目次
作品メモ
実写とアニメが融合した押井守監督の意欲作。
全編ポーランド・ロケで、撮影スタッフの大半と俳優はポーランド人、セリフもポーランド語。
日本人は日本語字幕付きで見るという異色作でもあります。
何より独特の映像処理が特徴的ですが、公開時に観に行ったときには、正直さほど新鮮味を感じることはできませんでした。
限られた予算の中で労力を注いで作り込んだのだとは思うのですが、押井監督ならこのくらいはやってくれるだろう……という想定内にとどまっていたような……。
さらに設定と言いますか世界観やストーリー部分にそれほど新味や驚きを感じられなかった……そのへんのもどかしさもあったかもしれません。
それでも音響や音楽にはハッとさせられるものがありました。
さほど音の良くない劇場でしたが(渋谷の今は亡き東急文化会館)、他の日本映画とは一線を画す出来映えであることは、私の頼りなくなりつつある耳でも聴き取れました。
デジタル技術が映像だけではなく音にも確実に革命をもたらしているのを実感できた作品といえます。
音響デザイナーはスカイウォーカーサウンドのランディ・トム。
音楽はおなじみ川井憲次さん。
実に見事なスコアですし、ダビングの仕上げの細やかさにも喫驚しました。
この後の『イノセンス』も素晴らしかったですね。
今から観るとなるとBlu-ray盤もありますが、なぜかDVDが抱き合わせで、しかもお値段が1万円という商魂たくましい仕様。
さすがに買う気が起きません。
……と思ったらようやく単品でBlu-ray盤が出るそうですが、お値段なんと8000円。やれやれ。
ロケ地
IMDbでは
Filharmonia Narodowa, Warsaw, Poland
Marszalkowska, Warsaw, Poland
Warsaw, Poland
Wroclaw, Poland
こんな本もありますが持っていませんので、手元の資料としては劇場プログラムとサントラCDのライナーノーツを参考にしつつ、以下ロケ地を見ていこうと思います。
冒頭の市街戦
プログラムに「ブロツワフ郊外のミエルニーチャ」と書かれてあります。
戦車はこの通りを南に向かって侵攻してきます。
Miernicza, Wrocławiu
画像はWikipediaポーランド語から(パブリックドメイン)。
戦車はこの画像の中央あたりに止まり、目標を探して砲塔を回します。
マップ↓
撮影は3日間。
エキストラとスタントマン総勢200人。
病院
プログラムによると、「ワルシャワ郊外のオトフォッカにある実在の病院」とのこと。
「内部の鋼鉄製のエレベーターなど、すべて実際に使われているもの」だそうです。
Ruins D99
プログラムによると、「クラクフの南にある鉄鋼の町、ノーバフータにある廃工場跡で撮影」。
クラスSA(リアル)
最初に色鮮やかに映るのは高層ビルと路面電車。
スターリン建築のビルはワルシャワの中心にあるこちら。
Pałac Kultury i Nauki (Palace of Culture and Science 文化科学宮殿)
http://www.pkin.pl/
- Wikipediaポーランド語 Pałac Kultury i Nauki
- Wikipedia日本語 文化科学宮殿
- Wikipedia英語 Palace of Culture and Science, Warsaw
- Google 画像検索
画像はWikipedia英語版から(パブリックドメイン)。
マップ ↓
IMDbに書かれてある「Marszalkowska」は文化科学宮殿の東側を南北に走る通り(ポーランド語で”Marszałkowska”)。
地下鉄
乗ったのはこちらの駅。
Centrum駅
コンサート・ホール(外観)
特に資料がなかったので、ワルシャワ市内の建物を画像検索でチェックして見つけました。
ワルシャワ大学の施設です。
Pałac Kazimierzowski (Kazimierz Palace)
http://www.uw.edu.pl/
- Wikipediaポーランド語 Pałac Kazimierzowski
- Wikipedia英語 Kazimierz Palace
- Wikipediaポーランド語 Uniwersytet Warszawski
- Wikipedia英語 University of Warsaw
- Google 画像検索
画像はWikipediaから(パブリックドメイン)
マップ↓
コンサート・ホール(内部)
上記外観の建物から南西に1kmほど離れたところ。
Filharmonia Narodowa
http://www.filharmonia.pl/
ポーランドロケで最初に撮影されたのがこの場面。
1日限り、4回の演奏というスケジュールで、押井監督いわく「いま思い出しても冷や汗が出る」。
……とプログラムにありますが、音楽そのものはその前に2日かけて録ってあります。
オーケストラは、ワルシャワ・フィルハーモニック。
ソプラノはElzbieta Towarnicka。
この場面の曲「Voyage to AVALON」は、マイクを何本も立てて録ったもので、ほとんど手を加えていないとのこと。
一方あのクールなテーマ曲は、コーラス部分だけがワルシャワでの録音で、あとから日本で録音を重ねていって作られています。
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