目次
作品メモ
『明日に向って撃て!』のエントリーに続けて、当然のごとくこちらも。
主演ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード、監督ジョージ・ロイ・ヒルという顔合わせが、再び映画を見る至上の喜びをもたらしてくれます。
コンゲームものの基本形ですが、考えてみたら映画撮影そのものが「カット!」の声とともに俳優が素に戻り、笑顔が戻って衣装やセットを替えたりするわけで、まるでターゲットがいなくなった後のコンゲームの現場ですね。
出演は他にロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング等。
撮影ロバート・サーティース、衣装イーディス・ヘッド。
音楽はスコット・ジョプリンのラグタイムピアノ曲。編曲マーヴィン・ハムリッシュ。
おそらく私含めて大方の人が「スティングのテーマ」と覚えているこの曲は、“The Entertainer”W。
エンディングは”The Ragtime Dance”
ロケ地
IMDbでは、
Biltmore Hotel – 506 S. Grand Avenue, Downtown, Los Angeles, California, USA
Brownstone Street, Backlot, Universal Studios – 100 Universal City Plaza, Universal City, California, USA
Castle Green Apartments – 99 S. Raymond, Pasadena, California, USA
LaSalle Street Station – 141 W. Van Buren Street, Downtown, Chicago, Illinois, USA
New York Street, Backlot, Universal Studios – 100 Universal City Plaza, Universal City, California, USA
Penn Central Freight Yards, Near West Side, Chicago, Illinois, USA
Santa Monica Pier, Santa Monica, California, USA (Merry-Go-Round scene)
Stage 27, Universal Studios – 100 Universal City Plaza, Universal City, California, USA (studio)
Stage 28, Universal Studios – 100 Universal City Plaza, Universal City, California, USA
Stage 32, Universal Studios – 100 Universal City Plaza, Universal City, California, USA
Union Station – Canal St. & Jackson Blvd., Near West Side, Chicago, Illinois, USA
1930年代のシカゴを、デジタルVFXのない時代に、セットやマットペインティングを駆使して表現しています。
ショットによっては「まるで絵に描いたような」街並みがあるのはご愛敬。
いつものように上のリストとウェブマップを頼りに、画面とにらめっこでチェックしていきました。
答え合わせはしていませんので、間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
イリノイ州ジョリエット
スタジオかロケなのかも区別がつかず。
ジョリエットはシカゴの南西50kmほどのところにあります。
(いつも思うのですが、都市や町同士の距離って、どこからどこまでを測るのでしょうね??)
MERRY-GO-ROUND
フッカーがヘンリー・ゴンドーフに会いにやってくる場面。
実際の撮影はシカゴではなくカリフォルニア州サンタモニカ。
Santa Monica PierW, Santa Monica, California, USA (Merry-Go-Round scene)
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©1979 milou アルバム「アメリカ西海岸」から |
画像はmilouさんから提供していただいたもの。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1979年とのことで、映画の時期にかなり近い貴重な画像ですね。
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©1996 milou アルバム「アメリカ西海岸」から |
こちらは1996年撮影。
これと上の画像は、「仕掛け(THE SET-UP)」の最初のショットにアングルが近いですね。
おそらく実際のこの映像に、シカゴの高架鉄道(L)や高層ビルをマットペインティングで合成したものと思われます。
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©1979 milou アルバム「アメリカ西海岸」から |
1979年撮影で、これも映画と同じアングル。
左手前に高架鉄道の橋脚のセットを据えて撮影したものと思われます。
まさか桟橋で撮っているとは思いませんよね。
駅の待合所
0:42。
ロネガンがやってくるのを2人が待ち受けていたところ。
ニューヨークという設定でしょうけど、撮影は『アンタッチャブル』の階段でおなじみ、シカゴのこちら。
Union Station – Canal St. & Jackson Blvd., Near West Side, Chicago, Illinois, USA
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©milou アルバム「シカゴ」から |
こちらもmilouさんから提供していただいた画像です。
(いつもありがとうございます♪)
到着した駅の外
1:04
LaSalle Street StationW – 141 W. Van Buren Street, Downtown, Chicago, Illinois, USA
昔の姿
- http://www.trainweb.org/rshs/VRP%20LaSalle%20Street%20Station.htm
- https://www.flickr.com/photos/reng/12781673454/
RED’S LOUNGE
電話をかけていたらスナイダー警部に襲われたところ。
次の駅の場面で”43rd Street”とありましたので、もしやと思って見てみたら駅のすぐ下でした。
だいぶ傷んでいますが、映画と同じ建物が残っていますね。
その向かいの建物は無くなっていますが、逃げていった方角(南側)の高架際の建物はけっこう残っているようです。
高架駅
上記ショットのヒントとなった”43rd” という駅名標示が見えますが、おそらく実際の同駅ではないでしょうか?
現在はだいぶリニューアルされています。
ここだとすると、2人が現れるのは西側のホームの南端。
いったん北端まで行ったフッカーが屋根を逆進して、飛び降ります。
そして高架鉄道の下を横断して反対側へ駆け抜けますが、その時背景に写っているのは、電話をかけていた建物から逃げてきて高架鉄道の下を走って行くときに写っていた建物と同じです。
だいぶ高架の下を走った後というつながりですが、実際には同じ所で撮影していることになりますね。
最後にスタコラ走り去って行くのは、S Calumet Ave.に沿ったこの歩道を南へ。
行く手に見える黄土色の3-4階建てのビルは、今でも建っています。
高架脇のホテル
フッカーが出てきたところ。
ここは続くダイナーのショットや、後の方の場面を合わせてみると、セットのように思えます。
IMDbのリストで、ユニバーサルスタジオのオープンセットの通りの名前がありますね。
Brownstone Street, Backlot, Universal Studios – 100 Universal City Plaza, Universal City, California, USA
New York Street, Backlot, Universal Studios – 100 Universal City Plaza, Universal City, California, USA
映画会社は違いますが、ワーナーブラザーズのスタジオには、高架鉄道の一部セットが常設されているようで気になります。
これ何に使っているのでしょうね?
資料
更新履歴
- 2018/04/10 画像のリンク先をPicasaウェブアルバムからGoogleアルバムアーカイブへ変更
- 2014/10/05 新規アップ
コメント
どんでん返し(O. Henry’s ending)の代表作で、最後の結末に「アッ!」と声をあげたのは、これと「情婦」の二本だけ。
当時の観客も唖然として、すぐには席から立てないようだった。
その他、どんでん返し映画は数多あっても、途中で先が読めたり、話に無理があったりするものばかりでした。例えば、日本映画の日活アクションでは、怪しい人物は、最後のどんでん返しではいつも刑事だということになっていました。
30年代のギャング映画はほとんどセットばかりだと思っていましたが、まだ中には残っている建物もあるのですね。
この映画の難点は主役の二人がどちらも美男すぎること。ポール・ニューマンの方は髭を生やしていますが、これがないとどちらがどちらか分からくなってしまうほど。
一本の映画に二人の美男スターが出ていると見ている方が疲れます。男前は一人だけにして欲しい。
赤松さん、私もほとんどセットだと思っていたので、調べてびっくりです。
レッドフォードの方は『明日に向って撃て!』に比べるとだいぶ余裕のようなものが感じられますよね。久々に続けて見たのでよけいそう感じました。
役名がHookerってちょっとドキリとしてしまいますが、別に特定の職業に限らないということなのでしょうね。
『情婦』もびっくりですが、2作とも共通しているのはストーリーがわかっていても楽しめるということで、小説もそうですが再読に耐えられるというのは良作の条件ですね。
こんにちは。今日もおせっかいな情報です。
>スタジオかロケなのかも区別がつかず。
私も、ジョリエットのシーンはスタジオだと決め込んでいましたが、英語版Wikipediaのこの作品の項目に、ルーサーの家を出たレッドフォードらが街を歩くシーンがパサデナで撮影された旨の記載のある写真があったので、もしやと思いましたら、多くのシーンがパサデナで撮影されているようです。
ttp://movie-tourist.blogspot.jp/2013/03/the-sting-1973.html
冒頭のシーンなんか、まるっきりスタジオだと思っていたので少々びっくりです。終盤の重要なシーンも、パサデナで撮影されているようですね。こちらの方もすごいですよ。
ttp://fuyublog.blog.so-net.ne.jp/2016-02-19
このくらいのフットワークの軽さが必要かもですね(笑)。
「スティング」というのは、たぶんシカゴを舞台とした映画では、最高に知名度の高い映画でしょうから、その映画が実際にはもっぱらカリフォルニアでロケーションされているのも面白いと思います。パサデナという街が、少なくとも当時は、古い雰囲気を残している街だったのでしょうね。またシカゴでは、当時の市長が映画のロケーションに協力的でなかった背景もあったようです。以上IMDbより。
>レッドフォードの方は『明日に向って撃て!』に比べるとだいぶ余裕のようなものが感じられますよね。
フッカーの役は、ウォーレン・ビーティ(すみませーん、歳がばれちゃいますが、「ベイティ」はどうしてもだめなんで)やジャック・ニコルソンもオファーされていたわけで、ビーティはまだしも、ニコルソンだとほんとう、全く映画の雰囲気が変わったでしょうね。どちらがよかったかはともかく。ビーティは「明日に向かって撃て!」でもオファーされていたようですから、ヒル監督かニューマンが固執していたのかもですね。
なおこの映画で英語の勉強をしているのですが、卑語はともかく俗語が多いので、ちょっと聞き取りは難しい映画だと思います。
>コンゲームものの基本形ですが、考えてみたら映画撮影そのものが「カット!」の声とともに俳優が素に戻り、笑顔が戻って衣装やセットを替えたりするわけで、まるでターゲットがいなくなった後のコンゲームの現場ですね。
ラストのノミ屋の解体が、まさに詐欺の終わりと同様に映画の終わりでもあるわけで、ちょっとしんみりしてしまいました。
Bill McCrearyさん、すみません、またいただいたコメントがスパム的だとして保留扱いになってしまっていました。
私もウォーレン・ビーティ世代?です(笑)
先日アカデミー賞授賞式を見ていたら、例の誤発表問題のおかげで最後のプレゼンターとして今年も登場、ウレしそうにしていましたが、それを見ていてなんだかこちらもウレしくなりました。
今月NHKBSで『レッズ』を放送してくれるのですが、良い画質では持っていなかったので、録画して「なんちゃってソ連」をさらにチェックしてみたいと思っています。
『スティング』のロケ地チェック情報ありがとうございます。
みなさん、すごいですね~
これだけの作品になると、撮影地は根こそぎ解明されているでしょうね。
ダブっても仕方ないですし、新しいエントリーはできるだけマイナーな映画の方が良いのかもしれませんね(全然ニーズないでしょうけど……)