作品メモ
ひとつ前のエントリー『ル・アーヴルの靴みがき』は、港町を舞台に個性派監督の独特の世界が展開していましたが、こちらも負けず劣らず個性がたっぷりの港町映画。
あちらが5年ぶりのカリウスマキ監督作なら、こちらは7年ぶりのタル・ベーラ監督作品。
ジョルジュ・シムノンの原作をモノクロ映像にこってりと焼き付けています。
『ヴェルクマイスター・ハーモニー』ほど長回しがしつこくないような気もしますし、『ニーチェの馬』ほどお話がワケわからめではありませんが、いずれにせよ監督特有の濃密な映像の力に圧倒されます。
1本見るとおなかいっぱい、しばらくはワカリやすいアメリカのテレビドラマでも見ていたくなったりして。
でもまたふとしたはずみにこの世界を覗いてみたくなることも確か。
きっと強靱な作家性の重力にす~っと引き寄せられてしまうのでしょうね。
監督・脚本タル・ベーラ。撮影監督フレッド・ケレメン、音楽ヴィーグ・ミハーイ。 編集のフラニツキー・アーグネシュは共同監督にも名を連ねています。
港湾施設で働く鉄道員マロワンにミロスラヴ・クロボット。ある夜殺人を目撃し海に落ちた大金を拾ったところから物語が動き始めます。
その妻にティルダ・スウィントン。貧しいこともあってか、夫婦喧嘩が絶えません。
その娘アンリエットにボーク・エリカ。両親の喧嘩を目の前にして、『ニーチェの馬』と同じように下向いて黙々と食べています。
原題の«férfi»はハンガリー語で「男」のようです。
英題は”The Man from London”、フランス語タイトルは”L’homme de Londres”。
ロケ地
IMDbでは、
Bastia, Haute-Corse, France
Corsica, France
Pilisborosjeno, Hungary
France
Hungary
というわけで、撮影はコルシカ島のバスティア(Bastia)W。
ほとんどがこちらで撮影されていると思われます。
エンドクレジットやIMDbのリストにPilisborosjenoの地名がありますが、どの場面なのかは確認できませんでした。
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
船着き場
線路が延び、その上に主人公が勤務する制御室が架かっています。
場所は、周囲の建物や地形などから、こちらの埠頭であることがわかります。
現在のマップ画像では線路や制御室は見当たりません。
なるほど再開発で撤去される前に撮影で利用したのですね……と思いきや、こちらの2004年撮影とされる画像でも鉄道施設は確認できません。
……ということは、驚いたことに線路や列車、制御室など、鉄道関連施設はすべてセット、あるいはVFXの産物と言うことになります 😮
その後男がカバンを受け取った、丸く突き出ているところ↓
男が襲われたのはその先。
カフェ
主人公なじみのカフェ(ホテル)は、上記埠頭の北側。
ちなみに、IMDbのGoofsでもツッコまれていますが、翌朝主人公がここでチェスを始めるとき、盤を90度間違えて(右下が黒になるように)置いています。
これはもう深読みのしようがなく、単なる間違えということでファイナルアンサー??
路地
0:36頃
娘が住み込みで働いている店があるところ。
調査中
教会
1:07
住まい
1:23 窓から港を見たところ
逆算して、窓はこちらの3階。
海辺の小屋
小屋への道↓
小屋↓
ロケ地マップ
資料
更新履歴
- 2016/04/29 新規アップ
コメント