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『続・夕陽のガンマン』Il buono, il brutto, il cattivo (1966)

続 夕陽のガンマン MGM90周年記念ニュー・デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

世の中には2種類の人間がいる

作品メモ

『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』と見てきましたので、「三部作」Wの3本目であるこちらもチェック。

3作はどれもぴったり好みで、テレビ放映されるたびにドキドキワクワクさせてもらいましたが、一本挙げろと言われたらやはりこちらでしょうか。
とうてい昔のテレビ放送では収まりきらない長さの映画ですが、ズタズタカットでも十分面白く、もちろんフルバージョンなら何倍も楽しめる傑作です。

テレビ放送時には「地獄の決斗」というサブタイトルが付いていました。
どちらにせよ『夕陽のガンマン』の続編でもなんでもありません。

イタリア語原題は「善玉、無頼漢、悪玉」。
英題は順番がちょっと変わって”The Good, the Bad and the Ugly”。
実際の登場順は、無頼漢 → 悪玉 → 善玉。

善玉……といえるほど善人とは思えませんが、まあとにかくブロンディと呼ばれる金髪の男にクリント・イーストウッド。
悪玉……以外の何者でもないワルワルのエンジェル・アイにリー・ヴァン・クリーフ。
無頼漢……というよりは、そのままアグリーと呼びたくなるトゥコにイーライ・ウォラック。
でも憎めないんですよね、このキャラ。トゥコあってのこの映画です。

監督セルジオ・レオーネ、撮影トニーノ・デリ・コリ、音楽エンニオ・モリコーネ。

 
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Carazo, Burgos, Castilla y León, Spain (Betterville concentration camp)
Cabo de Gata, Almería, Andalucía, Spain (monastery/long desert walk scene)
Covarrubias, Burgos, Castilla y León, Spain (battle at Langstone Bridge)
Rome, Lazio, Italy
Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (night scene in Santa Anna / streets of Santa Fe)
Burgos, Castilla y León, Spain (civil war battle)
La Calahorra, Granada, Andalucía, Spain (railroad station)
Andalucía, Spain
Colmenar Viejo, Madrid, Spain (shelled town of Peralta)
Cortijo del Fraile, Níjar, Almería, Andalucía, Spain (Monastery of San Antonio Mission exterior scene)
Arlanza River, Burgos, Castilla y León, Spain (Langstone Bridge battle) Monasterio de San Pedro de Arlanza, Hortigüela, Burgos, Castilla y León, Spain (military hospital)
Elios Film, Rome, Lazio, Italy (studio)
La Pedriza, Manzanares el Real, Madrid, Spain
Granada, Andalucía, Spain
Mini Hollywood, Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Cities of Valverde and Santa Ana and other town scenes)
Almería, Andalucía, Spain (town scenes)
Santo Domingo de Silos, Burgos, Castilla y León, Spain (Sad Hill Cemetery exterior scene finale)
Desierto de Tabernas, Almería, Andalucía, Spain
Estación de Calahorra, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Railroad station exterior scenes)
Los Albaricoques, Cabo de Gata, Almería, Andalucía, Spain (Boy and the donkey and waterwheel exterior scene)
Rodalquilar, Almería, Andalucía, Spain
Durango, Mexico (Mexico)

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

OPの家

テュコが飛び出したところ。
調査中。

エンジェル・アイがやってきた家

外では少年がロバを使って水車を回しています。
IMDbでは、

Los Albaricoques, Cabo de Gata, Almería, Andalucía, Spain (Boy and the donkey and waterwheel exterior scene)

と『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』でチェック済みの地名がありますが、地形的に町内?からの眺めではなさそうでした。
近くを探したところ、こちら↓であることが判明(個人宅かもしれませんしSVが使えない地域なので、マップでは大ざっぱに示すだけにしておきます)。

Los Albaricoquesの町の中心から東へ2km余り。
修道院(後述)として登場する場所(『夕陽のガンマン』では牢獄の屋上)までの道のりの中間地点。

町その1

トゥコを連行してきたところ。営業その1。
場所は調査中。

町その2

トゥコたちが2度目の営業をしている脇で、エンジェル・アイが情報を仕入れたところ。
寄りかかっている柱の意匠が、『夕陽のガンマン』でやはりリー・ヴァン・クリーフが居たホテルのもの(設定ではエル・パソ)に似て見えます。

現ウエスタン村となっているこちら↓

Mini HollywoodW, Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Cities of Valverde and Santa Ana and other town scenes)
https://www.oasysparquetematico.com/en/

正面左が、エンジェル・アイが情報を仕入れたところ。

絞首刑の木はおそらくこのあたり。

トゥコたちは、東の方へ逃げていきます。

夜の町

0:30
エンジェルがマリアのもとにやってきたところ。
設定ではサンタ・アナ。

撮影場所は、上掲「町その2」と同じくこちら↓

Mini HollywoodW, Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Cities of Valverde and Santa Ana and other town scenes)

馬車が現れるショットの左側の建物は、エンジェル・アイが情報を仕入れた建物ですね。
マリアを降ろしたあとの背景の建物は、今でも同じような外観で残っているように見えます。

マリア役はRada Rassimovという女優さん。

トゥコがやってきた町

0:33
トゥコが放置プレーから無事?生還したところ。

これも周囲の地形から、上記2場面と同じ場所とわかります。

Mini HollywoodW, Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Cities of Valverde and Santa Ana and other town scenes)

トゥコは北西側の窪地を吊り橋で渡り、南向きで町の中心へ入っていきます。
通りの向こうに大きな山が見えるアングルになった時、背景左手に前項目「夜の町」でマリアの背景に写っていた建物(3つの丸いファザードを持つ)が確認できます(横位置)。

さすがに銃器店は不明。

サンタ・フェ

0:42
南軍の部隊がやってきたところ。

これまた上掲3場面と同じ場所。こちら↓の現ウエスタン村でした。

Mini HollywoodW, Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Cities of Valverde and Santa Ana and other town scenes)

隊列は南からやってきて、町の中心で少し左カーブを描きます。

軍隊がやってくる道は、『夕陽のガンマン』でクリント・イーストウッドが町へ入ってきたのと同じ道(設定ではエル・パソ)。
カメラの向きが逆なので、ぱっと見気づきません。
もう少しカメラが右(西)に動けば、『夕陽のガンマン』の銀行が写ったはず。
軍隊を観察するブロンディがいたのは、おそらく『夕陽のガンマン』の黒ずくめの男がいたホテルの上階。

というわけで、『続・夕陽のガンマン』だけでも4場面、『夕陽のガンマン』でも使われているため、この場所だけでも取れ高たっぷり。
最後に挙げたロケ地マップで、ピンだけでなく進路もできるだけ記載してみました。

荒野

0:54
特徴的な岩山の脇をトゥコが馬を走らせてきます。
調査中。

別の営業

トゥコが別の相手と営業中のブロンディに追いついたところ。
ありがちな白い家の前ですが、背景の山が特徴的なので調査中。

不運なショーティさんは一瞬アップで写りますが、José Terrónという俳優さんのようです(クレジットなし)。

砂漠

ビル・カーソンの馬車と遭遇したところ。
調査中。

修道院(外観)

1:15

Cortijo del FraileW, Níjar, Almería, Andalucía, Spain (Monastery of San Antonio Mission exterior scene)

『夕陽のガンマン』で監獄の屋上として撮影に使われたところ。

修道院(内部)

野戦病院と化した修道院の中はこちら↓で撮影。

Monasterio de San Pedro de ArlanzaW, Hortigüela, Burgos, Castilla y León, Spain (military hospital)

激戦の橋(後述)の近くですね。

懸命にブロンディを助けようとする姿に大笑いした後、なぜトゥコが修道院のことを知っていたかが描かれ、これでもうすっかり観客はトゥコ萌え萌えになっていくのであります。

捕虜収容所

Carazo, Burgos, Castilla y León, Spain (Betterville concentration camp)

地形的にはこのあたりの平地↓

Google Earthで見るとPanoramioの画像がいろいろアップされているので、このあたりで正解かと。

鉄道駅

1:49

La Calahorra, Granada, Andalucía, Spain (railroad station)
Estación de Calahorra, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Railroad station exterior scenes)

『夕陽のガンマン』と違って今でも線路を確認できますね。 駅舎も映画と同じかもしれません。
北側に並んでいる建物の中には、『ウエスタン』のセットの残りも混じっています。
『続・夕陽のガンマン』の時点ではそのあたりはまだ更地ですね。

手錠

トゥコが手錠を切ったのは、駅のすぐ東側↓
現在は線路が撤去されているカーブの部分。

列車は南から左カーブを進んできます。
このカーブを逆に南へたどっていくと、『夕陽のガンマン』や『ウエスタン』の冒頭の場所に出ます。

戦災の町

1:57

Colmenar Viejo, Madrid, Spain (shelled town of Peralta)

IMDbのこの地名は『夕陽のガンマン』のホワイトロックの町の撮影地として挙げられていたものと同じ。
今では確認できませんが、オープンセットがあったのかもしれません。

ブロンディやエンジェルたちがやってきたショットの背景に、同じような山並みを確認できます。

この↑少し後方(東寄り)のSVが使えないない区域に、Panoramioの画像が集中しています。
おそらくこのあたりにセットが組まれたのではないでしょうか。

戦場の橋

設定ではラングストン(Langston)橋。

IMDbのリストではこちら↓

Covarrubias, Burgos, Castilla y León, Spain (battle at Langstone Bridge)

川はアルランサ川W
北軍が陣取っていたのはおそらくこのあたり↓の北側で、橋が架かっていたのは東側の北へ蛇行する少し手前かと思われます。
対岸の地形が特徴的なので、ある程度は位置を推測することができます(最後に挙げたロケ地マップに、推定位置を示しておきました)。

迫力ある場面ですが、兵士のエキストラ等、スペイン軍の協力によるもの。
スイッチ係の栄誉を担ったスペイン軍の大尉が、合図を勘違いしてスイッチを押してしまったため撮影に失敗。すぐにスペイン兵が再建して撮り直したとか(IMDbのTrivia)。

映画の中でも北軍の大尉が印象に残りますが、Aldo Giuffréというイタリアの俳優さん。

墓地

この映画のクライマックス。
橋の場面あたりからのつながりやカメラワーク、ユニークな決闘場面など、すべてがお見事で、何度見てもウットリとなります。

エンニオ・モリコーネの”The Ecstacy of Gold”はもう神がかり。見てるこちらもエクスタシー。
でもってイーライ・ウォラックの走り方がカワイイのなんの。
ちょっと二郎さん入ってますかね?

 
 
 

設定では「サッドヒルの墓地」。
人様が眠っている墓地の探索はどうしても遠慮がちになりますが、これは全部セットですので(IMDbのTrivia)、堂々と記載してしまいましょう。

IMDbのリストでは↓

Santo Domingo de Silos, Burgos, Castilla y León, Spain (Sad Hill Cemetery exterior scene finale)

……なのですが、これではなかなか見つからず。
代わりにGoogle Earthで”Sad Hill Cemetery”と検索したら、あっさり見つかりました(笑)。
IMDbのリストの地名近くですが、どちらかと言えば、捕虜収容所と戦場の橋の中間ぐらいの位置です。

ウェブマップの空撮を見ると、セットは撤去されているようですが、同心円の跡は残っています。
たてたお墓の数は8千、あるいは1万と資料にあります。
『ひまわり』『素晴らしき戦争』を連想しますね。
橋と同様スペイン兵士のお仕事。2日で終えたとか。

決闘はもちろんその中心。
ブロンディが去って行ったのは、東南東の方角。

昨年(2016年)は50周年記念と言うことで、現地でこんな↓イベントもあったようです。

http://www.panibericana.com/2016/10/21/sad-hill-good-bad-ugly/

この記事で触れられている‘La Asociación Cultural Sad Hill’(サッドヒル文化協会)のサイトはこちら↓
資料がまとまっています。

http://www.acsadhill.es/

まさに聖地 🙂

『サッドヒルを掘り返せ 』(2017)

※19/5/13追記
コメント欄でBill McCrearyさんから情報を寄せていただきました(2019年5月13日 20:51)。
このイベントを描いた映画『サッドヒルを掘り返せ』Desenterrando Sad Hill (2017) がこの(2019年)3月に公開されていました。
まだ各地で上映が続いているようですので、よろしかったらどうぞ♪

これに先だって、2017年の東京国際映画祭で上映されていたようです。
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=127

 
 
 
▼21/2/11追記

DVDで見てみました。
2014年7月に現地でイーライ・ウォラックの追悼集会が開かれたことがきっかけとなり、サッドヒル文化連盟が設立。
各国からボランティアが参加して復元作業をすすめていき、規模の大きさが手にあまるとなると、墓地を売るなどして(寄付者の名前が墓碑銘に入るという文字通りのネーミング事業)資金を投入、苦労して完成にこぎつける姿が、50年前に本編を制作したスタッフたちのインタビューをはさみながら描かれていました。
ちょっとネタバレとなりますが、いよいよ完成披露の当日、映画上映に先立ちエンニオ・モリコーネ、ジェイムズ・ヘットフィール(メタリカ)のコメントを上映、それだけでも盛り上がるのにクリント・イーストウッドの激賞メッセージまでもが上映され、スタッフ一同男泣き、見ているこちらも胸アツとなりました。

『サッドヒルを掘り返せ 』Desenterrando Sad Hill (2017)

B082FNDGNP

ロケ地マップ

スペイン南部

 
 
 
Mini Hollywood

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2021/02/11 「『サッドヒルを掘り返せ 』(2017)」追記
  • 2019/05/13 「墓地」追記
  • 2017/04/11 新規アップ

コメント

  1. Bill McCreary より:

    すでにご存じの話ですが、ご紹介の

    http://www.panibericana.com/2016/10/21/sad-hill-good-bad-ugly/

    についての映画が公開されましたね。上のHPにもあるように、クリント・イーストウッドのメッセージが流れた際は、さすがにスタッフ・観客ともども大喜びでした。

    http://hark3.com/sadhill/

    余談ですが、映画の中で、レオーネがヴィスコンティやベルトルッチ、フェリーニらと比べてイタリアで評価されていないのは、彼がイタリアを映画の舞台にしなかったからだという指摘があり、そんなこと考えたこともありませんでしたが、なるほどなと妙に納得してしまいました。

    それにしてもこれは、映画のロケ地愛好家からすると、まさに究極の夢かもですね(苦笑)。ここまではいかなくても、映画のロケ地を訪れるのは大変な喜びです。『ブラック・レイン』のロケ地をめぐってその想いを新たにしました。あらためて居ながら様ほか関係者の方々に深く感謝を申し上げます。

  2. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
    情報、記事の方へ反映させていただきました。

    この記事を書いたときはGoogle Earthの画像で墓地の同心円がかろうじて確認できるだけでしたが(画像取得日2012/5/26)、今見たら画像取得日が2018/8/20となっていて、墓地全体がとてもクリアに見えるようになりました。まるでデジタルリマスターしたみたいです。
    ここに集った熱心なファンたちのパワーが、ロケ地を再生し、衛星画像をもリマスターしてしまったのですね 🙂

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