こちらはNHKで放送されたイギリスの連続ドラマ版(2016)のエントリーとなります。
ソ連製劇場映画(1965-67)は別にエントリーがありますので、そちらをご覧ください。 → 『戦争と平和』
作品メモ
今年(2016年)10月~11月にNHK地上波で放送されたイギリスのミニシリーズ(毎週日曜夜9時)。この週末(12月25日、26日)の深夜、集中再放送中です。
1月から2月にかけてBBC Oneで放送された新作で、BBCでは全6話。NHKはそれを8回に分けて放送しています。
10月24日に放送された第5話の舞踏会のシーンで、ここはもしや?とビビっとくるところがありました。
以前エントリーを書いたNHKのドラマ『坂の上の雲』第5話で描かれた舞踏会のシーンと同じ場所に見えたのですが、録画を確かめてみたら、やはりビンゴ♪
これでようやく撮影場所が判明しました(詳細は「ロケ地」をどうぞ)。
読んだことはなくてもタイトルだけならみんな知ってるトルストイの原作から、悩める3人の若者たちを中心に描きます。
ピエールにポール・ダノ。これはうまいキャスティングでした。
ナターシャにリリー・ジェームズ。好演でしたが、どうしても『ダウントン・アビー』のお騒がせお嬢さんのイメージが重なってしまいました。
アンドレイに、AXNミステリーの『グランチェスター 牧師探偵シドニー・チェンバース』でおなじみのジェームズ・ノートン。
ロシア人役の多くは英米の俳優が占め、セリフは英語ですが、さすがにナポレオンはフランス人が演じています(マチュー・ガソウィッツ)。
セットや衣装は豪華。
実際にロシア他でロケを行い、迫力ある戦闘シーンとともに、テレビシリーズとして十分に合格点を付けられる水準に仕上がっています。
ただちょっと場面によっては手持ちのゆらゆらカメラが気になり、酔いそうになりました。
『戦争と平和』映像化
年代逆順。
イギリスでは1972年にやはりBBCによってドラマ化されています。その時のピエールはアンソニー・ホプキンス。
国・年 | 長さ | ピエール ナターシャ アンドレイ |
---|---|---|
英・BBC 2016 IMDb |
6話(NHKでは8話) 6時間19分 |
ポール・ダノ リリー・ジェームズ ジェームズ・ノートン |
伊 2007 IMDb allcinema |
4話 8時間 |
アレクサンダー・ベイヤー クレマンス・ポエジー アレッシオ・ボーニ |
BBC 日本未公開 1972-74 IMDb | 20話 14時間50分 |
アンソニー・ホプキンス モラグ・フッド アラン・トビー |
ソ連 1965-67 IMDb |
7時間7分 | セルゲイ・ボンダルチュク リュドミラ・サベリーエワ ヴャチェスラフ・チーホノフ |
米伊 1956 IMDb |
3時間28分 | ヘンリー・フォンダ オードリー・ヘプバーン メル・ファーラー |
ロシア 1915 |
ロケ地
IMDbでは、
Lithuania (Vilnius)
Latvia
Russia
Rumsiskes, Kaunas County, Lithuania
Rundale Palace, Bauska, Latvia
Gediminas Tower, Vilnius, Lithuania
Russian Museum, St. Petersburg, Russia
St Nikolai’s Church, Vilnius, Lithuania
Vilnius, Lithuania
Catherine Palace, Pushkin, Pushkinsky District, St. Petersburg, Russia
Yusopov Palace, St. Petersburg, Russia
The Hermitage, Palace Embankment, Dvortsovy, Tsentralny District, St. Petersburg, Russia (as Winter Palace)
Veliky Novgorod, Russia
St. Petersburg, Russia
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
とりあえず、上述のビビっときたところをメモ。
E5・舞踏会
上述の、見ていてビビっときたのがこの場面。
以前エントリーを書いた『坂の上の雲』第5話の舞踏会のシーンと同じ場所に見えたので、録画を確かめてみたら、やはり同じ場所でした。
そちらのエントリーでは撮影場所が判明できず、スタジオセットかも、と書いてしまいましたが、『戦争と平和』ではホール全体が映し出され、リアルの場所であることがわかりました。
肝心の場所ですが、IMDbには撮影場所がなさそうです。
でもセットでないとわかると俄然探す気が倍増。
画像検索を繰り返した結果、サンクトペテルブルクのこちらの中にあるホールであることがわかりました。 やはり『坂の上の雲』の同じ回で、この中にある劇場も登場しています。
モイカ宮殿(Дворец Юсуповых на Мойке、ユスポフ宮殿)W
http://yusupov-palace.ru/ru
画像ではたとえばこちら↓
資料
更新履歴
- 2016/12/25 新規アップ
コメント
ロベール.リナンの件で寝込んだ、えめです。
今回は、舞踏会のシーンがモイカ宮殿で撮影されたと知り、思わずコメしました。あれは、エルミタージュ美術館だとずーっと思い込んでいたからです。誰かにもしたり顔で、そう話した気がします(恥)
モイカ宮殿と言えば、ラスプーチンが殺害され、モイカ川に投げ込まれたあの場所ですよね。舞踏会のシーンは、ジェームズ.ノートンの軍服姿と分厚い口唇にくぎ付けになった思い出があります。それが、あの恐ろしい場所で撮影されていたとは!
Wikipediaによると、ラスプーチンが殺害者に追われて逃げ込んだ中庭は、今は幼稚園児の遊び場だそうです。シュールというか、、時の流れを感じます。
リトアニアに行った時、ガイドさんにこのドラマのことを聞くと、笑顔が一瞬で消え、「私達はあのドラマを嫌いなの。原作がロシアだから。
ソ連に支配されていた時は、牢獄にいるようだった」と言われました。
旧市街の撮影の時、通行止めされ、えらい迷惑したという点も、このドラマが嫌いな理由のようでしたが、、
このサイトを拝見しだしてから、忘れかけていた事を思い出すことが増えました。ありがたいです
でも、今晩はラスプーチンのあの風貌を夢にみそうです。
えめさん、コメントありがとうございます。
ラスプーチン、夢に出てきましたか? きっとBGMは「怪僧ラスプーチン」だったと思います。
それはさておき、確かこのエントリーは、このドラマのおかげで『坂の上の雲』の舞踏会の場所がわかった、ということであわてて書いた記憶があります。
なのでその他は全然チェックしていませんでしたが、リトアニアで撮影されていたのですね。全然気づいていませんでした。
もう少しちゃんとチェックしていればよかったですね。(といいますか、ロケ地のカテゴリーで、ラトヴィアは入れていましたが、リトアニアは入れ忘れてました……)
現地にいらっしゃったとは羨ましいです。
ガイドさんの件は、ソ連時代の記憶がずっしり国全体に残っているのに、自分たちの町がなんちゃって帝政ロシアとして使われるわけですから、複雑な気持ちになるのも無理はないかもしれませんね。
ところでE5の舞踏会を見返してみましたが、誰も「舞踏会の手帖」を持っていませんでした。
ソ連版の『戦争と平和』を確かめてみましたが、やはり見当たらないような。逆にこれが正しい時代考証といいますか帝政ロシアの小道具考証なのでしょうね。
貴重なコメントをありがとうございます。
奇しくも、今日深夜、ニコライとアレキサンドラという映画がBSで放映されますね。
3時間9分!というえらく長い映画です。こんなに長い映画って、珍しいですよね。ずいぶん前観た時には、飽きてしまい、途中で寝てしまった気がします。
今回は、録画に撮って、モイカ宮殿探しに重点をおいて観ようと思います。セットではないといいのですが、、
『ニコライとアレキサンドラ』昨夜放送したのですね。
裏番組を録画する関係で見ることはできませんでしたが、確か昨年あたりでもやはりNHK BSで放送したような記憶があります。
確かに長いですね……途中休憩付きで。
『レッズ』とかもそうですが、どうしてもここらへんの激動の時代を実在の人物を使って堂々と描こうとすると長くなってしまうのでしょうね。
もう録画をご覧になったかどうかわかりませんのでネタバレはまずいかもしれませんが、ヒソヒソ声で言いますと、モイカ宮殿はさすがにホンモノではないと思います……
コメントありがとうございます。
4年続いたロマノフ王朝の重大局面を、3時間9分で知ることができるのですから、ぶーすか言ってはいけませんね。
とはいえ、今回は寝落ちこそしませんでしたが、1.3倍速で観てしまいました、、、
やはり、モイカ宮殿は、本物ではないのですね。殺害現場の中庭はもしや!と思ったのですが、なんせ現在は幼稚園児の遊び場ですから、益々ありえませんね。保護者から、クレームが来るでしょう。
ところで、こんな軽いコメントでもいいのでしょうか。他の方のを拝見すると、レベルの高い、有意義なものばかりで、恐縮してしまいました。
ロマノフ王朝、4年説、訂正させて下さい。304年位ですよね。
300年も間違えてしまいました(恥)
えめさん、
> ところで、こんな軽いコメントでもいいのでしょうか。他の方のを拝見すると、
> レベルの高い、有意義なものばかりで、恐縮してしまいました。
いえ、全然大丈夫です。
ラスプーチンが逃げ込んだ中庭が今では幼稚園児の遊び場なんて、貴重な情報ですし。
これからの人生の何の役に立つかはわかりませんが……
拙サイト自体がもっとずっとしょーもないことをあちこち書き散らしていて、以前のエントリーを読み返して自分で冷汗三斗、穴があったら埋めてやりたい状態になったりすることもあります。
ですので、これからもどうぞお気軽にお立ち寄りください。