目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『ことの終わり』から、ブライトンの桟橋とロイヤル・パビリオンつながり。
第一次世界大戦を、風刺と皮肉を目一杯盛り込んで描いた異色反戦ミュージカル。
戦争をミュージカル仕立てで描く……という発想だけでなく、舞台をとある桟橋に限定し、一般市民の様子が描かれる日常世界と、兵士達が送り込まれた戦地、さらに、列強各国の権力者たちが描かれる仮想的空間がその場で交差しバトンタッチしながら物語が進められていくという、かなり手の込んだ仕掛けとなっています。
リチャード・アッテンボロー初監督作品。
いきなりの力業的作品ですが、最後までブレることなくしっかり描ききったように思えます。
オリジナルのミュージカル(舞台版)については → Wikipedia(英語)Oh, What a Lovely War!
キャストについては大人数のため、以下のロケ地コーナーで一部触れていくにとどめます。
ロケ地
IMDbでは、
Bayham Abbey, Lamberhurst, Kent, England, UK (church)
Brighton Pavilion, Brighton, East Sussex, England, UK
Brighton Station, Brighton, East Sussex, England, UK
Brighton, East Sussex, England, UK
East Sussex, England, UK
Kent, England, UK
Palace Pier, Brighton, East Sussex, England, UK
Seafront, Brighton, East Sussex, England, UK
Sheepcote Valley, Wilson Avenue, Brighton, East Sussex, England, UK (rubbish dump used as site of war graves)
The Beach, Brighton, East Sussex, England, UK
West Pier, Brighton, East Sussex, England, UK (funfair)
Wykehurst Park House, East Sussex, England, UK
この他DVDの監督によるオーディオ・コメンタリーが参考になりました。
開戦前夜
まずは1914年、第一次大戦開戦に至る列強の様子が戯画化される冒頭。
この不思議な空間、撮影はスタジオでしょうけど、設定としては桟橋の上にあることになっているようです。
この場面のキャストは……
フランスのポワンカレ大統領にサー・イアン・ホルム。
イギリスの外相サー・エドワード・グレイにサー・ラルフ・リチャードソン。
オーストリアの外相ベルヒトルト伯爵にサー・ジョン・ギールグッド。
ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世にケネス・モア。
ドイツ軍参謀総長モルトケにサー・ジョン・クレメンツ。
……と「サー」の密集状態。
宣戦布告
皇帝が宣戦布告書に署名するところ。
撮影は前のエントリー『ことの終わり』で見たBrighton Royal PavilionW のThe Music Room
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
ベルヒトルト伯爵のなすがままとなっているオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世にジャック・ホーキンス。
この場面ひとことも口をききませんが、喉の手術のため晩年は声が出ませんでした。少し前のエントリー『衝撃の告発!QBセブン』の時も吹替えが行われています。
海岸と桟橋
主な舞台となる白い桟橋。
ひとつ前のエントリー『ことの終わり』と同じく、ブライトンWの海岸。
ただし桟橋はBrighton PierW
ではなく、1kmほど西側にあったWest PierWです。
1975年に閉鎖。
その後の風害と2003年の火災でまったく見る影もなくなっています。
経年変化をできるだけ近いアングルで見てみますと……
こちらは1920年とのこと。
2002年。
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
2005年。
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
フランス軍のミュージカルナンバー
フランス軍将校はジャン=ピエール・カッセル。
撮影はコメンタリーによるとサセックス・ダウンズ。
劇場
にぎやかで楽しい舞台ですが、愛国&戦争ムードを盛り上げて若者たちに兵に志願しなくてはならない雰囲気作りをしてしまうという催し。
空気が支配するのは日本だけではないようです。
歌うはマギー・スミス。
撮影は、コメンタリーによるととなりのPalace Pier(現Brighton Pier)にあった劇場。
戦地
サー・ジョン・フレンチ元帥にロード・ローレンス・オリヴィエ。
サー・ヘンリー・ウィルソン将軍にサー・マイケル・レッドグレーヴ。
娘のヴァネッサ・レッドグレーヴも後から出てきます。シルヴィア・パンクハースト役ということで、キャラ的にぴったり。
鉄道駅
負傷兵が痛々しく戻ってくる駅。
オーディオコメンタリーに拠れば、撮影はロンドンのセント・パンクラス駅(St Pancras station)W。
その直後の駅構内のカットは、Brighton駅Wのように見えます。
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
※13/4/19追記
milouさんからセント・パンクラス駅の画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は2002年とのことです。
©2002 milou アルバム「ロンドンの駅」から |
この絵になるジョージア様式の建物は多くの映画で使われているとのことです。
IMDbでチェックしたところ、こういった感じ。
Most Popular Titles With Location Matching “St. Pancras Station, St. Pancras, London, England, UK”
有名どころが並んでいますね。
©2002 milou アルバム「ロンドンの駅」から |
milouさんはお近くに住まわれていたとのことで、羨ましいです。
©2002 milou アルバム「ロンドンの駅」から |
映画に登場した構内はゆったりと曲がっていましたが、St Pancrasはこんな風にまっすぐ。
なので、上にも書いた通りBrighton駅のような気もします。
©2002 milou アルバム「ロンドンの駅」から |
ロケ地としてはポピュラーのようですので、提供していただいたこれらの画像は他のエントリーでもまた使わせていただくことがあるかと思います。
©2002 milou アルバム「ロンドンの駅」から |
©2002 milou アルバム「ロンドンの駅」から |
古城のような邸宅
オーストラリア兵が寝そべっていたところ。
年季の入った邸宅ですが、実はこれホラー映画『ヘルハウス』の館(ベラスコ邸)です。
Wykehurst Park House, East Sussex, England, UK
この頃の映画に何度か登場する物件ですが、白日の下でこれだけはっきり写っているのは珍しいかもしれません。
『ヘルハウス』のエントリーでも書いたようにウェブマップで特定するのは避けることにします。
野戦病院と埋葬
コメンタリーによると、ブライトンの郊外。
兵士役の多くはサセックス大学の学生とのこと。
コメント
あの映画の最初の方、桟橋の入り口の受付みたいなところで「スミス、ジョージ・パトリック・マイケルです」、「スミス、バートラム・ビドルです」って名前を言って入場していくシーンが大好きです。
コメントありがとうございます。
冒頭の列強の場面はおとなしめですが、桟橋に移ってからは皆やたらハイな状態で登場し、テンション上がりまくりで、たしかにこのあたりが強く印象に残る映画ですね。
確かにみんな異様に熱狂してますね、マギー・スミスが歌うシーンとか。フローレンス役の女の人可愛かったです。
きっともとのミュージカルがそういったノリなのでしょうけど、映画ではロケでリアルな映像になることで、かえって異様な空間ができあがっていますよね。
マギー・スミスのステージはうっとり見てしまいます。彼女はスミス一家ではないのですね。