ガンマン10のレッスン
作品メモ
ひとつ前のエントリー『ダーティ・セブン』同様、監督トニーノ・ヴァレリ、音楽リズ・オンルトラーニのマカロニウエスタン。
トニーノ・ヴァレリは『さすらいの一匹狼』に続く監督2作目。
イタリア語原題は「怒りの日」で、英題も”Day of Anger”。
銃の達人の流れ者フランク・タルビーにリー・ヴァン・クリーフ。
町の若者スコット・マリーにジュリアーノ・ジェンマ。一度はタルビーを師と仰ぎガンマンの手ほどきを受けたものの、彼のやり口に疑問を抱くという展開です。
大量に生産されたマカロニウエスタンの中で「ああ、あれね」と思い出すためには何か特徴がなくてはなりませんが、この映画の場合は「ガンマン十戒」。
でも10もあるととても覚えられません。覚える前に撃たれそう。
こちら↓は予告編ですが、どうしてもテーマ曲は昔のとあるヒット曲Wを連想してしまいます。
映画の日本公開は68年3月8日で、ヒット曲のリリースは1週間後の3月15日というニアミス。もちろん偶然の一致です。
ロケ地
IMDbでは、
Almería, Andalucía, Spain
Cinecittà Studios, Cinecittà, Rome, Lazio, Italy (studio) (studio: production carried out at S.p.A. Cinecittà)
Desierto de Tabernas, Almería, Andalucía, Spain
San José, Almería, Andalucía, Spain
Polopos, Almería, Andalucía, Spain (Bowie town)
Madrid, Spain (Clifton town)
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
町
スコットの町。
設定ではクリフトン(Clifton)。
IMDbではそっけなく、Madrid, Spain (Clifton town) とだけあります。
どこかのオープンセットと思われますが、調査中。
荒野
似たような景色なので特定は難しいですが、一箇所だけ。
ボーイの町に入る直前のショット(0:25)で、タルビーは左カーブの道を走っていますが、行く手に見える山は『ダーティ・セブン』の絞首刑台の背景と同じ(0:24)。
ただしカメラ位置はもう少し後方です。
こちら↓のカーブかもしれません。カメラは東南東向き。
画像としてはこういった感じ↓
ボウイの町
前半で寄った白い家が並ぶ町。
ボウイ(Bowie)という設定。
IMDbでは、Polopos, Almería, Andalucía, Spain (Bowie town)
映画で登場した場所はうまく判定できませんでした。
そこで同様の映画と比較したところ、『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』で撮影に使われた、こちら↓であることがわかりました。
IMDbの間違いでしょうか。
Los Albaricoques, Cabo de Gata, Almería, Andalucía, Spain (San Miguel mexican town)
町の看板からティルトダウンしてリー・ヴァン・クリーフが入っていくのをとらえているのは、『荒野の用心棒』でクリント・イーストウッドが町へ入っていくのと同じ場所に見えます。
おそらくはこのあたり↓(カメラ東向き)
現在建物はだいぶ変わっていますが、右手奥の建物は映画の頃と同じように見えます。
また、リー・ヴァン・クリーフが弟子の股間から撃ってみせた酒場の前の通りは、こちら↓
建物は建て替えられているかもしれません。
この場所は、後ほどとりあげる予定の『夕陽のガンマン』(65)でも登場しています。
そこで果物を撃ち落としたリー・ヴァン・クリーフが陣取っていたのが、ちょうどこの酒場の扉の上でした。
どちらも同じ俳優が格好よくキメてみせているのが面白いですね。
こちらの場所の一致ネタは、このところセルジオ・レオーネ監督作をまとめてチェックしていたので気づきましたが、残念ながらすでにIMDbのTriviaにも書かれていました(→ IMDbのTrivia)。 ちょっと悔しいかも……
ファロー牧場
背景の山並みが特徴的なので粘ってみたところ、IMDbのリストのこちらであることがわかりました。
San José, Almería, Andalucía, Spain
サン・ホセの北側、このあたり↓からの眺めと一致しています。
となると建物は、現在ホテル(Hotel Cortijo El Sotillo)があるあたりでしょうか。
Wikimapiaでは一部の建物が『荒野の用心棒』のロケ地とマークされています。
手持ちのビデオで確認したところ、確かに冒頭の白壁の家でした。
リー・ヴァン・クリーフは西側から来て、噴水を挟んだ南側の建物に入っていきますが、『荒野の用心棒』のクリント・イーストウッドは、東側から来て、2軒の建物を行き来する子供の様子を見つめます。参考までにそれぞれの進路を最後に挙げたロケ地マップで示しておきました。
タルビーが入った建物は、『荒野の用心棒』で子供の母親がとらわれていたところで、これは現存しているように見えます。
(あるいはそっくりに復元したのかもしれませんが……)
向かいの少し小さい建物は(『荒野の用心棒』では親子の家)現在は外観が映画とは少し異なっているように見えます。
2本の映画で大きな違いは、『怒りの荒野』では『荒野の用心棒』になかったゲートや噴水が作られている点しょうか。
というわけで、次のエントリーは『荒野の用心棒』に決定。
このあたりの映画は、撮影地が重複していて、芋づる式にエントリーを増やしていけそうです。
ちなみにこちらの場所一致ネタは、IMDbのTriviaには書かれていないようです。
一矢報いた?感じ。
ロケ地チェックのレッスン11、決してあきらめてはならない 🙂
ロケ地マップ
資料
更新履歴
- 2017/04/08 新規アップ
コメント