アストロドームに住む少年
目次
作品メモ
先日NHK BS2で『M★A★S★H マッシュ』が放映されたようですが、こちらもロバート・アルトマン監督の異色作。
『マッシュ』と同じ年の作品で、邦題は明らかに『マッシュ』を意識しています。 [1]キネ旬データベースは原題も邦題も間違えています……。「BIRD★SHIT」ではなくて「BIRD★SHT」、「Brewster … Continue reading
原題の「Brewster McCloud」は主人公の少年の名前。
アストロドームにこっそり住んで、鳥のように飛ぶことを日夜研究しています。
そんな彼とその周辺の大人たちを面白可笑しく、シニカルに、ブラックに、ドタバタと描いた寓話です。
演ずるはバッド・コート Bud Cort。
事故を乗り越え今も活躍している息の長い俳優さんですが、代表作となるとやはり翌年の『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』でしょうか。
このタイトルとルックスのおかげでバッド・コート=少年というイメージができてしまっていますが、48年生まれですから、『ハロルドとモード』の時点で23歳。
もう「少年」ではないですね……
『ハロルドとモード』はアメリカではDVDが出ています。リージョン1で構わなければ、米Amazonあたりで普通にゲットできます。(※2012/1追記 2012年3月に日本盤DVDも登場予定。下記参照)
『M★A★S★H』は日本でDVDが出ていますし、今回のように時折ケーブルなどで放送されています。
それに比べて『バード・シット』のソフト状況の不遇なこと。
70~80年代にテレビで何度か放送されました。
この映画を知ったのもそのテレビ放送のおかげです。
けっこう気に入ってしまい、渋谷で輸入サントラ(もちろんLP)をゲット。 [2]時々書いていますが、ビデオがなかった時代はサントラやノベライズ本で記憶を補完してました(遠い目)。
ずいぶん前にLPは処分してしまいましたが、ジャケットはこのCD盤とたしか同じでした。
結局日本では(おそらく)ビデオ発売はなかったかと思います。
しかたなくアメリカAmazonでVHSをゲット。
今手元にあるのは字幕なしのそのバージョンですが、これももう廃盤のようで、中古価格もじりじり上がっているようです。
久々の劇場公開(2010年6月追記)
2010年7月3日から東京・新宿武蔵野館にて(その後全国順次ロードショー)。
http://sky-way.jp/ziggy/index.html
『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』も上映されます。
貴重な機会ですのでぜひどうぞ。
アメリカでDVD登場(2011年10月追記)
日本での公開に合わせたわけではないでしょうけど、2010年7月にワーナーからリマスター盤DVDが登場していました。
『ハロルドとモード』日本盤DVD(2012年1月追記)
これに先駆けて、2月には『ナッシュビル』もようやく日本でDVD登場。
こうなるとますます『バード・シット』の発売が期待されるわけですが……
登場するクルマ(2012年4月追記)
「バード・シット」のクルマについて検索してこのページに来てくださる方々がいらっしゃるようなので、他力本願的ご紹介。
一般的に映画に登場するクルマについてはIMCDbというサイトが圧倒的に詳しくて、『バード・シット』についても完璧なデータがあります。
そちらをぜひご覧ください。
http://www.imcdb.org/movie_65492-Brewster-McCloud.html
ロケ地
IMDbでは、
Astrodome – 8400 Kirby Drive, Houston, Texas, USA
Astroworld – 9001 Kirby Drive, Houston, Texas, USA
Buffalo Bayou Park – Allen Parkway at Memorial Drive, Houston, Texas, USA
Commerce Street, Houston, Texas, USA
Fannin & Greenbriar intersection, Houston, Texas, USA
Fannin & Old Spanish Trail intersection, Houston, Texas, USA
Holly Hall overpass, Houston, Texas, USA
Houston Zoo – 1513 N. McGregor, Houston, Texas, USA
Houston, Texas, USA
Mecom Fountain – Main Street & Montrose Boulevard, Houston, Texas, USA
Memorial Drive, Houston, Texas, USA
Railroad bridge over Brays Bayou between North & South MacGregor, Houston, Texas, USA
Rice University – 6100 Main Street, Houston, Texas, USA
というわけで、舞台はアストロドームを中心とする、テキサス州ヒューストン。
以下例によって鑑賞メモを兼ねながらロケ地を見ていきます。
ネタばれにはご注意ください。
講義
演じているのはルネ・オーベルジョノワ Rene Auberjonois。
アストロドーム
冒頭、鳥博士の講義に続いていきなり登場します。
今でこそドーム球場は当たり前ですが、当時は本当に珍しく、その威容に驚いたものです。
Astrodome
8400 Kirby Drive, Houston, Texas 77054
画像はWikipediaから(パブリックドメイン)。
Wikipediaによると、アストロドームの内部を撮影に使ったのはこの映画が最初とのこと。
またIMDbのtriviaによると、1970年12月5日にここでプレミア上映が行われ、23,930人が集まったそうです。
お客さん、どんな反応だったか知りたいですね 😉
クレジット
オープニングで国歌演奏のリハーサル風景が映し出されますが、ダメ出しでもう一度演奏されると、クレジットもまた繰り返し登場するという懲りよう……といいますかおちょくりようで、最初から遊びまくっています。
タイトルが2度登場する映画、他に知りません。 🙂
サリー・ケラーマン
そんなリハーサル風景を客席から見ている美女ひとり。
トレンチコートに身を包み、謎めいた微笑を浮かべて去っていきます。
もちろん『M★A★S★H マッシュ』の「熱い唇 hot lips」サリー・ケラーマンですが、彼女もバッド・コート同様息が長い俳優さんで、今もなお現役。
オフィシャルサイトもあったりします。
http://www.sallykellerman.com/
ロールスロイス
強欲爺さん Abraham Wright の車。
ナンバーは「OWL 180」。
この映画に登場する車にはみな鳥がらみのナンバーが付いています。
爺さんを演じているのは、探偵マイク・ハマーのステイシー・キーチ Stacy Keach。
すごい老けメイクですが、当時まだ二十代です。
車椅子で暴走
強欲爺さんを乗せた車椅子は、このあたりを走っていきます。
今はMETRORailも併走していて、駅もできています。
IMDbのtriviaによると、スロープ自体はMETRORail敷設の際に造り替えられたそうですが、隣接する建物はそのまま残っています。
Merchants and Manufacturers Building
University of Houston–Downtown
この場面、よく見るとこの建物の前に人が鈴なりになってこちらを見ています。
ロケ見物している学生さんたちでしょうか。
シャフト刑事
さっそうと登場したNYの刑事。
ホルスターも決まっているタフガイ的(やや自意識過剰な)二枚目。
演ずるのはマイケル・マーフィーMichael Murphy。
応対する地元警察のジョンソン警部補は、ジョン・シャックJohn Schuck。
シャフト刑事が泊まるのは、Astroworld Hotel。
Astroworld同様今はもうありません。
第2の事件
鳥かごの下敷きになる老女は、ちょっとわかりづらいですがオープニングで国歌を歌っていた人です。
演じたのは『オズの魔法使い』の凶悪西の魔女マーガレット・ハミルトンMargaret Hamilton。
履いていた靴など、この場面はオズにひっかけているのでしょうけど、それ以上に何か深い意味があるのかはわかりませんでした。
アストロドームの案内嬢
アストロドームの案内嬢スザンヌ(Suzanne)を演じているのはシェリー・デュヴァル Shelley Duvall。
これが映画デビューです。
すでにオリーブ・オイル的雰囲気を持ってますね。
動物園
Houston Zoo
1513 N. McGregor, Houston, Texas, USA
噴水
パトカーが通り過ぎる場面でルイーズが入っていた噴水。
Mecom Fountain
Main Street & Montrose Boulevard, Houston, Texas, USA
マップ↓
遊園地
Astroworld
アストロドームの南側にあった遊園地。
2005年10月30日に閉鎖されています。
カーチェイス
鉄橋
線路に入ってしまった車が連なってトコトコ川を渡ったところ。
線路や鉄橋はすでに撤去されていますが、支柱の跡は確認できます。
南西から北東へのびているのが線路の跡地。
IMDbのtriviaによると、1980年代、近くの288号線の工事の際に撤去されたとのこと。
シャフト刑事が突っ込む池
Sam Houston Park
マップ↓
中央の小さな(多角形の屋根の)施設が、家族が記念写真を撮っていたところ。
その西側にある池に刑事のカマロが突っ込みます。
http://www.imcdb.org/vehicle_202189-Chevrolet-Camaro-1970.html
ルイーズとジョンソン警部補
カットバックでルイーズがジョンソン警部補に停められるところは同じ公園の北側のWalker St. 。
2人の車は(他の2台と同様)Walker St.を東からやってきます。
そのあとルイーズの車が走り去っていく高架の下はSVでこんな感じです。↓
コメント