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『ネイキッド・タンゴ』 Naked Tango (1990)

ネイキッド・タンゴ(字幕) [VHS]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『太陽を盗んだ男』で原案・脚本を担当したレナード・シュナイダーの監督作品。
監督として2本撮っているようですが、もう一本はドキュメンタリーのようで、劇映画は事実上これ1本となりましょうか。

1924年のブエノスアイレスを舞台に、富豪の若妻の身にふりかかる数奇な運命と破滅的な愛を描きます。
タイトル通り全編タンゴがフィーチャリングされていて、濃厚な絵柄とともに観客を官能の世界へといざないます。
『太陽を盗んだ男』(79)とは違ったテイストの映画で、むしろ脚色作品『蜘蛛女のキス』(84)からつながるような雰囲気。
映画は公開の年に亡くなった『蜘蛛女のキス』の原作者マヌエル・プイグに捧げられています。

DVDは出ていないようで、今から見るとなるとなかなか難しいかもしれません。……とか書いていたら、Youなんとかに全編アップされていますね(汗)。
VHSでは「剥き出しの愛」というサブタイトルがついています。

キャスト&スタッフ

【映画パンフ】ネイキッドタンゴ レナード・シュレーダー マチルダ・メイ 美しいヒロイン、ステファニーに、どうしても『スペース・バンパイア』を思い出してしまうマチルダ・メイ。

「タンゴしか愛せない」危険な香りを漂わせた男チョーロに、どうしても『フルメタル・ジャケット』の「微笑みデブ」を思い出してしまうヴィンセント・ドノフリオ。
今ならDlifeで『Law & Order クリミナル・インテント』を放送中ですので、ゴーレン刑事としての方が知られているかもしれませんね。
L&Oでは最後の頃どちらに転がっても不思議はないほど丸々っとしていましたが、『ネイキッド・タンゴ』では頬をちょっと落としたような病的な雰囲気を作り上げていました。

そういえば、高級娼館、セレブな妻、クールでアヤしい男……と揃うと、『昼顔』を連想するかもしれませんね。

富豪のトーレス判事にフェルナンド・レイ。
ステファニー(アルバ)の夫ジーコ・ボーンシュタインにイーサイ・モラレス。

監督・脚本レナード・シュレーダー、撮影フアン・ルイス・アンチア。

お話

いつもはストーリー紹介に役立つキネマ旬報データベースですが、この映画はあまり詳しく扱われていないので、こちらでもう少しご紹介(以下ネタばれ的内容を含みます)。

1920年代、ル・アーヴルからアルゼンチンに向う船上で、富豪トレス判事の若妻ステファニーは同じ年頃の娘が飛び込み自殺をするところを目撃。
元々夫が自分の意志を尊重してくれないことに不満を抱いていた彼女は、とっさに自分の靴を現場に置いてしまいます。
身を投げた娘アルバは貧しい出身で、アルゼンチンの男がお金を払ってポーランドから嫁を迎え入れていることを利用しようとしていました。
そのまま彼女になりすまして入国したステファニーは、夫となる男ジーコ・ボーンシュタインに迎え入れられます。
名前通りユダヤ系の彼は、いかにも成功した実業家風。
でも実は高級娼館を経営していて、これまでアルバのような娘たちを甘言でアルゼンチンに呼び寄せ、娼婦に仕立て上げていたのでした。
ステファニーはいきなり上客であるイタリア系宝石商の相手をさせられそうになり、思わず相手を刺してしまいます。この事態を収拾したのが、娼館で危険な仕事を請け負っているチョーロという男。
タンゴしか愛せないと言われている彼は、なぜかステファニーに興味を示し、軟禁された彼女にタンゴを教えます。

しかし宝石商の死をきっかけに、街を二分するユダヤ系グループとイタリア系グループとの関係が緊張。
密告されたステファニーは、彼女を守ろうとするチョーロとともに警察に追われますが、ひとり脱出。やがて入院先の病院で夫トレス判事と再会することができます。
判事の豪邸で本来の生活に戻ったかに見えたステファニーですが、ある日タンゴの教師としてひとりの男が来宅。
それはなんとあのチョーロでした。
何も知らない夫の前でチョーロにレッスンを受けるステファニー。果たして彼女の運命や如何に??

背景

初めて知りましたが、英語版Wikipediaを見ていたら、実際にこの頃のアルゼンチンで東欧の貧しい娘たちを結婚をエサに呼び寄せ売春させていた犯罪組織があったとのこと。

ロケ地

IMDbでは、

Argentina
Buenos Aires, Federal District, Argentina
Montevideo, Uruguay

ブエノスアイレスの他、ウルグアイのモンテビデオの名前があります。
印象的な建物がいくつか出てきますが、大半が夜の場面でしかも手持ちのVHSではあまり画質は良くなく、ほとんど解明できませんでした。

OPダンスホール

船内という設定でしょうけど、撮影場所は不明。

馬車が行く街角

0:11
調査中

駆け込んだ教会

0:46
中では判事が亡き妻に祈りを捧げています。
外観はサン・テルモ地区Wにあるこちらの教会。

Iglesia de San Pedro Telmo (Buenos Aires)W

“Iglesia de Nuestra Señora de Belén”とも呼ばれていたとのこと。

トラムが走る街角

殺し屋に狙われた街角。

0:59

病院

トレス判事と再会したところ。
中庭を囲む数階建ての回廊。調査中。

判事の館

気になる豪邸。調査中。

ロケ地マップ

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2016/08/25 「ロケ地マップ」項目追加
  • 2014/12/28 新規アップ

コメント

  1. milou より:

    オープニングのダンスシーンがタイトルバックのことなら映画のシーンではなくヴァレンチノの『黙示録の四騎士(21)』の引用で、エンドクレジットに書かれています。

    ロケ地に関しては今のところ何の情報もないが37個所で撮影したそうです。
    屋外シーンは余りない上に引きの撮影が少なく見つけられそうにもないが1924年の設定でもあり少なくとも僕が知っているブエノスアイレスの雰囲気はほとんど感じられないですね…

  2. milou より:

    ああ、オープニングとは当然、子供と踊るわ、とか言う場面ですね。
    もちろん設定は船内です。

    長期ではないが76年に当時世界で2番目に大きかったキャンベラ号(6万4千トン)でロンドン(サザンプトン)からリスボン、マデイラ、ヴィゴなどを回る1週間のクルーズに参加した。クルーズは現在のように誰でも行ける大衆的なものではなく客は金持ちの老人ばかりかと思ったら意外と若い人も多く普通のツアーより幼児連れには向いていると思った。保育室(?)もあるし子供用のプールもあるし部屋に寝かせておいて親はバーに行ったりも気楽に出来るから。もちろん船内には劇場から郵便局まであり新聞も毎日発行していた。すでに表面上は価格以外にクラスの差はないのだが現実には当然上級の船客とは食事時間も別で上級の区域には立ち入りも許されず部屋付きのスチュワードも安いクラスは白人ではなかった。でもクルーズ自体は非常に居心地が良かったです。
    ちなみに我が家は夫婦と1歳と6歳の子供で窓もない安い部屋だったが合計200万ぐらいかかった。ただしツアーにはクルーズ以外にロンドンやパリも含まれクルーズ部分は1人20万もしなかったはず…

  3. 居ながらシネマ より:

    milouさん、おはようございます。
    OPについてははっきり書かずにすみません。
    クルーズはよさげですね。引退した後はぜひと思っていますが、幼児連れに向いているというのは、意外でした。

    ロケ地の解明は作り手もかなり苦心していろいろつぎあわせて当時の雰囲気を出そうとしているようですね。逆に解明できたら面白そうですが、今のところはほとんど「調査中」

    ……というわけで、わざわざエントリー立てるまでもなかったかもしれませんが、実は『ブエノスアイレス』につなげるための布石となっているという……

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