに乗って登場。
発掘調査隊
- マーク・ハンリー
- 発掘調査隊の指揮をとる博士。[5]原作ではドクターではなく、現場のリーダー的存在。原作では別に中年のドクター・ハントが登場する
- ダミアン・ドネリー
- 発掘調査隊のメンバー。遺体発見者。遺体に触れてしまったことをしきりに謝る(E1)。フレンチ・ブルーのジャージを着た男を目撃していた。母親の介護中。
- メラニー・ジャクソン
- 同。ダミアンとともに遺体を発見。
かつての事件の関係者
- ピーター・サヴェッジ
- 行方不明となった少年。アダムとよく一緒に遊んでいた。
- ジャーメイン(ジェイミー)・ローワン
- 行方不明となった少女。ピーター、アダムとよく一緒に遊んでいた。母親は事件の後、アダムとその一家に娘の居場所について執拗に迫っていた。
- ピーターの家族
- 父親は事件から10年後、森で首を吊り、その後一家はグラスゴーに移った(E2 0:13)
- ジェイミーの家族
- 母親アリシアは今も同じ家に住んでいる(E2 0:13)。今回の事件の情報電話に、昔の事件と関係があるからアダムを調べるよう吹き込んだ。記者の取材に答えて新聞のトップを飾る(E5)。
- カハル・ミルズ Cathal Mills /
- アダムたちとは少し年上の3人組[6]当時18歳 E2 0:20。今でも後ろでちょんまげゆっている。現在IT関係の会社を経営し、羽振りは良い。しょっちゅうドイツと往復している模様。
- シェーン・ウォーターズ Shane Waters /
- 3人組のひとり。薬漬けとなりすっかりうらぶれてしまっている。ペンキ缶を手にあちこちフラフラ。
- ジョナサン・デヴリン
大学生たち
トリニティ大学の学生達。森の近くの屋敷を買い取って共同生活を行っている。レクシーもその一人だった。
- レクシー Lexie /
- キャシーと瓜二つの女性。名前もキャシーが潜入捜査のときに使っていたのと同じ名前。俳優さんは一人二役。
- ダニエル・マーチ
- リーダー格。17歳の時同じ寄宿学校の生徒を殺しかけたが親の金でもみ消された。伯父から家を相続し、他の者達を共同所有者にした。
- ラファエル(レイフ)・ラヒリ Raphael Lahiri
- 実家はホテルを所有する金持ち。コカイン中毒だったがダニエルに救われた(E5 0:27)。
- アビゲイル(アビー)・ストーン Abiggail Stone
- 生まれてすぐ施設に入れられたが、その後苦労して奨学金を得た・
- ジャスティン・マネリング Justin Mannering
- 両親は離婚。独りになった彼をダニエルが迎え入れた。
その他
- ビンセント・ジョンストン
- 以前のキャシーの潜入捜査によって逮捕、現在刑務所にいる男。服役中に子供と連絡をとるため起こした裁判で(E1 0:11)、キャシーは人物について証言する。
- テレンス・アンドリュース
- ジョナサンに脅迫電話を掛けていた男。
捜査メモ
ロケ地
IMDbでは、
Belfast, County Antrim, Northern Ireland, UK
Bangor, Northern Ireland, UK
Newry, Northern Ireland, UK
Dublin, Ireland
Ards Hospital, Newtownards, Ireland, UK (Morgue and Path lab Scenes)
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
E1
海岸の遺構
E1 0:08
冒頭の事件を解決した後、食事をとるところ。
一見海に向かって突き出している防波堤みたいですが、以前プールだったところのようです。
Blackrock Baths
http://builtdublin.com/blackrock-baths-blackrock-co-dublin/
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 53.303117,-6.178088
警察署
E1 0:09
裁判所前
E1 0:12
キャシーが出てきてロブの車に乗るところ。
ダブリン市内、
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 53.345794,-6.274688
右側が↓
通りはインズ・キー(Inns Quay)。川はリフィー川(左岸)。
男たちが会った街角
カハルと呼ばれた男と、うらぶれた男が待ち合わせていたところ。
ダブリン市内のこちら↓。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 53.345845,-6.235908
E2
キャシーの住まい
「海辺の遺構」のすぐ近く。
テラスハウスづくりですが、だいぶ高級そうです。
駅
E2 0:06
キャシーが乗る駅。
「海辺の遺構」のすぐ背後。
歩いてくるのはこの道。
ダブリン高速輸送(Dublin Area Rapid Transit、DART)W
フランクは跨線橋から見下ろした列車に次のカットで乗っていますね。移動が早すぎ 😅
▼21/3/24 追記
Bill McCrearyさんから画像を提供していただきました。
ダン・レアリー駅で降りられた時のものとのことで、ドラマでキャシーが乗っていたのとは少しだけ型式が違うみたいですが、色味は同じですね。
コノリー駅からお乗りになったのことで、ドラマの駅やキャシーの家の前も通られたはず。
いったん海岸線に出ると、あとはこうした↓景色となる模様。遠くの陸影はドラマでも写っていたと思います。
まさに世界の車窓からですね 🙂
Bill McCrearyさんはこうした画像を含む旅行記をご自身のブログでアップされていますので、ぜひご訪問ください。
ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学) >
- アイルランド・英国紀行(2015年9月)(100)
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/a5a94b29c73282828c7fa183abd6dfda - アイルランド・英国紀行(2015年9月)(102)
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/14e5955753eb9d29fd201d2a5127f514
モルグ
0:09
Ards Hospital, Newtownards, Ireland, UK (Morgue and Path lab Scenes)
空港の駐車場
0:23
カハルがベルリンに発つ前に電話していたところ。
ダブリン空港のこちら↓
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 53.429062,-6.243671
警察署屋上
0:37
ダミアンの聴取の後、キャシーとロブが話すところ。
周囲の景色から判明しました。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 53.3362852,-6.2676306
E3
廃墟
0:58
森の近く、レクシーの遺体が発見されたところ。
E4
カハルの会社
0:16
GOLDPOINT DATA STORAGEという名称。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 53.345807,-6.239326
E1でシェーンと会話したところから2ブロック西側。
ガード前
0:35
アランナ(Alannah)が襲われたガード前。
- Google Maps(SV)
- 53.351123,-6.251833
E1の最初の事件で、恋人のアリバイ作りを翻したためでしょうか。
しかしこの女優さん(Ericka Roe)も襲った2人も、とても女優さんには見えないですね……
E5
海岸の家
0:16
似たようなコテージが並んでいますが、これがシモーン・キャメロンが話していた(0:06)キャンプ場でしょうか。
「クローガーヘッドの海岸」と言っていますので、こちら↓
ダブリンの北50km
ダミアンの家
0:29
湖?のほとりの戸建て。要介護の母親と住む。
E6
E7
E8
ダブリン港
0:47
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 53.345701,-6.195784
駐車場
0:48
ジョナサンと話すところ。
ラスト
資料
更新履歴
- 2021/03/24 「駅」にBill McCrearyさんの画像を追記
- 2021/03/04 新規アップ
コメント
番組は未見ですが、ダブリンが舞台なのでご協力できるかもと考えて、DARTの写真はありました。
ただ個人のお顔は掲載しないというポリシーでしたら、車内の写真は無理かもですね。
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/a5a94b29c73282828c7fa183abd6dfda
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/14e5955753eb9d29fd201d2a5127f514
ところでこのようなクロスシートの席は、日本の電車ではなくなってしまったので、やはりいいですよね。JR東日本も、ロングシートばかりでなく東海や西日本のように、座り心地のいい車両をもっと導入してほしいと思います。
Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
アイルランドは以前もダブリン城など画像をいただいたことがありましたね。
ブログ拝見しましたが、位置関係的にはこのドラマの駅と同じ方向のようですね。車両の外観もアップされているようですし、また後ほどぜひピックアップさせてください。