『約束』 (1972)

約束 [VHS]

※こちらは日本映画『約束』(1972)の記事となります。シドニー・ルメット監督の『約束』は別途エントリーがありますので、そちらをどうぞ。 → 『約束』 The Appointment (1969)

作品メモ

ひとつ前のエントリー『早春』の岸恵子さんがとても魅力的だったので、もう一本、少し後年の代表作を。
舞台は日本海沿岸を北へ向ってひた走る列車。
そこで出会ったワケあり男女の哀しいつかの間の愛を描きます。

陰のある女性、実は……という松宮螢子に岸恵子。この年は他にドラマの『化石』にも出演、以後『男はつらいよ 私の寅さん』(1973)、紹介済みの『ザ・ヤクザ』(1974)と続きます。そういえばマリームのCMはいつ頃でしたでしょうか?
螢子に声をかけてきたチャラ男風の若者、中原朗(あきら)に萩原健一。この映画の公開が1972年(昭和47年)3月29日。『太陽にほえろ』は同年7月21日スタートということで、俳優として見事なスタートダッシュ。以後映画やドラマに快進撃が続きます。

他に……
螢子に付き添う女性島本房江に南美江。
護送犯に中山仁。
中原を追う山室刑事に三國連太郎。裁判の回想場面で裁判官としても登場しています。こういうのって、何か意味があるのでしょうか??

特に個人的にツボに来たのは殿山泰司さん。
シリアスな役なのですが、つい最近『お早よう』で怪しいゴム紐売り姿を見たばかりだったので、本筋とは違ったところでウケてしまいました。
本当にこの方生涯にどれだけの役を演じてこられたのでしょうね。

監督斎藤耕一。
この後『旅の重さ』(1972)、『津軽じょんがら節』(1973) とこの時期絶好調。
作品を通してだけの勝手な印象ですが、情感をたっぷり込めた映像によって物語をぐいぐい引っ張っていくタイプでしょうか。 良く言えば叙情的、悪く言えば雰囲気優先。小津監督とは180度対照的な撮り方のように見えます。
そのノリがぴたりとはまると『津軽じょんがら節』などの心に残る作品が生まれるのでしょうね。
好みは分れるかもしれませんが、70年代、日本映画がいよいよ苦しくなってきた頃に気を吐いていた監督さんのひとりであることに違いはなく、名画座でも同監督特集が組まれると立ち見が出るほど人が入っていた記憶があります。

脚本石森史郎、撮影坂本典隆。

音楽宮川泰。
そう思って見てしまうと、冒頭の無調っぽい音楽が、どこか見知らぬ惑星に到着したヤマト乗組員的雰囲気をかもし出しているかも??

この文章を書いている時点で(2013年7月)、DVDはまだ出ていない模様。
ぜひ良い画質でソフト化していただければと思います。

DVD登場?(13/9/27追記)

あの頃映画 松竹DVDコレクション 約束

Amazonに案内が出ていました。
発売予定日が、13年10月30日となっています。
赤松さん、良かったですね~
他にも待ちかねていたファンが多そうです。

『晩秋』

以前アヌーク・エーメ主演の方の『約束』で触れましたが、この映画のオリジナルは、韓国映画『晩秋(만추)』(1966)。

allcinemaやキネマ旬報のデータでは原作関連が見当たりませんが、『約束』本編のクレジットでは、原案に斎藤耕一と並んで金志軒の名前があります。ハングル表記なら김지헌(キム・ジホン)で『晩秋』の脚本の人。
イ・マニ(이만희 李晩煕)監督の方は特にクレジットされていません。

『晩秋』は韓国では1981年と2010年にリメイクされているようです。

レイトオータム [DVD] 2010年のものは『レイトオータム』というタイトルで日本でも公開&ソフト化(allcinemaキネマ旬報DB)。
タン・ウェイ目当てにこっそり借りて見たことがありますが、舞台はシアトルで中国系の服役囚と韓国系のエスコートサービスの男という設定になっとりましたぁ~ 😯

※13/9/27追記
韓国では1975年にもう一本別タイトル、”육체의 약속” (肉体の約束)でリメイクされていました。

見たことありませんが、脚本がやはりキム・ジホン(Naver映画)でこの内容ですから、リメイクで間違いなさそう。
監督がキム・ギヨンでヒロインがキム・ジミという、名前だけでお腹いっぱいになりそうな組み合わせです。

ロケ地

特に資料も用意せず、いつものように画面とにらめっこでチェックしていきました。
アナウンスなどから北陸を走る国鉄(当時)であることがわかります。

OP

蛍子がひとり待つ公園。
ここについては後ほど。

中原が乗ってきた駅

駅のアナウンスは、

到着の列車は、直江津、新潟、秋田方面青森行きの急行列車しらゆき号です。

ホーム側はほとんど写らないので、解明は難しそう。

トンネル出口

行きは0:06頃、帰りは0:53頃。
海岸沿い、コンクリートむき出しの四角いトンネル出口。
よく見たら、この四角い部分は線路を守る覆いのようで、その向こうにホントの丸いトンネル出口があります。
線路をひたすらたどれば解明できそう……

護送犯が乗ってきた駅

アナウンスからは、糸魚川駅W。撮影もそのように見えます。

護送犯が降りた駅

駅名標示が柏崎駅。

中山仁さん、出番はこれだけってもったいなかったかも……

到着した駅

0:19
いろいろな舞台となる街の駅。
セリフやアナウンスから、「うえつ」という設定であることがわかります。漢字で書くなら「羽越」でしょうか?
架空の名前で、駅や駅周辺の街並みを見る限り、敦賀駅Wで撮影されているようです。

山を背景にした駅のショットが昔の敦賀駅の画像と一致しますし、構内の撮影も「のりば案内」に「米原、大原、名古屋方面」と書かれてあるのでおそらくこの駅でしょう。その後の町の描写も敦賀市内のSVで確認できます(後述)。
これまで糸魚川駅→柏崎駅と北に進んでいたのに、一気に後戻りという感じですね。

昭和50年の空撮はこちら↓。400dpiですとかなり細かく確認できます。

駅前の旅館(13/7/24追記)

コメント欄で赤松さんから情報寄せていただきました。
蛍子と島本房江が入っていった橋本という旅館は当時駅前に実在していたとのことです。

©1972 赤松幸吉

画像も提供していただきました。
貴重な1枚ですね。どうもありがとうございます♩

商店街

0:24頃。

蛍子につきまといながら右に曲がるところ。
「ダイシン」と言う文字が見えますが、こちらでしょうか?(自信なし)

この角を西から来て南へ向っているようですが……

歩道橋

0:24頃。
中原が下を横断して先回りするところ。


大きな地図で見る

墓参(13/7/29追記)

コメント欄で赤松さんから情報寄せていただきました。
蛍子の母の墓地は敦賀市郊外の「五つ幡海岸」とのことです。

動物園

※13/7/24追記
コメント欄で赤松さんから情報寄せていただきました。
この小動物園や遊具は、OPやエンディングの公園内にあったとのことです。

長い橋

0:34頃。
敦賀湾に面したこちら(SVのピンは橋を横から見るため隣の橋に移してあります)。

0:48頃ショーケンが駆けてくるところもおそらくここ。

※13/7/24追記
コメント欄で赤松さんから情報寄せていただきました。
この橋で正解とのことです。斎藤監督から直々に聞いたのですから(凄い……)、間違いないでしょう。

超望遠レンズによる撮影をSVでできるだけ再現してみました。
ただし向きは真逆かもしれません 😉

旅館

0:41頃。
待ち合わせをした海辺の旅館。
おそらく敦賀湾に面したどこかかと思いますが、ウェブマップだけではもはや限界……

降りた駅

設定では名古屋駅。
撮影も同駅でしょうか?

※13/7/29追記
参考までに、各駅の昔の空撮画像。

刑務所の門

重厚な作りの門。
決して面白おかしくロケ地を探って良い場所ではないとは思いますが、次の場面をチェックすることで場所がわかりましたので、そちらで合わせて記しておきます。

逮捕

佐藤浩市さんにそっくりな(逆か)三國連太郎さんにとうとう逮捕される場面。
背後に写る仏壇店や、その前朗が駆けてくるショットで電柱広告が写る質店は、ざっくり検索するとどちらも津市内にその名前が見られ、現在の住所でわずか数ブロックしか離れていないところにあります。
おそらくそこで正解だと思うのですが、残念ながら該当地域でSVが使えず確認できません。

該当地域のマップをメモ。

で、ここから刑務所も津市内であると推定しますと、こちらの三重刑務所Wとなります。

画像を検索すると映画に登場するものと同じでした。

Wikipediaによると、

大正5年に建築されたレンガ組みの重厚な監獄正門で、「安濃津監獄」の文字が右から左に書かれている。現在は塀の外にあって門としての機能は果たしておらず、歴史的資料として保存されている。

とのことです。
現在の衛星画像では確かに塀の外側にあるようですが、上記昭和50年度の空撮では映画と同じように塀と一体になっているように見えます。

※14/8/17追記
SVが使えるようになっていました。スッキリ解明できましたのでメモ。

正門↓

別れた直後駆けてくる通り(カメラは最初南向き)。

捕まったのは商店街入口にあるこちら。現在クリーニング店となっています。

懸命に暴れるのもこの店の前で、よく見るとアーケードの柱が写っていました。
そのままずるずると商店街の中へ引きずられていきストップモーションとなったわけですね。

公園

海岸に近い冒頭の公園。
おそらく敦賀湾を臨むこちらではないかと思われますが、確証はありません。

気比の松原W

2年たったらあの公園で待ってて。
2年後の今日よ、約束して。

 
※13/7/24追記
コメント欄で赤松さんから情報寄せていただきました。
気比松原で正解とのことです。

©1972 赤松幸吉

当時の画像も送っていただきました。
どうもありがとうございます♩
まさにここですね。
公園の売店といったところでしょうか。

©1972 赤松幸吉

こちらはうまく補正できなくてすみません……

※13/7/28追記
赤松さんからさらに画像を提供していただきました。
ロケ地の画像はすべて40年以上前のものとなります。

©1972 赤松幸吉

映画に登場した回転遊具。

©1972 赤松幸吉

ラストの浜辺。

キネマ旬報97年8月下旬号

これはキネマ旬報97年8月下旬号での映画評論家・田沼雄一氏の映画評とのことです。
この中で「学生」とあるのは赤松さんのこと。
こういう誌面の画像掲載については微妙なものがあるかもしれませんが、記念的な意味合いの強い一部引用ということでご理解いただければと思います(権利は本来の著作権者に属します)。

※13/7/29追記

昔の空撮で見ると、おそらくこの場所ではないかと思われます。

ロケ地マップ(13/7/24追記)


より大きな地図で 斎藤耕一監督作品 を表示

資料

更新履歴

  • 2014/08/17 「逮捕」SV等追記
  • 2014/08/16 国土情報ウェブマッピングシステムのシステム変更に伴い、リンクを削除

『約束』 (1972)” への7件のコメント

  1.  この映画に感動し、若い頃このロケ地を歩いてきました。ただ当時はロケ地の特定は雲をつかむような至難の業で、まず映画館の中でのカメラ撮影(この映画自体の画面が非常に暗いので、ほとんど失敗)、テレビ放映時のカメラ撮影、スチール写真などの宣材を駆使してあらかじめ大体の見当を付けておく。その上、斎藤監督に失礼ながら直接電話して主なロケ地を聞いておく。これらを手に北陸へとロケ地探しに出ました。もう40年前以上のことです。
    作品メモ
     三國連太郎は刑事と裁判官の2役だけでなく同じ裁判シーンの検事も演じ、実際は3役です。、私の記憶では更に網の手入れをする漁師役でも出演しているようなので、これを加えれば実に4役ということになります。、これは監督と三國が懇意でお二人のお遊びだったと思われます。
     DVDはこの名作が何故か売り出されていません。ビデオ(既に廃盤)は購入しましたが、オールロケ、ノー・ライティング撮影なので画質がよくなく、松竹もDVD発売をためらっているのではないかと思われます。
    「(斎藤監督は)良く言えば叙情的、悪く言えば雰囲気優先」と表現しておられますが、まさしく私も同感、彼は日本のクロードルルシュールと呼ばれた映像派でした。
    音楽宮川泰 「無調っぽい?音楽」こんな言葉あるのですか?
    この音楽は情緒たっぷりで素晴らしいメロディーだと思いますが、観客に媚びを売るような俗ぽっさを持ち、歌謡曲的です。「旅の重さ」の吉田拓郎とは比べ物になりません。
    護送犯が降りた駅
    「中山仁さん、出番はこれだけってもったいなかったかも……」監督と中山仁とは親友関係で、ゲスト出演です。斎藤プロ第一作「囁きのジョー」の主演も中山でした。
    到着した駅
     これは確かに敦賀(つるが)駅です。監督から直接聞きました。
    蛍子が入る旅館は「旅館橋本」で実際に駅前にありました。

    「これまで糸魚川駅→柏崎駅と北に進んでいたのに、一気に後戻りという感じ」この映画では車両1両をまるごと何日間も借り切って撮影されたので、このようになるのでしょう。
    長い橋
    「0:45頃ショーケンが駆けてくるところもおそらくここ」そうです、同じ橋(港大橋)で撮影されています。
    監督と電話で話したとき、「映画のシーンと(私が)実際に訪れた場所がまったく違ったように見えました」と私が言うと、監督は「超望遠レンズで撮っているのでまるで別の場所のように見えるのだ」とおっしゃいました。
    商店街
    駅前の「橋本」という旅館に入ります。この旅館も実名で存在していました。中もオールロケということのなのでその場で撮っており、セットではないはずです。
    動物園
    これは「気比の松原」(冒頭およびラストシーンは指摘の通りこの場所)の近くにある公園で、その敷地内に小動物園があります。勿論、動物の種類も数も少なく誰でも自由にぶらつけます。子供達が遊ぶ回旋塔(グルグル回るジャングルジムのような遊具)も実際にその公園にありました。
     ラストシーンのあずま屋、ベンチなどもそのままありました。
    ラストシーンの岸恵子の表情は「あの愛をふたたび」のアニージラルドとそっくりだと思いませんか。
    降りた駅
    この刑務所も三重刑務所です。現在はどうか知りませんが、当時はまるでおとぎ話に出てくるような外観をしていて、建築上全国的に有名でした。

    inagara様のロケ地メモにはありませんが、蛍子の母の墓地は敦賀市郊外の「五つ幡海岸」です。

    inagara様への挑戦状。
    「約束」に匹敵する名作「旅の重さ」をアップしてもらえませんか。同じく40年前このロケ地を歩いたアナグロの私とデジタルなinagara様とでどちらがより正確か、勝負しませんか。

  2. 赤松幸吉さん、コメントありがとうございました。
    貴重な情報とメールで送っていただいた画像は、後ほど記事の方に反映させていただきますね。
    (ここ数日多忙につき、作業遅れると思いますが、ご了承ください)
    答え合わせをしていただいたも同然で、とても有り難いです。
    もう40年前の映画なのですね。私は70年代後半になってようやく名画座で見たのが初めてで、公開当時すでにロケ地にいらっしゃっていたとは驚きです。

    挑戦状受けて立ちましょう(笑)ってかなうわけないですよ~
    実は『旅の重さ』と『津軽じょんがら節』は『約束』と一緒に以前チェックしたことがあるのですが、『約束』以外はまったく歯が立ちませんでした。今回の『約束』もその時ウェブマップに付けたピンを元に書いたものです。
    とはいえ日本列島のデジタル化は少し進んでいるかもしれませんので、今なら多少は調べられるかもしれません。赤松さんの資料頼みということで、記事の方用意させていただきますね。

  3. 赤松幸吉さん、『旅の重さ』アップしました。
    なんとか数ヶ所わかりましたが、それ以外はほとんど全滅です。
    あとはよろしくお願いします~ 🙂

  4. 赤松さん、画像はこれで全部アップしたつもりですが、漏れあったらお知らせください。
    せっかくのお写真うまく補正できなくてすみません。
    40年前のものだと思うと、感無量ですね。

    ウェブでは1975年(昭和50年)の空撮画像を見ることができるのですが、うまく実際のマップと重ね合わせるやり方がわからず、見づらいかと思います。
    「電子国土Web.NEXT(ライブラリーの写真1974~78年をクリック)」という名前でリンクをつけたウェブマップは、使い勝手が良くなっているので、そちらもお試しください。

  5. 貴重な記録をありがとうございます。一度は糸魚川で映画に出てきた駅弁を食べて見たかったですし、ロケ地巡りも憧れですが、腰が重く財布は軽く今に至ります。久しぶりに映画を見返したいと思います。

  6. 古川幸之助さん、コメントありがとうございます。
    私もなかなか実際のロケ地巡りには行けないクチですが、マップをたどったりするだけで結構楽しいものですよね。駅弁は食べられませんけど……
    敦賀もそのうち新幹線が通るようですのでアクセスが楽になりそうですが、映画の雰囲気味わうのはやはり在来線でしょうか。

  7. 11月に日本映画専門チャンネルで『雨のアムステルダム』が放映されるようです。DVD未発売だったような…

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