作品メモ
前のエントリー 『おもいでの夏』からのつながり。
なんのつながりも無さそうですが、『シャイニング』の中ほどでジャック・ニコルソン親子がテレビで観ていた映画が『おもいでの夏』です。
音楽
オープニングのシンセ音楽はウェンディ・カルロス。
キューブリックとは『時計仕掛けのオレンジ』以来ですが、あの時は名前がウォルターでした。
『シャイニング』では結局オープニングだけの担当となりましたが、実際には全編曲を書いています。
使われなかった曲は幸いCDで聴くことができます。
(「Rediscovering Lost Scores」というタイトルでVol.1と2が出ています)
双子
ダイアン・アーバス(Wikipedia)の有名な写真がモチーフになっていると思いますが、写真の双子についてこんな記事が。
‘Double Exposure’ (“The Washington Post” 2005/5/12)
こちらは映画に登場した双子について。↓
http://collativelearning.com/the%20shining%20-%20chap%2020.html
ロケ地
IMDbでは
Colorado, USA
EMI Elstree Studios, Borehamwood, Hertfordshire, England, UK (studio)
Glacier National Park, Montana, USA
London, England, UK
Pinewood Studios, Iver Heath, Buckinghamshire, England, UK (studio)
Timberline Lodge, Mount Hood, Oregon, USA
Yosemite National Park, California, USA
オープニング空撮
同じ黄色いビートルの空撮ですが、『ファール・プレイ』とはだいぶ雰囲気が違いますね。 😉
撮影はこちら。
Going-to-the-Sun Road
Glacier National Park, Montana
画像はWikipediaから(パブリックドメイン)。
湖の中央北側のこのあたりから小さい島(Wild Goose Island)に向かって(南西へ)滑るようにカメラが移動しはじめ、ゆっくり右へ旋回していきます。
カメラには映っていませんが、マップで確認できる通り湖畔にはGoing-to-the-Sun Road が走っていて、ビートルは西へ向かっています。
以下Google Earthなどで道なりにたどっていけば撮影場所を細かく特定していけるかもしれませんね……。
ちなみに、この時の空撮フィルム(の未使用分)は『ブレード・ランナー』の劇場公開版のラストでも使用されています。
2本の映画は、『ブレード・ランナー』のタイレル博士が『シャイニング』の幽霊バーテンと同じ俳優さん(ジョー・ターケル Joe Turkel)というつながりもあったりします。 → Google 画像検索
ホテル
設定ではオーバールック・ホテル(Overlook Hotel)。
撮影場所が気になるところですが、オープニングの空撮で登場する建物はIMDbにある通り、アメリカオレゴン州のこちらです。
ティンバーライン・ロッジ Timberline Lodge
Mount Hood, Oregon, USA
http://www.timberlinelodge.com/
マップ↓
- Google Maps↓
Timberline Lodgeが映っているのはオープニングの空撮と、後の方で登場する山を背景にしたロングショットだけです。
それ以外のホテルの外観(例えば、ホテルを閉める日に外を廻る場面など)は、ティンバーライン・ロッジを模して作られた巨大なセットです。
広大なホテル内部もすべてスタジオセット。
迷路も同様です。
撮影はイギリスの EMI Elstree Studios 。
ロビーやフロント等のセットは、ヨセミテのAhwahnee Hotelを参考に作られています。
ロケ地マップ
※2016/07/24追加
資料
- IMDb
- allcinema Movie & DVD Database
- キネ旬DB
- IMCDb
- Wikipedia日本語
- Wikipedia英語
- http://collativelearning.com/the%20shining.html
- http://www.unrealaudio.net/theshining2/realoverlook.htm
更新履歴
- 2016/07/24 「ロケ地マップ」追加
コメント
今年初めてのコメントです。遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
すでにご存じかもしれませんが、ロケ地情報ではありませんが、私が「へえ」と思ったことを。
>前のエントリー 『おもいでの夏』からのつながり。
なんのつながりも無さそうですが、『シャイニング』の中ほどでジャック・ニコルソン親子がテレビで観ていた映画が『おもいでの夏』です。
『おもいでの夏』のIMDbの「Trivia」
https://www.imdb.com/title/tt0067803/trivia/?ref_=tt_trv_trv
に、
>According to Stanley Kubrick’s wife Christiane Kubrick, this was one of his favorite films.
とありまして、「え、そうなの?」と驚いてしまいました。『おもいでの夏』なんて、どう考えてもキューブリックがいちばん好きでない映画かと思っていましたので(苦笑)。自分が作る映画と好きな映画は違うということなのですかね。もっともこの映画で、あの映画を観るシーンというのも、わりと考えさせられるものはあります。
ところでこの映画は、原作者はいろいろ不満が多いようですが、ここまでくるとちょっと原作との違いなど超越した作品になっちゃいましたね。それだけキューブリックが偉大だということでしょう。
Bill McCreary さま
『シャイニング』の中でジャック・ニコルソン親子がテレビで観ていた映画が『おもいでの夏』ですって。
意外な「楽屋落ち」の情報ありがとうございました。
機会があれば、このシーンをチェックしてみます。
調べれば、『おもいでの夏』はキューブリック監督の一番お気に入りの映画らしいです。
「完全主義者」と言われたキューブリック監督が作品の中に自分の趣味を採択するなんて、
信じられない。
ついでながら、劇中映画で「恋人」(市川崑 1951年 新東宝)には目を見張るようなシーンがありました。
京子(久慈あさみ)と誠一(池辺良)が映画館で見ているのが「哀愁」(Waterloo Bridge 1940年)で、二人がこの後、通りを並んで歩いたり、ダンスホールで踊るスタイルが映画「哀愁」のヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーのそのままの姿になるのです(市川監督のお茶目ぶりに脱帽)。
これはある映画研究家(名前は失念)が「グラフィックの類似」という論文で指摘されています。
Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
こちらこそ今年もよろしくお願い致します。
キューブリック監督の好みの一本というのは意外ですね。他になにがあるのか、できればずらりとリストアップしてほしいものです。
『シャイニング』はオープニング空撮の音楽を『おもいでの夏』に差し替えると、だいぶ雰囲気が違ってきますね(汗)
『シャイニング』は今となっては出演俳優に対する過剰な追い詰め方というパワハラ的案件で取り上げられることもあり、「あーこれはしんどい現場で撮られたんかな」と思う場面では、ストーリー以上にしんどい気分になったりします。そんな時は『おもいでの夏』の場面でほっと一息つきたいところです……
……と思ったら『おもいでの夏』はこれはこれでミドルティーンの少年との関係を描いているわけですから、今なら炎上案件になるのかも??
というわけで、ちょっと昔の映画は今日的目線ではなにかしらコードにひっかかりそうですね。
赤松幸吉さん、コメントありがとうございます。
『恋人』DVDを持っていたので、見返してみました。
『哀愁』を見るところは覚えていましたが、その後の場面が『哀愁』をなぞっていたというのは気づきませんでした。
余談ですが、この映画でも池部良さんはあかわらずカッコイイですね。
コート姿で登場した途端に画面がぱっと華やぎます。