目次
作品メモ
一つ前のエントリー、『ひかりのまち』とほとんど同時期に作られたイギリス映画。
音楽がマイケル・ナイマンで、脇役にイアン・ハートが出ている点でも共通しています。
舞台も主にロンドンですが、設定は現代ではなく第二次大戦終結前後の物語。
かつて友人の妻とただならぬ関係にあった主人公ですが、突然彼女から別れを告げられます。
戦後友人と再会した彼は、妻が浮気しているかもしれないと相談を受けます。
嫉妬の炎がメラメラ燃えた彼は、私立探偵をやとい彼女の身辺を調査するのですが…… といったお話。
ぶっちゃけ「不倫もの」なわけですが、正確に言えば「三角関係もの」となるかもしれません。
よろめきドラマとしてはかなり異色で、「ことの終わり」に至ったいきさつが明らかになるとき、そしてさらにその先に物語が苦悩しながら進んでいくとき、テーマの奥深さに思わず「う~む」とうなってしまいたくなります。
さりとて一介の日本人である自分が、そこに潜むパラメーターを果たして完全に理解できたかと言えばやっぱり疑問なわけですが、少なくとも映像化が難しいテーマを丁寧に解きほぐし、深みのあるドラマとして提示しようとした作り手達の誠実さは、きちんと感じることが出来たような気がします。
主人公の作家モーリス・ベンドリックスにレイフ・ファインズ。
友人ヘンリー・マイルズにスティーヴン・レイ。
その妻サラにジュリアン・ムーア。監督に手紙で直訴してこの役をゲット。
探偵パーキスにイアン・ハート。
謎のスマイス氏にジェイソン・アイザックス。
原作グレアム・グリーン。
原題は同じですが、翻訳本のタイトルは『情事の終り』。
これは2度目の映画化で、最初の映画化の時は(1955年)『情事の終り』が邦題となっていました。(IMDb allcinema キネマ旬報)
監督・脚本ニール・ジョーダン。
音楽マイケル・ナイマン。
『ガタカ』や『ひかりのまち』、『ピアノレッスン』と並ぶ、90年代の代表的なお仕事のひとつ。
予告編を貼り付けようかと思いましたが、本来のサントラではない音楽が付けられていたので(予告編ではありがち)、やめました。
ロケ地
IMDbでは
Brighton, East Sussex, England, UK
Church of St Bartholomew the Great, Smithfield, Holborn, London, England, UK
Kensal Green Cemetery, Harrow Road, Kensal Green, London, England, UK (film’s climax)
Kew Green, Kew, Richmond, Surrey, England, UK (End of film, V1 bomb hitting house)
London, England, UK
Maida Vale Underground Station, Maida Vale, London, England, UK (where Sarah encounters Lance)
Park Lane Hotel, Piccadilly, London, England, UK (hotel bar sequence)
Shepperton Studios, Shepperton, Surrey, England, UK (studio)
9 Eastern Terrace, Brighton, East Sussex, England, UK (hotel by the seaside) ……※15/5/26追記 IMDbで追加されていました
ということで、主な撮影地はロンドンとその近郊。
後半でブライトンも登場します。
再会のホテル
2人が以前密会に使い、今回再び待ち合わせに利用したホテル。
「パークレーン・ホテル」(Park Lane Hotel)と台詞で言っていますが、実際そこで撮影されたようです。
待ち合わせたのは、Silver Galleryというラウンジ。
回転扉はホテル正面右側のBall Roomの出入り口(0:19)。
教会
探偵親子が見守る中、サラが泣いていたところ(0:27)。
IMDbのリストにあるこちら。
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
ここは『恋におちたシェイクスピア』で、マーローの死を知りシェイクスピアが許しを請うていた教会です。
後半に登場するときは、こういった外観も写ります(1:06)。
※15/6/5追記
ピンポイント的に教会内部のインドアビューが追加されていました。
上掲画像同様、椅子の並びが映画とは変わっています。
後半に登場する教会に向う曲がり角(上掲画像)は、ストリートビューで2014年5月へさかのぼるとちょうど同じアングルで確認できます。
- Google Maps(SV) ……2014年5月
スマイス氏(Mr. Smythe)の家
サラが歯科治療を装って密かに通っていたところ。
「シーダー通り65番地(65 Cedar Road)」とセリフでは言っていますが、サラがやってきたT字路はここ。
Inglebird St.を西から歩いてきます(0:36)。
その後3人が車でやってくるのもこの路。
少年が居眠りしていたのは、おそらく正面突き当たりの教会。
報告を聞くパブ
※15/6/6項目追加
探偵から報告を聞くパブ(0:36)。
The Worldwide Guide to Movie Locationsによると、こちらとのことです。
Prince Alfred
5A Formosa Street, W9 1EE
http://www.theprincealfred.com/
爆弾が落ちた教会
回想場面(0:46)。
ロングショットで教会が黒煙をあげていたのはIMDbのリストにあるこちら。
Kew Green, Kew, Richmond, Surrey, England, UK
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
教会は、St. Anne’s ChurchW
告白した教会
最初の教会とは違いますね(1:04)。
調査中。
※15/6/5追記
The Worldwide Guide to Movie Locationsによると、St Mary Magdalene, Woodchester Squareとのことです。
少年にキスしたところ
駅の待合室のような内装で、壁が丸いのが特徴的(1:08)。
IMDbのリストにあるこちらかと思いましたが違うようです。調査中。
Maida Vale Underground Station, Maida Vale, London, England, UK (where Sarah encounters Lance)
他に地下鉄駅らしきところといえば、モーリスに会うためにサラが階段を降りてくる場面ぐらいなので、そちらかもしれません。
マップではここ。
※15/5/6追記
キスしたところは、おそらくこちら。
アーノス・グローヴ駅(Arnos Grove tube station)W
降りていく階段はThe Worldwide Guide to Movie Locationsによると、上述メイダ・ヴェール駅(Maida Vale Underground Station)Wで正解のようです。
映画館
モーリスがサラを追って駆け込むところ(1:12)。
扉に”RIALTO”と書かれてあるようです。
調査中。
※15/6/4追記
コメント欄でmilouさんから情報いただきました。
14 Whitehall の Whitehall Theatre (現 Trafalger Studios) とのことで、こちらですね。
右隣の建物が雰囲気が異なるので一瞬戸惑いますが、たくみに擬装しているのですね。
ここで正解。お見事です♪ ありがとうございました。
遊園地と桟橋
2人で逃げてきたところ(1:17)。
セリフにもあるように、ブライトンW
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
©1999 milou アルバム「イギリス各地」から |
※12/10/9追記
milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
桟橋の西側から撮られていて下記ホテルとは逆ですが、緑の柵は映画と同じですね。
撮影は1999年とのことです。
ホテル
桟橋から東へ1km少々行ったところ(1:18)。
外観だけでなく室内もこちらでの撮影と思われます。
SVで見る限り、映画ではあった”HOTEL”の表示はありませんし普通のフラットのようにも見えますので、ウェブマップでの特定は少しぼやかして、かわりに探偵と話した場所を桟橋含めたアングルでどうぞ。
※15/6/5追記
コメント欄でmilouさんから情報いただきました。
IMDbのリストで、こちらの場所が追加されているようです。
「普通」とか書いちゃいましたが、億ションでした 😆
宮殿
ブライトンのロイヤル・パビリオン。
Brighton Royal PavilionW
http://www.brighton-hove-rpml.org.uk/RoyalPavilion/
This work is licensed under a Creative Commons Attribution 2.0 Generic License.(CC BY 2.0)
チェロの曲は、コダーイ作曲「無伴奏チェロソナタ」第1楽章の冒頭。
墓地
Kensal Green Cemetery, Harrow Road, Kensal Green, London, England, UK (film’s climax)
資料
更新履歴
- 2015/06/06 「報告を聞くパブ」項目追加
- 2015/06/05 各場面でタイムスタンプ追記 「教会」「ホテル」「少年にキスしたところ」「告白した教会」追記
- 2015/06/04 「映画館」追記
コメント
答え合わせ(?)。World Guide にかなり詳しく出ています。
☆ただし映画館を East Finchley の Phoenix Cinema としているが、ここは道路の角だし入口前の階段も違い間違いです。正解は14 Whitehall の Whitehall Theatre (現 Trafalger Studios) 。階段やドア左の柱から見て間違いない。これは家で見つかったパンフレットに載っていた情報だが逆にパンフレットではブライトンのホテルを最も有名な (『さらば青春の光』でスティングが働いていた)桟橋の反対側 The Grand としているが間違い。正解は記事のとおりで、これも imdb のリストに新規追加されていた。現在は高級マンションで価格は62万ポンド(1.18億円)。英国平均が27万ポンドなので、かなり高級。ブライトンは非常に雰囲気のいい街でロンドンにも近いし住みたいなと思った。ただ映画館は現在3館しかない。
ちなみに映画は時間が交錯し分かりにくいが証拠品の1つとして渡したホテルの灰皿は The Grand の左隣にある Hotel Metropole (現 Hilton Brighton Metropole) のもので絵柄も一致している。ということは灰皿を用意できなかった映画のホテルは当時もホテルではなかった可能性もあるがホテル入口などを偽装するより灰皿を作る方が楽なのでホテルだった可能性が高い。
☆階段を降りてくるチューブの駅はMaida Vale に間違いない。World Guide や画像検索で階段の緑の市松模様が確認できる。少年にキスをするのも同じ駅だろうが確認できない。
☆探偵の事務所はメモに 3 Vigo Passage 書くがVigo Street しか実在しないようだ。そして名刺の電話番号はHOLBORN 0201 なのに郵便番号はEC4でセント・ポール寺院周辺とすべてバラバラ。ただし11 Vigo Street あたり(住所としてはBurlington Gardens 10-12)が路地だったようにも見える。ただし入口アーチの道をバスが走るので、それなりに広い道路 EC4 あたりは古い建物が多く、あのような路地もたくさんあった記憶がある。
☆記事の St Bartholomew 教会の下の写真は、まさに66分頃サラがレストランPalmer’s から出て右に曲がる角で道路標示は Cloth Court でRising Sun Court から教会を見る角度だがSVはないので確認できない。現在の地図では Ask For Janice という店のあたりのはずだが店の住所は反対側大通りの50-52 Long Lane になっている。しかし映画ではPalmer’s はPark Lane Hotel のすぐ側でもある矛盾する。
milouさん答え合わせと新情報ありがとうございます。
とりいそぎ映画館追記しました。後は夜にでも作業致します。
昨年NHKBSの世界ふれあい街歩きでノッティングヒルが登場したとき、ちょっと足を伸ばしてブライトンを訪れるコーナーもあり、テレビの前で寝っ転がってロケ地巡りができてお得な回でした。
6/5 9:10追記
引き続き追記中です。残りは今夜となります。