インド版『男と女』はアジアンな情緒たっぷり
目次
作品メモ
日本未公開、ビデオも未発売のインド(タミル)映画。
邦題があるわけではありませんが、英題が”Rhythm”なのでそのままタイトルを『リズム』としました。
インド盤DVDにて鑑賞。
なぜか英語の他、日本語字幕も付いてます。
機械翻訳並のレベルですが、意味は十分通じます。
列車事故で妻を亡くした男性カールティック(日本語字幕表記ママ、英語表記ではKarthikeyan)と、同じ事故で夫を亡くした女性チットラの物語。
そんな設定だけを見ると、インド版『男と女』なの?とか思ってしまいますが、中身は個人主義のおフランス製とはまったくもって別世界。
いかにもアジアンな、嫁姑、親子、養子といった家族の問題が情緒たっぷりに描かれます。
こうした情緒は日本人でも十分に共感できるが故に、作品によってはべたべたするだけでうんざりしてしまうこともあるわけですが、本作に関してはさほど過剰な部分は感じられず、むしろ例えばいくつになっても息子の幸せを祈る親の姿に、思わずホロリとしてしまうかもしれません。
さらにはインド映画特有のミュージカルシーンもうまいこと流れに沿って挿入されていて、邪魔や余剰になっていないのも良いところ。
音楽は『ムトゥ』のラフマーンで、心地よいリズムとモダンなアレンジに思わずこちらも体が動きます。
この場面などは好例でしょうか。これはヒロイン唯一のダンスシーンでもあります(※15/4/9動画差し替え)。
全体としてなかなかの出来映えとなっていて、日本でビデオスルーにさえなっていないのが惜しまれます。
教育テレビあたりで放送されないもんでしょうか。
出演は、男性カールティック役にアルジュン。
例によって日本人から見るとルックス的にはどうにも微妙な気分にさせてくれるタミル人俳優さんです。
女性チットラ役には『ムトゥ踊るマハラジャ』のミーナ。
相変わらず健康美がまばゆいですが、本作ではただ可愛らしいだけでなく、働く女性として、母として、妻として、恋する女性として様々な表情を見せ、俳優としてぐっと表現の幅が広がっているところを魅せてくれています。
こちらは予告編。
クリップをもう一本(※15/4/9動画差し替え)
ちょっと詳しいストーリー紹介
愛する妻を列車事故で亡くしたカールティックは、フォト・エディターとしてムンバイで就職。
マンションを買って両親を呼び寄せます。
ヒンディー語がうまく話せない彼は、とまどうことだらけ。
ある日銀行へ出かけた彼は、窓口の女性がタミル語の本を手元に置いていたことから思わずタミル語で話しかけてしまいます。
それがチットラとの出会いでした。
彼女もまた同じ列車事故で夫を亡くしていました。
夫の母親に結婚を強く反対され嫌がらせを受けながら、ようやく一緒になった2人だったのに。
彼女はボランティアをしていた夫の遺志を継いで孤児を養子として引き取ると、ムンバイの銀行で働いて生計をたてていたのでした。
そんな2人が出逢ったのも神様のお導きだったのでしょうか。
最初はぎこちなかった2人ですが、互いのことを知るにつれ、自然と距離が近づいていきます。
子供がいることもノープロブレム。
むしろおじさん大好きと、すっかり仲良しになれました。
カールティックの両親もチットラと結ばれることを強く願うようになり、父親自ら赴いてチットラにそのことを伝えます。
ところがかえってそれが重荷になったのか、彼女はカールティックに距離を置くようになります。
そんな彼女にかねてからよこしまな思いを寄せていた男が強引に言い寄り、チットラはすんでのところで難を逃れます。
それを知ったカールティックは男をボコボコに。
カールティックの強い気持ちを知ったチットラは、彼と一緒になることを息子に告げます。
もちろん息子は大喜び。
ところがそんな折り、チットラのもとに姑がやってきて以前の仕打ちを侘び、自分と一緒に住んでくれないかと懇願します。
悩んだ末に、子供を連れ、姑とムンバイを去ることを決意するチットラ。
残されたカールティックと両親はがっくりと肩を落とすのでした。
それからどれほど経ったことでしょうか。
取材のためにタミル地方のある街を訪れたカールティック。
そこでチットラとばったり再会するのですが……
メモ
出前を届けてきた少年が外で待っている??
ロケ地
IMDbでは記載なし。
その他のウェブサイトでもほとんど手がかりがないため、画面をじ~っと見つめるほかありません。
渓谷
場所不明。
とてつもない水しぶきに圧倒されるのみ。
ゲート
その後にど~んと映るのが、舞台がムンバイであることを知らしめるこちら。
降り立った駅
調査中。
Vashi Railway Station?
マンション
タクシーが左折する場面で、Navi Mumbaiという標識が映ります。
(両親が到着する場面でも映ります)。
歩道橋
モダンでお洒落な歩道橋は、下記Juinagar駅のすぐ北東側にあります。
Juinagar Foot Over Bridge
http://www.spacpl.com/bridges/juinagar.htm
http://mumbaidailysnapshot.blogspot.com/2008/09/saturday-photohunters-theme-road.html
2人がよく会う駅
黄色い色づかいが印象的なモダンな駅は、ナビムンバイにあるこちら。
Juinagar Station
HOTEL ATLANTIC
爆弾処理をするところ。
かつて爆弾処理の仕事をしていて今はフォトグラファーって、ちょっと強引?
Express Towers
勤め先。
ラストの駅
”WELLINGTON” と駅名の標識が出ています。
これだけだと見当がつきませんが、姑のセリフによれば、3人は「クンドゥール」(日本語字幕ママ。英語字幕では”Kunoor”)にいるはず。
ウェブマップでは”Coonoor”と表記されている場所がこれにあたるようです。
ということで、駅はCoonoorに近いこちら。
あの歩道橋からは、Google Earthのものさしでざっくり測って約950km。
インド、広いです。
路線はNilgiri Mountain Railway。
ロケ地マップ
※17/5/19追加
インドで撮影された映画
資料
更新履歴
- 2017/05/19 「ロケ地マップ」追加
- 2015/04/09 「作品メモ」動画差し替え
コメント