ハイなヒロインその1
作品メモ
ロミー・シュナイダー出演作シリーズからちょっと離れて、脇道へ。
ひとつ前のエントリー、『すぎ去りし日の……』から、「考え事しながらスピード出し過ぎてはいけません」つながり。
結婚はしたもののやっぱりアッチの彼がいいっ!と突然バイクにまたがり、回想と妄想を巡らせながら男の元にバイクを走らせる女の話。
お話が進むにつれ、ヒロインはどんどんハイな感じになっていき、最後はまあ想像通りのこととなるわけですが、見どころはやはりラブシーンでしょうかね~(遠い目)。
今となってはサイケデリックな表現や斬新さをねらったカメラがかえって古さを感じさせる皮肉な一本。
特にバイクを駆るヒロインを正面から捉えたショットは、かえって疾走感やリアリティをそこねてしまい、へらへら笑うヒロインとあいまって、まるでお笑い芸人さんがカメラ付ヘルメットをかぶって奮闘しているような錯覚すらおぼえるのでした。
とかさんざんなこと書いてますが、裸でレザースーツに身を包み大型バイクで疾走する美女という、ひとつのビジュアルを作り上げた点ではやはり十分記憶に残る映画だと思います。
そんなヒロインのレベッカにマリアンヌ・フェイスフル。映画女優としてはやはりこの作品ぐらいでしょうか。フィルモグラフィ見たら『明日に賭ける』に出ていたようですが、何の役だったかまったく思い出せず。
お相手のダニエルに何をやっても決まりすぎるアラン・ドロン。今回は大学教授ですと。う~ん、せれれが~ん……
影が薄すぎる夫レイモンドにロジャー・マットン。
原作は、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの”La motocyclette”。
白水社から『オートバイ』の邦題で翻訳が出ていました。
私が昔読んだのは、右の画像とは違いますが、やはり白を基調としたとてもシンプルな装幀だったように記憶しています。
映画同様、バイクにまたがったヒロインの脳裏に浮かぶイメージをそのままダダ漏れ的に文章にした内容だったような。
監督・撮影・脚色ジャック・カーディフ。撮影監督そして映画監督として知られていますが、映画監督作の方はあまり見ていません。この後に撮った『悪魔の植物人間』とかいうのがいかにもダメダメそうで気になります。
音楽レス・リード。
バイク
ヒロインがまたがるのはHarley-Davidson Electra GlideW。
これも含めて、この映画のクルマに関することならIMCDbをどうぞ。
http://www.imcdb.org/movie_63013-The-Girl-on-a-Motorcycle.html
また英語版Wikipediaによれば、引きのショットで実際に乗っていたのはイギリスGPチャンピオンBill IvyWとのことですが(金髪のウィグ使用)、このあたり未確認。
峰不二子?
よく言われることですが、『ルパン三世』の不二子ちゃ~~んのキャラにこの映画のヒロインがお役に立っているという点について。
今となっては確かめようもないかと思いますが、Wikipediaによれば、
オートバイにツナギで疾走するイメージから、モデルは映画『あの胸にもういちど』のマリアンヌ・フェイスフルとも言われるが、同映画は峰不二子登場の翌年(1968年)の作品であり、原作者からも完全否定されている。一方、アニメ製作会社サイドは「もしかすると(アニメ作画の時点で)映画のイメージを参考にしたことはあったかもしれない」と不完全に否定している。
ロケ地
IMDbでは、
Strasbourg, France
Paris, France
Heidelberg, Germany
Shepperton Studios, Shepperton, Surrey, England, UK
Geneva, Switzerland
設定上のスタート地点ははっきりしませんが、目的地はハイデルベルク(セリフから)。
あまり資料がないため、いつものように画面とにらめっこでチェックしていきました。
駅と陸橋
スタート直後、朝もやの中陸橋を渡るところ。
はっきり駅名が“HAGUANAU”(アグノー)Wと見えます。
こちらの駅で、南側に陸橋があります。
陸橋を渡りきって右折したときに背後に見える建物は、今でもSVで確認できます。
この町はドイツとの国境間近ですね。
ここをスタート地点とすると、ハイデルベルクまでは北東に直線で100km弱。
貨物列車と陸橋
ガソリンスタンドを経て、回想シーンなどを挟みながらしばらく進んだ後、貨物列車の上を走る場面。
陸橋はIMDbのリストにあるストラスブール(Strasbourg)のこちらと思われますが、確証はありません。
カメラ位置はおそらく北西側でカメラは南東向き。 もしここで正解だとすると、南に進んだことでかえってハイデルベルクから遠ざかってしまったことになります(汗)。
国境
フランスと西ドイツ(当時)の国境検問所。
これはさすがにセットでしょうか??
調査中。
斜張橋
夢モードで国境を越えて、しばらく後に渡るシンプルモダンな吊り橋(斜張橋)。
場所は、冒頭のHaguanau(アグノー)から東北東へ45km。ハイデルベルクまでの中間点にあたるこちら。
バイクは西から東へ渡っています。
後述のトラス型の鉄橋が平行して架かっていますが、最初の場面では鉄橋から撮っているため鉄橋自体は写りません。
ライン川を北上しながら、しらみつぶしに当たって見つけました(暇だね)。
都市
ビルが立ち並ぶ大きな町。調査中。
この町を抜けてふたたび橋を渡りますが、ここはなぜかその前に渡った吊り橋と併走しているトラス型の鉄橋。
進行方向はやはり西から東。
このへんはいくら夢モードとはいえ、ちょっと変かも?
なお、こちらの鉄橋は現在鉄道が走っています。
石橋
ここからハイデルベルク。
古風な橋はネッカー川にかかるAlte Brücke (Heidelberg)W。
バイクは北向き、カメラは南東向き。
ロングショットで写るのが旧市街。
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四阿
ダニエルが待っている素通しの四阿。
川と石橋を見下ろす高いところにあります。
アングルから逆算して、川の北側のこのあたり。
画像としては例えば、
- http://www.panoramio.com/photo/66320964
ということで現在も残っているみたいですね。 厳密な場所もわかりましたが、公園の一部のような、でも個人宅のような微妙な位置にあるため、マップでの特定は控えることにします。
事故現場
これはさすがに『すぎ去りし日の……』同様解明できそうもありません。
鐘楼
最後に写るのは、ハイデルベルクの Heiliggeistkirche (Church of the Holy Spirit, 聖霊教会)W
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コメント
この映画の中の四阿をずーっと探してみたいと思っていました。探している人がいたことに感激です。アップしてくれてありがとうございます。
コメントありがとうございました。
橋や街並みを見下ろせる、とても眺めが良さそうなところですね。
夢のようなイメージの中で撮られているところなので、一度行ってみたいという気がする一方で、夢のままでとっておきたいという気もするところです。