記事内の商品画像には広告リンクが含まれています

『狼の挽歌』 Città violenta (1970)

狼の挽歌 デラックス版 [DVD]

ん~~んブロンソン

作品メモ

『ダーティーハリー』に続いて、遠距離狙撃その2。
見通しのいいエレベーターに乗ったとき、どこからか狙撃されるような不安感に襲われたとしたらこの映画のせい。

イタリア語原題は英訳すれば”Violent City”。
アメリカでのタイトルは”The Family”。

恋人とのバカンス中に襲われた凄腕の殺し屋が、裏切り者を消しながらひとり黒幕に立ち向かっていく姿を描いたアクション映画。

一匹狼の殺し屋という設定はまさにブロンソンにうってつけ。
映画は復讐に走る男の姿にぴたりと照準を合わせ、俳優の魅力を存分に引き出しています。途中展開がグズグズになるのが惜しまれますが、カーチェイスシーンやスタイリッシュな狙撃シーンによって、ブロンソン主演作ではきっちり記憶に残る作品となっています。
この年日本ではこの映画とマンダムのCMで人気爆裂。
子供たちまであごをさすって「う~~んまんだむ」とやっていました。

組織に属することを嫌う孤高の殺し屋ジェフにチャールズ・ブロンソン。
その恋人ヴァネッサに愛妻ジル・アイアランド。
夫婦共稼ぎの軌跡はこちら↓にまとめてあります。
 『扉の影に誰かいる』 > ブロンソン&アイアランド おしどり夫婦のフィルモグラフィ

組織のボス、ウェーバーにテリー・サヴァラス。ブロンソンとの共演は『特攻大作戦』(1967)に続いて。IMDbのトリビアに拠れば、出番が限られているわりにギャラはブロンソンに次ぐ額だったとか。
弁護士スティーブにウンベルト・オルシーニ。少し前ならゲイリー・オールドマンあたりが演じていそうな役柄でした。
ヤク中の友人キレインに『生き残った者の掟』のミシェル・コンスタンタン。

監督セルジオ・ソリーマ、撮影アルド・トンティ。脚本のひとりに後で『流されて……』を撮るリナ・ウェルトミュラーの名前があります。
音楽エンニオ・モリコーネ。

登場するクルマについては、例によって驚異のサイトIMCDbをご覧ください。
http://imcdb.org/movie.php?id=65555

挽歌な映画

『男たちの挽歌』『愛と復讐の挽歌』……挽歌と名乗る映画は数多くあれど、『狼の挽歌』は響きの良さや的確な内容表現から言って、秀逸なタイトルとなっています。
「暴力の町」では全然イケてないですし、ヒットもしなかったことでしょう。

劇場公開作で最初の挽歌は、アルドリッチ監督の『傷だらけの挽歌』(1971)でしょうか。
ドラマなら『刑事コロンボ/祝砲の挽歌』(1974)

ロケ地

IMDbでは、

Cinecittà Studios, Cinecittà, Rome, Lazio, Italy
New Orleans International Airport – 900 Airline Drive, Kenner, Louisiana, USA
New Orleans, Louisiana, USA
San Francisco, California, USA
St. Thomas, U.S. Virgin Islands

リゾート地

冒頭の南国はキネ旬DBによるとバハマとなっていますが、セリフではヴァージン諸島ということみたいです。
実際の撮影もIMDbのリストにあるアメリカ領ヴァージン諸島、セントトーマス島(St. Thomas, Virgin Islands)W

カーチェイス

島の起伏や車幅ギリギリの路地裏を使ったカーチェイスはかなりの出来映えで、今日の目線で見ても迫力を感じます。
この場面だけでも、この映画もっと評価されても良いように思えますが、どうでしょう??

右折して港に出るT字路

画像ではこういったところ。

このあと港沿いに直線コースを西へ進みます。

マスタングが上る階段

99 Stepsという名前。地元の名所のようです。

画像では、

ここをクルマで上っちゃうなんて、ワイルド(過ぎ)?

空港

ここから舞台はニューオーリンズ。
空港は現ルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港(Louis Armstrong International Airport)W
ジェフが呼び止められたのはターミナル前。

情報屋

車を調達したところ

高架線の側。
このあたり。

クルマは1970年型Plymouth Fury IIIだそうです。もちろん、IMCDbの受け売り(汗)。
http://imcdb.org/vehicle_117953-Plymouth-Fury-1970.html

長~い橋

その後渡るところ。

ニューオーリンズの北側、ポンチャートレイン湖(Lake Pontchartrain)Wにかかるポンチャートレイン湖コーズウェイ(Lake Pontchartrain Causeway)W

※13/1/31 追記

milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1994年とのことです。

サーキット

ミシガン・インターナショナル・スピードウェイ(Michigan International Speedway)W

この場面、狙撃するジェフの背後にパンナムの屋外広告がわざとらしく写りますが、タイアップでしょうか??

ヴァネッサを乗せてきた川辺

旧the Greater New Orleans Bridge、現Crescent City Connection (Westbound)Wの北西側。

撮影当時はここに架かる橋は1本だけ。
1988年に、Crescent City Connection (Eastbound)Wが北側に並んで開通。

映画と同じ、北西側からの画像。

ホテル

“Cornstalk Fence”という看板が出ています。
フレンチ・クォーターのロイヤルストリートWにあるこちらのホテル。

The Cornstalk Hotel(コーンストーク・ホテル)
915 Royal Street, New Orleans, Louisiana 70116
http://www.cornstalkhotel.com/

確かにトウモロコシなフェンス。
 
沿革はこちら。
http://www.cornstalkhotel.com/our_history.html

空港(再)

ヴァネッサとやってきた空港。
前述の現Louis Armstrong International Airport。
この場面ではとても特徴的なターミナルの中が写ります。

これはその外観。
 

Photo from Wikipedia (public domain).

 

ジェフが姿を隠すビル

カナル・ストリートWにあるこちらの建物。

Maison Blanche Building
921 Canal Street, New Orleans, LA 70112 USA

撮影当時はメゾン・ブランシュ(Maison Blanche)Wという地元のデパート。
Wikipediaのこの画像はまさに映画と同じ雰囲気を伝えています。

http://en.wikipedia.org/wiki/File:Maison_Blanche_New_Orleans_1976_by_Leon_Winer.JPG

デパートはすでに閉店。現在は上の階にリッツ・カールトンが入っているようです。

http://www.ritzcarlton.com/ja/Properties/NewOrleans/

ラスト

この映画のメインビジュアルと言える外付け素通しエレベーター狙撃場面。
特に資料がなかったので、Google Earthでニューオリンズ市内の高層ビルを片端からチェックしてみました。
別々の場所が編集でひとつのビルとしてつなげられているようです。

ヴァネッサたちが入っていくビル

一行が入っていくのは、ニューオーリンズのこちらのビルの西側から。

Crescent City Towers
Plaza Tower, New Orleans

最上部に大きめのフタが被さっているような特徴的な形ですね。
ところがホールを横切って乗り込んだエレベーターは、まるっきり別の建物を昇っていきます。

外付けエレベーターのあるビル

このビルは映画後半、ロールスロイスに乗ったウェーバーがジェフに「新社屋だ 建てるのにずいぶん苦労した」と自慢するところ。
建てるのに苦労したかもしれませんが、こちらは見つけるのにずいぶん苦労しました。
結論から言いますと、場所はニューオーリンズから遠く離れたサンフランシスコ。
まずはストリートビューとマップからどうぞ。


大きな地図で見る

IMDbのリストにサンフランシスコの名前があるのが不思議で、そういえば同地がロケ地である何かの映画を調べていたときにこんな建物見たことあったような……そんなぼんやりした記憶を頼りに、なんとか見つけることができたのでした。
映画は『ザ・ロック』
建物はザ・フェアモント・サンフランシスコWです。

The Fairmont Hotel (San Francisco, California)
950 Mason Street, San Francisco, California 94108
http://www.fairmont.com/san-francisco/

『ザ・ロック』で登場した歴史ある建物とは別の、新館とも言うべきタワー部分。
1961年に出来上がった23階建てのこのタワー。最上階は Crown Room というラグジュアリーなレストランがあり、市内やベイを一望できるとのこと(公式サイト・沿革)。
なかなか気軽には行けないかもしれませんが、当地をご訪問の際はぜひこのエレベーターに乗り、緊迫した気分を味わってみてください。 😉

エレベーターからの一人称的カットも、Powell St.を挟んだ向かいの建物と一致しているので、実際にこのエレベーターから撮影されたものと思われます。
足下はサンフランシスコ名物の急な坂道。
ロングショットで建物の1階部分が写っていたら、たちまちそこがニューオーリンズでないことがバレてしまったことでしょう。

ちなみにニューオーリンズからサンフランシスコまでは3,000km以上。
おそらく映画史上最遠の狙撃。究極の極大射程。

狙撃した建物

ジェフが陣取っていた屋上。
背景の建物から判明しました。
ニューオーリンズ市内、現在こちらのホテルとなっている建物の屋上です。

Omni Royal Crescent Hotel
535 Gravier Street, New Orleans, LA 70130

狙いを定めていたのは東に向かって。
隣の建物から何人か目撃していますが、それは西側のCamp St.を挟んだ向かいの建物。
地上のカメラがその建物の上の方をとらえてからティルトダウンして、通りにいる2人の警官を撮しますが、それはホテル入口前のここ。

警官の背後にCrescent City Towersが写りますが、やはりあくまでそのビルのエレベーターを狙ったという設定なのでしょうね。
直線距離約900m。これはこれで見事な腕前。

ロケ地マップ(14/6/22追記)

ニューオーリンズで撮影された映画。
『愛のメモリー』、『狼の挽歌』、『ママの遺したラヴソング』、『アメリカン・ホラー・ストーリー:魔女団』等。


より大きな地図で ニューオーリンズのロケ地 を表示

資料

更新履歴

  • 2014/06/22 ロケ地マップ追加。milouさんの画像をPicasaウェブアルバムに切替。

コメント

タイトルとURLをコピーしました