作品メモ
『ハイ・ロード』に続いて故ジョン・バリーのお仕事をもう1本。
飛び降り自殺に失敗して心と体に傷を負った男が、ふと立ち寄ったバーで様々な障碍を持った常連客たちと知り合いになり、彼らとの交流を通して立ち直っていく姿を描きます。
主演のローリーにジョン・サヴェージ。
バーの従業員ジェリーがデヴィッド・モースで、これが映画デビュー作。脚の具合がおもわしくないのですが、お金さえあれば手術を受けてバスケットボール選手として活躍できるはず、という設定。
同じくバーで働くルイーズにダイアナ・スカーウィッド。この作品でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。
脚本バリー・レヴィンソン、ヴァレリー・カーティン。
監督は職人リチャード・ドナー。ウェットに流れないところがとても良く、手堅い演出で感動を呼び起こします。
同時期の『ふたりだけの微笑』(1979)、『ふたりでスローダンスを』(1978)などと同様、市井の人々の香りがたっぷりつまった一品。
ジョン・バリーの音楽はアクション大作での作風とは真逆で、『真夜中のカウボーイ』的雰囲気でしょうか。
いちおうCDもあるようです。 → amazon.com
アメリカではDVD化されていますが(amazon.com)、日本では果たしてビデオ化そのものがあったかどうか。
私が見たことがあるのは、昔の名画座でだけです。
DVDが出ても不思議はない出来映えだと思うのですが、どうでしょう?
他に商品としては、文庫本で同題の小説が出ていたのを買った記憶があります。
おそらくノベライズ本だと思いますが、だいぶ前に破棄してしまったので確かめられません……
ロケ地
IMDbでは、
Echo Park, Los Angeles, California, USA
Network Associates Coliseum – 7000 Coliseum Way, Oakland, California, USA
Oakland, California, USA
町はサンフランシスコの東側、オークランドW という設定で、実際にそこで撮影されているようです。
『サンフランシスコ物語』ではなく『オークランド物語』ですね。
ただロケ地としてはロサンゼルスも含まれているようです。
冒頭のビル
ローリーが自殺を図るビル。
これはオークランドではなくロサンゼルスにあるこのビルでしょう。
ローリーが墜ちていくのは南西側、E 9th St.。
こちらの画像の向かって左側。
Mollylou12 at en.wikipedia CC-BY-3.0, from Wikimedia Commons
この建物、テレビシリーズ『こちらブルームーン探偵社』の初回スペシャル版で登場しています。
→ 『こちらブルームーン探偵社』
他にもいくつかロケに使われているようです。
→ Wikipedia(英語) Eastern Columbia Building #In popular culture
コメント
サンフランシスコ物語(Inside Moves)
とてもいい映画です。もう40年も前の映画ですが、どうしてももう一度見たくてネットで色々調べてここに来ました。DVDを買いましたが、日本語字幕はありませんでした。残念、英語ができる人がうらやましい。動画配信サービスも調べましたが無いようです。あの時、映画館で見たものは何だったのか。もう一度、あの、ふわっとする感動が味わいたいのですが、・・・
主人公のモヤモヤとした感情が今でも残っているのです。ここを見つけられて良かったです。
グッチシンさん、コメントありがとうございます。
この映画、良いですよね。地味ですけどじわじわってきます。当時もぴあとかシティロードで高く評価されていたように記憶しています。
今少し見返してみましたが、心身に傷を負った男という役柄がジョン・サヴェージにぴったりですね。
それからデイヴィッド・モースがデビュー作ということで初々しくて微笑ましかったです。
私も日本語字幕付きはその昔の名画座で見たきりで、あとは字幕なしでの鑑賞となっています。
良し悪しは別として、Youなんとかですと動画によっては字幕を自動で起こしてくれるので、アップされていればラッキーですが、そうそううまい話はなく……(なぜかスペイン語版がアップされていますが、字幕の自動起こしを日本語に自動翻訳したら、ほぼ意味不明となってしまいました)
他に、英文字幕なら字幕ファイル(.srt)があるようですので、それを機械翻訳にかければある程度はセリフがわかるかもしれませんね。
とはいえ、やはり日本語字幕付きのちゃんとした映像ソフトや放映で見てみたいものです。